「Cドライブの容量がいっぱいで、メールデータをDドライブに移したい」
「外付けHDDにメールを保存して、複数のパソコンで使いたい」
「SSDの容量を節約するために、メールは別のドライブに置きたい」
Thunderbirdを長く使っていると、メールやフォルダがどんどん増えて、かなりの容量を占めるようになりますよね。特にCドライブがSSDで容量が限られている場合、空き容量の確保は重要な課題です。
実は、Thunderbirdのメール保存場所は変更できるんです。Dドライブや外付けHDD、ネットワークドライブなど、好きな場所に移動させられます。
この記事では、Thunderbirdのメール保存場所を変更する方法を、バックアップの取り方から移動手順、注意点まで、初心者の方でも分かるように丁寧に解説していきますね。
Thunderbirdのメール保存場所とは

まず、メールデータがどこに保存されているか確認しましょう。
プロファイルフォルダの正体
Thunderbirdでは、全てのメールデータや設定がプロファイルフォルダというフォルダにまとめて保存されています。
プロファイルフォルダに含まれるもの:
- 受信したメール本文
- 送信済みメール
- アドレス帳
- アカウント設定
- 保存したパスワード
- 拡張機能(アドオン)の設定
- フィルターやタグの設定
つまり、このフォルダ1つに、Thunderbirdの全てが詰まっているんです。
デフォルトの保存場所
初期設定では、以下の場所に保存されています:
Windowsの場合:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\xxxxxxxx.default-release\
Mac OSの場合:
~/Library/Thunderbird/Profiles/xxxxxxxx.default-release/
Linuxの場合:
~/.thunderbird/xxxxxxxx.default-release/
注意:xxxxxxxxの部分は、ランダムな英数字です。環境によって異なります。
フォルダのサイズを確認
どれくらい容量を使っているか確認してみましょう。
Windowsの場合:
- エクスプローラーで上記のフォルダを開く
Profilesフォルダを右クリック- 「プロパティ」を選択
- 「サイズ」を確認
数GBから数十GBになっていることも珍しくありません。
なぜ保存場所を変更するの?
理由1:Cドライブの容量不足
SSDは高速ですが、容量が限られています。メールデータを別ドライブに移せば、空き容量を確保できます。
理由2:バックアップの利便性
外付けHDDに保存すれば、そのまま持ち運んでバックアップになります。
理由3:複数PCでの共有
ネットワークドライブや外付けHDDに保存すれば、別のパソコンでも同じメール環境を使えます。
理由4:データ保護
OSがクラッシュしても、別ドライブにあれば影響を受けません。
事前準備:必ずバックアップを取る
移動作業の前に、必ずバックアップを取りましょう。万が一失敗しても、元に戻せるようにします。
バックアップの手順
1. Thunderbirdを完全に終了
- Thunderbirdを閉じる
- タスクマネージャーで、Thunderbirdのプロセスが残っていないか確認
2. プロファイルフォルダを見つける
簡単な方法:
- Thunderbird を一旦起動
- メニュー(≡)→ヘルプ→トラブルシューティング情報
- 「プロファイルフォルダー」の横にある「フォルダーを開く」をクリック
- 1つ上の階層に戻る(
Profilesフォルダが見える場所) - Thunderbirdを終了
3. フォルダ全体をコピー
Profilesフォルダ全体を別の場所(デスクトップや外付けHDDなど)にコピー
4. コピーの確認
- コピー先で、ファイルが正しくコピーされたか確認
- 容量が元と同じか確認
これで、安全なバックアップが完成しました。
方法1:プロファイルフォルダを丸ごと移動(推奨)
最も確実で分かりやすい方法です。
手順の概要
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダをコピー
- profiles.iniファイルを編集
- 元のフォルダを削除(確認後)
詳細な手順
ステップ1:Thunderbirdを終了
必ず完全に終了させてください。タスクトレイも確認しましょう。
ステップ2:移動先フォルダを作成
例えば、Dドライブに移動する場合:
D:\Thunderbird\
というフォルダを作成します。
ステップ3:プロファイルフォルダをコピー
- 現在のプロファイルフォルダ(C:\Users…\Profiles\xxxxxxxx.default-release)を開く
- フォルダ全体を選択してコピー(Ctrl+C)
- 新しい場所(D:\Thunderbird\)に貼り付け(Ctrl+V)
- コピーが完了するまで待つ(数分〜数十分かかることも)
ステップ4:profiles.iniファイルを編集
このファイルが、プロファイルの場所を記憶しています。
ファイルの場所:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\profiles.ini
profiles.iniを右クリック→「プログラムから開く」→メモ帳を選択- ファイルの中身を見る
編集前の例:
[Profile0]
Name=default-release
IsRelative=1
Path=Profiles/xxxxxxxx.default-release
Default=1
Path=の行を、新しい場所に変更IsRelative=を0に変更(絶対パスを使う)
編集後の例:
[Profile0]
Name=default-release
IsRelative=0
