「パソコンを買い替えたけど、フィルター設定を一から作り直すのは大変…」「何十個もある振り分けルールを新しいPCに移行したい」「バックアップとしてフィルター設定を保存しておきたい」
Thunderbirdで便利なメールフィルター(振り分けルール)を使っていると、それを他のパソコンに移行したり、バックアップしたいと思うことがありますよね。
実は、Thunderbirdにはフィルター設定だけをエクスポート・インポートする機能は標準では用意されていません。でも安心してください!ファイルを直接コピーする方法で、簡単に移行できるんです。
この記事では、初心者の方でも迷わずできる、フィルターのエクスポート・インポート方法を詳しく解説していきます。バックアップから別PCへの移行まで、すべてカバーしますよ!
フィルターをエクスポートする理由

まず、なぜフィルターをエクスポートする必要があるのか確認しましょう。
主な理由5つ
1. パソコンの買い替え
- 新しいPCでも同じフィルター設定を使いたい
- 何十個もあるルールを手作業で作り直すのは大変
2. 定期的なバックアップ
- PCが突然壊れても、設定を失わない
- 誤ってフィルターを削除してしまった時の保険
3. 複数のPCで同じ設定を使う
- 職場と自宅で同じフィルター設定
- デスクトップとノートPCで統一
4. Thunderbirdの再インストール前
- OSの再インストール時
- Thunderbirdのクリーンインストール時
5. アカウント間でフィルターをコピー
- 複数のメールアカウントで同じルールを使いたい
- 新しいアカウントに既存のフィルターを適用
フィルターの保存場所を理解しよう
エクスポート作業の前に、フィルターがどこに保存されているか理解しましょう。
フィルター設定ファイル「msgFilterRules.dat」
Thunderbirdのフィルター設定は、msgFilterRules.datという名前のファイルに保存されています。
重要なポイント:
- フィルターはアカウントごとに保存される
- 各アカウントに1つずつ「msgFilterRules.dat」ファイルがある
- プレーンテキストファイルなので、テキストエディタで開ける
プロファイルフォルダとは?
プロファイルフォルダは、Thunderbirdのすべての設定やメールデータが保存されている「宝箱」のようなフォルダです。
プロファイルフォルダの場所:
Windows:
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\<プロファイル名>
Mac:
~/Library/Thunderbird/Profiles/<プロファイル名>
Linux:
~/.thunderbird/<プロファイル名>
プロファイル名は?xxxxxxxx.default-releaseのようなランダムな文字列です。
プロファイルフォルダを簡単に開く方法
手動で探すのは大変なので、Thunderbird内から開く方法を紹介します。
手順:
- Thunderbirdを起動
- 「ヘルプ」メニュー→「トラブルシューティング情報」
- 「アプリケーション基本情報」セクション
- 「プロファイルフォルダー」の横にある「フォルダーを開く」ボタンをクリック
これで、プロファイルフォルダが自動的に開きます!
msgFilterRules.datの具体的な場所
プロファイルフォルダ内の、さらに奥にあります。
POP3アカウントの場合:
<プロファイルフォルダ>\Mail\<サーバー名>\msgFilterRules.dat
例:
C:\Users\Taro\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\abc123.default-release\Mail\pop.example.com\msgFilterRules.dat
IMAPアカウントの場合:
<プロファイルフォルダ>\ImapMail\<サーバー名>\msgFilterRules.dat
例:
C:\Users\Taro\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\abc123.default-release\ImapMail\imap.gmail.com\msgFilterRules.dat
ローカルフォルダの場合:
<プロファイルフォルダ>\Mail\Local Folders\msgFilterRules.dat
複数アカウントがある場合
複数のメールアカウントを使っている場合、それぞれのアカウントに別々の「msgFilterRules.dat」ファイルがあります。
確認方法:
- プロファイルフォルダを開く
- 「Mail」フォルダまたは「ImapMail」フォルダを開く
- 複数のサーバー名のフォルダが見える
