「Thunderbirdをアンインストールしたのに、再インストールしたら前のメールが残ってる!」
「パソコンを売却するから、メールデータを完全に消したい」
「設定がおかしくなったから、一度まっさらな状態にしたい」
Thunderbirdを使っていて、こんな経験はありませんか?
実は、Windowsの「プログラムのアンインストール」からThunderbirdを削除しても、メールデータや設定は完全には消えません。これらは別の場所に残っているため、手動で削除する必要があります。
この記事では、Thunderbirdを完全に削除する方法を、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
なぜ普通のアンインストールでは完全に削除されないの?

プログラムとデータは別々の場所に保存されている
Thunderbirdは、2つの部分に分かれて保存されています。
1. プログラム本体
- 場所:
C:\Program Files\Mozilla Thunderbird - 内容:Thunderbirdのソフトウェア本体
2. プロファイル(ユーザーデータ)
- 場所:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\Thunderbird - 内容:メールデータ、設定、アドレス帳など
プロファイルとは?
プロファイルには、以下のような重要なデータがすべて含まれています。
- すべての受信メール
- 送信済みメール
- 下書き
- アカウント設定(メールアドレス、パスワードなど)
- アドレス帳
- フィルター設定
- アドオン(拡張機能)
- カスタマイズした設定
なぜ残るの?
Thunderbirdをバージョンアップしたり、再インストールしたりする時に、これまでのメールや設定を引き継げるように、意図的にプロファイルは残る仕組みになっています。
つまり、ユーザーのデータを守るための機能なのです。
完全削除が必要な3つのケース
ケース1:パソコンを売却・譲渡する時
中古パソコンとして売ったり、家族や友人に譲ったりする場合、メールデータが残っていると個人情報が漏れる危険があります。
残っていると危険なデータ
- 過去のすべてのメール(仕事、個人的なやりとり)
- メールアドレス
- アドレス帳(知人の連絡先)
- パスワード情報(暗号化されているが完全ではない)
ケース2:設定がおかしくなった時
Thunderbirdの動作がおかしくなったり、設定を失敗して元に戻せなくなった時、完全削除して初期状態からやり直すと解決することがあります。
ケース3:完全にメールソフトを変更する時
Outlookや他のメールソフトに完全移行する場合、Thunderbird関連のファイルをすべて削除してディスク容量を空けたい時があります。
【重要】削除前に必ずバックアップを取ろう
完全削除を実行すると、すべてのメールデータが永久に失われます。
作業を始める前に、以下を必ず確認してください。
バックアップが必要かチェック
以下に一つでも当てはまるなら、バックアップを取りましょう。
- [ ] 後で見返したいメールがある
- [ ] アドレス帳のデータが必要
- [ ] 他のメールソフトにデータを移行する予定
- [ ] 念のため保存しておきたい
簡単なバックアップ方法
手順
- Windowsキー + R を押す
%APPDATA%と入力してEnter- 「Thunderbird」フォルダを見つける
- このフォルダを右クリック→「コピー」
- デスクトップや外付けHDDに「貼り付け」
- フォルダ名を「Thunderbird_バックアップ_日付」などに変更
これで、万が一の時に復元できます。
【完全版】Thunderbirdを完全削除する手順
それでは、実際の削除手順を詳しく解説していきます。
手順1:Thunderbirdを終了する
まず、Thunderbirdが完全に終了しているか確認しましょう。
確認方法
- タスクバーのタスクトレイ(右下)を確認
- Thunderbirdのアイコンがあれば右クリック→「終了」
- タスクマネージャーを開く(Ctrl + Shift + Esc)
- 「プロセス」タブで「thunderbird.exe」がないか確認
- もし動いていたら右クリック→「タスクの終了」
手順2:プロファイルマネージャーからプロファイルを削除
これが最も重要な手順です。
手順
- Windowsキー + R を押す
- 以下のコマンドを入力(コピー&ペースト)
64bit版Windowsの場合
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -p
32bit版Windowsの場合
"C:\Program Files (x86)\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -p
- Enterキーを押す
- 「Thunderbird – ユーザープロファイルの選択」ウィンドウが開く
- リストに表示されているプロファイル(通常は「default」)を選択
- 「プロファイルを削除」ボタンをクリック
- 確認画面で「ファイルもすべて削除」を選択
- 「OK」をクリック
- 複数のプロファイルがある場合は、すべて削除
- すべて削除したら「終了」をクリック
重要ポイント
「プロファイル登録だけ削除」ではなく、必ず「ファイルもすべて削除」を選択してください。
前者はリンクだけを削除するので、実際のファイルは残ってしまいます。
手順3:Thunderbirdをアンインストールする
プログラム本体を削除します。
手順
- Windowsキー + I を押して「設定」を開く
- 「アプリ」をクリック
- 「インストールされているアプリ」(またはWindows 10では「アプリと機能」)
- 検索ボックスに「Thunderbird」と入力
- 「Mozilla Thunderbird」を見つける
- 右側の「…」または「アンインストール」をクリック
- 「アンインストール」を選択
- アンインストールウィザードが起動
- 「次へ」→「削除」→「完了」と進める
手順4:残ったフォルダを手動で削除する
念のため、残っているフォルダがないか確認して削除します。
削除するフォルダの場所
場所1:Roamingフォルダ
- Windowsキー + R を押す
%APPDATA%と入力してEnter- 「Thunderbird」フォルダがあれば削除
- 「Mozilla」フォルダを開く
- その中に「Thunderbird」フォルダがあれば削除
場所2:Localフォルダ
- Windowsキー + R を押す
%LOCALAPPDATA%と入力してEnter- 「Thunderbird」フォルダがあれば削除
- 「Mozilla」フォルダを開く
- その中に「Thunderbird」フォルダがあれば削除
手動での削除方法
- フォルダを右クリック
- 「削除」を選択
- 削除確認で「はい」をクリック
注意:「AppData」フォルダは隠しフォルダです。もし表示されない場合は、次の手順で表示設定を変更してください。
【補足】隠しフォルダを表示する方法
Windows 11/10の場合
- エクスプローラーを開く
- 上部の「表示」タブをクリック
- 「表示/非表示」グループで「隠しファイル」にチェック
別の方法
- エクスプローラーを開く
- 「表示」→「オプション」→「表示」タブ
- 「隠しファイル、隠しフォルダー、および隠しドライブを表示する」を選択
- 「OK」をクリック
手順5:パソコンを再起動する
すべての削除作業が完了したら、念のためパソコンを再起動しましょう。
これで、Thunderbirdの完全削除が完了です。
よくある質問と回答