Path=D:\Thunderbird\xxxxxxxx.default-release
Default=1
- 保存して閉じる
ステップ5:Thunderbirdを起動して確認
- Thunderbirdを起動
- メールが全て表示されるか確認
- アドレス帳、設定なども確認
- 問題なく動作するか、数日使ってみる
ステップ6:元のフォルダを削除
正常に動作することを確認したら:
- 元のプロファイルフォルダ(Cドライブ)を削除
- ゴミ箱を空にする
これで、メール保存場所の変更が完了です。
方法2:シンボリックリンクを使う(上級者向け)
Windowsのシンボリックリンク機能を使う方法です。Thunderbirdには気づかれずに、実際のデータを別の場所に保存できます。
シンボリックリンクとは
シンボリックリンクは、フォルダの「ショートカット」のようなものですが、もっと強力です。
アプリからは元の場所にあるように見えて、実際のデータは別の場所にあるという仕組みです。
手順
ステップ1:準備
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダをバックアップ
ステップ2:フォルダを移動
- プロファイルフォルダ全体を、新しい場所(例:D:\Thunderbird\)にコピー
- コピー完了を確認
- 元のフォルダ名を変更(例:
xxxxxxxx.default-release.old)
ステップ3:シンボリックリンクを作成
コマンドプロンプトを管理者権限で開きます:
- スタートメニューで「cmd」と検索
- 「コマンドプロンプト」を右クリック→「管理者として実行」
以下のコマンドを入力(パスは実際のものに置き換え):
mklink /D "C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\xxxxxxxx.default-release" "D:\Thunderbird\xxxxxxxx.default-release"
解説:
mklink /D:シンボリックリンクを作成するコマンド- 最初のパス:元の場所(リンク)
- 2番目のパス:実際のデータがある場所
成功すると、「 xxxxxxxx.default-release [D:\Thunderbird\xxxxxxxx.default-release]」と表示されます。
ステップ4:確認
- Thunderbirdを起動
- 全て正常に動作することを確認
ステップ5:古いフォルダを削除
正常動作を確認したら、元のフォルダ(.oldを付けたもの)を削除します。
シンボリックリンクのメリット
- profiles.iniの編集が不要
- Thunderbirdは変更に気づかない
- Windowsの設定も変更不要
デメリット
- コマンドプロンプトの操作が必要
- 管理者権限が必要
- トラブル時の対処が少し難しい
方法3:外付けHDD・USBメモリに保存
持ち運びたい場合や、複数のPCで使いたい場合の方法です。
手順
基本的には方法1と同じですが、移動先が外付けドライブになります。
例:
E:\Thunderbird\xxxxxxxx.default-release
注意点
ドライブレターの固定:
外付けHDDのドライブレター(E:やF:など)が変わると、Thunderbirdが起動できなくなります。
対策:
- Windowsの「ディスクの管理」を開く
- 外付けHDDを右クリック→「ドライブ文字とパスの変更」
- 固定のドライブレターを割り当てる
速度の問題:
USB 2.0など遅い接続だと、メールの読み込みが遅くなります。USB 3.0以上を推奨します。
持ち運び時の注意:
Thunderbirdを必ず終了してから、HDDを取り外してください。データ破損の原因になります。
方法4:ネットワークドライブに保存
複数のPCで同じメール環境を共有したい場合です。
手順
NAS(ネットワークストレージ)などにネットワークドライブをマップして、そこに保存します。
例:
Z:\Thunderbird\xxxxxxxx.default-release
注意点
非推奨の方法:
実は、Thunderbird公式はネットワークドライブへの保存を推奨していません。
理由:
- ネットワークの遅延でデータ破損のリスク
- 複数PCで同時にアクセスすると、データが壊れる
- ロックファイルの問題
どうしても使いたい場合:
- 必ず1台のPCでしか同時に開かない
- 有線LANで高速接続
- こまめにバックアップ
より良い代替案
複数PCで使いたい場合は、以下の方法を検討してください:
IMAP方式で設定:
メールサーバーにメールを残す方式なら、どのPCからでも同じメールが見られます。
同期ツールを使う:
Dropbox、OneDriveなどでプロファイルフォルダを同期(ただし、同時使用は厳禁)。
移動後の確認事項
移動が完了したら、以下を確認しましょう。
チェックリスト
基本動作:
- [ ] Thunderbirdが正常に起動する
- [ ] 全てのメールが表示される
- [ ] 新着メールを受信できる
- [ ] メールを送信できる
データの完全性:
- [ ] アドレス帳が全て表示される
- [ ] フォルダ構造が保たれている
- [ ] 下書き、送信済みメールがある
- [ ] 検索機能が正常に動作する
設定の保持:
- [ ] アカウント設定が残っている
- [ ] フィルター設定が有効
- [ ] 拡張機能(アドオン)が動作する
- [ ] 保存したパスワードが残っている
容量の確認:
- [ ] 元のCドライブの容量が増えた
- [ ] 新しい場所に正しく保存されている
全て問題なければ、成功です。
よくあるトラブルと解決法
移動時によくある問題とその対処法です。
問題1:Thunderbirdが起動しない