- 各フォルダ内に「msgFilterRules.dat」がある
必要なアカウントのファイルを選んでバックアップしましょう。
方法1:手動でエクスポート(推奨)
最も確実で簡単な方法は、ファイルを直接コピーすることです。
ステップ1:Thunderbirdを終了
重要: 必ずThunderbirdを完全に終了してから作業してください。
理由:
- Thunderbird起動中にファイルをコピーすると、変更が上書きされる可能性
- データ破損のリスクを避ける
確認方法:
- Windowsの場合:タスクバーやシステムトレイにThunderbirdのアイコンがないか確認
- タスクマネージャーでthunderbird.exeが動いていないか確認
ステップ2:msgFilterRules.datを見つける
方法A:Thunderbirdから場所を確認
- エクスポート作業の前に、Thunderbirdで場所を確認(終了前)
- 「ツール」→「アカウント設定」
- 左側でエクスポートしたいアカウントを選択
- 「サーバー設定」をクリック
- 「メッセージの保存先」セクション
- 「ローカルディレクトリ」の場所をメモ
- その場所に「msgFilterRules.dat」がある
方法B:プロファイルフォルダから探す
- プロファイルフォルダを開く(前述の方法)
- 「Mail」または「ImapMail」フォルダを開く
- サーバー名のフォルダを開く
- 「msgFilterRules.dat」ファイルを見つける
ステップ3:ファイルをコピー
バックアップ用にコピーする場合:
- 「msgFilterRules.dat」ファイルを右クリック
- 「コピー」を選択
- デスクトップやUSBメモリなど、わかりやすい場所に貼り付け
- ファイル名を変更して区別しやすくする
- 例:
msgFilterRules_backup_2025-12-10.dat - 例:
msgFilterRules_Gmail_account.dat
別のPCに移行する場合:
- 「msgFilterRules.dat」ファイルをコピー
- USBメモリやクラウドストレージに保存
- 移行先のPCに転送
ステップ4:複数アカウントの場合
複数のアカウントがある場合は、それぞれをバックアップします。
推奨方法:
- バックアップ用のフォルダを作成
- 例:「Thunderbird_Filters_Backup_2025-12-10」
- その中にアカウントごとのフォルダを作成
- 例:「Gmail」「Work_Email」「Yahoo」
- 各アカウントの「msgFilterRules.dat」を対応するフォルダにコピー
- 各ファイルに元のサーバー名をメモしておく
フォルダ構造の例:
Thunderbird_Filters_Backup_2025-12-10/
├── Gmail/
│ └── msgFilterRules.dat (元: imap.gmail.com)
├── Work_Email/
│ └── msgFilterRules.dat (元: mail.company.com)
└── Yahoo/
└── msgFilterRules.dat (元: imap.mail.yahoo.com)
エクスポート完了の確認
確認ポイント:
- コピーしたファイルが開けるか確認
- テキストエディタ(メモ帳など)で開いてみる
- フィルター設定が記述されているか確認
正常なファイルの例(冒頭部分):
version="9"
logging="no"
name="メーリングリスト"
enabled="yes"
type="17"
action="Move to folder"
actionValue="mailbox://nobody@Local%20Folders/mailinglist"
condition="AND (from,contains,mailinglist@example.com)"
このような内容が見えれば、正常にエクスポートできています。
方法2:アドオンを使う(上級者向け)

以前は「Thunderbird Message Filter Import/Export Enhanced」というアドオンが使えましたが、現在のThunderbirdバージョンでは動作しません。
アドオンの状況
2024年12月現在:
- 古いアドオンは最新のThunderbirdと互換性がない
- 公式のエクスポート・インポート機能は未実装
- 手動でのファイルコピーが最も確実
過去に使えたアドオン:
- Thunderbird Message Filter Import/Export Enhanced
- Thunderbird Message Filter Import/Export
これらはThunderbird 68以前のバージョンでは動作しましたが、現在は使用できません。
なぜ標準機能がないの?
