「Thunderbirdの調子が悪くて、何をしても直らない…」
「設定がぐちゃぐちゃになって、もう一からやり直したい…」
こんな悩みを抱えていませんか?
Thunderbirdを長く使っていると、設定の変更を繰り返したり、アドオンを追加しすぎたりして、だんだん動作が不安定になることがあります。
そんな時の最終手段が初期化です。
この記事では、Thunderbirdを初期化する方法を、初心者の方にも分かりやすく解説します。大切なメールを失わないためのバックアップ手順や、初期化後の再設定方法まで、すべて詳しく説明しますよ。
「初期化したらメールが全部消えちゃうんじゃ…」という不安も、この記事を読めば解消されるはずです。
Thunderbirdの「初期化」とは何か?

まず基本から理解しましょう。
初期化の意味
初期化とは、Thunderbirdを「インストールした直後の状態」に戻すことです。
具体的には、以下のものがリセットされます:
- すべてのメールアカウント設定
- 保存されているメール(受信トレイ、送信済みなど)
- アドレス帳の連絡先
- カレンダーの予定
- フィルター設定
- アドオン(拡張機能)
- カスタマイズした設定(表示レイアウト、テーマなど)
- 保存されているパスワード
つまり、Thunderbirdをインストールしたばかりの「まっさらな状態」に戻るということです。
なぜ初期化が必要?
初期化が必要になる代表的なケースは以下の通りです。
不具合が直らない:
- 起動が異常に遅い
- 頻繁にフリーズする
- エラーメッセージが頻発する
- メールの送受信ができない
設定を一からやり直したい:
- 設定を変更しすぎて、どこをいじったか分からなくなった
- 複数のアドオンが競合して問題を起こしている
- テスト用の設定を元に戻したい
他の人に譲渡する:
- PCを売却・譲渡する前に個人情報を消去したい
- 会社のPCから私物のメール設定を削除したい
プロファイルが破損:
- プロファイルファイルが壊れて修復できない
- データベースの破損が深刻
初期化と再インストールの違い
混同しがちな概念を整理しておきましょう。
初期化:
- Thunderbirdのプログラム自体は残る
- プロファイル(設定やデータ)だけを削除
- 再インストール不要
再インストール:
- Thunderbirdのプログラム自体を削除して入れ直す
- プロファイルは残る場合もある
- より徹底的なリセット
通常の不具合であれば、初期化(プロファイルのリセット)だけで十分です。
初期化する前の重要な準備:バックアップ
超重要:初期化する前に、必ずバックアップを取ってください。
バックアップなしで初期化すると、すべてのメールや連絡先が永久に失われます。
バックアップすべきデータ
以下のデータをバックアップしておきましょう:
- メールデータ(受信トレイ、送信済み、下書きなど)
- アドレス帳(連絡先)
- アカウント設定(メールアドレス、サーバー情報)
- パスワード(メールアカウントのパスワード)
- フィルター設定(メール振り分けルール)
- カレンダーデータ(予定や予約)
- アドオンの一覧(後で再インストールするため)
方法1:プロファイルフォルダ全体をバックアップ【おすすめ】
最も確実で簡単な方法は、プロファイルフォルダをまるごとコピーすることです。
手順
ステップ1:プロファイルフォルダの場所を確認
- Thunderbirdを起動
- 右上のハンバーガーメニュー(三本線)をクリック
- 「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」を選択
- 「プロファイルフォルダー」の行を見つける
- 「フォルダーを開く」ボタンをクリック
Windowsエクスプローラーでプロファイルフォルダが開きます。
通常は以下の場所にあります:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\(ランダム文字列).default-release
ステップ2:Thunderbirdを終了
バックアップ中はThunderbirdを必ず終了してください。
開いたままだと、ファイルが正しくコピーされない可能性があります。
ステップ3:上位フォルダに移動
開いたプロファイルフォルダから、一つ上の階層に移動します。
「Profiles」フォルダが見えるはずです。
ステップ4:フォルダをコピー
- プロファイルフォルダ(ランダム文字列.default-releaseという名前)を右クリック
- 「コピー」を選択
- デスクトップや外付けHDD、USBメモリなど安全な場所に移動
- 「貼り付け」を実行
コピーには数分〜数十分かかることがあります(メール量による)。
ステップ5:バックアップを確認
- コピーしたフォルダを開く
- 以下のファイルがあることを確認:
- prefs.js(設定ファイル)
- logins.json(パスワード)