症状:
移動後、Thunderbirdを起動するとエラーが出る。
原因:
- profiles.iniのパスが間違っている
- フォルダのコピーが不完全
解決法:
方法1:profiles.iniを再確認
profiles.iniをメモ帳で開くPath=の行が正しいか確認- フォルダ名、ドライブレターが正確か確認
IsRelative=0になっているか確認
方法2:バックアップから復元
- Thunderbirdをアンインストール(設定は削除しない)
- 元の場所にバックアップを戻す
- Thunderbirdを再インストール
- 動作確認後、もう一度移動を試みる
問題2:一部のメールが表示されない
症状:
起動はするが、フォルダの一部が空になっている。
原因:
コピーが不完全、またはファイル破損。
解決法:
- Thunderbirdを終了
- バックアップから欠けているファイルをコピー
- 再起動して確認
問題3:「プロファイルが見つかりません」エラー
症状:
プロファイルが見つかりません。
プロファイルが移動、削除、またはアクセスできません。
原因:
profiles.iniのパスが間違っている、またはアクセス権の問題。
解決法:
方法1:パスを修正
profiles.iniを開いて、正しいパスに修正します。
方法2:プロファイルマネージャーで設定
- Windowsキー+Rで「ファイル名を指定して実行」を開く
- 以下を入力:
thunderbird.exe -ProfileManager
- 「プロファイルを作成」をクリック
- 「フォルダーを選択…」で新しい場所を指定
問題4:外付けHDDを接続し忘れた
症状:
外付けHDDを接続せずにThunderbirdを起動してしまった。
解決法:
- すぐにThunderbirdを終了
- 外付けHDDを接続
- ドライブレターが同じか確認
- 再度Thunderbirdを起動
予防策:
起動スクリプトを作って、HDDの接続を確認してから起動するようにします。
問題5:容量が減っていない
症状:
移動したのに、Cドライブの空き容量が増えていない。
原因:
元のフォルダがまだ残っている。
解決法:
- 元の場所(C:\Users…\Profiles\)を確認
- 古いプロファイルフォルダが残っていたら削除
- ゴミ箱を空にする
移動後のメンテナンス
移動した後も、定期的なメンテナンスが重要です。
定期的なバックアップ
移動先でも、定期的にバックアップを取りましょう。
おすすめ頻度:
- 重要なメールが多い:毎日
- 一般的な使用:毎週
- ライトユーザー:毎月
自動バックアップツール:
- Windows:タスクスケジューラでバッチファイルを実行
- フリーソフト:MozBackupなど
フォルダの最適化
メールが増えると、データベースが肥大化します。
手順:
- Thunderbirdのメニュー→設定
- 左下の「詳細」→「ネットワークとディスク領域」タブ
- 「最適化」をクリック
これで、不要な領域が削除され、動作が軽くなります。
容量の監視
定期的に容量をチェックしましょう。
大きなメールを見つける:
- Thunderbirdで、全てのフォルダを表示
- 「サイズ」列で並べ替え
- 大きなメールを削除または整理
別のパソコンへの移行
新しいパソコンにメールデータを移す方法です。
手順
旧PCでの作業:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダ全体を外付けHDDにコピー
新PCでの作業:
- 新しいPCにThunderbirdをインストール
- 一度起動して、すぐに終了
- 新PCのプロファイルフォルダを開く
- 旧PCからコピーしたフォルダの中身を、新PCのプロファイルフォルダに上書き
- Thunderbirdを起動
これで、完全に同じ環境が再現されます。
セキュリティとバックアップの重要性
最後に、セキュリティとバックアップについて。
暗号化の検討
外付けHDDに保存する場合、盗難・紛失のリスクがあります。
対策:
- BitLocker(Windows Pro以上)でドライブ全体を暗号化
- VeraCryptなどのツールで暗号化コンテナを作成
- パスワード付きZIPで圧縮(バックアップ時)
複数箇所にバックアップ
3-2-1ルール:
- 3つのコピーを持つ
- 2つの異なるメディアに保存
- 1つはオフサイト(別の場所)に
例:
- 1つ目:実際に使用中のプロファイル
- 2つ目:外付けHDDにバックアップ
- 3つ目:クラウドストレージ(OneDrive、Dropboxなど)
まとめ:計画的に移動しよう
Thunderbirdのメール保存場所変更は、正しい手順で行えば安全です。
この記事のポイントをおさらい:
- メールデータはプロファイルフォルダに保存されている
- デフォルトはCドライブのAppData内
- 移動理由:容量不足、バックアップ、複数PC利用
- 必ず事前にバックアップを取る
- 推奨方法:フォルダをコピー→profiles.ini編集
- 上級者向け:シンボリックリンクを使用
- 外付けHDD:ドライブレターを固定する
- ネットワークドライブ:非推奨(データ破損リスク)
- 移動後は動作確認を念入りに
- 定期的なバックアップとメンテナンスが重要
Cドライブの容量不足は、SSDを使っている多くの人が抱える問題です。メールデータを別ドライブに移すだけで、数GB〜数十GBの空き容量を確保できますよ。
ただし、移動作業にはリスクもあります。必ずバックアップを取ってから、慎重に作業してください。
この記事が、あなたのThunderbird環境の最適化に役立てば嬉しいです。快適なメール環境を手に入れてくださいね!


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