Thunderbirdで複数のメールアカウントを使っていると、こんな経験はありませんか?
「仕事用で送りたいのに、プライベート用のアカウントで送信してしまった」
「毎回アカウントを選び直すのが面倒…」
「新しいメールを書くとき、いつも違うアカウントになっている」
実は、これらの問題は「既定のアカウント」の設定で解決できます。既定のアカウントを変更すれば、新規メール作成時に自動的に選ばれるアカウントをコントロールできるんです。
この記事では、Thunderbirdの既定のアカウントを変更する方法から、複数アカウントを使いこなすコツまで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
既定のアカウントとは?基本を理解しよう

まずは、既定のアカウントの意味を押さえておきましょう。
既定のアカウントとは?
既定のアカウント(デフォルトアカウント)とは、Thunderbirdで優先的に使用されるメールアカウントのことです。特に指定しない限り、このアカウントが自動的に選ばれます。
「デフォルト」や「標準」と呼ばれることもありますが、意味は同じです。
既定のアカウントが使われる場面
既定のアカウントは、次のような場面で自動的に選ばれます。
新規メール作成時
- 「作成」ボタンを押したとき
- ショートカットキー(Ctrl+N)でメールを作成したとき
- 既定のアカウントの「差出人」が自動的に選ばれる
アドレス帳から送信時
- アドレス帳の連絡先を右クリックして「メールを作成」を選んだとき
- 既定のアカウントで新規メールが開く
外部アプリからの送信
- ウェブサイトの「メールを送る」リンクをクリックしたとき
- 他のアプリから「メールで送信」を選んだとき
- 既定のアカウントが使われる
つまり、最もよく使うアカウントを既定に設定しておくと便利なんです。
既定のアカウントを変更する方法
それでは、実際に既定のアカウントを変更してみましょう。
変更手順(基本)
- Thunderbirdを開く
- メニューバーの「ツール」をクリック
- 「アカウント設定」を選択
- 左側のアカウント一覧が表示される
- 既定にしたいアカウントを右クリック
- 「既定のアカウントに設定」を選択
これだけで、既定のアカウントが変更されます。
メニューバーが表示されていない場合
Thunderbirdのメニューバーが見えない場合は、次の方法で表示できます。
- 画面右上の「≡」(ハンバーガーメニュー)をクリック
- 「設定」→「アカウント設定」を選択
または:
- キーボードの「Alt」キーを押す
- メニューバーが一時的に表示される
- 「ツール」→「アカウント設定」を選択
変更の確認方法
既定のアカウントが変更されたか確認しましょう。
- 「作成」ボタンをクリックして新規メールを開く
- 「差出人」欄を確認
- 変更したアカウントが選ばれていればOK
もし違うアカウントになっている場合は、もう一度設定を確認してください。
既定のアカウントの見分け方
どのアカウントが既定になっているか、一目で確認できます。
アカウント設定画面での確認
アカウント設定を開くと、既定のアカウントには特別な表示があります。
- アカウント名の横に「(既定)」と表示される
- または太字で表示される
- 一番上に配置されていることが多い
メインウィンドウでの確認
Thunderbirdのメイン画面でも確認できます。
- 左側のフォルダーペインを見る
- アカウント一覧の中で、上から何番目にあるかチェック
- ただし、並び順は変更できるため、確実なのはアカウント設定画面
複数アカウント使用時の便利な設定
既定のアカウント以外にも、複数アカウントを使いやすくする設定があります。
返信時のアカウント自動選択
受信したメールに返信するとき、自動的に同じアカウントで返信する設定です。
- 「ツール」→「アカウント設定」を開く
- 変更したいアカウントを選択
- 「差出人情報」セクションを確認
- 「返信時は受信したアカウントのアドレスを使用する」にチェック
これで、仕事用メールには仕事用アカウントで、プライベートメールにはプライベートアカウントで自動的に返信できます。
送信時のアカウント選択を保存
前回使ったアカウントを記憶する設定もあります。
- 「ツール」→「設定」を開く
- 「編集」タブを選択
- 「作成」セクションを探す
- 関連する設定を確認
ただし、この機能はThunderbirdのバージョンによって異なります。
特定のフォルダから送信時のアカウント
特定のフォルダを開いている状態で「作成」をクリックしたとき、そのフォルダのアカウントを使う設定もあります。
多くの場合、これがデフォルトの動作になっています。仕事用フォルダを開いていれば仕事用アカウント、プライベートフォルダを開いていればプライベートアカウントが選ばれます。
アカウントの並び順を変更する
既定のアカウント以外にも、アカウントの表示順序を変更できます。
並び替えの方法
- 「ツール」→「アカウント設定」を開く
- 左側のアカウント一覧を確認
- 移動したいアカウントを選択
- リストの下にある「上へ」「下へ」ボタンをクリック
- 好きな順序に並び替える
よく使うアカウントを上に配置すると、アクセスしやすくなります。
既定のアカウントは常に最上位?
