Thunderbirdでメールを送信しようとしたら、「SMTPサーバーとの接続がタイムアウトしたため、メッセージを送信できませんでした」というエラーが表示された…メール受信はできるのに、なぜか送信だけできない。
ビジネスで急ぎのメールを送らなければいけないのに、こんなエラーが出ると本当に困りますよね。でも安心してください。タイムアウトエラーの原因はいくつかに絞られるので、順番に確認していけば必ず解決できます。
この記事では、Thunderbirdで送信時にタイムアウトエラーが出る原因と、その具体的な解決方法を初心者の方にも分かりやすく解説します。最短5分で問題を解決できますよ。
「タイムアウト」エラーとは?

タイムアウトエラーは、Thunderbirdが送信用メールサーバー(SMTPサーバー)に接続しようとしたものの、時間内に応答がなかったため、接続を諦めた状態を指します。
分かりやすく例えると、電話をかけたのに相手が出ないので、一定時間待ってから切ったような状態です。
よくあるエラーメッセージ
- 「SMTPサーバー ○○○ との接続がタイムアウトしました」
- 「メッセージを送信できませんでした。再度試してください」
- 「送信サーバーへの接続に失敗しました」
症状の特徴
- メールの受信はできる
- 送信だけができない
- 送信ボタンを押すとしばらく待たされた後にエラー
【重要】Thunderbird 132以降での新しい問題(2025年3月~)
2025年3月以降、Thunderbirdのバージョン132以降(136、137など)で、SMTPサーバーへの接続がタイムアウトする問題が多数報告されています。
これは「security.tls.enable_kyber」という新機能が原因です。
Kyber機能とは?
Kyberは将来の量子コンピュータ時代に備えた暗号化技術です。セキュリティ向上のため、バージョン132以降ではデフォルトで有効になっています。
しかし、この機能は一部のネットワーク環境やメールサーバーと互換性がなく、タイムアウトエラーを引き起こします。
解決方法:Kyber機能を無効化する
ステップ1:設定エディターを開く
- Thunderbirdを起動
- 画面右上の「三本線」メニューをクリック
- 「設定」を選択
- 下にスクロールして「一般」タブの一番下にある「設定エディター」をクリック
ステップ2:警告を承認
「危険性を承知の上で使用する」というボタンが表示されたら、クリックします。
ステップ3:Kyber機能を無効化
- 検索ボックスに「kyber」と入力
- 「security.tls.enable_kyber」という項目が表示される
- 値が「true」になっているはず
- 項目をダブルクリックして「false」に変更
ステップ4:Thunderbirdを再起動
設定を有効にするため、Thunderbirdを一度終了して再起動します。
ステップ5:メール送信を試す
これで送信できるようになったか確認してください。
💡 代替案:ESR版を使う
Kyberの無効化がうまくいかない場合は、安定版の「Thunderbird 128 ESR」を使う方法もあります。公式サイトの「Thunderbird Extended Support Release」からダウンロードできます。
原因1:SMTPサーバーの設定が間違っている
送信サーバー(SMTPサーバー)の設定が間違っていると、タイムアウトエラーが発生します。特にポート番号やSSL設定が重要です。
解決方法:SMTP設定を確認・修正する
ステップ1:送信サーバー設定を開く
- Thunderbirdのメニュー(三本線)→「アカウント設定」
- 左側のメニューで「送信(SMTP)サーバー」をクリック
- 使用しているサーバーを選択して「編集」をクリック
ステップ2:正しい設定を確認
以下の項目を確認してください。
一般的な正しい設定:
| 項目 | 推奨設定 | 代替設定 |
|---|---|---|
| ポート番号 | 587 | 465 |
| 接続の保護 | STARTTLS | SSL/TLS |
| 認証方式 | 通常のパスワード認証 | 暗号化されたパスワード認証 |
| ユーザー名 | メールアドレス全体 | @の前の部分のみ(プロバイダによる) |
⚠️ 重要:ポート25番は使わない
ポート番号が「25」になっている場合は、必ず「587」に変更してください。25番ポートは多くのプロバイダでブロックされています(詳しくは後述)。
プロバイダー別の設定例
Gmail:
- サーバー名:smtp.gmail.com
- ポート番号:587
- 接続の保護:STARTTLS
- 認証方式:OAuth2(または通常のパスワード認証)
Yahoo!メール:
- サーバー名:smtp.mail.yahoo.co.jp
- ポート番号:465
- 接続の保護:SSL/TLS
- 認証方式:通常のパスワード認証
プロバイダーメール(OCN、plala等):
- サーバー名:プロバイダーから指定されたもの
- ポート番号:587(または465)
- 接続の保護:STARTTLS(または SSL/TLS)
- 認証方式:通常のパスワード認証
💡 設定が分からない場合
ご利用のプロバイダーやメールサービスの公式サイトで「メール設定」や「SMTP設定」を検索してください。
原因2:OP25B(25番ポートブロック)の影響

「OP25B(Outbound Port 25 Blocking)」という迷惑メール対策により、多くのプロバイダーが25番ポートをブロックしています。
OP25Bとは?