- abook.sqlite(アドレス帳)
- Mailフォルダ(メールデータ)
- ImapMailフォルダ(IMAPの場合)
これらがあれば、バックアップ成功です。
方法2:個別のデータをエクスポート
プロファイル全体ではなく、必要なデータだけをエクスポートする方法もあります。
アドレス帳のエクスポート
- Thunderbirdでアドレス帳を開く
- エクスポートしたいアドレス帳を選択
- 「ツール」→「エクスポート」を選択
- ファイル形式を選択(LDIFまたはvCard)
- 保存場所を指定して保存
カレンダーのエクスポート
- カレンダータブを開く
- エクスポートしたいカレンダーを右クリック
- 「カレンダーをエクスポート」を選択
- ICS形式で保存
アカウント設定のメモ
- 「アカウント設定」を開く
- 各アカウントの以下の情報をメモ:
- メールアドレス
- 受信サーバー(IMAPまたはPOP)
- 送信サーバー(SMTP)
- ポート番号
- セキュリティ設定(SSL/TLSなど)
この情報があれば、初期化後に再設定できます。
バックアップの保存場所
バックアップは安全な場所に保管してください。
推奨される保存場所:
- 外付けHDD:最も安全で大容量
- USBメモリ:持ち運びやすい(暗号化推奨)
- クラウドストレージ:Googleドライブ、OneDriveなど(暗号化推奨)
- 別のPC:ネットワーク経由でコピー
避けるべき場所:
- 同じPC内の別フォルダ(PCが壊れたら一緒に失われる)
- デスクトップだけ(誤って削除する危険性)
バックアップは最低でも2箇所に保存しておくと安心です。
Thunderbirdを初期化する3つの方法
準備が整ったら、いよいよ初期化です。
目的に応じて、3つの方法から選びましょう。
方法1:プロファイルを削除して初期化【完全リセット】
最も徹底的な初期化方法です。すべてのデータと設定が削除されます。
手順
ステップ1:Thunderbirdを終了
Thunderbirdを完全に終了してください。
ステップ2:プロファイルフォルダを削除
- Windowsエクスプローラーで以下のフォルダを開く:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles
- プロファイルフォルダ(ランダム文字列.default-release)を右クリック
- 「削除」を選択
- 確認画面で「はい」をクリック
ステップ3:Thunderbirdを起動
- Thunderbirdを起動すると、新しいプロファイルが自動作成される
- 初回起動時のウィザードが表示される
- メールアカウントの設定画面が開く
これで完全に初期化されました。
方法2:リフレッシュ機能を使う【設定保持】
Thunderbird 115以降では「リフレッシュ」機能が追加されました。
この方法では、重要なデータは保持しつつ、問題のある設定だけをリセットできます。
リフレッシュで保持されるもの
- メールアカウント
- メールデータ
- アドレス帳
- パスワード
リフレッシュで削除されるもの
- アドオン
- カスタマイズした設定
- テーマ
- ツールバーのカスタマイズ
手順
- 「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」を開く
- 「Thunderbirdをリフレッシュ」ボタンをクリック
- 確認ダイアログで「リフレッシュ」をクリック
- Thunderbirdが再起動する
リフレッシュは数分で完了します。
注意:この機能は比較的新しいため、古いバージョンでは利用できません。
方法3:プロファイルマネージャーで新規作成【複数管理】
複数のプロファイルを使い分けたい場合に便利な方法です。
手順
ステップ1:プロファイルマネージャーを起動
- Thunderbirdを終了
- Windowsの「ファイル名を指定して実行」を開く(Windowsキー + R)
- 以下を入力して実行:
thunderbird.exe -P
- プロファイルマネージャーが起動する
ステップ2:新しいプロファイルを作成
- 「プロファイルを作成」ボタンをクリック
- プロファイル作成ウィザードが開く
- 「次へ」をクリック
- プロファイル名を入力(例:「新規」「仕事用」など)
- 「完了」をクリック
ステップ3:新しいプロファイルで起動
- 作成したプロファイルを選択
- 「Thunderbirdを起動」をクリック
- Thunderbirdが新しいプロファイルで起動する
この方法なら、古いプロファイルも残るので、いつでも切り替えられます。
初期化後の再設定:ゼロからのスタート

初期化が完了したら、必要な設定を行いましょう。
ステップ1:メールアカウントの追加
初回起動時に自動的にアカウント設定ウィザードが開きます。
自動設定の場合
- 名前、メールアドレス、パスワードを入力
- 「続ける」をクリック