Thunderbirdは歴史の長いソフトウェアで、フィルターのエクスポート機能は長年要望されていますが、まだ実装されていません。
代替手段:
- 手動でのファイルコピー(本記事で解説)
- プロファイル全体のバックアップ
- サードパーティのバックアップツール(MozBackupなど、ただし最新版では動作しない場合あり)
インポート方法:別のPCや環境に移行
エクスポートしたフィルターを、別のPCやアカウントにインポートする方法を解説します。
事前準備
インポート前に確認すべきこと:
- 移行先のThunderbirdにアカウントが設定済み
- フィルターをインポートする先のアカウントが必要
- まだなら先にアカウント設定を完了させる
- フォルダ構造が同じかどうか
- フィルターが使用するフォルダが移行先にも存在するか
- 存在しない場合は、先にフォルダを作成
- バックアップを取る
- 移行先に既存のフィルターがある場合、バックアップ
- 失敗しても元に戻せるように
ステップ1:移行先のThunderbirdを終了
エクスポートと同様、必ずThunderbirdを完全に終了してください。
ステップ2:移行先のmsgFilterRules.datを見つける
手順:
- 移行先のPCでプロファイルフォルダを開く
- 「Mail」または「ImapMail」フォルダを開く
- インポート先のアカウントのフォルダを開く
- 「msgFilterRules.dat」ファイルを見つける
もしファイルが存在しない場合:
- Thunderbirdを起動
- そのアカウントでダミーのフィルターを1つ作成
- Thunderbirdを終了
- 再度確認すると「msgFilterRules.dat」が作成されている
ステップ3:既存のフィルターをバックアップ(重要)
移行先に既にフィルターがある場合、念のためバックアップします。
手順:
- 既存の「msgFilterRules.dat」ファイルをコピー
- 同じフォルダ内に「msgFilterRules_old.dat」などの名前で保存
- または別の場所にバックアップ
ステップ4:フィルターをインポート
2つの方法があります。
方法A:完全置き換え(既存のフィルターを上書き)
移行先に既存のフィルターがない場合、または完全に置き換えたい場合。
手順:
- エクスポートした「msgFilterRules.dat」ファイルをコピー
- 移行先の場所に貼り付け
- 既存のファイルがあれば「上書きする」を選択
方法B:追加(既存のフィルターを残す)
移行先に既にフィルターがあり、それに追加したい場合。
手順:
- 移行先の「msgFilterRules.dat」ファイルをテキストエディタで開く
- エクスポートした「msgFilterRules.dat」ファイルもテキストエディタで開く
- エクスポートしたファイルの内容をコピー
- 移行先のファイルの最後に貼り付け
- ファイルを保存して閉じる
注意点:
- ファイルの先頭にある
version="9"などの行は1つだけにする - フィルターの定義部分のみをコピー・貼り付け
ステップ5:Thunderbirdを起動して確認
確認手順:
- Thunderbirdを起動
- 「ツール」→「メッセージフィルタ」
- インポートしたアカウントを選択
- フィルター一覧が表示される
- すべてのフィルターが正しくインポートされているか確認
ステップ6:フィルターをテスト
テスト方法:
- テスト用のメールを受信または作成
- 「ツール」→「メッセージフィルタ」
- 「選択したフォルダでフィルタを実行」をクリック
- フィルターが正しく動作するか確認
動作しない場合の主な原因:
- フォルダ名が異なる
- アカウント名が異なる
- フィルターが無効になっている
フォルダ構造の違いに対処する
フィルターは特定のフォルダにメールを振り分けるため、フォルダ構造が異なると動作しません。
問題の例
移行元:
- 「仕事」フォルダに振り分け
- 「プロジェクトA」フォルダに振り分け
移行先:
- これらのフォルダが存在しない
- フィルターは動作しない(またはエラー)
解決方法1:移行前にフォルダを作成
推奨手順:
- エクスポートする前に、使用しているフォルダのリストを作成
- 移行先で同じフォルダ構造を作成
- フォルダ名を完全に一致させる
- その後、フィルターをインポート
解決方法2:インポート後に修正
手順:
- フィルターをインポート
- 「ツール」→「メッセージフィルタ」
- 各フィルターを開いて確認
- 存在しないフォルダを指定しているフィルターを修正
- 正しいフォルダを選択し直す
解決方法3:msgFilterRules.datを編集
上級者向け:
テキストエディタでファイルを直接編集し、フォルダパスを変更できます。
手順:
- 「msgFilterRules.dat」をテキストエディタで開く
