「Thunderbirdに保存したメールのパスワードを忘れてしまった…」
「他のデバイスでもメール設定したいから、パスワードを確認したい」
「保存されているパスワードって、どこで見られるの?」
Thunderbirdは便利なことに、メールアカウントのパスワードを保存してくれます。でも、一度保存すると入力する必要がなくなるため、パスワードを忘れてしまうこともありますよね。
そんな時は、Thunderbird内に保存されているパスワードを確認することができるんです。スマホで同じメールを設定したい時や、パスワードを変更したい時に便利ですよ。
この記事では、Thunderbirdに保存されているパスワードの確認方法を、セキュリティの注意点も含めて初心者の方にも分かるように丁寧に解説していきます。
Thunderbirdのパスワード保存機能とは

まず、パスワードがどう保存されているか理解しておきましょう。
自動保存される仕組み
Thunderbirdでメールアカウントを設定する時、パスワードを入力しますよね。
その際、「パスワードマネージャーにこのパスワードを保存する」という選択肢が表示されます。これにチェックを入れると、パスワードが保存されます。
保存されると:
- 次回からパスワード入力が不要
- 自動的にメールサーバーに接続
- 複数アカウントのパスワードも管理できる
とても便利ですが、その反面、パスワードを忘れやすくなります。
どこに保存される?
パスワードは、Thunderbirdのパスワードマネージャーという機能で管理されています。
保存場所は、あなたのパソコンのThunderbirdプロファイルフォルダ内です。
Windowsの場合:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\xxxxx.default\
Mac OSの場合:
~/Library/Thunderbird/Profiles/xxxxx.default/
Linuxの場合:
~/.thunderbird/xxxxx.default/
この中のlogins.jsonというファイルに、暗号化されたパスワードが保存されています。
セキュリティは大丈夫?
パスワードは暗号化されて保存されていますが、マスターパスワードを設定していない場合、Thunderbirdを開けば誰でもパスワードを確認できてしまいます。
セキュリティを高めるには、マスターパスワードの設定が重要です(後述します)。
保存パスワードを確認する基本手順
それでは、実際にパスワードを確認してみましょう。
ステップ1:パスワードマネージャーを開く
方法1:メニューから開く
- Thunderbirdを起動
- 画面右上の「≡」(ハンバーガーメニュー)をクリック
- 「設定」を選択
- 左側のメニューから「プライバシーとセキュリティ」をクリック
- 下にスクロールして「保存されているパスワード」の横にある「保存されているパスワード…」ボタンをクリック
方法2:直接メニューバーから(クラシック表示)
- メニューバーを表示(Altキーを押す)
- 「ツール」→「設定」
- 「プライバシーとセキュリティ」
- 「保存されているパスワード…」をクリック
どちらの方法でも、「保存されたログイン情報」というウィンドウが開きます。
ステップ2:パスワードリストを確認
開いたウィンドウには、保存されている全てのアカウント情報が表示されます。
表示される情報:
- サイト:メールサーバーのアドレス
- ユーザー名:メールアドレスまたはユーザーID
- パスワード:
●●●●●●●●と伏せ字で表示 - 作成日:パスワードを保存した日付
デフォルトでは、パスワードは隠されています。
ステップ3:パスワードを表示する
手順:
- ウィンドウ左下の「パスワードを表示」にチェックを入れる
- 確認メッセージが表示される:「保存されているパスワードを表示しますか?」
- 「はい」をクリック
これで、パスワードが平文(読める文字)で表示されます。
表示例:
サイト: imap.example.com
ユーザー名: yamada@example.com
パスワード: MyP@ssw0rd123
ステップ4:パスワードをコピーまたはメモ
必要なパスワードをコピーしたり、メモしたりできます。
コピー方法:
- 該当する行をクリックして選択
- パスワードの部分をマウスで選択
