「Thunderbirdのアドレス帳、なんとなく使ってるけど実はよく分かってない…」
そんな方、意外と多いのではないでしょうか?
Thunderbirdのアドレス帳は、連絡先を登録するだけでなく、グループ分けしたり、一斉メールを送ったり、別のメールソフトにデータを移行したりと、実はかなり便利な機能が揃っています。
この記事では、Thunderbirdのアドレス帳の基本的な使い方から、知っておくと便利な活用テクニックまで詳しく解説していきます。
Thunderbirdアドレス帳の基本を理解しよう

まずは、アドレス帳の基本的な仕組みを押さえておきましょう。
アドレス帳の開き方
アドレス帳を開く方法は複数あります。
方法1:ツールバーから開く
Thunderbirdのメイン画面上部にある「アドレス帳」ボタンをクリックします。
方法2:メニューバーから開く
「ツール」→「アドレス帳」の順にクリックします。
方法3:ショートカットキーを使う
Ctrl + Shift + B(Windows/Linux)または Command + Shift + B(Mac)を押します。
2種類のアドレス帳を理解する
Thunderbirdには、最初から2つのアドレス帳が用意されています。
個人用アドレス帳
自分で手動登録した連絡先が保存されます。取引先や友人など、管理したい連絡先はここに登録しましょう。
記録用アドレス帳
メールを送信すると、宛先のメールアドレスが自動的に記録されます。「あの人にメール送ったことあるけど、アドレスなんだっけ?」というときに便利です。
この自動記録機能は、設定で無効にすることもできます。
アドレス帳とアドレスリストの違い
Thunderbirdには「アドレス帳」と「アドレスリスト」という2つの概念があります。少し紛らわしいので、整理しておきましょう。
アドレス帳
連絡先を保存する「箱」のようなもの。「仕事用」「プライベート用」など、用途別に複数作成できます。
アドレスリスト(メーリングリスト)
複数の連絡先をまとめた「グループ」のこと。一斉メールを送るときに便利です。アドレス帳の中に作成します。
イメージ図:
アドレス帳(仕事用)
├── 田中さん
├── 佐藤さん
├── 山田さん
└── アドレスリスト(プロジェクトAチーム)
├── 田中さん
└── 佐藤さん
1つの連絡先を複数のアドレスリストに登録することも可能です。
連絡先を登録する方法
アドレス帳に連絡先を登録する方法を見ていきましょう。
方法1:アドレス帳から直接登録する
最も基本的な方法です。
手順
- アドレス帳を開く
- 左側のツリーから登録先のアドレス帳(例:個人用アドレス帳)を選択
- 「新しい連絡先」ボタンをクリック
- 連絡先の情報を入力
- 「OK」をクリック
入力できる情報
連絡先には、以下のような情報を登録できます。
- 名前(姓・名・表示名)
- メールアドレス(複数登録可能)
- 電話番号
- 住所
- 会社名・部署・役職
- Webサイト
- メモ
すべて入力する必要はありません。最低限、表示名とメールアドレスがあれば大丈夫です。
方法2:受信メールから登録する
届いたメールの送信者を直接アドレス帳に登録できます。
手順
- 登録したい相手から届いたメールを開く
- 送信者の名前またはメールアドレスを右クリック
- 「アドレス帳に追加」を選択
- 連絡先の詳細を編集して「OK」をクリック
この方法なら、メールアドレスを手入力する手間が省けて便利です。
方法3:メール作成画面から登録する
メールを作成しているときに、宛先をそのままアドレス帳に追加することもできます。
手順
- メール作成画面で宛先を入力
- 入力した宛先を右クリック
- 「アドレス帳に追加」を選択
新しいアドレス帳を追加する(グループ分け)
連絡先が増えてくると、1つのアドレス帳だけでは管理が大変になってきます。
用途別にアドレス帳を作成して、グループ分けしましょう。
アドレス帳を追加する手順
- アドレス帳を開く
- メニューバーの「ファイル」→「新規作成」→「アドレス帳」をクリック
- アドレス帳の名前を入力(例:「仕事用」「家族」「趣味の友達」など)
- 「OK」をクリック
これで新しいアドレス帳が追加されます。
グループ分けの活用例
- 仕事用 / プライベート用
- 取引先 / 社内
- 家族 / 友人 / 同僚
- プロジェクトA / プロジェクトB
自分の使い方に合わせて、分かりやすくグループ分けしてみてください。
連絡先を別のアドレス帳に移動する
既存の連絡先を別のアドレス帳に移動したい場合は、以下の方法が使えます。
手順
- 移動したい連絡先を選択
- そのままドラッグして、左側のツリーにある移動先のアドレス帳にドロップ
または、連絡先を右クリックして「移動」を選択する方法もあります。
アドレスリスト(メーリングリスト)を作成する
複数の人に同じメールを送ることが多いなら、アドレスリストを作成しておくと便利です。
アドレスリストとは?
