ThunderbirdからOutlookへ移行する方法|メール・アドレス帳を完全移行

プログラミング・IT

「Thunderbirdを使っていたけど、仕事でOutlookが必要になった」「Office 365を契約したから、Outlookに統一したい」

メールソフトを乗り換える際、最も心配なのがデータの移行ですよね。何年も使ってきたメール、大切な連絡先、すべてを失うわけにはいきません。

この記事では、ThunderbirdからOutlookへ安全にデータを移行する方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。メール、アドレス帳、予定表まで、すべてのデータを確実に引き継げるでしょう。

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  1. 移行前に知っておくべきこと
    1. 移行できるデータ
    2. 移行方法の選択肢
  2. 移行前の準備
    1. Thunderbirdデータのバックアップ
    2. Outlookのインストール確認
  3. 方法1:IMAP経由での移行(最も簡単)
    1. IMAPとは
    2. この方法が使える条件
    3. 手順
  4. 方法2:EMLファイル経由での移行
    1. EML形式でのエクスポート
    2. Outlookへのインポート
  5. 方法3:MBOXファイル経由での移行
    1. MBOXファイルのエクスポート
    2. OutlookでMBOXファイルを開く
  6. アドレス帳の移行
    1. ThunderbirdからCSV形式でエクスポート
    2. OutlookへCSVファイルをインポート
    3. vCard形式での移行
  7. 予定表(カレンダー)の移行
    1. iCalendar形式でエクスポート
    2. Outlookへインポート
  8. 移行後の確認作業
    1. メールの確認
    2. アドレス帳の確認
    3. 予定表の確認
    4. 送受信テスト
  9. トラブルシューティング
    1. 日本語メールが文字化けする
    2. 添付ファイルが開けない
    3. フォルダー構造が崩れている
    4. インポートに時間がかかりすぎる
  10. 移行後のThunderbirdデータの扱い
    1. しばらく併用する
    2. バックアップを保管
    3. Thunderbirdのアンインストール
  11. Outlookへの移行後に設定すべきこと
    1. 署名の設定
    2. 仕訳ルールの設定
    3. クイック操作の設定
  12. よくある質問
    1. Q1:メールアカウントは移行できますか?
    2. Q2:すべてのメールを移行できますか?
    3. Q3:ThunderbirdのアドオンはOutlookで使えますか?
    4. Q4:複数のメールアカウントを移行できますか?
  13. まとめ:計画的な移行でスムーズな乗り換えを

移行前に知っておくべきこと

作業を始める前に、重要なポイントを理解しましょう。

移行できるデータ

ThunderbirdからOutlookへ移行できるデータは以下の通りです。

メール
受信トレイ、送信済みアイテム、フォルダー分けしたメールなど、すべてのメールを移行できます。

アドレス帳(連絡先)
登録している連絡先情報を移行可能です。

予定表(カレンダー)
Thunderbirdで管理している予定も移行できますが、少し手順が複雑になります。

移行方法の選択肢

大きく分けて3つの方法があります。

方法1:IMAP経由での移行(推奨)
両方のソフトでIMAPアカウントを設定し、サーバー経由で同期します。最も簡単で確実な方法です。

方法2:EMLファイル経由での移行
Thunderbirdからメールを個別にエクスポートし、Outlookにドラッグ&ドロップします。

方法3:変換ツールを使った移行
サードパーティのツールを使って、Thunderbird形式をOutlook形式に変換します。

それぞれの方法を詳しく解説していきましょう。

移行前の準備

安全に移行するため、必ず準備作業を行ってください。

Thunderbirdデータのバックアップ

手順

  1. Thunderbirdを起動
  2. プロファイルフォルダーの場所を確認
  • 「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」
  • 「プロファイルフォルダー」の「フォルダーを開く」をクリック
  1. Thunderbirdを完全に終了
  2. プロファイルフォルダー全体をコピー
  3. 外付けHDDやクラウドストレージに保存

Windowsでのプロファイル場所

C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles

このバックアップがあれば、万が一失敗しても元に戻せます。

Outlookのインストール確認

確認事項

  • Outlookがインストールされているか
  • バージョンは何か(Outlook 2016、2019、365など)
  • ライセンスは有効か

まだインストールしていない場合は、先にOutlookをインストールしてください。

方法1:IMAP経由での移行(最も簡単)