- Thunderbirdが自動的にサーバー設定を検出
- 「完了」をクリック
主要なメールサービス(Gmail、Yahoo!、Outlook.comなど)は自動設定に対応しています。
手動設定の場合
自動設定が失敗した場合や、独自ドメインのメールの場合:
- 「手動設定」をクリック
- 受信サーバー情報を入力:
- プロトコル:IMAPまたはPOP3
- サーバー名:mail.example.com など
- ポート番号:993(IMAP/SSL)、995(POP/SSL)など
- セキュリティ:SSL/TLS
- 認証方式:通常のパスワード認証
- 送信サーバー情報を入力:
- サーバー名:smtp.example.com など
- ポート番号:465(SSL)、587(STARTTLS)など
- セキュリティ:SSL/TLSまたはSTARTTLS
- 認証方式:通常のパスワード認証
- 「再テスト」をクリックして設定を確認
- 「完了」をクリック
バックアップ時にメモした設定情報を参照してください。
ステップ2:バックアップからデータを復元
完全な初期化をした場合、バックアップからデータを復元できます。
プロファイル全体を復元する方法
- Thunderbirdを終了
- 新しく作成されたプロファイルフォルダを開く
- フォルダ内のすべてのファイルを削除
- バックアップしたプロファイルフォルダの中身をすべてコピー
- 新しいプロファイルフォルダに貼り付け
- Thunderbirdを起動
これで、初期化前の状態がそのまま復元されます。
ただし、この方法では初期化の意味があまりないので、不具合の原因も一緒に復元される可能性があります。
個別にデータを復元する方法
必要なものだけを選んで復元することもできます。
メールデータの復元:
- バックアップから「Mail」フォルダと「ImapMail」フォルダをコピー
- 新しいプロファイルフォルダに貼り付け
- Thunderbirdを再起動
アドレス帳の復元:
- Thunderbirdでアドレス帳を開く
- 「ツール」→「インポート」を選択
- バックアップしたアドレス帳ファイル(.ldifまたは.vcf)を選択
- 「開く」をクリック
カレンダーの復元:
- カレンダータブを開く
- 左側の「カレンダー」を右クリック
- 「新しいカレンダー」→「コンピューター上に作成」を選択
- 「インポート」を選択
- バックアップしたICSファイルを選択
ステップ3:必要な設定を行う
基本的な設定を見直しましょう。
表示設定
- 「表示」→「レイアウト」で、フォルダペインやメッセージペインの表示を調整
- 「表示」→「テーマ」で、ライトモードかダークモードを選択
プライバシー設定
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」を開く
- 外部コンテンツの読み込み設定を確認
- マスターパスワードの設定を検討
署名の設定
- 「アカウント設定」を開く
- 該当するアカウントを選択
- 署名編集欄に署名を入力
フィルターの再設定
- 「ツール」→「メッセージフィルター」を開く
- 必要なフィルタールールを作成
- メールの自動振り分けを設定
ステップ4:アドオンの再インストール
必要なアドオンを再インストールします。
手順
- ハンバーガーメニューから「アドオンとテーマ」を開く
- 検索欄で必要なアドオンを検索
- 「Thunderbirdに追加」をクリック
- 有効化して設定を行う
よく使われるアドオンの例:
- Lightning:カレンダー機能(古いバージョンで必要)
- Signature Switch:複数署名の管理
- Manually sort folders:フォルダの並び替え
- ImportExportTools NG:メールのインポート/エクスポート
初期化のリスクと注意点
初期化には以下のリスクがあることを理解しておきましょう。
リスク1:データの完全消失
バックアップを取らずに初期化すると、すべてのメールと設定が永久に失われます。
対策:必ず事前にバックアップを取る。
リスク2:パスワードを忘れている
初期化後、メールアカウントのパスワードを再入力する必要があります。
パスワードを忘れていると、メールにアクセスできなくなります。
対策:初期化前にパスワードを確認し、メモしておく。
リスク3:サーバー設定が分からない
手動設定が必要なメールアカウントの場合、サーバー情報を忘れていると再設定できません。
対策:初期化前にアカウント設定画面をスクリーンショットで保存しておく。
リスク4:不具合の原因が解決しない
初期化しても、問題が解決しない場合があります。
例えば、以下の場合は初期化では解決しません:
- メールサーバー側の問題
- インターネット接続の問題
- Windowsシステムの問題
- ハードウェアの故障
対策:初期化の前に、本当に初期化が必要か再検討する。
リスク5:複数デバイスとの同期