OP25Bは、スパムメールの送信を防ぐため、プロバイダーが自社のネットワークから外部メールサーバーへの25番ポート通信をブロックする仕組みです。
影響を受けるケース:
- 自宅のネット回線(フレッツ光、ソフトバンク光など)から会社のメールサーバーを使う
- モバイルWi-Fiから独自ドメインのメールを送る
- 他社プロバイダの回線から別のプロバイダのメールを送る
症状:
- 受信はできるが送信だけできない
- ポート25番を使っているとタイムアウトエラー
解決方法:587番ポート(サブミッションポート)を使う
ステップ1:SMTP設定を開く
前述の手順で「送信(SMTP)サーバー」の設定画面を開きます。
ステップ2:ポート番号を変更
- ポート番号を「25」から「587」に変更
- 接続の保護を「STARTTLS」に設定
- 「SMTP認証を使用する」にチェック
- ユーザー名とパスワードを入力(メールアドレスとパスワード)
ステップ3:OKをクリックして保存
これでOP25Bの制限を回避できます。
💡 ポイント
587番ポートは「サブミッションポート」と呼ばれ、ユーザー認証を行うため、OP25Bの影響を受けません。現代のメール送信では587番ポートが標準です。
原因3:タイムアウト時間が短すぎる
ネットワーク環境によっては、デフォルトのタイムアウト時間(100秒)では接続が完了しない場合があります。
解決方法:タイムアウト時間を延長する
ステップ1:設定エディターを開く
- Thunderbirdのメニュー→「設定」
- 「一般」タブの下にある「設定エディター」をクリック
- 「危険性を承知の上で使用する」をクリック
ステップ2:タイムアウト設定を変更
- 検索ボックスに「mailnews.tcptimeout」と入力
- 表示された「mailnews.tcptimeout」をダブルクリック
- 値を「300」(5分)または「500」(8分強)に変更
- OKをクリック
デフォルト値: 100(秒)= 1分40秒
推奨値: 300(秒)= 5分
これでネット回線が一時的に重い場合でも、タイムアウトせずに送信できるようになります。
⚠️ 根本的な解決も検討
タイムアウト時間を延ばすのは一時的な対処です。頻繁にタイムアウトする場合は、ネット回線やWi-Fi環境の改善も検討してください。
原因4:ファイアウォール・セキュリティソフトのブロック
Windowsファイアウォールやウイルス対策ソフト(ノートン、ウイルスバスター、ESET等)が、Thunderbirdの通信をブロックしている可能性があります。
解決方法:セキュリティソフトの設定を確認する
ステップ1:原因を特定するテスト
まず、セキュリティソフトが原因かどうかを確認します。
- セキュリティソフトを一時的に無効化(10分間)
- Thunderbirdでメール送信を試す
- 送信できた場合は、セキュリティソフトが原因
⚠️ 重要な注意
セキュリティソフトを無効にするのは一時的なテストのみです。必ず再度有効にしてください。
ステップ2:Windowsファイアウォールの設定(Windows 10/11)
セキュリティソフトが原因だった場合、Thunderbirdを例外設定に追加します。
Windows Defenderの場合:
- Windowsの「設定」を開く
- 「更新とセキュリティ」→「Windowsセキュリティ」
- 「ファイアウォールとネットワーク保護」をクリック
- 「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」をクリック
- 「設定の変更」ボタンを押す
- 一覧から「Thunderbird」を探す
- 「プライベート」と「パブリック」両方にチェック
- ない場合は「別のアプリの許可」から追加
許可すべきポート番号:
- 587番(SMTP送信用)
- 465番(SMTP SSL用)
- 993番(IMAP受信用)
- 995番(POP3受信用)
ステップ3:サードパーティ製セキュリティソフトの設定
ノートン・ウイルスバスター・ESETなどの場合:
- セキュリティソフトの設定画面を開く
- 「ファイアウォール」または「プログラム制御」を探す
- Thunderbirdを「許可リスト」または「信頼できるアプリ」に追加
- 必要に応じて上記ポート番号も許可
各ソフトで設定方法が異なるため、詳細は各セキュリティソフトのマニュアルを参照してください。
原因5:添付ファイルが大きすぎる
2MB以上の大きな添付ファイルを送信しようとすると、タイムアウトエラーが発生することがあります。
解決方法
方法1:ファイルを圧縮する
画像や文書ファイルをZIP形式で圧縮してからメールに添付してください。ファイルサイズが小さくなり、送信しやすくなります。
方法2:ファイルを分割する
複数のファイルがある場合は、数回に分けて送信します。
方法3:ファイル転送サービスを使う
大容量ファイルの場合は、メールに添付せず、以下のようなサービスを利用することをおすすめします。
- Google Drive
- Dropbox
- OneDrive
- ギガファイル便
- firestorage
ファイルをアップロードして、ダウンロードリンクをメールで送る方が確実です。
