Thunderbirdで「古いバージョンを実行しています」と表示される問題の解決方法

プログラミング・IT

Thunderbirdを起動したら、突然「Thunderbirdの古いバージョンを実行しています」というエラーメッセージが表示され、起動できなくなった経験はありませんか?

このエラーは、バージョンアップ後にバージョンダウンした場合や、異なるバージョン間でプロファイル(設定やメールデータ)を共有しようとした場合に発生します。

完全なエラーメッセージ:

Thunderbirdの古いバージョンを実行しています

Thunderbirdの新しいバージョンには、この古いバージョンのプロファイルと
互換性の無い変更が含まれている可能性があります。このプロファイルを
新しいバージョンでのみ使用するか、このThunderbirdのバージョン用に
新しいプロファイルを作成してください。新しいプロファイルを作成する
場合、アカウントやカレンダー、アドオンを再セットアップする必要があります。

この記事では、このエラーが発生する原因と、メールデータを失わずに解決する方法を詳しく解説します。

この記事で解決できる状況:

  • 最新版から旧バージョンにダウングレードした後に起動できない
  • 別のPCからプロファイルをコピーしたら起動できなくなった
  • アップデート後、古いバージョンで開こうとしたらエラーが出る
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  1. なぜこのエラーが表示されるのか
    1. プロファイルの互換性保護機能
    2. よくある発生パターン
  2. 解決策1:最新版にアップデートする(推奨)
    1. この方法が適している場合
    2. アップデート手順
    3. メリット・デメリット
  3. 解決策2:–allow-downgradeオプションで起動する
    1. この方法が適している場合
    2. 起動方法
    3. この方法の注意点
    4. pkcs11.txtファイルの削除方法
  4. 解決策3:段階的にバージョンダウンする
    1. この方法の原理
    2. 詳細な手順
    3. この方法のメリット・デメリット
  5. 解決策4:新しいプロファイルを作成する
    1. この方法が適している場合
    2. 手順
    3. IMAPの場合
    4. POPの場合
  6. 解決策5:プロファイルを手動で復元する(上級者向け)
    1. 問題のパターン
    2. 原因
    3. 解決手順
  7. バージョン間の互換性について
    1. プロファイルの互換性マトリックス
    2. メジャーアップデートの節目
  8. 自動更新を無効化する方法
    1. 無効化手順
    2. 推奨設定
  9. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. エラーが出てThunderbirdが全く起動できません
    2. Q2. 古いバージョンで開いたら、データが破損しますか?
    3. Q3. アドオンの互換性問題でダウングレードしたいのですが
    4. Q4. プロファイルのバックアップはどこにありますか?
    5. Q5. 段階的ダウングレードで、どの中間バージョンを選べばいいですか?
    6. Q6. IMAPとPOPで対処法は違いますか?
    7. Q7. ベータ版から安定版に戻せますか?
    8. Q8. エラーメッセージで「Firefox」と表示されるのはなぜですか?
  10. まとめ

なぜこのエラーが表示されるのか

プロファイルの互換性保護機能

Thunderbird バージョン68以降から、プロファイル(設定やメールデータ)の互換性を保護する機能が導入されました。

仕組み:

  1. Thunderbird 新バージョンでプロファイルを開くと、プロファイルが「アップグレード」される
  2. アップグレードされたプロファイルには、新しいバージョンの情報が記録される
  3. その後、古いバージョンで同じプロファイルを開こうとすると、このエラーが表示される

なぜこの機能が必要か:

  • データの破損を防ぐため
  • 新旧バージョンの同時使用時の混乱を避けるため
  • ベータ版と安定版を安全に使い分けるため

よくある発生パターン

パターン1: バージョンダウン後

Thunderbird 91.0 → 78.0にダウングレード
       ↓
エラー表示でThunderbirdが起動できない

パターン2: プロファイルの移行

Windows 10のPC(Thunderbird 91.0)
       ↓ プロファイルをコピー
Windows 7のPC(Thunderbird 78.0)
       ↓
エラー表示でThunderbirdが起動できない

パターン3: 複数バージョンの併用

安定版(バージョン91)で起動
       ↓
ベータ版(バージョン102)で起動
       ↓
再び安定版(バージョン91)で起動しようとする
       ↓
エラー表示

解決策1:最新版にアップデートする(推奨)