IMAPを使っている場合、初期化後にサーバーと同期すると、大量のメールが再ダウンロードされます。
これには時間がかかり、ディスク容量も消費します。
対策:メール量が多い場合は、同期する期間を制限する設定を検討。
初期化以外の解決策:まず試すべきこと
初期化は最終手段です。以下の方法を先に試してみてください。
解決策1:アドオンを無効化
アドオンが原因で不具合が起きている可能性があります。
- セーフモードで起動(Shiftキーを押しながら起動)
- 問題が解決するか確認
- 解決したら、アドオンを一つずつ無効化して原因を特定
解決策2:フォルダの修復
メールデータベースの破損が原因の場合:
- 問題のあるフォルダを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「フォルダーを修復」をクリック
解決策3:データベースファイルの削除
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
- 「global-messages-db.sqlite」を削除
- Thunderbirdを再起動
解決策4:Thunderbirdのアップデート
古いバージョンには不具合があることがあります。
- 「ヘルプ」→「Thunderbirdについて」を開く
- 自動的に更新チェックが実行される
- 更新があればインストール
解決策5:キャッシュのクリア
- 「設定」→「ネットワークとディスク領域」を開く
- 「キャッシュ」セクションで「今すぐ消去」をクリック
これらの方法で解決すれば、初期化する必要はありません。
初期化後によくある質問(Q&A)
初期化に関するよくある質問にお答えします。
Q1:初期化したら、サーバー上のメールも消えますか?
A:IMAPを使っている場合、サーバー上のメールは消えません。
IMAPはサーバーとメールを同期する仕組みなので、Thunderbirdを初期化してもサーバー上のメールは残ります。
再設定後、サーバーと同期すれば、メールが再びThunderbird上に表示されます。
ただし、POPを使っている場合は注意が必要です。POPはメールをダウンロードしてサーバーから削除する設定になっていることが多いため、初期化すると復元できない可能性があります。
Q2:初期化にかかる時間は?
A:初期化自体は数分で完了します。
しかし、再設定やデータの復元には時間がかかります:
- アカウントの再設定:5〜10分
- メールの再ダウンロード(IMAP):数分〜数時間(メール量による)
- アドオンの再インストール:10〜20分
- 各種設定の調整:10〜30分
合計で1〜2時間程度見ておくと良いでしょう。
Q3:初期化後、メールの受信日時は変わりますか?
A:いいえ、変わりません。
メールの受信日時やその他のメタデータ(送信者、件名など)は、メール自体に含まれているため、初期化しても変わりません。
Q4:会社のPCで初期化しても大丈夫?
A:事前に確認が必要です。
会社のPCの場合:
- IT部門に確認してから実施する
- 会社の重要なメールをバックアップする
- 業務用のアカウント設定情報を保存しておく
勝手に初期化すると、会社のセキュリティポリシーに違反する可能性があります。
Q5:初期化してもライセンスは残りますか?
A:Thunderbirdは無料のオープンソースソフトウェアなので、ライセンスの概念がありません。
何度でも自由に初期化、再インストールができます。
Q6:初期化を途中でキャンセルできますか?
A:プロファイルを削除する前なら可能です。
しかし、削除を実行した後は取り消せません。必ずバックアップを取ってから実施してください。
まとめ:初期化は最終手段、でも恐れる必要はない
Thunderbirdの初期化について、理解できましたか?
この記事の重要ポイント:
- 初期化とは、Thunderbirdを「まっさらな状態」に戻すこと
- 必ず事前にプロファイルフォルダをバックアップする
- 3つの方法がある:完全削除、リフレッシュ、新規プロファイル作成
- IMAPならサーバー上のメールは残るが、POPは注意が必要
- 初期化後は、アカウント再設定とデータ復元が必要
- 初期化の前に、他の解決策も試してみる
- パスワードとサーバー設定情報を忘れずにメモする
初期化は確かに大掛かりな作業ですが、正しい手順を踏めば安全に実施できます。
特に、事前のバックアップさえしっかり取っておけば、万が一失敗しても元に戻せるので安心です。
Thunderbirdの動作が重い、不具合が直らない、設定がぐちゃぐちゃになった…そんな時は、この記事を参考に初期化にチャレンジしてみてください。
初期化後のThunderbirdは、まるで新品のようにサクサク動いてくれるはずですよ!
快適なメール環境を取り戻しましょう!

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