いいえ、既定のアカウントと並び順は別の設定です。既定のアカウントでなくても、一番上に配置することはできます。
ただし、並び順を変えても既定のアカウントは変わらないので注意してください。
送信時にアカウントを手動で切り替える方法
既定のアカウントが設定されていても、メールごとにアカウントを変更できます。
新規メール作成時の切り替え
- 「作成」ボタンで新規メールを開く
- 「差出人」欄を確認
- 差出人欄をクリック
- ドロップダウンメニューから別のアカウントを選択
これで、そのメールだけ別のアカウントで送信できます。
返信時の切り替え
返信する際も、同じように差出人を変更できます。
- メールに返信ボタンをクリック
- 返信画面が開く
- 「差出人」欄から別のアカウントを選択
間違えて別のアカウントで返信しそうになっても、送信前なら変更できます。
転送時の切り替え
転送するときも、差出人は自由に選べます。転送元のメールがどのアカウントで受信したものでも、任意のアカウントで転送できるんです。
既定のアカウントが変更できない場合の対処法

時々、設定がうまくいかないこともあります。
問題1:「既定のアカウントに設定」が選択できない
右クリックメニューにこの項目が表示されない、またはグレーアウトしている場合です。
対処法
- すでにそのアカウントが既定になっている
- Thunderbirdを再起動してみる
- アカウント設定を一度閉じて、再度開く
問題2:変更しても反映されない
既定のアカウントを変更したのに、新規メールで別のアカウントが選ばれる場合です。
対処法
- Thunderbirdを完全に終了
- プロセスが残っていないか確認(タスクマネージャーで確認)
- 再度Thunderbirdを起動
- アカウント設定を確認
問題3:特定のフォルダから送信すると別のアカウントになる
これは不具合ではなく、仕様です。
対処法
- フォルダと関連付けられたアカウントが優先される
- 既定のアカウントで送りたい場合は、そのアカウントのフォルダを開いてから「作成」をクリック
- または、差出人を手動で変更
複数アカウントの管理ベストプラクティス
複数のメールアカウントを効率的に使うコツです。
ルール1:メインアカウントを既定に
最も頻繁に使うアカウントを既定に設定しましょう。仕事でよく使うなら仕事用、プライベートが多いならプライベート用を既定にします。
ルール2:送信前に必ず差出人を確認
慣れるまでは、送信ボタンを押す前に必ず「差出人」欄を確認する習慣をつけましょう。誤送信を防げます。
ルール3:アカウントごとに色分け
Thunderbirdの設定で、アカウントごとに色を設定できます。視覚的に区別しやすくなります。
- 「ツール」→「アカウント設定」
- 各アカウントの設定で色を選択
- フォルダーペインで色分けされる
ルール4:署名でアカウントを区別
各アカウントに異なる署名を設定すると、どのアカウントで送信しようとしているか分かりやすくなります。
- 「ツール」→「アカウント設定」
- 各アカウントを選択
- 下部の「署名を追加」セクションで設定
ルール5:フォルダー構造を整理
アカウントごとにフォルダーを整理して、どのアカウントのメールか一目で分かるようにしましょう。
実践的な使い分けシナリオ
具体的な使用例を見てみましょう。
シナリオ1:仕事とプライベートの使い分け
設定:
- 仕事用アカウントを既定に設定
- 平日は仕事用フォルダを開いておく
- 週末はプライベート用フォルダに切り替え
メリット:
- 新規メール作成時、ほぼ自動的に適切なアカウントが選ばれる
- 意識せずに正しいアカウントで送信できる
シナリオ2:複数の仕事用アカウント
設定:
- メインの会社メールを既定に設定
- プロジェクトごとのアカウントは手動で切り替え
- 返信時は自動的に同じアカウントを使用
メリット:
- ほとんどの場面で既定のアカウントが使われる
- 特定のプロジェクトだけ、意識的に切り替える
シナリオ3:個人事業主の使い分け
設定:
- ビジネス用アカウントを既定に
- 問い合わせ専用アカウントは別管理
- アカウントごとに色分けして視覚的に区別
メリット:
- クライアントとのやり取りは既定のアカウント
- 問い合わせ対応だけ別アカウント
- 誤送信のリスクが減る
アカウント設定のバックアップ
既定のアカウント設定も含めて、すべての設定をバックアップしましょう。
プロファイルのバックアップ
Thunderbirdの設定は、プロファイルフォルダに保存されています。
Windowsの場合
- 「Win + R」キーを押す
- 「%APPDATA%\Thunderbird\Profiles」と入力
- プロファイルフォルダが開く
- フォルダ全体をコピーして保存
Macの場合
- Finderを開く
- 「移動」→「フォルダへ移動」
- 「~/Library/Thunderbird/Profiles」と入力
- フォルダをバックアップ
復元方法
バックアップしたプロファイルフォルダを元の場所に戻せば、すべての設定が復元されます。
既定のアカウントと他の設定の関係
既定のアカウント設定は、他の機能にも影響します。
カレンダー機能
Thunderbirdにカレンダー機能を追加している場合、既定のアカウントと連携することがあります。カレンダーの招待メールも、既定のアカウントで送信される可能性があります。