最もシンプルで安全な解決方法は、Thunderbirdを最新版にアップデートすることです。

この方法が適している場合

  • 特に古いバージョンを使う理由がない
  • セキュリティを重視したい
  • 最も簡単な解決方法を求めている

アップデート手順

手順1:Thunderbirdをアンインストール

  1. Windowsの「設定」→「アプリ」を開く
  2. 「Mozilla Thunderbird」を選択
  3. 「アンインストール」をクリック

重要: アンインストールしても、メールデータや設定は削除されません。プロファイルは別の場所に保存されているため安全です。

手順2:最新版をダウンロード

  1. Thunderbird公式サイトにアクセス
  2. 「無料ダウンロード」をクリック
  3. インストーラーをダウンロード

手順3:最新版をインストール

  1. ダウンロードしたインストーラーを実行
  2. 「標準インストール」を選択
  3. インストール完了まで待つ

手順4:Thunderbirdを起動

  1. Thunderbirdを起動
  2. 自動的に既存のプロファイルが読み込まれる
  3. これまでのメールや設定がそのまま使える

メリット・デメリット

メリット:

  • 最も簡単で確実
  • セキュリティアップデートが適用される
  • 新機能が使える
  • データを失うリスクがない

デメリット:

  • 一部のアドオンが動かなくなる可能性がある
  • UIが変更されている場合がある

解決策2:–allow-downgradeオプションで起動する

古いバージョンをどうしても使いたい場合、強制的にプロファイルを開く方法があります。

この方法が適している場合

  • 特定のバージョンを使う必要がある
  • アドオンの互換性の問題がある
  • 一時的に古いバージョンで確認したい

起動方法

Windowsの場合:

  1. Windowsキー + R で「ファイル名を指定して実行」を開く
  2. 以下のコマンドを入力
   "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" --allow-downgrade
  1. OKをクリック

32ビット版Windowsの場合:

"C:\Program Files (x86)\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" --allow-downgrade

プロファイルマネージャーと組み合わせる場合:

"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -p --allow-downgrade

この方法の注意点

重要な警告:

  1. データ破損のリスク: 新しいバージョンで変更されたデータを古いバージョンで開くため、プロファイルが破損する可能性があります
  2. 一方通行: このオプションを使った後、再び新しいバージョンに戻ると問題が発生する可能性があります
  3. パスワードの問題: pkcs11.txtファイルを削除する必要がある場合があります

pkcs11.txtファイルの削除方法

パスワードが読み込めない場合の対処法です。

  1. Thunderbirdを終了
  2. プロファイルフォルダを開く
  • Windowsキー + R
  • %APPDATA%\Thunderbird\Profiles\ と入力
  1. 自分のプロファイルフォルダを開く(例:xxxxxxxx.default)
  2. 「pkcs11.txt」ファイルを削除
  3. Thunderbirdを再起動

削除すると、次回起動時にパスワードの再入力が必要になります。

解決策3:段階的にバージョンダウンする

大きくバージョンを下げる場合は、段階的にダウングレードすることで、プロファイルのデータを引き継げます。

この方法の原理

Thunderbirdでは、メジャーアップデート(例:78 → 91 → 102)の際にプロファイルの構造が大きく変わります。しかし、小さなバージョン差であれば互換性が保たれることがあります。

例: バージョン102から91に戻す場合

現在: Thunderbird 102.1.2
      ↓
目標: Thunderbird 91.12.0
      ↓
方法: まず60系の最終版をインストール
      → そこから91系にアップデート

詳細な手順

手順1:事前準備(必須)

  1. アドレス帳をエクスポート
  • ツール → アドレス帳
  • ツール → エクスポート
  • CSV形式で保存
  1. プロファイルをバックアップ
  • ヘルプ → トラブルシューティング情報
  • 「プロファイルフォルダー」の「フォルダーを開く」
  • フォルダ全体を別の場所にコピー

手順2:現在のバージョンをアンインストール

  1. Thunderbirdを完全に終了
  2. コントロールパネル → プログラムのアンインストール
  3. Mozilla Thunderbirdをアンインストール

手順3:中間バージョンをインストール

  1. Thunderbird旧バージョンページにアクセス
  2. 中間バージョンを選択(例:60.9.1)
  3. win32(32ビット)またはwin64(64ビット)を選択
  4. ja(日本語版)を選択
  5. インストーラー(.exe)をダウンロード
  6. インストール

重要: インストール完了画面で「今すぐThunderbirdを起動」のチェックを外す

手順4:バッチファイルを実行(Windowsのみ)

