メールソフトのThunderbird(サンダーバード)を使っていて、「あれ?送信済みトレイがない!」と気づいたら、とても焦りますよね。
でも安心してください。
ほとんどの場合、メール自体が消えたわけではなく、Thunderbirdの表示に問題が起きているだけなんです。この記事では、送信済みトレイが消えてしまった原因と、具体的な解決方法を分かりやすく説明していきます。
Thunderbirdの送信済みトレイとは?
まず基本的なことから確認しましょう。
送信済みトレイは、あなたが他の人に送ったメールが自動的に保存される場所です。後から「あのとき何を書いたっけ?」と確認したいときに、とても便利な機能なんですね。
ちなみに「送信トレイ」と「送信済みトレイ」は違うものです。
送信トレイは、まだ送られていないメールが一時的に置かれる場所で、送信済みトレイは、すでに送信が完了したメールが保存される場所です。混同しないように注意しましょう。
送信済みトレイが消える主な原因
送信済みトレイが見えなくなる原因は、大きく分けて4つあります。
1. フォルダ名の設定ミス
Thunderbirdは内部で「Sent」という名前のフォルダを送信済みトレイとして認識しています。
ところが、何らかの理由でフォルダ名が「送信済みトレイ」という日本語になってしまうと、正しく表示されなくなることがあるんです。
この場合、フォルダのアイコンも通常の紙飛行機マークではなく、普通のデータフォルダのマークになっています。
2. IMAP設定のチェック外れ
IMAPという方式でメールを受信している場合、アップデートなどのタイミングで設定が変わってしまうことがあります。
具体的には、「送信済みトレイ」と同期する設定のチェックが外れてしまい、フォルダ自体が表示されなくなるパターンです。
3. 表示の不具合(メールは存在する)
これは少し特殊なケースですが、送信済みトレイを開いても何も表示されないのに、検索機能を使うと送信したメールが見つかることがあります。
つまり、メール自体は存在しているのに、何らかの理由で画面に表示されていないだけなんですね。
4. 容量オーバー
送信済みトレイに保存されているメールのデータ量が4GBを超えると、新しいメールが保存できなくなります。
この場合、エラーメッセージが表示されることが多いです。
解決方法1:IMAPの設定を確認する(IMAP利用者向け)
IMAPでメールを受信している方は、まずこの方法を試してみましょう。
手順
- Thunderbirdの画面上部にある「ツール」メニューから「アカウント設定」を選択します
- 左側の一覧で、問題が起きているメールアカウントを選びます
- 「サーバ設定」をクリックします
- 「詳細」ボタンをクリックします
- 「次のアカウントの”送信済みトレイ”フォルダー」にチェックを入れます
- 該当するメールアドレスを指定します
- Thunderbirdを再起動します
これで送信済みトレイが復活するはずです。
解決方法2:フォルダ名を「Sent」に変更する
フォルダ名が原因の場合は、ファイルの名前を直接変更する必要があります。
少し技術的な作業になりますが、手順通りに進めれば大丈夫です。
手順
- まずThunderbirdを完全に終了させます
- エクスプローラーを開きます
- 画面上部の「表示」タブをクリックし、「隠しファイル」と「ファイル名拡張子」の両方にチェックを入れます
- 以下の順番でフォルダを開いていきます:
- PC
- Windows(C:)
- ユーザー
- あなたのユーザー名
- AppData
- Roaming
- Thunderbird
- Profiles
- ランダムな文字列のフォルダ(例:abcd1234.default)
- あなたのメールサーバー名のフォルダ
- この中に「送信済みトレイ」または「送信済トレイ」という名前のファイルがあるはずです
- このファイルを右クリックして「名前の変更」を選択します
- 「Sent」に変更します(拡張子がついている場合は「Sent.msf」ではなく、拡張子なしの「送信済みトレイ」を「Sent」に変更してください)
- Thunderbirdを起動します
アイコンが紙飛行機マークに戻り、送信済みトレイが正常に表示されるようになります。
解決方法3:メールを送信して自動生成させる
送信済みトレイが最初から存在しない場合、これが一番簡単な方法です。
手順
- Thunderbirdで新しいメールを作成します
- 自分宛てでもいいので、実際にメールを送信します
- 送信が完了すると、自動的に送信済みトレイが作成されます
これだけで解決することもあるので、最初に試してみる価値があります。
解決方法4:検索機能を使って復元する(表示不具合の場合)