メールアカウントがIMAP対応なら、この方法が最適です。

IMAPとは

IMAP(アイマップ)は、メールをサーバー上で管理する仕組みです。

Gmail、Outlook.com、Yahoo!メールなど、主要なメールサービスはすべてIMAPに対応しています。IMAPなら、Thunderbirdで見ているメールと、Outlookで見るメールが完全に同じになるのです。

この方法が使える条件

確認ポイント

  1. Thunderbirdで使っているアカウントがIMAP設定か確認
  2. Thunderbirdの「ツール」→「アカウント設定」
  3. 「サーバー設定」で「サーバーの種類」を確認
  4. 「IMAPメールサーバー」と表示されていればOK

POPアカウントの場合は、方法2または3を使ってください。

手順

ステップ1:Outlookでメールアカウントを設定

  1. Outlookを起動
  2. 「ファイル」→「アカウントの追加」
  3. メールアドレスを入力
  4. 自動設定が始まる(IMAP設定が自動検出される)
  5. パスワードを入力
  6. 完了

ステップ2:同期を待つ

  1. Outlookがサーバーからメールをダウンロードし始める
  2. 右下のステータスバーで進行状況を確認
  3. すべてのメールがダウンロードされるまで待つ

メールの数が多いと、数時間かかることもあります。

ステップ3:フォルダー構造の確認

  1. Thunderbirdで作成したフォルダーが、Outlookでも表示されるか確認
  2. 受信トレイ、送信済みアイテムなどが正しく同期されているか確認

ステップ4:Thunderbirdの接続解除

  1. 移行が完了したら、Thunderbirdは使わない
  2. または、Thunderbirdからアカウントを削除

これで、すべてのメールがOutlookで使えるようになります。

方法2:EMLファイル経由での移行

POPアカウントや、ローカルフォルダーのメールを移行する方法です。

EML形式でのエクスポート

Thunderbirdのメールを個別にエクスポートします。

手順1:ImportExportToolsアドオンのインストール

  1. Thunderbirdを起動
  2. 「ツール」→「アドオンとテーマ」
  3. 検索ボックスで「ImportExportTools NG」を検索
  4. 「Thunderbirdに追加」をクリック
  5. インストール完了後、Thunderbirdを再起動

手順2:メールのエクスポート

  1. エクスポートしたいフォルダーを右クリック
  2. 「ImportExportTools NG」→「フォルダーをエクスポート」→「EML形式ですべてのメッセージをエクスポート」
  3. 保存先フォルダーを指定(例:デスクトップに「ThunderbirdMails」フォルダーを作成)
  4. エクスポートが完了するまで待つ

手順3:すべてのフォルダーを繰り返す
受信トレイ、送信済みアイテム、その他のフォルダーすべてで同じ作業を繰り返します。

Outlookへのインポート

手順1:新しいフォルダーを作成(任意)

  1. Outlookで移行先のフォルダーを作成
  2. 「受信トレイ」を右クリック→「フォルダーの作成」
  3. 「Thunderbirdから移行」などの名前を付ける

手順2:EMLファイルをドラッグ&ドロップ

  1. エクスプローラーでエクスポートしたEMLファイルがあるフォルダーを開く
  2. すべてのEMLファイルを選択(Ctrl + A)
  3. Outlookの目的のフォルダーにドラッグ&ドロップ
  4. インポートが始まる

手順3:フォルダーごとに繰り返す
エクスポートしたすべてのフォルダーについて、同じ作業を繰り返します。

注意点
数千通のメールがある場合、この方法は時間がかかります。小規模な移行に適しているでしょう。

方法3:MBOXファイル経由での移行

Thunderbird形式のデータファイルを使う方法です。

MBOXファイルのエクスポート

手順

  1. ImportExportTools NGアドオンをインストール(前述)
  2. エクスポートしたいフォルダーを右クリック
  3. 「ImportExportTools NG」→「フォルダーをエクスポート」→「MBOX形式でエクスポート」
  4. 保存先を指定
  5. すべてのフォルダーで繰り返す

OutlookでMBOXファイルを開く

Outlookは直接MBOXファイルを読めないため、変換ツールが必要です。

無料ツールの例

  • Aid4Mail Community Edition(制限あり)
  • Thunderbird to Outlook Transfer(有料だが確実)

