「Thunderbirdのカレンダーを、スマホやタブレットと同期したい!」
カレンダーを複数のデバイスで共有できれば、どこにいても最新の予定を確認できて便利ですよね。
Thunderbirdは、Googleカレンダー、iCloud、Outlook.comなど、さまざまなオンラインカレンダーサービスと同期できます。
この記事では、Thunderbirdのカレンダー同期の設定方法と、同期がうまくいかない時のトラブル解決法を詳しく解説していきます。
カレンダー同期の基本知識

まず、同期の仕組みについて理解しておきましょう。
同期って何?
同期(シンク)とは、複数のデバイスやアプリケーションで、同じカレンダーデータを共有し、常に最新の状態に保つことです。
例:
- ThunderbirdのPCで予定を追加 → スマホのカレンダーアプリにも自動的に反映
- スマホで予定を変更 → Thunderbirdにも自動的に反映
一方向同期と双方向同期
一方向同期(読み取り専用):
- オンラインカレンダーの内容をThunderbirdで「見るだけ」
- Thunderbird側から予定の追加・編集はできない
- 設定が簡単
双方向同期(読み書き可能):
- どちらからでも予定の追加・編集・削除ができる
- 変更がリアルタイムで同期される
- CalDAV方式を使う必要がある
CalDAVとは
CalDAV(カルダブ)は、カレンダーデータを同期するための国際標準プロトコル(通信規格)です。
Googleカレンダー、iCloud、Outlook.comなど、主要なサービスがCalDAVに対応しているため、これを使えば双方向同期が可能になります。
Googleカレンダーとの同期設定
最も多く使われているGoogleカレンダーとの同期方法を詳しく解説します。
方法1:CalDAVで双方向同期(推奨)
最も確実で機能的な方法です。
手順1:Googleアカウントの準備
2段階認証を使っている場合は、アプリパスワードが必要です。
アプリパスワードの取得方法:
- Googleアカウント(https://myaccount.google.com/)にログイン
- 左メニューから「セキュリティ」を選択
- 「2段階認証プロセス」をクリック
- 下にスクロールして「アプリパスワード」をクリック
- アプリを「メール」、デバイスを「Windowsパソコン」などに設定
- 「生成」をクリック
- 表示された16桁のパスワードをコピー
手順2:ThunderbirdでCalDAV接続
- Thunderbirdのカレンダー画面を開く
- 左側のカレンダー一覧の空白部分を右クリック
- 「新しいカレンダー」を選択
- 「ネットワークのサーバーに保存する」を選択して「次へ」
- ユーザー名にGmailアドレスを入力
- 「ネットワーク上を検索」をクリック
- パスワードを入力(アプリパスワードまたは通常のパスワード)
- 検出されたGoogleカレンダーの一覧が表示される
- 同期したいカレンダーを選択して「次へ」
- カレンダー名と色を設定
- 「次へ」→「完了」
これで、Googleカレンダーとの双方向同期が設定されます。
手順3:複数のGoogleカレンダーを追加
Googleアカウントには、複数のカレンダー(仕事用、プライベート用など)が存在することがあります。
手順2を繰り返すことで、すべてのカレンダーを追加できます。
方法2:手動でCalDAV URLを入力
自動検出がうまくいかない場合の方法です。
手順:
- 「新しいカレンダー」→「ネットワークのサーバーに保存する」
- 場所に以下のURLを入力:
https://apidata.googleusercontent.com/caldav/v2/自分のGmailアドレス/events
(例:https://apidata.googleusercontent.com/caldav/v2/yamada@gmail.com/events
)
- ユーザー名:Gmailアドレス
- パスワード:アプリパスワード(または通常のパスワード)
- 「次へ」で進む
特定のGoogleカレンダーのCalDAV URL
メインカレンダー以外(共有カレンダーなど)を追加する場合:
- ブラウザでGoogleカレンダーを開く
- 左側のカレンダー一覧から、追加したいカレンダーの「︙」→「設定と共有」
- 「カレンダーの統合」セクションで「カレンダーID」を確認(例:abcdef@group.calendar.google.com)
- ThunderbirdでCalDAV URLに以下を入力:
https://apidata.googleusercontent.com/caldav/v2/カレンダーID/events
iCloudカレンダーとの同期設定
Appleユーザー向けのiCloudカレンダー同期方法です。
手順1:iCloudのアプリ用パスワードを取得
- ブラウザでApple ID管理画面(https://appleid.apple.com/)にログイン
- 「セキュリティ」セクションで「App用パスワード」をクリック
- 「パスワードを生成」をクリック
