「作成ボタンを押しても何も起こらない」「メール作成ウィンドウが開かない」「開いてもすぐに閉じてしまう」
Thunderbirdで突然、新規メールが作成できなくなると、仕事に大きな支障が出て困りますよね。
この問題は、アドオンの不具合、プロファイルの破損、設定ファイルの問題など、様々な原因で発生します。でも適切な対処をすれば、ほとんどの場合解決できるんです。
この記事では、新規メール作成ができない時の原因から、具体的な解決方法まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
症状の種類を確認しよう

まず、どんな症状が出ているか確認しましょう。
パターン1:作成ボタンが反応しない
症状:
- 「作成」ボタンをクリックしても何も起こらない
- ボタンが押せる(見た目は正常)
- エラーメッセージも出ない
可能性:
- アドオンの競合
- プロファイルの問題
- 設定ファイルの破損
パターン2:ウィンドウが開かない・すぐ閉じる
症状:
- 一瞬ウィンドウが表示されるが、すぐ消える
- ウィンドウの枠だけ見えて、中身が表示されない
- 白い画面のまま何も表示されない
可能性:
- ウィンドウ設定の問題
- 画面外に表示されている
- メモリ不足
パターン3:エラーメッセージが出る
症状:
- 「メッセージを作成できません」
- 「エラーが発生しました」
- 特定のエラーコード
可能性:
- アカウント設定の問題
- 送信サーバーの設定不備
- ファイルの破損
パターン4:特定の操作でのみ起こる
症状:
- 返信・転送はできるが、新規作成だけできない
- 特定のアカウントでのみ発生
- 添付ファイルがあると開けない
可能性:
- 部分的な設定問題
- アカウント固有の問題
まず試すべき3つの基本対処
問題が起きたら、まずはこれを試してください。
対処法1:Thunderbirdを再起動
最もシンプルで効果的な方法です。
手順:
- Thunderbirdを完全に終了
- タスクマネージャーで、プロセスが残っていないか確認
- 10秒ほど待つ
- もう一度起動
- 新規メール作成を試す
なぜ有効?
一時的なメモリの問題やプロセスの不具合がリセットされます。
対処法2:パソコンを再起動
Thunderbirdの再起動で解決しない場合:
- すべてのアプリケーションを終了
- パソコンを再起動
- Thunderbirdを起動
- 新規メール作成を試す
なぜ有効?
システム全体がリセットされ、メモリやリソースの問題が解消されます。
対処法3:セーフモードで起動
アドオンが原因かテストします。
手順:
Windowsの場合:
- Thunderbirdを終了
Shift
キーを押しながらThunderbirdを起動- 「セーフモードで起動」を選択
Macの場合:
- Thunderbirdを終了
Option
キーを押しながらThunderbirdを起動- 「セーフモードで起動」を選択
セーフモードで新規メール作成できた場合:
→ アドオンが原因です。後述の「アドオンの問題」セクションへ
セーフモードでもできない場合:
→ 別の原因です。以下を続けてください
原因別の詳細な解決方法
具体的な原因と、それぞれの対処法です。
原因1:アドオンの競合・不具合
最も多い原因の1つです。
症状:
- セーフモードでは正常に動作
- アドオンを追加・更新した後から発生
解決方法:
ステップ1:問題のアドオンを特定
- 通常モードで起動
- メニューから「アドオンとテーマ」を開く
- インストール済みのアドオン一覧を表示
- すべてのアドオンを無効化
- Thunderbirdを再起動
- 新規メール作成を試す
動作する場合:
アドオンが原因です。次のステップへ
ステップ2:1つずつ有効化
- アドオンを1つだけ有効化
- Thunderbirdを再起動
- 新規メール作成を試す
- 問題なければ、次のアドオンを有効化
- 問題が出たら、そのアドオンが原因
ステップ3:問題のアドオンを削除
- 問題のアドオンを選択
- 「削除」ボタンをクリック
- Thunderbirdを再起動
代替手段:
- アドオンの最新版を確認
- 開発者に報告
- 別のアドオンを探す
原因2:プロファイルの破損
プロファイルとは?