actionValue行を探す(フォルダパスが記述されている)- 古いフォルダ名を新しいフォルダ名に置換
- ファイルを保存
例:
変更前:
actionValue="mailbox://nobody@Local%20Folders/old-folder"
変更後:
actionValue="mailbox://nobody@Local%20Folders/new-folder"
注意:
- スペースは
%20に置き換えられる - 日本語は複雑にエンコードされる
- 間違えるとフィルターが動かなくなるので、必ずバックアップを取る
複数アカウント間でフィルターをコピー
同じフィルターを複数のアカウントで使いたい場合の方法です。
シナリオ
例:
- Gmailアカウントで設定したフィルター
- 会社のメールアカウントでも同じフィルターを使いたい
手順
ステップ1:元のアカウントのフィルターをバックアップ
- Gmailアカウントの「msgFilterRules.dat」をコピー
ステップ2:コピー先のアカウントを確認
- 会社アカウントのフォルダ構造を確認
- 必要なフォルダを作成
ステップ3:フィルターをコピー
- Thunderbirdを終了
- バックアップした「msgFilterRules.dat」を会社アカウントの場所にコピー
ステップ4:起動して確認
- Thunderbirdを起動
- 会社アカウントのフィルター一覧を確認
- 正しく動作するかテスト
注意点
アカウント固有の設定:
一部のフィルターは、アカウント固有の情報を含む場合があります。
例:
- メールアドレスを使った条件
- サーバー固有のフォルダ
これらは手動で修正が必要な場合があります。
トラブルシューティング
インポート後にうまく動かない場合の対処法です。
問題1:フィルターが表示されない
症状:
- インポートしたはずのフィルターが一覧に表示されない
原因:
- ファイルが正しい場所にない
- Thunderbirdが起動中だった
- ファイルが破損している
解決方法:
- Thunderbirdを完全に終了
- ファイルの場所を再確認
- 正しい場所にコピーし直す
- Thunderbirdを起動
問題2:フィルターが無効になっている
症状:
- フィルターは表示されるが、チェックが外れている(無効)
原因:
- フォルダが存在しない
- エラーが発生してThunderbirdが自動的に無効化
解決方法:
- 各フィルターを開いて内容を確認
- 存在しないフォルダを使っていないか確認
- 必要なフォルダを作成
- フィルターを有効に設定(チェックを入れる)
問題3:一部のフィルターだけ動作しない
症状:
- あるフィルターは動くが、別のフィルターは動かない
原因:
- 条件やアクションの設定が環境に合っていない
- カスタムヘッダーを使っている(移行先に設定がない)
解決方法:
- 動かないフィルターを開く
- 条件とアクションを確認
- 必要に応じて修正
- カスタムヘッダーを使っている場合:
- 「ツール」→「設定」→「一般」→「設定エディター」
mailnews.customHeadersを検索- 必要な設定を追加
問題4:フィルターの順序がおかしい
症状:
- フィルターの実行順序が意図と異なる
原因:
- インポート時に順序が変わった
解決方法:
- 「ツール」→「メッセージフィルタ」
- フィルターを選択
- 「上へ」「下へ」ボタンで順序を調整
- 正しい順序に並べ替え
問題5:文字化けやエンコーディングエラー
症状:
- フィルター名やフォルダ名が文字化けしている
原因:
- 文字エンコーディングの違い(Windows↔Mac、日本語環境など)
解決方法:
- テキストエディタで「msgFilterRules.dat」を開く
- 文字エンコーディングを「UTF-8」に設定して保存
- 再度インポート
- それでもダメな場合は、フィルターを手動で再作成
問題6:インポート後にThunderbirdが起動しない
症状:
- フィルターをインポートしたら、Thunderbirdが起動しなくなった
原因:
- 「msgFilterRules.dat」ファイルに構文エラーがある
- ファイルが破損している
解決方法:
- Thunderbirdを終了
- バックアップしておいた元の「msgFilterRules.dat」に戻す
- Thunderbirdを起動して動作確認
- エクスポートしたファイルをテキストエディタで開いて、明らかなエラーがないか確認
- 問題のある部分を修正してから再度インポート
定期的なバックアップのすすめ

フィルター設定を失わないために、定期的なバックアップを習慣化しましょう。
バックアップのタイミング
推奨:
- フィルターを追加・変更した後
- 重要なフィルターを設定したら、すぐバックアップ
- 定期的に(月1回程度)
- カレンダーにリマインダーを設定
- 毎月第一日曜日など、決まった日に