メールは存在するのに表示されない場合は、この方法が有効です。
手順
- Thunderbirdの検索機能で、送信したメールに含まれていそうな言葉を検索します
- 検索結果に該当するメールが表示されたら、そのメールを右クリックします
- 「移動先」から一時的に別のフォルダ(例:アーカイブ)を選択します
- 移動先のフォルダを開きます
- そこに移動したメールを再び右クリックします
- 今度は「送信済みトレイ」に移動します
この「一度別の場所に移動してから戻す」という作業で、表示が正常に戻ることがあります。
解決方法5:インデックスファイルを削除する
上記の方法で解決しない場合は、インデックスファイル(メールの一覧情報を管理するファイル)に問題がある可能性があります。
手順
- Thunderbirdを完全に終了します
- 解決方法2と同じ方法で、プロファイルフォルダまで移動します
- その中の「Mail」フォルダ、さらにメールサーバー名のフォルダを開きます
- 「sent.msf」というファイルを見つけます(拡張子の表示を有効にしておく必要があります)
- このファイルを削除します(心配な場合は、デスクトップなどにバックアップを取っておきましょう)
- Thunderbirdを起動します
起動時に自動的に新しいインデックスファイルが作成され、送信済みトレイが正常に表示されるようになります。
容量オーバーの対処方法
送信済みトレイのデータ量が4GBを超えている場合は、古いメールを整理する必要があります。
整理の手順
- 送信済みトレイを右クリックして「新しいフォルダー」を選択します
- 「2024年上半期」のような名前で保存用フォルダを作成します
- 古いメールを選択して(Ctrlキーを押しながらクリックすると複数選択できます)、作成したフォルダにドラッグ&ドロップします
- 整理が終わったら、送信済みトレイを右クリックして「最適化」を選択します
これでデータ量が減り、新しいメールが正常に保存されるようになります。
IMAPとPOPの違いを理解しよう
ここで、メール受信方式について少し説明しておきます。
IMAPの特徴
IMAPは、メールサーバー上にメールを保管する方式です。
複数のデバイス(パソコン、スマホなど)から同じメールを見ることができて便利ですが、今回のような設定の問題が起きやすい面もあります。
ただし、メールのデータは基本的にサーバー上にあるので、Thunderbird上で問題が起きても、最悪の場合はアカウントを設定し直せばメールは戻ってきます。
POPの特徴
POPは、サーバーからメールをダウンロードして、パソコン内に保存する方式です。
今回のような送信済みトレイの問題は起きにくいですが、パソコンが壊れるとメールも失われるリスクがあります。
予防策:定期的なバックアップを
送信済みトレイが消える問題を完全に防ぐことは難しいですが、定期的にバックアップを取っておくと安心です。
バックアップ方法
- Thunderbirdの画面で、バックアップしたいメールを選択します
- 右クリックして「名前を付けて保存」を選択します
- 保存先を指定して保存します(.emlファイルとして保存されます)
または、プロファイルフォルダ全体を定期的にコピーしておく方法もあります。
よくある質問
Q1:送信済みトレイを削除してしまった場合は?
新しいメールを送信すれば、自動的に再作成されます。ただし、以前に保存されていたメールは戻ってきません。
Q2:複数のアカウントで同じ問題が起きた場合は?
それぞれのアカウントで個別に対処する必要があります。一つのアカウントで解決した方法が、他のアカウントでも有効なことが多いです。
Q3:Sendフォルダが表示される場合は?
「Send」という名前のフォルダが表示される場合、これが実質的な送信済みトレイとして機能しています。そのまま使い続けても問題ありませんが、気になる場合は解決方法2の手順で正式な「Sent」フォルダに統一できます。
まとめ:落ち着いて対処すれば大丈夫
Thunderbirdの送信済みトレイが消えても、ほとんどの場合はメール自体は残っています。
この記事で紹介した方法を順番に試してみてください。
まず試すべき方法:
- IMAPユーザー → 解決方法1
- 送信済みトレイが最初からない → 解決方法3
- フォルダアイコンが違う → 解決方法2
それでも解決しない場合は、解決方法4や5を試してみましょう。
また、今後同じ問題を避けるために、定期的なバックアップも忘れずに。
メールソフトの設定は少し複雑に感じるかもしれませんが、一度理解してしまえば、同じようなトラブルが起きたときも落ち着いて対処できるようになりますよ。

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