Aid4Mail Community Editionの使い方

  1. https://www.aid4mail.com/ からダウンロード
  2. インストールして起動
  3. 「Source」でMBOXファイルを選択
  4. 「Target」で「Outlook」を選択
  5. 「Run」をクリック
  6. 変換が完了すると、OutlookのPSTファイルが作成される
  7. OutlookでPSTファイルを開く

有料ツールのメリット

  • 確実性が高い
  • フォルダー構造を保持
  • 添付ファイルも完全に移行
  • サポートあり

アドレス帳の移行

連絡先もしっかり移行しましょう。

ThunderbirdからCSV形式でエクスポート

手順

  1. Thunderbirdを起動
  2. 「ツール」→「アドレス帳」を開く
  3. エクスポートしたいアドレス帳を選択
  4. 「ツール」→「エクスポート」
  5. 「カンマ区切り(.csv)」を選択
  6. ファイル名を付けて保存(例:thunderbird_contacts.csv)

OutlookへCSVファイルをインポート

手順

  1. Outlookを起動
  2. 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「インポート/エクスポート」
  3. 「他のプログラムまたはファイルからのインポート」を選択
  4. 「次へ」をクリック
  5. 「テキストファイル(カンマ区切り)」を選択
  6. 「次へ」をクリック
  7. 先ほど保存したCSVファイルを選択
  8. 「次へ」をクリック
  9. インポート先として「連絡先」を選択
  10. 「次へ」→「完了」をクリック

フィールドのマッピング
「フィールドの一致」ボタンで、Thunderbirdの項目とOutlookの項目の対応を確認できます。

  • 名前→姓名
  • メールアドレス→電子メール
  • 電話番号→勤務先電話番号

など、適切に対応させましょう。

vCard形式での移行

もう1つの方法として、vCard形式もあります。

手順

  1. Thunderbirdのアドレス帳で「ツール」→「エクスポート」
  2. 「vCard」を選択
  3. Outlookで「ファイル」→「開く」→「vCardのインポート」
  4. 保存したvCardファイルを選択

ただし、複数の連絡先を一度にインポートする場合、CSV形式の方が便利です。

予定表(カレンダー)の移行

Thunderbirdで予定表を使っている場合の移行方法です。

iCalendar形式でエクスポート

手順

  1. Thunderbirdを起動
  2. 予定表タブを開く
  3. エクスポートしたいカレンダーを右クリック
  4. 「カレンダーをエクスポート」を選択
  5. 「iCalendar形式(.ics)」で保存
  6. ファイル名を付けて保存

Outlookへインポート

手順

  1. Outlookを起動
  2. 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「インポート/エクスポート」
  3. 「iCalendar (.ics) またはvCalendar ファイル (.vcs) のインポート」を選択
  4. 「次へ」をクリック
  5. 保存したICSファイルを選択
  6. 「OK」をクリック

すべての予定が、Outlookの予定表にインポートされます。

移行後の確認作業

移行が完了したら、必ず以下を確認してください。

メールの確認

チェック項目

  • 受信トレイのメール数が一致しているか
  • 送信済みアイテムが移行されているか
  • カスタムフォルダーのメールが移行されているか
  • 添付ファイルが正しく表示されるか
  • 日本語メールが文字化けしていないか

アドレス帳の確認

チェック項目

  • 連絡先の数が一致しているか
  • 名前、メールアドレスが正しく表示されるか
  • 電話番号などの情報が移行されているか

予定表の確認

チェック項目

  • 過去の予定が表示されるか
  • 未来の予定が表示されるか
  • 繰り返し予定が正しく設定されているか

送受信テスト

手順

  1. Outlookから自分宛にテストメールを送信
  2. 他のアドレスから自分宛にメールを送信
  3. 正常に送受信できることを確認

トラブルシューティング

よくある問題と解決方法です。

日本語メールが文字化けする

原因
文字コードの設定が不適切です。

解決方法

  1. Outlookで「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」
  2. 「インターナショナル オプション」をクリック
  3. 「優先エンコード方法」を「日本語(自動選択)」に設定
  4. 「OK」をクリック