アドレス帳
アドレス帳から直接メールを送る場合、既定のアカウントが使われます。特定のアカウントで送りたい場合は、送信前に確認しましょう。
自動返信・不在通知
自動返信や不在通知を設定する場合、アカウントごとに個別に設定する必要があります。既定のアカウントだけでなく、すべてのアカウントで設定を確認しましょう。
よくある質問
Q. 既定のアカウントは複数設定できますか?
いいえ、既定のアカウントは1つだけです。ただし、状況に応じて頻繁に変更することは可能です。
Q. 既定のアカウントを設定しなくても使えますか?
Thunderbirdは、少なくとも1つのアカウントがあれば動作します。その場合、そのアカウントが自動的に既定になります。
Q. 削除したアカウントが既定だった場合は?
次に優先順位の高いアカウント(通常は一番上にあるアカウント)が自動的に既定になります。
Q. モバイル版Thunderbirdでも既定のアカウントを設定できますか?
モバイル版の機能は限定的ですが、基本的な設定は可能です。ただし、操作方法が異なる場合があります。
Q. 既定のアカウントを変更すると、過去のメールに影響しますか?
いいえ、既定のアカウントの変更は今後の新規メールにのみ影響します。過去の受信メールや送信済みメールは変わりません。
トラブルシューティング:送信エラー
既定のアカウント関連で起きるエラーと対処法です。
エラー:「差出人のアドレスが無効です」
既定のアカウントの設定に問題がある可能性があります。
対処法
- 「ツール」→「アカウント設定」を開く
- 既定のアカウントを選択
- 「差出人情報」を確認
- メールアドレスが正しく入力されているか確認
- 必要なら再入力して保存
エラー:「SMTPサーバーが見つかりません」
既定のアカウントのSMTP設定(送信サーバー設定)に問題があります。
対処法
- アカウント設定を開く
- 左下の「送信(SMTP)サーバー」を選択
- 既定のアカウントに対応するSMTPサーバーを確認
- サーバー名、ポート、認証設定を確認
セキュリティ上の注意点
複数アカウントを使う際は、セキュリティにも注意しましょう。
注意点1:アカウントの誤用
仕事用とプライベート用を間違えると、機密情報が漏れる可能性があります。送信前の確認を徹底しましょう。
注意点2:フィッシング対策
受信したメールに返信する際、差出人を確認してください。フィッシングメールに誤って返信しないよう注意が必要です。
注意点3:アカウントの権限
複数のアカウントを1台のパソコンで管理する場合、パソコン自体のセキュリティを強化しましょう。パスワード保護やログイン認証を設定してください。
まとめ:既定のアカウントを使いこなして快適メール生活
Thunderbirdの既定のアカウント設定を理解すれば、複数アカウントの管理が格段に楽になります。
この記事のポイント
- 既定のアカウントは新規メール作成時に自動的に選ばれる
- アカウント設定で右クリックすれば簡単に変更できる
- よく使うアカウントを既定に設定すると効率的
- 返信時は自動的に同じアカウントを使う設定も便利
- 送信前に必ず差出人を確認する習慣が大切
- アカウントごとに色分けすると見やすい
特に重要なのは、送信前に差出人を確認することです。慣れるまでは、送信ボタンを押す前に一呼吸置いて、確認する習慣をつけましょう。
複数のメールアカウントを使い分けるのは、最初は少し複雑に感じるかもしれません。でも、既定のアカウントの設定を理解して、自分の使い方に合わせて調整すれば、とても便利に使えます。
仕事とプライベート、複数の仕事、お客様対応など、様々なシーンでメールを使い分けられるようになれば、メール作業がもっとスムーズになるはずです。
さあ、今すぐThunderbirdを開いて、既定のアカウントを確認してみましょう!
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