- Thunderbirdのアップデート前
- 大型アップデートの前には必ずバックアップ
- OSの再インストール前
- WindowsやmacOSを再インストールする前
- PCの買い替え時
- 新しいPCに移行する前
バックアップの保存先
推奨する保存先:
- 外部ストレージ
- USBメモリ
- 外付けHDD/SSD
- クラウドストレージ
- Googleドライブ
- Dropbox
- OneDrive
- 別のパソコン
- ネットワーク経由でコピー
- 複数の場所
- 重要なら、2〜3箇所にバックアップ
バックアップのベストプラクティス
推奨方法:
- 日付を含むフォルダ名
- 例:
Thunderbird_Filters_2025-12-10 - いつのバックアップか一目でわかる
- アカウントごとに整理
- 各アカウントのファイルを別々に保存
- 復元時に間違えない
- 古いバックアップも数世代残す
- 最新のバックアップだけでなく、過去3〜6ヶ月分も保存
- 万が一、最新のバックアップに問題があっても安心
- テスト復元
- 半年に1回程度、実際に復元できるか確認
- バックアップファイルが正常か検証
自動バックアップの設定
手動バックアップは忘れがちなので、自動化すると安心です。
方法1:バッチファイル(Windows)
手順:
- メモ帳を開く
- 以下のスクリプトを入力(パスは自分の環境に合わせて変更):
@echo off
set SOURCE=C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\<プロファイル名>
set DEST=D:\Backup\Thunderbird_Filters\%date:~0,4%%date:~5,2%%date:~8,2%
mkdir "%DEST%"
xcopy "%SOURCE%\Mail" "%DEST%\Mail" /E /I /Y
xcopy "%SOURCE%\ImapMail" "%DEST%\ImapMail" /E /I /Y
echo Backup completed!
pause
- 「Thunderbird_Filter_Backup.bat」という名前で保存
- ダブルクリックで実行
方法2:タスクスケジューラ(Windows)
手順:
- Windowsの「タスクスケジューラ」を開く
- 「基本タスクの作成」をクリック
- タスク名:「Thunderbirdフィルターバックアップ」
- トリガー:「毎月」を選択
- 日付:毎月1日など
- 操作:「プログラムの開始」
- プログラム:上記のバッチファイルを選択
- 完了
方法3:クラウド同期(上級者向け)
注意: この方法は上級者向けで、リスクもあります。
アイデア:
- フィルターファイルをクラウドストレージに配置
- シンボリックリンクを使用
- 複数のPCで同じフィルターを自動同期
リスク:
- 同期タイミングによってはファイルが破損する可能性
- Thunderbirdの起動中に同期されると問題が発生
推奨:
- 定期的な手動バックアップの方が安全
- 自動化は補助的に使用
プロファイル全体のバックアップも検討
フィルターだけでなく、Thunderbird全体をバックアップする方法もあります。
プロファイル全体をバックアップするメリット
含まれるもの:
- メールフィルター
- アカウント設定
- メールデータ
- アドレス帳
- 拡張機能(アドオン)
- すべての設定
メリット:
- すべてを一度にバックアップ
- 復元も簡単
- Thunderbirdの完全な状態を保存
プロファイル全体のバックアップ方法
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダ全体をコピー
- 外部ストレージやクラウドに保存
復元方法:
- Thunderbirdをインストール
- 一度起動して終了(プロファイルフォルダが作成される)
- バックアップしたプロファイルフォルダで置き換え
- Thunderbirdを起動
プロファイル全体 vs フィルターのみ
プロファイル全体のバックアップが向いている場合:
- PCを完全に移行する
- OSを再インストールする
- すべての設定をそのまま移行したい
フィルターのみのバックアップが向いている場合:
- フィルターだけを別のアカウントにコピーしたい
- バックアップサイズを小さくしたい
- 特定の設定だけを移行したい
よくある質問
Q1: msgFilterRules.datファイルが見つかりません
回答: フィルターを一つも作成していない場合、ファイルは存在しません。
解決方法:
- Thunderbirdで任意のフィルターを1つ作成
- Thunderbirdを再起動
- 再度確認すると「msgFilterRules.dat」が作成されている
Q2: 複数のアカウントのフィルターを一つのファイルにまとめられますか?