Thunderbirdの設定やデータを保存しているフォルダのこと。これが壊れると、様々な問題が起きます。
解決方法:
方法1:新しいプロファイルで試す
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルマネージャーを起動
Windowsの場合:
- スタートメニューから「ファイル名を指定して実行」
thunderbird.exe -p
と入力してEnter
Macの場合:
- ターミナルを開く
/Applications/Thunderbird.app/Contents/MacOS/thunderbird -ProfileManager
- 「プロファイルを作成」をクリック
- 名前を入力(例:「テスト」)
- 「完了」をクリック
- 新しいプロファイルで起動
新しいプロファイルで正常に動作する場合:
→ 元のプロファイルが破損しています
方法2:プロファイルを修復
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
- 「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」
- 「プロファイルフォルダー」の「フォルダーを開く」
- 以下のファイルを削除(バックアップを取ってから):
削除すべきファイル:
session.json
xulstore.json
*.msf
(すべてのmsfファイル)
- Thunderbirdを起動
注意:
削除する前に、必ずプロファイルフォルダ全体をバックアップしてください。
原因3:ウィンドウが画面外に表示されている
症状:
- 作成ボタンを押すと反応はある
- でもウィンドウが見えない
- タスクバーにウィンドウのアイコンは表示される
解決方法:
方法1:ウィンドウを画面内に移動
Windowsの場合:
- 「作成」ボタンをクリック
- タスクバーのThunderbirdアイコンを右クリック
- 作成ウィンドウを選択
Alt + スペース
を押す- 「移動」を選択
- 矢印キーでウィンドウを移動
- 画面内に見えたらEnter
Macの場合:
- 作成ボタンをクリック
- メニューバーから「ウィンドウ」
- 開いているウィンドウ一覧から選択
方法2:ウィンドウ設定をリセット
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
xulstore.json
を削除- Thunderbirdを起動
このファイルにウィンドウの位置情報が保存されています。削除すると、デフォルトの位置で開きます。
原因4:メモリ不足
症状:
- 他のアプリも遅い
- Thunderbirdの動作全体が重い
- エラーメッセージに「メモリ」の文字
解決方法:
不要なアプリを終了
- タスクマネージャーを開く(
Ctrl + Shift + Esc
) - 「プロセス」タブを確認
- メモリ使用量が高いアプリを終了
メールボックスを最適化
- メニューから「ファイル」→「最適化」
- しばらく待つ
- 完了後、新規メール作成を試す
古いメールを整理
- 不要なメールを削除
- ごみ箱を空にする
- 送信済みアイテムを整理
原因5:設定ファイルの破損
症状:
- 突然使えなくなった
- エラーメッセージが出る
解決方法:
prefs.jsの確認と修復
注意: 高度な操作です。バックアップを取ってから実施してください。
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
prefs.js
ファイルを探す- バックアップを作成(コピーして別名保存)
- テキストエディタで開く
確認すべき項目:
以下の行を探して確認:
user_pref("mail.compose.other.header", "...");
おかしな値が入っていたら削除して保存。
原因6:アカウント設定の問題
症状:
- 特定のアカウントでのみ発生
- エラーメッセージに「送信サーバー」の文字
解決方法:
送信サーバー設定を確認
- 「アカウント設定」を開く
- 該当アカウントを選択
- 画面下部の「送信(SMTP)サーバー」をクリック
- 使用しているSMTPサーバーを確認
- 設定に誤りがないか確認
詳細は「Thunderbird サーバー設定」の記事を参照。
既定のアカウントを変更
- アカウント設定を開く
- 別のアカウントを選択
- 「既定に設定」ボタンをクリック
- 新規メール作成を試す
原因7:OS・システムの問題
症状:
- 他のアプリでも異常が出る
- システムエラーが表示される
解決方法:
Windowsの場合
システムファイルチェッカー:
- コマンドプロンプトを管理者として実行
sfc /scannow
と入力してEnter- スキャンが完了するまで待つ
アップデートの確認
- Windows Update を実行
- Thunderbirdを最新版に更新
- 再起動
特定の状況での対処法
特殊なケースの解決方法です。
返信・転送はできるのに新規作成だけできない
考えられる原因:
- 新規作成の設定ファイルのみ破損
- テンプレートの問題
解決方法:
- Config Editorを開く(設定→一般→設定エディター)
- 検索ボックスに
mail.compose
と入力 - 以下の設定を探して確認:
mail.compose.max_recycled_windows
値を0
に変更して保存
HTMLメールの作成ができない
症状:
- テキスト形式では作成できる
- HTML形式だけエラーが出る
解決方法:
テキスト形式に変更
- アカウント設定を開く
- 該当アカウント→「送信と作成」
- 「HTML形式でメッセージを編集する」のチェックを外す
HTMLエディターをリセット
- Config Editorを開く
editor.use_html
を検索- 値を確認・必要に応じて修正
添付ファイルがある時だけ作成できない
症状:
- 添付なしは正常
- 添付ファイルを付けるとエラー