Q1:削除したメールは復元できる?
A:基本的には復元できません。
ただし、以下の場合は復元できる可能性があります。
- 事前にバックアップを取っていた
- メールサーバーがIMAPで、サーバーにメールが残っている
- 専用の復元ソフトを使う(完全ではない)
だからこそ、削除前のバックアップが重要なのです。
Q2:プロファイルマネージャーが起動しない
A:以下を確認してください。
原因1:Thunderbirdがまだ動いている
- タスクマネージャーで確認して終了させる
原因2:コマンドのパスが間違っている
- 64bit版と32bit版でパスが異なります
- インストール先を変更している場合は、そのパスを使う
原因3:すでにアンインストール済み
- プログラム本体がないとプロファイルマネージャーも起動できません
- 手動でフォルダを削除するしかありません
Q3:一部のメールだけ残したい
A:プロファイルを完全削除する前に、必要なメールをエクスポートしましょう。
手順
- Thunderbirdを起動
- 残したいメールを選択
- 右クリック→「名前を付けて保存」
- .eml形式で保存
- または、ImportExportToolsアドオンを使う
Q4:アドレス帳だけ残したい
A:アドレス帳をエクスポートできます。
手順
- Thunderbirdを起動
- 「ツール」→「アドレス帳」を開く
- 左側でアドレス帳を選択
- 「ツール」→「エクスポート」
- CSV形式またはLDIF形式で保存
Q5:家族でパソコンを共有していて、自分のプロファイルだけ削除したい
A:可能です。
プロファイルマネージャーで、複数のプロファイルから削除したいものだけを選んで削除できます。
他の家族のプロファイルには影響しません。
完全削除後の注意点
メールの受信は二度とできない
当たり前ですが、Thunderbirdを削除すると、そのパソコンでメールの送受信ができなくなります。
代替手段を用意しましょう
- 別のメールソフトをインストール(Outlook、Windows Mail など)
- Webメール(ブラウザでGmail、Yahoo!メールなど)を使う
- スマホでメールチェックする
IMAPとPOPの違いに注意
IMAP(アイマップ)の場合
- メールはサーバーに保存されている
- Thunderbirdを削除しても、別の端末やWebメールで見られる
- 比較的安全
POP3(ポップ)の場合
- メールはパソコンにダウンロードされる
- Thunderbirdを削除すると、そのメールは永久に失われる
- 非常に危険
自分がどちらを使っているかわからない場合は、必ずバックアップを取りましょう。
【番外編】初期化したい場合(再インストール前提)
「完全削除ではなく、まっさらな状態からやり直したい」という場合の方法です。
削除ではなくリネーム(名前変更)する
完全削除ではなく、フォルダの名前を変えることで、バックアップを残しつつ初期化できます。
手順
- Windowsキー + R で
%APPDATA%を開く - 「Thunderbird」フォルダを右クリック
- 「名前の変更」を選択
- 「Thunderbird_old」などに変更
- 同様に
%LOCALAPPDATA%の「Thunderbird」フォルダも変更 - Thunderbirdを再インストール
新規インストールとして起動します。
うまくいかなければ、フォルダ名を元に戻せば以前の状態に復元できます。
まとめ
Thunderbirdの完全削除方法について、詳しく解説してきました。
この記事のポイント
- 普通のアンインストールではメールデータは残る
- プロファイル(メール、設定)は別の場所に保存されている
- 完全削除には3つの手順が必要
- プロファイルマネージャーからプロファイルを削除
- Thunderbirdをアンインストール
- 残ったフォルダを手動削除
- 必ず削除前にバックアップを取る
- IMAP方式ならサーバーにメールが残るが、POP3方式は完全に消える
完全削除の手順(再掲)
- Thunderbirdを終了
- プロファイルマネージャーでプロファイル削除(「ファイルもすべて削除」を選択)
- Windowsの設定からアンインストール
- 残ったフォルダを手動削除
%APPDATA%\Thunderbird%LOCALAPPDATA%\Thunderbird
- パソコンを再起動
特に重要なこと
- 削除前に必ずバックアップ
- プロファイル削除時は「ファイルもすべて削除」を選ぶ
- POP3方式の場合、削除したメールは二度と戻らない
パソコンを売却する場合や、完全にやり直したい場合は、この手順で確実に削除できます。
ただし、メールデータは一度削除すると取り戻せないので、慎重に作業を進めてくださいね。
「本当に削除していいのか?」を何度も確認してから実行しましょう!

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