アドレスリストは、複数の連絡先をまとめた「グループ」のこと。メールの宛先にアドレスリストを指定するだけで、登録したメンバー全員にメールが届きます。
メリット:
- 宛先を1つずつ入力する手間が省ける
- 入力ミスや宛先漏れを防げる
- メンバーの追加・削除も簡単
アドレスリストを作成する手順
- アドレス帳を開く
- リストを作成したいアドレス帳を右クリック
- 「新しいリスト」をクリック
- 「リストの名前」を入力(例:「プロジェクトAチーム」「営業部」など)
- メンバーのメールアドレスを入力(名前の一部を入力すると候補が表示されます)
- 「OK」をクリック
アドレスリストを使ってメールを送る
手順
- メール作成画面を開く
- 「宛先」欄にアドレスリスト名を入力
- 候補から該当のアドレスリストを選択
- メールを作成して送信
これだけで、リストに登録された全員にメールが届きます。
BCCで一斉送信する場合
メンバー同士のメールアドレスを見せたくない場合は、BCCを使いましょう。
手順
- メール作成画面で、宛先の種類を「宛先」から「BCC」に変更
- アドレスリストを指定して送信
これで、受信者には他のメンバーのアドレスが表示されません。
アドレスリストのメンバーを編集する
メンバーを追加する
- アドレス帳を開く
- 該当のアドレスリストをダブルクリック
- 追加したいメンバーのメールアドレスを入力
- 「OK」をクリック
メンバーを削除する
- アドレスリストをクリックして中身を表示
- 削除したいメンバーを右クリック
- 「削除」を選択
注意: アドレスリストからメンバーを削除しても、アドレス帳の連絡先自体は削除されません。
アドレス帳をエクスポートする(バックアップ・移行)

パソコンの買い替えや、他のメールソフトへの移行時には、アドレス帳のエクスポートが必要です。
エクスポートの手順
- アドレス帳を開く
- エクスポートしたいアドレス帳を右クリック(例:個人用アドレス帳)
- 「エクスポート」をクリック
- 保存先とファイル名を指定
- ファイルの種類を選択(通常は「カンマ区切り(CSV)」を選択)
- 「保存」をクリック
ファイル形式の選び方
エクスポート時に選べるファイル形式には、主に以下があります。
CSV形式(カンマ区切り)
最も一般的な形式。Excel で開いて編集したり、他のメールソフトにインポートしたりするのに便利です。Outlook や Gmail への移行にも対応しています。
LDIF形式
Thunderbird やその他の LDAP 対応ソフトとの互換性が高い形式。Thunderbird 同士でのデータ移行に向いています。
vCard形式(.vcf)
スマートフォンや他のメールソフトとの互換性が高い形式。1件ずつの連絡先をエクスポートする際に使われることが多いです。
迷ったら「CSV形式」を選んでおけば間違いありません。
全てのアドレス帳をエクスポートする
複数のアドレス帳を一括でエクスポートしたい場合は、「すべてのアドレス帳」を選択してエクスポートします。
ただし、個別にエクスポートした方がファイル管理がしやすいケースもあるので、用途に応じて使い分けてください。
アドレス帳をインポートする(データの取り込み)
他のメールソフトや CSV ファイルから、連絡先を Thunderbird にインポートする方法です。
インポートの手順
- アドレス帳を開く
- メニューバーの「ツール」→「インポート」をクリック
- 「アドレス帳」を選択して「次へ」
- インポート元のファイル形式を選択
- テキストファイル(LDIF, CSV, TAB, TXT)
- vCard ファイル
- インポートするファイルを選択
- フィールドの対応付けを確認して「次へ」
- 「完了」をクリック
インポート時の注意点
文字化けに注意
CSV ファイルをインポートする際、文字コードの違いで文字化けすることがあります。
文字化けした場合は、元の CSV ファイルを開いて文字コードを「UTF-8」に変換してから再度インポートしてみてください。
フィールドの対応付けを確認
インポート元とThunderbirdでは、項目名が異なることがあります。
例えば、インポート元の「氏名」がThunderbirdの「表示名」に対応しているか、画面で確認しながら進めましょう。
空白行があるとエラーになることも
CSV ファイルの途中に空白行があると、それ以降のデータがインポートされないことがあります。事前にExcelなどで空白行を削除しておきましょう。
Gmailの連絡先と同期する
Thunderbird と Gmail の連絡先を同期させたい方も多いはず。
Thunderbird 91 以降では、CardDAV という機能を使って Gmail の連絡先と同期できます。
CardDAV で Gmail 連絡先を同期する手順
手順
- アドレス帳を開く
- 「ファイル」→「新規作成」→「CardDAV アドレス帳」をクリック
- 「ユーザー名」に Gmail アドレスを入力
- 「場所」に以下の URL を入力:
https://www.googleapis.com/carddav/v1/principals/あなたのGmailアドレス/lists/default/
(「あなたのGmailアドレス」の部分は実際のアドレスに置き換えてください)
- 「続行」をクリック
- Google アカウントの認証画面が表示されるのでログイン
- アクセスを許可
これで Gmail の連絡先が Thunderbird に同期されます。
アドオンを使った同期方法
より高度な同期を行いたい場合は、以下のアドオンも便利です。
CardBook
CardDAV と vCard をベースにした高機能なアドレス帳アドオン。Gmail や iCloud など、様々なサービスと同期できます。
TbSync
Google、Microsoft 365、CalDAV/CardDAV など、複数のクラウドサービスとの同期を一元管理できるアドオンです。
gContactSync
Gmail の連絡先との同期に特化したアドオン。シンプルに Gmail だけと同期したい場合に便利です。
アドオンは「ツール」→「アドオンとテーマ」からインストールできます。
メール作成時にアドレス帳を活用する
メールを作成するときに、アドレス帳を効率的に使う方法を紹介します。
アドレスサイドバーを表示する
メール作成画面で、アドレス帳をサイドバーとして表示できます。
手順
- メール作成画面を開く
- 「表示」→「アドレスサイドバー」をクリック
左側にアドレス帳が表示され、連絡先をダブルクリックするだけで宛先に追加できます。
オートコンプリート機能を活用する
宛先欄に名前やメールアドレスの一部を入力すると、アドレス帳から候補が自動表示されます。
この機能を活用すれば、いちいちアドレス帳を開かなくても、素早く宛先を入力できます。
記録用アドレス帳の設定を変更する
送信したメールの宛先を自動で記録するかどうかは、設定で変更できます。
手順
- 「ツール」→「オプション」をクリック
- 「編集」→「アドレス入力」を選択
- 「送信メールのアドレスを次に自動で追加:」の設定を確認
- 記録したくない場合は「なし」を選択
よくあるトラブルと解決方法

Thunderbird のアドレス帳でよくあるトラブルと、その解決方法をまとめました。
アドレス帳が表示されない
原因: 表示設定の問題、またはプロファイルの破損
解決方法:
- メニューバーが表示されていない場合は、上部の空白部分を右クリックして「メニューバー」にチェック
- 「ツール」→「アドレス帳」で開く
- それでも開かない場合は、Thunderbird をセーフモードで起動してみる
インポートしたデータが文字化けする
原因: ファイルの文字コードが合っていない
解決方法:
- インポート元の CSV ファイルをメモ帳などで開く
- 「名前を付けて保存」で文字コードを「UTF-8」に変更
- 再度インポートを試す
連絡先の重複を解消したい
原因: 複数回インポートしたなどで、同じ連絡先が重複登録されている
解決方法:
- 「Duplicate Contacts Manager」というアドオンをインストール
- アドオンが重複した連絡先を検出してくれる
- 不要な方を削除
Gmail との同期がうまくいかない
原因: 認証の問題、Cookie の設定など
解決方法:
- Thunderbird の「オプション」→「プライバシーとセキュリティ」を開く
- 「Cookie を受け入れる」が有効になっているか確認
- 一度ログアウトして再度認証を行う
- うまくいかない場合は、CardBook などのアドオンを試す
アドレス帳のバックアップを定期的に取ろう
連絡先データは大切な資産です。定期的にバックアップを取っておきましょう。
バックアップの手順
- アドレス帳を開く
- 各アドレス帳を右クリック→「エクスポート」
- CSV 形式で保存
- 安全な場所(外付けHDD、クラウドストレージなど)に保管
バックアップの頻度
- 連絡先をよく追加・編集する方:月1回程度
- あまり変更しない方:3ヶ月に1回程度
大切なデータが消えてしまってからでは遅いので、習慣化しておくことをおすすめします。
まとめ
Thunderbird のアドレス帳について、基本から応用まで解説してきました。
基本操作
- アドレス帳を開く:Ctrl + Shift + B
- 連絡先を登録:「新しい連絡先」ボタン or 受信メールから右クリック
- アドレス帳を追加:「ファイル」→「新規作成」→「アドレス帳」
便利な機能
- アドレスリスト:グループで一斉メールを送れる
- エクスポート/インポート:バックアップや移行に必須
- Gmail 同期:CardDAV またはアドオンで対応
覚えておきたいポイント
- 「アドレス帳」は連絡先の入れ物、「アドレスリスト」はグループ
- エクスポートは CSV 形式が汎用性が高い
- 定期的なバックアップを忘れずに
アドレス帳を上手に活用すれば、メールの送信がぐっと楽になります。ぜひこの記事を参考に、Thunderbird のアドレス帳を使いこなしてみてください!

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