- ラベルに「Thunderbird」と入力
- 生成されたパスワードをコピー
手順2:ThunderbirdでiCloud CalDAVを設定
- Thunderbirdのカレンダー画面で「新しいカレンダー」
- 「ネットワークのサーバーに保存する」を選択
- ユーザー名にApple ID(メールアドレス)を入力
- 「ネットワーク上を検索」をクリック
- パスワードにApp用パスワードを入力
- iCloudカレンダーが検出される
- 同期したいカレンダーを選択して完了
手動でiCloud CalDAV URLを入力
自動検出が失敗する場合:
https://caldav.icloud.com
このURLを場所として入力し、Apple IDとApp用パスワードで認証してください。
Outlook.com(Hotmail)との同期設定
Microsoftのカレンダーサービスとの同期方法です。
手順:Outlook.com CalDAV設定
- 「新しいカレンダー」→「ネットワークのサーバーに保存する」
- ユーザー名にOutlook.comのメールアドレスを入力
- 「ネットワーク上を検索」をクリック
- パスワードを入力
- 検出されたOutlookカレンダーを選択
手動URL入力の場合
https://outlook.office365.com/owa/calendar/
ユーザー名とパスワードはOutlook.comのアカウント情報を使用します。
その他のカレンダーサービスとの同期
Nextcloud、ownCloudとの同期
セルフホスティング型のカレンダーサービスです。
手順:
- 「新しいカレンダー」→「ネットワークのサーバーに保存する」
- 場所に以下の形式でURLを入力:
https://あなたのサーバー/remote.php/dav/calendars/ユーザー名/カレンダー名/
- ユーザー名とパスワードを入力
Yahoo!カレンダー
Yahoo!カレンダーは、CalDAVに公式対応していないため、直接同期は困難です。
代替案として、iCalendar形式でエクスポート/インポートする方法があります。
同期の設定とカスタマイズ
同期の動作を細かく調整する方法です。
同期間隔を変更する
デフォルトでは、数分ごとに自動同期されますが、間隔を変更できます。
手順:
- カレンダーを右クリック→「プロパティ」
- 「オフライン」タブを確認(Thunderbirdバージョンによって異なる)
- または、設定エディタで以下を変更:
calendar.network.checkInterval
:同期間隔(分単位)
手動で同期を実行
自動同期を待たずに、すぐに最新の状態にしたい場合:
手順:
- カレンダーを右クリック
- 「同期」または「更新」を選択
これで、即座にサーバーと同期されます。
同期範囲を制限
過去や未来の予定をどの範囲まで同期するか設定できます。
手順:
- カレンダーのプロパティを開く
- 同期範囲を設定(例:過去3ヶ月、未来6ヶ月)
これで、通信量を減らし、動作を軽くできます。
同期がうまくいかない時のトラブルシューティング
同期に関するよくある問題と解決法です。
トラブル1:認証エラーが出る
症状:
「認証に失敗しました」「ユーザー名またはパスワードが間違っています」
原因と対処法:
原因1:パスワードが間違っている
- 正しいパスワードを再入力
- 2段階認証を使っている場合は、アプリパスワードを使用
原因2:アカウントがロックされている
- ブラウザでGoogleやiCloudにログインできるか確認
- セキュリティ警告が出ていないか確認
原因3:CalDAVが有効になっていない
- Googleアカウントの設定で、CalDAVアクセスが許可されているか確認
トラブル2:予定が同期されない
症状:
Thunderbirdで予定を追加しても、Googleカレンダーに反映されない(またはその逆)
対処法:
手順1:手動同期を試す
- カレンダーを右クリック→「同期」
- しばらく待ってから、反対側を確認
手順2:読み取り専用になっていないか確認
- カレンダーを右クリック→「プロパティ」
- 「読み取り専用」にチェックが入っていたら外す
手順3:ネットワーク接続を確認
- インターネットに接続されているか確認
- ファイアウォールやVPNが通信をブロックしていないか確認
トラブル3:古い予定が残り続ける
症状:
削除したはずの予定が、Thunderbirdには残っている
対処法:
キャッシュをクリア:
- カレンダーを右クリック→「プロパティ」
- 「キャッシュをクリア」または類似のオプションを実行
- Thunderbirdを再起動
トラブル4:重複した予定が表示される
症状:
同じ予定が2つ以上表示される
原因:
同じカレンダーを複数回追加している、または同期エラー
対処法:
- カレンダー一覧を確認し、重複しているカレンダーを削除
- 残った1つを同期
- それでも解決しない場合は、カレンダーを削除して再度追加
トラブル5:同期が遅い
症状:
予定を追加してから、反映されるまで時間がかかる
対処法:
- 同期間隔を短くする(前述の設定)
- 手動同期を実行
- インターネット速度が遅い場合は、同期範囲を制限
トラブル6:特定のカレンダーだけ同期されない
症状:
メインカレンダーは同期されるが、共有カレンダーは同期されない
対処法:
- 共有カレンダーを別途追加する必要がある
- CalDAV URLを手動で入力(前述の方法)
- カレンダーIDを確認して、正しいURLを使用
同期状態を確認する方法
現在の同期状態を把握する方法です。
最終同期時刻を確認
手順:
- カレンダーを右クリック→「プロパティ」
- 最終同期時刻が表示される(バージョンによる)
エラーログを確認
同期エラーが発生している場合、ログを確認できます。
手順:
- メニューから「ツール」→「エラーコンソール」
- カレンダー関連のエラーメッセージを探す
- エラー内容から問題を特定
テスト同期を実行
同期が正常に機能しているかテストする方法:
- Thunderbirdで新しい予定を作成
- 手動同期を実行
- ブラウザやスマホでオンラインカレンダーを確認
- 予定が反映されているか確認
複数デバイスでの同期戦略
PCだけでなく、スマホやタブレットでも同じカレンダーを使う方法です。
おすすめの同期構成
構成1:Googleカレンダーを中心にする
- ThunderbirdとGoogleカレンダーを同期
- スマホ・タブレットでGoogleカレンダーアプリを使用
- すべてのデバイスで自動的に同期
メリット:
- Googleのサーバーが中心なので信頼性が高い
- すべてのデバイスで統一されたUIと機能
構成2:iCloudを中心にする(Appleユーザー)
- ThunderbirdとiCloudカレンダーを同期
- iPhone、iPad、MacでiCloudカレンダーを使用
メリット:
- Apple製品間でシームレスに同期
- プライバシー重視
同期の遅延を最小限にする
ヒント:
- 同期間隔を短く設定(5分など)
- リアルタイム性が必要な場合は、Webブラウザ版を使う
- スマホアプリのプッシュ通知を有効にする
同期のセキュリティとプライバシー
安全に同期を使うための注意点です。
暗号化された通信
CalDAVは、HTTPS(暗号化された通信)を使うため、通信内容が傍受される心配はありません。
アプリパスワードを使う理由
アプリパスワードを使うことで、以下のメリットがあります:
- メインのパスワードを入力しなくて良い
- いつでも無効化できる(不正アクセス時など)
- デバイスごとに管理できる
公共のWi-Fiでの使用
公共のWi-Fiでも、HTTPSで暗号化されているため、基本的には安全です。
ただし、より慎重になりたい場合は、VPNを使用すると良いでしょう。
よくある質問
Q. ThunderbirdとGoogleカレンダー、どちらで予定を追加しても同期される?
A. はい、双方向同期です。
CalDAVで設定している場合、どちらから予定を追加・編集・削除しても、自動的に同期されます。
Q. 同期には通信量がかかる?
A. ごくわずかです。
カレンダーデータはテキスト情報なので、通信量は非常に少ないです。
モバイルデータでも問題なく使えます。
Q. オフラインでも予定を確認できる?
A. はい、できます。
Thunderbirdは、最後に同期した時点の予定をローカルに保存しているため、オフラインでも閲覧できます。
ただし、新しい予定の追加・編集は、次回オンライン時に同期されます。
Q. 会社のExchange Serverとも同期できる?
A. 可能ですが、追加設定が必要です。
ExchangeはCalDAVではなく、EWS(Exchange Web Services)という別のプロトコルを使います。
「TbSync」というアドオンを使うことで、Exchange Serverとも同期できます。
Q. 同期を一時停止できる?
A. はい、カレンダーのチェックを外すだけです。
カレンダー一覧で該当カレンダーのチェックを外すと、表示と同期が停止されます。
まとめ:カレンダー同期でどこでも予定管理
Thunderbirdのカレンダー同期を設定すれば、複数のデバイスで常に最新の予定を確認できます。
同期設定のポイント:
- CalDAVを使った双方向同期が最も便利
- Googleカレンダー、iCloud、Outlook.comに対応
- アプリパスワードを使って安全に接続
- 手動同期でトラブル時も対応可能
トラブル対策:
- 認証エラー → アプリパスワードの再取得
- 同期されない → 手動同期と読み取り専用の確認
- 重複表示 → カレンダーの削除と再追加
- 遅い → 同期間隔の調整
複数デバイス活用:
- Googleカレンダーを中心にした構成が最も汎用的
- Thunderbirdとスマホアプリで完璧な同期環境
同期設定は最初だけ少し手間がかかりますが、一度設定してしまえば、あとは自動的に同期され続けます。
この記事を参考に、快適なカレンダー同期環境を構築してくださいね!
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