方法4:タイムアウト時間を延長(前述)
一時的な対処として、前述の「mailnews.tcptimeout」の値を大きくする方法も有効です。
原因6:ネットワーク接続の問題

インターネット回線自体に問題がある場合もタイムアウトエラーが発生します。
解決方法:基本的な接続を確認する
チェック1:インターネット接続を確認
- ブラウザで任意のWebサイトを開く
- 開けない場合は、ネット接続自体に問題あり
チェック2:Wi-Fi/有線接続を確認
- タスクバーのネットワークアイコンを確認
- 接続が不安定な場合は、ルーターを再起動
チェック3:ルーターを再起動
- ルーターの電源を10秒間オフ
- 再度電源を入れて1~2分待つ
- パソコンを再起動
- Thunderbirdで送信を試す
チェック4:別のネットワークで試す
- 会社のネットワークがダメなら、スマホのテザリングで試す
- 自宅のWi-Fiがダメなら、有線LANで試す
これで送信できた場合は、元のネットワークに問題があります。
チェック5:会社のファイアウォールを確認
会社のネットワークの場合、IT部門がメールポートをブロックしている可能性があります。IT部門に確認してください。
原因7:メールサーバーの一時的な問題
ごく稀に、メールサーバー側で一時的な障害が発生している場合があります。
解決方法:サーバー状況を確認する
ステップ1:プロバイダーの障害情報を確認
ご利用のプロバイダー(OCN、plala、Gmail等)の公式サイトで、障害情報やメンテナンス情報を確認してください。
ステップ2:しばらく時間をおいて再試行
サーバー側の問題の場合は、10分~30分待ってから再度送信を試してみてください。
ステップ3:Webメールで確認
ブラウザからWebメール(Gmail、Yahoo!メール等)にアクセスして、そちらから送信できるか試してください。
- Webメールも送信できない → サーバー側の問題の可能性大
- Webメールは送信できる → Thunderbirdの設定問題
解決しない場合の最終手段
上記すべての方法を試してもダメな場合は、以下を検討してください。
1. Thunderbirdのバージョンを確認・変更
最新版にアップデート:
Thunderbird 132以降でタイムアウトが起きている場合は、Kyber機能を無効化してください(前述)。
ESR版(安定版)に切り替え:
最新版で問題が続く場合は、Thunderbird 128 ESRに切り替えると改善することがあります。
2. アカウントを再設定
手順:
- Thunderbirdからメールアカウントを削除
- パソコンを再起動
- メールアカウントを一から設定し直す
⚠️ 注意: アカウント削除前に、必要なメールをバックアップしてください。
3. Thunderbirdを再インストール
手順:
- プロファイルフォルダをバックアップ(念のため)
- Thunderbirdをアンインストール
- パソコンを再起動
- 最新版(またはESR版)をダウンロードして再インストール
4. 別のメールソフトを試す
代替メールソフト:
- Microsoft Outlook
- Windows標準の「メール」アプリ
- Gmailアプリ(スマホ・タブレット)
Thunderbird以外のソフトで送信できる場合は、Thunderbird固有の問題です。
5. プロバイダーに問い合わせ
ご利用のプロバイダーやメールサービスのサポートセンターに連絡してください。
問い合わせ前に準備する情報:
- ご利用のメールアドレス
- Thunderbirdのバージョン番号
- エラーメッセージの正確な文言
- いつから問題が発生したか
- 試した解決方法
まとめ:送信タイムアウトは必ず解決できます
Thunderbirdで「送信できない タイムアウト」というエラーが出る原因は、ほとんどの場合、以下のいずれかです。
主な原因と解決方法:
- Thunderbird 132以降のKyber問題 → security.tls.enable_kyberをfalseに
- SMTPサーバー設定の誤り → ポート587番、STARTTLSに設定
- OP25Bのブロック → 25番から587番ポートに変更
- タイムアウト時間が短い → mailnews.tcptimeoutを300に延長
- ファイアウォールのブロック → Thunderbirdを例外設定に追加
- 添付ファイルが大きい → 圧縮またはファイル転送サービスを使用
- ネットワーク接続の問題 → ルーター再起動、別のネットワークで試す
解決のコツ:
- 焦らず一つずつ確認する
- まずはKyber機能とポート番号を確認
- セキュリティソフトの影響も疑う
- どうしてもダメならプロバイダーに相談
特に2025年3月以降は、Thunderbird 132以降の「Kyber機能」が原因のことが多いです。まずはこの設定を確認してみてください。
それでも解決しない場合は、SMTP設定(特にポート番号)とファイアウォール設定を重点的にチェックしましょう。
正しい設定で、必ず送信できるようになります。あきらめずに、順番に試してみてくださいね!

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