Thunderbirdを特殊なオプション付きで起動する必要があります。

以下の内容をメモ帳にコピーし、「thunderbird_start.bat」として保存:

@echo off
cd /d "C:\Program Files\Mozilla Thunderbird"
start "" thunderbird.exe --allow-downgrade -purgecaches

このバッチファイルをダブルクリックして実行します。

手順5:目的のバージョンにアップデート

  1. Thunderbirdが起動したら、ヘルプ → Thunderbirdについて
  2. 更新を確認し、目的のバージョン(例:91.12.0)までアップデート
  3. アップデートが完了したら再起動

手順6:アドレス帳をインポート

  1. ツール → アドレス帳
  2. ツール → インポート
  3. 手順1でエクスポートしたCSVファイルを選択

この方法のメリット・デメリット

メリット:

  • メールデータを失わずにバージョンダウンできる
  • アドレス帳も復元できる

デメリット:

  • 手順が複雑
  • 時間がかかる(複数回の再起動が必要)
  • 技術的な知識が必要

解決策4:新しいプロファイルを作成する

データを諦めて、完全に新しくスタートする方法です。

この方法が適している場合

  • 他の方法で解決できなかった
  • メールはサーバー(IMAP)に残っている
  • 設定をやり直しても構わない

手順

手順1:プロファイルマネージャーを起動

  1. Thunderbirdを完全に終了
  2. Windowsキー + R
  3. 以下を入力
   thunderbird.exe -p
  1. OKをクリック

手順2:新しいプロファイルを作成

  1. プロファイルマネージャーが開く
  2. 「新しいプロファイルを作成」をクリック
  3. プロファイル名を入力(例:新規2024)
  4. 「完了」をクリック

手順3:新しいプロファイルで起動

  1. 作成したプロファイルを選択
  2. 「Thunderbirdを起動」をクリック

手順4:アカウントを再設定

  1. Thunderbirdが初期画面で起動
  2. メールアドレスとパスワードを入力
  3. アカウント設定を完了

IMAPの場合

IMAPアカウントの場合、メールはサーバーに残っているため、アカウントを再設定するだけで、すべてのメールが再度ダウンロードされます。

POPの場合

POPアカウントの場合、サーバーからメールを削除している可能性があるため、この方法では過去のメールを復元できません。解決策3の段階的ダウングレードを試してください。

解決策5:プロファイルを手動で復元する(上級者向け)

別のPCからプロファイルを移行する際にエラーが出た場合の対処法です。

問題のパターン

Windows 7 PC(Thunderbird 78.11.0)
       ↓ プロファイルフォルダをコピー
Windows 10 PC(Thunderbird 91.0)
       ↓
エラー: 「古いバージョンのプロファイル」

原因

コピー元のThunderbirdが実は最新版だったが、コピー先が古いバージョンだった、またはベータ版が混在していた可能性があります。

解決手順

手順1:コピー先のThunderbirdをアンインストール

  1. 現在のThunderbirdを完全にアンインストール

手順2:通常版をインストール

  1. 公式サイトから最新の安定版(ベータ版ではない)をダウンロード
  2. インストール

手順3:プロファイルを配置

  1. Thunderbirdを起動せずに、プロファイルフォルダを配置
  2. コピーしたプロファイルが正しい場所にあるか確認
  • C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\

手順4:起動

  1. Thunderbirdを起動
  2. 自動的にプロファイルが読み込まれる

バージョン間の互換性について

プロファイルの互換性マトリックス

元のバージョン移行先バージョン互換性
60系68系△ 可能だが注意
68系78系△ 可能だが注意
78系91系△ 可能だが注意
91系102系△ 可能だが注意
102系115系△ 可能だが注意
新 → 旧すべて× 基本的に不可

注意事項:

  • 上方向(古い→新しい)へのアップグレードは通常問題なし
  • 下方向(新しい→古い)へのダウングレードは推奨されない
  • メジャーバージョンをまたぐ場合は特に注意

メジャーアップデートの節目

以下のバージョンでは大きな変更がありました:

Thunderbird 68(2019年)

  • プロファイルロック機能の導入
  • アドオンシステムの刷新

Thunderbird 78(2020年)

  • 新しいアドレス帳システム
  • セキュリティ強化

Thunderbird 91(2021年)

  • UI の刷新
  • プロファイル構造の変更

Thunderbird 102(2022年)

  • アドレス帳の大幅変更
  • Matrix対応

Thunderbird 115(2023年)