添付ファイルが開けない

原因
ファイルが正しく移行されていません。

解決方法

  1. Thunderbirdで元のメールを開く
  2. 添付ファイルを手動で保存
  3. Outlookで新規メールを作成し、保存した添付ファイルを追加
  4. 自分宛に送信

フォルダー構造が崩れている

原因
IMAP同期が不完全、または手動移行時の問題です。

解決方法

  1. Outlookでフォルダーを手動で作成
  2. メールを適切なフォルダーに移動
  3. 検索機能を使って、特定の送信者や件名でメールを探し、整理

インポートに時間がかかりすぎる

原因
大量のメールがあります。

対処方法

  1. フォルダーごとに分けて少しずつインポート
  2. 夜間など、パソコンを使わない時間に実行
  3. 古いメールはアーカイブとして別管理を検討

移行後のThunderbirdデータの扱い

移行が完全に完了したら、Thunderbirdのデータをどうするか決めましょう。

しばらく併用する

推奨する期間
移行後1~2ヶ月は、Thunderbirdをアンインストールせず残しておきましょう。

理由

  • 移行漏れに気づいた場合の保険
  • 古いメールを確認したいときに便利
  • 問題があればすぐ戻せる

バックアップを保管

手順

  1. 移行前に作成したプロファイルフォルダーのバックアップを保管
  2. 外付けHDDやクラウドストレージに保存
  3. 少なくとも1年間は保管

万が一のときに、データを復元できます。

Thunderbirdのアンインストール

完全に移行が確認できたら、アンインストールできます。

手順

  1. Windowsの「設定」→「アプリ」→「アプリと機能」
  2. 「Thunderbird」を選択
  3. 「アンインストール」をクリック

ただし、プロファイルフォルダーは念のため残しておくことをおすすめします。

Outlookへの移行後に設定すべきこと

Outlookを快適に使うための推奨設定です。

署名の設定

手順

  1. 「ファイル」→「オプション」→「メール」
  2. 「署名」ボタンをクリック
  3. 「新規作成」で署名を作成
  4. 名前、会社名、連絡先などを入力

仕訳ルールの設定

Thunderbirdで使っていたメールフィルターを、Outlookでも再現しましょう。

手順

  1. 「ホーム」タブ→「ルール」→「仕訳ルールと通知の管理」
  2. 「新しいルール」をクリック
  3. 条件とアクションを設定
  4. 例:特定の送信者からのメールを特定フォルダーに移動

クイック操作の設定

よく使う操作をワンクリックで実行できます。

手順

  1. 「ホーム」タブの「クイック操作」セクション
  2. 「新規作成」をクリック
  3. 名前と実行するアクションを設定

よくある質問

Q1:メールアカウントは移行できますか?

A:アカウント設定自体は手動で再設定する必要があります。ただし、IMAP経由なら自動的に同期されるため簡単です。

Q2:すべてのメールを移行できますか?

A:はい、正しい手順を踏めばすべてのメールを移行できます。ただし、大量のメールがある場合、時間がかかることがあります。

Q3:ThunderbirdのアドオンはOutlookで使えますか?

A:いいえ、Thunderbird専用のアドオンは使えません。Outlookには独自のアドインがあるので、必要に応じて新たにインストールしてください。

Q4:複数のメールアカウントを移行できますか?

A:はい、アカウントごとに同じ手順を繰り返せば移行できます。

まとめ:計画的な移行でスムーズな乗り換えを

ThunderbirdからOutlookへの移行は、適切な手順を踏めば確実にできます。

この記事のポイント

  • 移行方法は3種類:IMAP経由(推奨)、EMLファイル経由、変換ツール使用
  • 必ずバックアップ:作業前にThunderbirdデータをバックアップ
  • IMAP推奨:対応アカウントなら最も簡単で確実
  • アドレス帳:CSV形式でエクスポート→インポート
  • 予定表:iCalendar形式で移行可能
  • 移行後確認:メール数、添付ファイル、文字化けをチェック
  • 段階的に:完全移行前に1~2ヶ月の併用期間を設ける

最も簡単なのは、IMAP経由での移行です。メールアカウントがIMAP対応なら、Outlookでアカウントを設定するだけで自動的に同期されます。

POPアカウントの場合は、EMLファイル経由または変換ツールを使った移行になりますが、少し手間がかかっても確実にデータを引き継げるでしょう。

焦らず、この記事の手順に従って段階的に進めてください。データをしっかり移行できれば、Outlookで快適なメール環境が手に入ります。

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