- 右クリック→「コピー」または Ctrl+C(Mac: Cmd+C)
これで、他のアプリやメモ帳に貼り付けられます。
マスターパスワードが設定されている場合
セキュリティを高めるために、マスターパスワードを設定している場合があります。
マスターパスワードとは
マスターパスワードは、保存されている全てのパスワードを保護する、いわば「パスワードのパスワード」です。
設定すると:
- Thunderbird起動時にマスターパスワードを要求される
- パスワードを表示する時も要求される
- 第三者による不正アクセスを防げる
マスターパスワードを入力する
マスターパスワードが設定されている場合、パスワードを表示しようとすると入力を求められます。
手順:
- 「パスワードを表示」にチェックを入れる
- 「マスターパスワード」の入力画面が表示される
- 設定したマスターパスワードを入力
- 「OK」をクリック
正しく入力すると、パスワードが表示されます。
マスターパスワードを忘れた場合
重要な注意:
マスターパスワードを忘れると、保存されているパスワードを確認することはできません。
対処法:
方法1:マスターパスワードをリセット
ただし、これを行うと全ての保存パスワードが削除されます。
- プロファイルフォルダを開く
key4.dbとlogins.jsonを削除- Thunderbirdを再起動
- 全てのアカウントでパスワードを再入力
方法2:メールプロバイダーでパスワードリセット
Gmail、Yahoo!メールなどのWebサイトで、パスワードのリセット手続きをします。
パスワードの編集と削除
保存されているパスワードは、編集や削除もできます。
パスワードを削除する
不要なアカウントや、古いパスワードを削除できます。
手順:
- 「保存されたログイン情報」ウィンドウを開く
- 削除したいアカウントをクリックして選択
- 「削除」ボタンをクリック
- 確認メッセージが出たら「はい」
これで、そのアカウントのパスワードが削除されます。
注意:
削除後は、次回メール確認時にパスワード入力を求められます。
全てのパスワードを削除する
一度に全てのパスワードを削除することもできます。
手順:
- 「保存されたログイン情報」ウィンドウを開く
- 「すべて削除」ボタンをクリック
- 確認メッセージ「保存されているパスワードをすべて削除してもよろしいですか?」
- 「はい」をクリック
使う場面:
- Thunderbirdを手放す前
- セキュリティ上の理由で一旦リセットしたい
- 新しく設定し直したい
パスワードを変更する
メールアカウントのパスワードを変更した場合の対応方法です。
手順:
1. メールプロバイダーでパスワード変更
まず、Gmail、Yahoo!メールなどのWebサイトで、パスワードを変更します。
2. Thunderbirdの保存パスワードを削除
上記の方法で、該当アカウントのパスワードを削除します。
3. Thunderbirdでメール確認
メールをチェックしようとすると、パスワード入力を求められます。
4. 新しいパスワードを入力
変更後のパスワードを入力し、「パスワードマネージャーにこのパスワードを保存する」にチェックを入れます。
これで、新しいパスワードが保存されます。
マスターパスワードの設定方法
まだマスターパスワードを設定していない方は、セキュリティのために設定をおすすめします。
設定手順
1. 設定画面を開く
- 設定→プライバシーとセキュリティ
2. マスターパスワードの項目を探す
下にスクロールして、「パスワード」セクションを見つけます。
3. 「マスターパスワードを使用する」にチェック
チェックボックスをクリックします。
4. マスターパスワードを入力
ダイアログが開くので、以下を入力:
- 新しいパスワード
- パスワードの再入力(確認)
5. パスワードの品質を確認
入力すると、パスワードの強度が表示されます。
- 弱い(赤)
- 中程度(黄色)
- 強い(緑)
強いパスワードを設定しましょう。
6. 「OK」をクリック
これで、次回から起動時やパスワード表示時にマスターパスワードが必要になります。
良いマスターパスワードの条件
強いパスワードの例:
- 12文字以上
- 大文字・小文字・数字・記号を混ぜる
- 辞書にない言葉
- 推測されにくい
例:
My$ecur3P@ssw0rd!2024
弱いパスワードの例:
password123456yamada(名前)20240101(誕生日)
マスターパスワードの変更
設定済みのマスターパスワードを変更することもできます。
手順:
- 設定→プライバシーとセキュリティ
- 「マスターパスワードを変更…」ボタンをクリック
- 現在のマスターパスワードを入力
- 新しいマスターパスワードを入力(2回)
- 「OK」をクリック
パスワードをエクスポート・バックアップ
保存パスワードをバックアップしたい場合の方法です。
標準機能ではエクスポートできない
残念ながら、Thunderbirの標準機能では、パスワードをファイルにエクスポートすることはできません。
手動でメモする方法
手順:
- パスワードマネージャーを開く
- パスワードを表示
- スプレッドシート(Excelなど)やメモ帳に手動でコピー
- 安全な場所に保存
注意:
パスワードのリストは、非常に重要な情報です。暗号化したUSBメモリなど、安全な場所に保管してください。
プロファイルフォルダをバックアップ
もう1つの方法は、Thunderbirdのプロファイルフォルダごとバックアップすることです。
バックアップ対象:
logins.json(パスワードファイル)
key4.db(暗号鍵ファイル)
この2つのファイルを一緒にバックアップすれば、新しいパソコンでもパスワードを復元できます。
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
- 上記2つのファイルをコピー
- 安全な場所(外付けHDD、クラウドなど)に保存
復元方法:
- 新しいパソコンにThunderbirdをインストール
- Thunderbirdを一度起動して終了
- プロファイルフォルダに、バックアップした2つのファイルを上書き
- Thunderbirdを起動
これで、保存パスワードが復元されます。
セキュリティ上の重要な注意点
パスワード確認は便利ですが、セキュリティリスクもあります。
注意点1:他人に見られる危険
マスターパスワードを設定していない場合、Thunderbirdを開けば誰でもパスワードを確認できます。
対策:
- マスターパスワードを必ず設定する
- パソコンにログインパスワードを設定する
- 席を離れる時は画面をロックする
注意点2:画面を見られないように
パスワードを表示する時は、周りに人がいないか確認しましょう。
対策:
- 人目のつかない場所で作業
- 画面にプライバシーフィルターを貼る
- 終わったらすぐに「パスワードを表示」のチェックを外す
注意点3:パスワードのメモは厳重管理
パスワードをメモやファイルに書き出した場合、その管理には十分注意してください。
危険な保存方法:
- デスクトップに
パスワード.txtとして保存 - 付箋に書いてモニターに貼る
- 暗号化されていないクラウドストレージ
安全な保存方法:
- パスワード管理ソフト(1Password、Bitwardenなど)
- 暗号化されたUSBメモリ
- 金庫などの物理的に安全な場所
注意点4:共有PCでは特に注意
図書館や会社の共有PCでは、絶対にパスワードを保存しないでください。
対策:
- 「パスワードを保存する」のチェックを外す
- 使用後は必ずログアウト
- できれば共有PCでメールは使わない
注意点5:二段階認証を有効化
Gmail、Outlookなどでは、二段階認証(2FA)を設定できます。
これを有効にすると、パスワードが漏れても、スマホの認証コードがないとログインできません。
設定方法:
各メールプロバイダーのセキュリティ設定から有効化できます。
トラブルシューティング
パスワード確認でよくある問題と解決法です。
問題1:「保存されたログイン情報」が空っぽ
症状:
パスワードマネージャーを開いても、何も表示されない。
原因と解決法:
原因1:パスワードを保存していない
初回設定時に「保存する」を選ばなかった可能性があります。
→ 一度メールチェックをして、パスワード入力時に「保存する」にチェック
原因2:ファイルが破損しているlogins.jsonファイルが壊れている可能性があります。
→ バックアップがあれば復元、なければ再設定
原因3:別のプロファイルを見ている
複数プロファイルがある場合、違うプロファイルで起動している可能性があります。
→ プロファイルマネージャーで確認
問題2:パスワードが文字化けして表示される
症状:
パスワードが意味不明な文字列になっている。
原因:
表示の問題か、ファイル破損の可能性があります。
解決法:
- Thunderbirdを再起動してみる
- それでもダメなら、パスワードを削除して再設定
- メールプロバイダーのサイトでパスワードをリセット
問題3:マスターパスワードが何度も聞かれる
症状:
起動時やメールチェックのたびにマスターパスワードを要求される。
原因:
設定やキャッシュの問題。
解決法:
- 設定→プライバシーとセキュリティ
- 「マスターパスワードを使用する」を一度オフにして、再度オンにする
- Thunderbirdを再起動
問題4:パスワードが正しいのにログインできない
症状:
Thunderbirdに表示されるパスワードでログインできない。
原因:
原因1:パスワードが変更されている
メールプロバイダー側でパスワードを変更した可能性があります。
→ Webメールでログインして確認
原因2:アプリパスワードが必要
Gmailなど、二段階認証を有効にしている場合、通常のパスワードではなく「アプリパスワード」が必要です。
→ メールプロバイダーの設定で専用パスワードを生成
問題5:特定のアカウントだけ表示されない
症状:
一部のアカウントのパスワードが保存されていない。
原因:
そのアカウントだけ保存設定をしていない可能性があります。
解決法:
- 該当アカウントでメールチェック
- パスワード入力画面で「保存する」にチェック
- 再度パスワードマネージャーを確認
よくある質問
パスワード確認について、よくある質問をまとめました。
Q1:パスワードをコピーしたら、どこに使える?
A:
コピーしたパスワードは、以下のような場面で使えます:
- スマホのメールアプリ設定
- 他のメールクライアント(OutlookやMacのメール)
- Webメールのログイン
- パスワード管理ソフトへの登録
Q2:パスワードを確認した履歴は残る?
A:
Thunderbird内では、パスワード表示の履歴は残りません。
ただし、Windows のイベントログなどに記録が残る可能性はあります。
Q3:複数のアカウントを一括でコピーできる?
A:
残念ながら、標準機能では1つずつしかコピーできません。
複数のパスワードが必要な場合は、手動で1つずつコピーしてメモしましょう。
Q4:パスワードを忘れたらどうすれば?
A:
Thunderbirdに保存されていれば、この記事の方法で確認できます。
保存していない、またはマスターパスワードを忘れた場合は、メールプロバイダーのWebサイトでパスワードリセットを行ってください。
Q5:会社のパソコンでパスワード確認しても大丈夫?
A:
会社の規定によりますが、一般的には問題ありません。
ただし、画面を他人に見られないように注意し、確認後はパスワードの表示を必ずオフにしましょう。
Q6:Androidのスマホでもパスワード確認できる?
A:
ThunderbirdのAndroidアプリでは、保存パスワードの確認機能は限定的です。
PC版を使って確認するのが確実です。
まとめ:パスワード管理はセキュリティを意識して
Thunderbirdの保存パスワードは、簡単に確認できます。
この記事のポイントをおさらい:
- 保存パスワードはパスワードマネージャーで確認できる
- 設定→プライバシーとセキュリティ→保存されているパスワード
- 「パスワードを表示」にチェックで平文表示
- マスターパスワード設定でセキュリティ向上
- マスターパスワードを忘れるとリセットが必要(全削除)
- パスワードの削除・編集も可能
- エクスポート機能はないが、手動でメモはできる
- プロファイルフォルダのバックアップで復元可能
- セキュリティに十分注意(画面を見られない、メモの管理)
- トラブル時はメールプロバイダーでリセット
パスワードの確認は便利ですが、同時にセキュリティリスクもあります。
マスターパスワードを設定し、パソコンにもログインパスワードを設定して、二重三重のセキュリティ対策をしましょう。
また、確認したパスワードをメモする場合は、パスワード管理ソフトや暗号化されたファイルに保存することをおすすめします。
この記事が、あなたのThunderbird活用とセキュリティ向上の助けになれば嬉しいです!


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