  • UI の大規模刷新
  • カード表示の導入

自動更新を無効化する方法

バージョンを固定したい場合は、自動更新を無効化しましょう。

無効化手順

  1. Thunderbirdのメニューボタン(三本線)をクリック
  2. 「設定」を選択
  3. 「一般」を選択
  4. 下にスクロールして「Thunderbirdの更新」を探す
  5. 「更新を確認するが、インストールするかどうかを選択する」を選択

推奨設定

完全に無効化するのではなく、「更新を確認するが、インストールするかどうかを選択する」を選ぶことをお勧めします。

これにより:

  • 更新があることは通知される
  • 自分のタイミングで更新できる
  • セキュリティアップデートを見逃さない

よくある質問(FAQ)

Q1. エラーが出てThunderbirdが全く起動できません

A1. 以下の順で試してください:

  1. 解決策1:最新版をインストール(最も簡単)
  2. 解決策2:–allow-downgradeオプションで起動
  3. 解決策4:新しいプロファイルを作成

Q2. 古いバージョンで開いたら、データが破損しますか?

A2. –allow-downgradeオプションを使うと、データが破損するリスクがあります。必ずバックアップを取ってから実行してください。特に、新しいバージョンで追加された機能を使っていた場合、その情報が失われる可能性があります。

Q3. アドオンの互換性問題でダウングレードしたいのですが

A3. アドオンの代替を探すか、アドオンの開発者に問い合わせることをお勧めします。ダウングレードはセキュリティリスクがあり、長期的な解決策ではありません。

Q4. プロファイルのバックアップはどこにありますか?

A4. プロファイルフォルダの場所:

  • Windows: C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\
  • Mac: ~/Library/Thunderbird/Profiles/
  • Linux: ~/.thunderbird/

「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」→「プロファイルフォルダー」→「フォルダーを開く」でも確認できます。

Q5. 段階的ダウングレードで、どの中間バージョンを選べばいいですか?

A5. 以下を参考にしてください:

  • 102系から91系: まず60.9.1をインストール → 91.12.0へアップデート
  • 91系から78系: まず60.9.1をインストール → 78系へアップデート
  • 115系から102系: まず91.12.0をインストール → 102系へアップデート

Q6. IMAPとPOPで対処法は違いますか?

A6. はい、大きく異なります:

IMAP:

  • サーバーにメールが残っている
  • 新しいプロファイルを作成しても、メールは再ダウンロードできる
  • 比較的安全にバージョン変更が可能

POP:

  • メールがローカルにしか残っていない可能性がある
  • プロファイルが破損すると、メールを失う
  • 段階的ダウングレード(解決策3)を推奨

Q7. ベータ版から安定版に戻せますか?

A7. 可能ですが、以下の注意が必要です:

  1. プロファイルをバックアップ
  2. –allow-downgradeオプションを使用
  3. データ破損のリスクがあることを理解する

より安全な方法は、新しいプロファイルを作成して、ベータ版用と安定版用を分けることです。

Q8. エラーメッセージで「Firefox」と表示されるのはなぜですか?

A8. これはThunderbirdのバグです。Thunderbirdは内部的にFirefoxと同じコードベースを使用しているため、エラーメッセージが正しく表示されないことがあります。「Firefox」と表示されていても、実際にはThunderbirdの問題です。

まとめ

「Thunderbirdの古いバージョンを実行しています」エラーの解決方法を5つ紹介しました。

推奨する解決順序:

  1. まず試す: 最新版にアップデート
  • 最も簡単で安全
  • データを失わない
  • セキュリティも強化される
  1. どうしても古いバージョンが必要な場合:
  • 一時的: –allow-downgradeオプション
  • 恒久的: 段階的ダウングレード
  1. 最終手段: 新しいプロファイルを作成
  • IMAPなら問題なし
  • POPの場合は慎重に

重要なポイント:

✓ 作業前に必ずプロファイルをバックアップ
✓ アドレス帳も別途エクスポート
✓ IMAPかPOPかを確認
✓ バージョンを固定したい場合は自動更新を無効化

セキュリティに関する注意:

古いバージョンを使い続けることは、セキュリティリスクがあります。特別な理由がない限り、最新版の使用を強くお勧めします。

もしアドオンの互換性が理由でダウングレードを検討している場合は、代替のアドオンを探すか、最新版に対応するまで待つことを検討してください。

この記事が、Thunderbirdのバージョン問題の解決に役立てば幸いです。

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