解決方法:
一時フォルダの確認
- プロファイルフォルダを開く
Mail
→Local Folders
→Drafts.msf
を削除- 再起動
ディスクの空き容量を確認
添付ファイルを一時保存する空き容量が不足していないか確認。
Thunderbirdの再インストール
最終手段として、再インストールする方法です。
再インストール前の準備
重要: 必ずバックアップを取ってください。
バックアップ手順:
- プロファイルフォルダの場所を確認
- 「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」
- 「プロファイルフォルダー」の「フォルダーを開く」
- フォルダ全体を別の場所にコピー
- 外付けHDD、USBメモリ、クラウドなど
アンインストール手順
Windowsの場合:
- 設定→アプリ→アプリと機能
- Thunderbirdを選択
- 「アンインストール」をクリック
- 「プロファイルフォルダは削除しない」
Macの場合:
- アプリケーションフォルダを開く
- Thunderbirdをゴミ箱にドラッグ
- ゴミ箱を空にする
再インストール手順
- Mozilla公式サイトから最新版をダウンロード
- インストーラーを実行
- 指示に従ってインストール
- 初回起動時、既存のプロファイルを使用
よくある質問
Q1. 新規メール作成だけできなくて、返信・転送は正常です
A. 新規作成の設定ファイルが破損している可能性があります。
対処法:
- セーフモードで起動
xulstore.json
を削除- プロファイルフォルダの
.msf
ファイルを削除
Q2. 特定のアカウントでのみ新規メールが作成できません
A. そのアカウントの設定に問題があります。
対処法:
- アカウント設定を確認
- 送信サーバー(SMTP)設定を確認
- 既定のアカウントを別のものに変更
- 問題のアカウントを削除して再設定
Q3. エラーメッセージが出ずに、ただ反応しないだけです
A. アドオンまたはプロファイルの問題が考えられます。
対処法:
- セーフモードで起動
- 正常に動作するか確認
- 動作する場合、アドオンを1つずつ無効化
- それでもダメなら、新しいプロファイルを作成
Q4. ウィンドウは開くのですが、白い画面のままです
A. メモリ不足またはグラフィックの問題です。
対処法:
- 他のアプリを終了してメモリを確保
- グラフィックドライバーを更新
- Thunderbirdを再起動
- ハードウェアアクセラレーションを無効化
Q5. 最近Thunderbirdを更新してから問題が出ました
A. 新バージョンとの互換性問題かもしれません。
対処法:
- アドオンを最新版に更新
- 互換性のないアドオンを無効化
- 必要に応じて前のバージョンに戻す(非推奨)
トラブルシューティングチェックリスト
順番に確認していきましょう。
レベル1:基本確認(所要時間:5分)
✅ Thunderbirdを再起動したか
✅ パソコンを再起動したか
✅ メモリ不足ではないか
✅ 他のアプリも正常に動作するか
レベル2:セーフモード確認(所要時間:5分)
✅ セーフモードで起動したか
✅ セーフモードで正常に動作するか
✅ アドオンを無効化したか
レベル3:設定確認(所要時間:10分)
✅ アカウント設定に誤りはないか
✅ 送信サーバー設定は正しいか
✅ 別のアカウントでは正常か
✅ 既定のアカウントを変更してみたか
レベル4:ファイル修復(所要時間:15分)
✅ xulstore.json
を削除したか
✅ session.json
を削除したか
✅ .msf
ファイルを削除したか
✅ メールボックスを最適化したか
レベル5:プロファイル対処(所要時間:30分)
✅ 新しいプロファイルで試したか
✅ プロファイルフォルダをバックアップしたか
✅ 必要に応じて再インストールを検討したか
予防策とメンテナンス
今後問題を防ぐための対策です。
定期的なバックアップ
推奨頻度:週1回
- プロファイルフォルダを定期的にバックアップ
- 重要なメールはエクスポート
- 設定をメモしておく
アドオンの管理
注意点:
- 信頼できる開発元のものだけインストール
- 定期的に更新を確認
- 使わないアドオンは削除
メールボックスの整理
月1回の習慣:
- 不要なメールを削除
- ごみ箱を空にする
- フォルダーを最適化
- 大きな添付ファイルを整理
Thunderbirdの更新
推奨:
- 自動更新を有効にする
- 重要なアップデートは速やかに適用
- 更新前にバックアップを取る
まとめ:段階的に原因を特定しよう
新規メールが作成できない問題は、原因を特定すれば必ず解決できます。
解決の基本ステップ:
- 再起動(Thunderbird、パソコン)
最もシンプルで効果的 - セーフモードで確認
アドオンが原因か判別 - アドオンを無効化
問題のアドオンを特定 - 設定ファイルを削除
xulstore.json
などを削除 - 新しいプロファイルで試す
プロファイルの破損を確認 - 再インストール
最終手段
最も多い原因TOP3:
- アドオンの競合(40%)
→ セーフモードで確認 - プロファイルの破損(30%)
→ ファイル削除または新規プロファイル - ウィンドウ設定の問題(15%)
→xulstore.json
を削除
重要なポイント:
- 焦らず、1つずつ試す
- 変更前に必ずバックアップ
- セーフモードでの確認が重要
- エラーメッセージを記録
- 再インストール前にプロファイルを保護
この記事の手順を順番に試していけば、ほとんどの場合で新規メール作成機能が復旧します。それでも解決しない場合は、Thunderbirdの公式フォーラムやコミュニティに、試した内容を具体的に説明して相談してください。
適切な情報を提供すれば、きっと解決策が見つかるはずです。快適なメール環境を取り戻しましょう!
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