「Outlookが有料になったからThunderbirdに移行したい…」 「会社でOutlookを使うことになったけど、Thunderbirdのデータを移したい…」 「メール、連絡先、カレンダー、全部移行できるの?」 「過去のメールが消えたら困る…」
メールソフトの移行って、本当に不安ですよね。
大切なメールデータや連絡先を失うわけにはいきません。実は、ThunderbirdとOutlookの間でのデータ移行は、正しい手順を踏めば安全に、そして完璧に行うことができるんです。
この記事では、OutlookからThunderbird、そしてThunderbirdからOutlookへの両方向の移行方法を、失敗しないよう詳しく解説します。
もうメールソフトの乗り換えで悩む必要はありません!
移行の全体像 – 何が移行できて、何ができないか

移行可能なデータ
完全に移行できるもの:
- ✅ メールメッセージ(添付ファイル含む)
- ✅ フォルダ構造
- ✅ 連絡先(アドレス帳)
- ✅ カレンダーの予定
- ✅ 仕分けルール(一部制限あり)
- ✅ 署名
部分的に移行できるもの:
- ⚠️ メールアカウント設定(再設定推奨)
- ⚠️ カスタムフォルダの色分け
- ⚠️ タグ/カテゴリ(変換が必要)
移行できないもの:
- ❌ アドオン/拡張機能
- ❌ UI設定やテーマ
- ❌ ショートカットキーのカスタマイズ
移行方法の種類
3つの主要な方法:
- 直接インポート – 最も簡単(Outlook→Thunderbird)
- ファイル経由 – PST/MBOX形式を使用
- IMAP同期 – クラウド経由で移行
OutlookからThunderbirdへの移行
方法1:Thunderbirdの自動インポート機能
対応バージョン:
- Outlook 2019/2021/365
- Thunderbird 102以降
手順:
- Outlookを起動した状態にする(重要!)
- Thunderbirdを起動
- ツール → 設定とデータのインポート
- 「Outlook」を選択して「続ける」
- インポートする項目を選択:
- ☑ メール
- ☑ アドレス帳
- ☑ 設定
- 「インポート開始」をクリック
- 完了まで待つ(データ量により数分~数時間)
成功率を上げるコツ:
- Outlookを既定のメールクライアントに設定
- 両方のソフトを管理者権限で実行
- ウイルス対策ソフトを一時無効化
方法2:PSTファイルを使った移行
PSTファイルのエクスポート(Outlook側):
- Outlookでファイル → 開く/エクスポート
- 「インポート/エクスポート」を選択
- 「ファイルにエクスポート」を選択
- 「Outlookデータファイル(.pst)」を選択
- エクスポートするフォルダを選択(通常は最上位)
- 保存先とファイル名を指定
- オプション設定:
- 重複した場合は置き換える
- サブフォルダーを含む
PSTファイルのサイズ制限:
- Outlook 2003-2007:20GB
- Outlook 2010以降:50GB
ThunderbirdでPSTをインポート:
- アドオン「ImportExportTools NG」をインストール
- ツール → ImportExportTools NG
- 「Import mbox file」または「Import PST file」
- PSTファイルを選択
- インポート先のフォルダを指定
方法3:CSV形式で連絡先を移行
Outlookから連絡先をエクスポート:
- Outlookで連絡先を開く
- ファイル → 開く/エクスポート
- 「インポート/エクスポート」
- 「ファイルにエクスポート」
- 「カンマ区切り値(CSV)」を選択
- 「連絡先」フォルダを選択
- 保存先を指定
ThunderbirdでCSVをインポート:
- アドレス帳を開く
- ツール → インポート
- 「アドレス帳」を選択
- 「テキストファイル」を選択
- CSVファイルを選択
- フィールドのマッピングを確認
- インポート実行
ThunderbirdからOutlookへの移行
方法1:IMAPアカウントでの同期移行
最も確実な方法:
- Thunderbirdで準備:
- すべてのメールをIMAPサーバーと同期
- ローカルフォルダのメールもIMAPへコピー
- Outlookで設定:
- 同じIMAPアカウントを追加
- すべてのフォルダを同期
- ダウンロード完了まで待つ
メリット:
- データ損失のリスクが最小
- フォルダ構造が維持される
- 大容量でも安定
方法2:EMLファイル経由での移行
Thunderbirdからエクスポート:
- ImportExportTools NGアドオンをインストール
- 移行したいフォルダを右クリック
- ImportExportTools NG → すべてのメッセージをエクスポート
- 「EML形式」を選択
- 保存先フォルダを指定