回答: 技術的には可能ですが、推奨しません。
理由:
- フィルターはアカウント固有の設定を含む
- フォルダパスがアカウントごとに異なる
- まとめると管理が複雑になる
推奨方法:
- アカウントごとに別々のファイルとして管理
- 必要に応じて、各アカウントに個別にコピー
Q3: テキストエディタで開いたら文字化けしています
回答: 文字エンコーディングの問題です。
解決方法:
- UTF-8対応のテキストエディタを使用
- Windows: Notepad++、VSCode
- Mac: TextEdit、VSCode
- エンコーディングを「UTF-8」に設定して開く
- 保存時も「UTF-8」で保存
Q4: Windows→Mac(またはその逆)に移行できますか?
回答: 可能ですが、パスの調整が必要な場合があります。
注意点:
- フォルダパスの区切り文字が異なる(
\vs/) - 多くの場合、Thunderbirdが自動的に調整
- 動作しない場合は、フィルターを手動で確認・修正
Q5: フィルターをCSVやJSON形式でエクスポートできますか?
回答: 標準機能ではできません。
代替方法:
- msgFilterRules.datはプレーンテキストなので、スクリプトで変換は可能
- ただし、プログラミング知識が必要
- 通常は、msgFilterRules.datのまま扱うのが最も簡単
Q6: バックアップから復元したら、一部のフィルターが動きません
回答: フォルダ構造の違いが原因です。
解決方法:
- 動かないフィルターを開く
- 「フォルダに移動」などのアクションを確認
- 指定されているフォルダが存在するか確認
- 存在しない場合は、フォルダを作成するか、別のフォルダを指定
Q7: Thunderbirdのバージョンが異なっても移行できますか?
回答: 基本的に可能です。
注意点:
- 大幅にバージョンが異なる場合(例:52 → 128)、一部の設定が互換性がない可能性
- 移行後は必ず動作確認
- 問題があれば、フィルターを再作成
Q8: フィルターを他のメールソフトに移行できますか?
回答: 直接は難しいですが、手動で再作成は可能です。
理由:
- 各メールソフトは独自のフィルター形式を使用
- 自動変換ツールは限定的
方法:
- msgFilterRules.datをテキストエディタで開く
- フィルターのルールを確認
- 移行先のメールソフトで手動で同じルールを作成
まとめ
Thunderbirdのフィルターをエクスポート・インポートする方法を解説してきました。
重要なポイント
エクスポート:
- Thunderbirdを完全に終了
- プロファイルフォルダを開く
- Mail/ImapMailフォルダ内のmsgFilterRules.datをコピー
- 安全な場所にバックアップ
インポート:
- Thunderbirdを完全に終了
- 移行先の同じ場所にファイルをコピー
- 既存のファイルがあれば、事前にバックアップ
- Thunderbirdを起動して動作確認
トラブル回避:
- 必ずThunderbirdを終了してから作業
- 元のファイルはバックアップを取る
- フォルダ構造を揃える
- 動作確認を忘れずに
推奨するワークフロー
通常のバックアップ:
- 月1回、定期的にmsgFilterRules.datをバックアップ
- クラウドストレージに保存
- 日付入りのフォルダで管理
PC移行時:
- 移行前にすべてのアカウントのmsgFilterRules.datをバックアップ
- 新PCでThunderbirdをインストール&アカウント設定
- 必要なフォルダを作成
- msgFilterRules.datをコピー
- 起動して動作確認&テスト
複数アカウント管理:
- アカウントごとにフォルダを分けてバックアップ
- 各ファイルに元のサーバー名をメモ
- 定期的にすべてをバックアップ
最終チェックリスト
フィルターのエクスポート・インポート時には、以下を確認しましょう:
エクスポート前:
□ Thunderbirdを終了した
□ どのアカウントのフィルターか把握している
□ バックアップ先を決めた
□ ファイル名を区別できるようにした
インポート前:
□ 移行先のThunderbirdにアカウントが設定されている
□ 必要なフォルダが存在する
□ 既存のフィルターをバックアップした
□ Thunderbirdを終了した
インポート後:
□ フィルターが一覧に表示される
□ すべてのフィルターが有効になっている
□ テストメールで動作確認した
□ フォルダ振り分けが正しく動作する
これで、安心してThunderbirdのフィルターをエクスポート・インポートできます!
大切なメール整理ルールを失わないように、定期的なバックアップを忘れずに。パソコンを買い替えても、すぐに同じ環境で使えるようになりますよ。
この記事があなたのメール管理を快適にする手助けになれば幸いです。効率的なメールライフを!

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