OutlookでEMLをインポート:
- OutlookでEMLファイルをドラッグ&ドロップ
- または、EML to PST変換ツールを使用
- 変換したPSTファイルをインポート
方法3:MBOXファイルの変換
ThunderbirdのMBOXファイル:
プロファイルフォルダの場所:
Windows: %APPDATA%\Thunderbird\Profiles\
Mac: ~/Library/Thunderbird/Profiles/
Linux: ~/.thunderbird/
MBOX to PST変換ツール:
- Aid4Mail(有料)
- SysTools MBOX to PST Converter(有料)
- Kernel MBOX to PST(有料)
カレンダーデータの移行
ThunderbirdからOutlookへ
ICSファイルでエクスポート:
- Thunderbirdでカレンダータブを開く
- カレンダーを右クリック → エクスポート
- ICS形式で保存
- Outlookでファイル → 開く/エクスポート
- 「インポート/エクスポート」
- 「iCalendar(.ics)」をインポート
OutlookからThunderbirdへ
同様の手順:
- Outlookでカレンダーをエクスポート(ICS形式)
- Thunderbirdのカレンダーでインポート
移行時の注意点とトラブル対策

文字化けの防止
エンコーディングの確認:
- エクスポート時:UTF-8を選択
- インポート時:文字コードを手動指定
- CSV編集時:Excelではなくテキストエディタ使用
大容量データの処理
分割して移行:
- 年度ごとにフォルダを分ける
- 各フォルダを個別にエクスポート
- 段階的にインポート
- 定期的に進捗を保存
添付ファイルの確認
チェックポイント:
- 添付ファイルが正しく移行されたか
- ファイル名の文字化け
- 大きな添付ファイルの欠損
- インライン画像の表示
移行前の準備チェックリスト
バックアップ
必ずバックアップ:
- [ ] Outlookのプロファイル全体
- [ ] ThunderbirdのProfileフォルダ
- [ ] PSTファイルのコピー
- [ ] 重要なメールをクラウドに保存
環境の準備
事前確認:
- [ ] 十分なディスク容量(データの3倍以上)
- [ ] 最新版へのアップデート
- [ ] 管理者権限の確認
- [ ] セキュリティソフトの設定
時間の確保
目安時間:
- 1GB未満:30分
- 1-5GB:1-2時間
- 5-10GB:2-4時間
- 10GB以上:半日以上
よくあるトラブルと解決法
Q1:インポートオプションが表示されない
解決方法:
- Outlookを既定のメールクライアントに設定
- レジストリの確認(MAPI設定)
- 32bit/64bit版の不一致を確認
Q2:一部のメールが移行されない
原因と対策:
- 破損したメール → 個別にエクスポート
- 特殊文字を含む → ファイル名を変更
- サイズ制限 → 分割して移行
Q3:フォルダ構造が崩れる
対処法:
- 日本語フォルダ名を英数字に一時変更
- 階層を浅くしてから移行
- 移行後に手動で再構築
Q4:重複メールが発生
解決方法:
- Thunderbird:重複メール削除アドオン使用
- Outlook:重複アイテムの削除ツール使用
移行後の設定と最適化
アカウント設定の確認
確認項目:
- 送受信サーバーの設定
- ポート番号とセキュリティ
- 認証方式
- 送信者名と署名
フィルター/ルールの再設定
手動での再作成:
- 重要なルールをメモ
- 新環境で一つずつ作成
- テストメールで動作確認
パフォーマンスの最適化
Thunderbird:
- 定期的なフォルダの圧縮
- グローバル検索のインデックス再構築
Outlook:
- PSTファイルの圧縮
- 不要なアドインの無効化
まとめ – 安全で確実な移行を実現しよう!
ThunderbirdとOutlookの移行、思ったより多くの方法がありましたね!
今日学んだポイント:
✅ 自動インポートが最も簡単(Outlook→Thunderbird)
✅ IMAP経由が最も安全で確実
✅ PSTやMBOXファイルでの移行も可能
✅ 連絡先やカレンダーも移行できる ✅
必ず事前バックアップを取る
推奨する移行方法:
- Outlook→Thunderbird → 自動インポート機能
- Thunderbird→Outlook → IMAP同期
- 大容量データ → 分割して段階的に
- 企業環境 → PST/MBOXファイル経由
移行は一度きりの作業です。焦らず、確実に進めることが大切です。
この記事の手順に従えば、大切なメールデータを安全に移行できます。
新しいメールソフトで、快適なメール環境を手に入れてください!📧
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