「パソコンを買い替えるので、メールデータを移したい」「大事なメールをバックアップしておきたい」「別のメールソフトに乗り換えたい」
そんな時に必要なのが、メールのエクスポートです。
Thunderbirdには、メールやアドレス帳、設定情報をエクスポートする機能が備わっています。ただし、目的によって最適な方法が異なるんです。
この記事では、Thunderbirdからメールをエクスポートする様々な方法を、初心者の方にも分かりやすく解説します。あなたの目的に合った方法がきっと見つかりますよ!
エクスポートとは?バックアップとの違い

まずは基本的な用語を確認しましょう。
エクスポートとは
エクスポートは、データを外部ファイルとして書き出すこと。
簡単に言えば、Thunderbirdの中にあるメールを、別のファイルとして保存する作業です。
バックアップとは
バックアップは、データ全体をコピーして保存すること。
Thunderbirdの場合、プロファイルフォルダ全体をコピーする方法が一般的です。
どちらを選ぶべき?
エクスポートが向いているケース:
- 特定のメールだけを保存したい
- 他のメールソフトにデータを移行したい
- 長期保管用のファイルを作りたい
バックアップが向いているケース:
- すべてのデータを丸ごと保存したい
- 同じThunderbirdで復元する予定
- 設定情報も含めて保存したい
エクスポート方法は4種類ある
Thunderbirdでは、目的に応じて複数のエクスポート方法が使えます。
方法1:個別メールをEML形式でエクスポート
特徴:
- 1通ずつメールを保存できる
- 最もシンプルな方法
- 他のメールソフトでも開ける
向いているケース:
- 特定の重要なメールだけを保存したい
- 取引先とのやり取りを記録したい
方法2:フォルダ全体をmbox形式でエクスポート
特徴:
- フォルダ単位でまとめて保存
- Thunderbirdの標準形式
- 大量のメールを一度に処理できる
向いているケース:
- プロジェクト単位でメールを保存
- 年度ごとにアーカイブを作成
方法3:アドオンを使った一括エクスポート
特徴:
- より柔軟なエクスポートが可能
- 様々な形式に対応
- 設定のカスタマイズができる
向いているケース:
- Outlookなど他のソフトへの移行
- 特殊な形式での保存が必要
方法4:プロファイル全体のバックアップ
特徴:
- すべてのデータを一括保存
- 設定情報も含まれる
- 最も確実な方法
向いているケース:
- パソコンの買い替え
- システムの再インストール前
- 完全なバックアップが必要な時
方法1:個別メールをEML形式で保存
最もシンプルな方法から解説します。
ステップ1:保存したいメールを選択
- Thunderbirdを起動
- 左側のフォルダツリーから該当フォルダを開く
- 保存したいメールをクリックして選択
複数のメールを選択する場合:
- 連続した複数:最初のメールをクリック →
Shift
を押しながら最後のメールをクリック - 飛び飛びの複数:
Ctrl
(MacはCommand
)を押しながら各メールをクリック
ステップ2:メールをドラッグ&ドロップ
- 選択したメールをドラッグ
- エクスプローラー(Macの場合はFinder)の保存先フォルダにドロップ
- 自動的に
.eml
形式で保存される
EML形式とは?
メール1通を1つのファイルとして保存する標準的な形式。ほとんどのメールソフトで開けます。
もう一つの方法:右クリックから保存
- メールを右クリック
- 「名前を付けて保存」を選択
- 保存場所とファイル名を指定
- 「保存」をクリック
方法2:フォルダ全体をエクスポート
大量のメールを一度に保存する方法です。
ImportExportTools NGアドオンのインストール
この方法には、専用のアドオンが必要です。
インストール手順:
- メニューから「アドオンとテーマ」を開く
- 検索ボックスに「ImportExportTools NG」と入力
- 検索結果から選んで「Thunderbirdに追加」をクリック
- 「追加」を確認
- Thunderbirdを再起動
アドオンとは?
Thunderbirdに機能を追加するための拡張プログラムのこと。スマホのアプリのようなものです。
フォルダをエクスポートする手順
- エクスポートしたいフォルダを右クリック
- 「ImportExportTools NG」を選択
- 「フォルダをエクスポート」にカーソルを合わせる
- 以下から選択:
エクスポート形式の選択肢:
- mbox形式 – Thunderbirdの標準形式(推奨)
- EML形式(個別ファイル) – 1通ずつファイルに
- HTML形式 – ブラウザで閲覧可能
- プレーンテキスト – テキストエディタで開ける
- CSV形式 – Excelで管理できる
mbox形式とEML形式の違い
mbox形式:
- 複数のメールが1つのファイルにまとまっている
- ファイル数が少なく管理しやすい
- Thunderbirdで簡単に復元できる
EML形式(個別):
- メール1通が1ファイル
- 特定のメールを探しやすい
- 他のメールソフトでも開きやすい
方法3:アドレス帳をエクスポート
メールアドレスの連絡先も忘れずに保存しましょう。
ステップ1:アドレス帳を開く
- Thunderbirdのメニューから「ツール」を選択
- 「アドレス帳」をクリック
または:
- Windows:
Ctrl + Shift + B
- Mac:
Command + Shift + B
ステップ2:エクスポート形式を選択
- アドレス帳のメニューから「ツール」を選択
- 「エクスポート」をクリック
- 保存場所を指定
選べる形式:
- LDIF形式 – Thunderbirdの標準形式
- vCard形式 – スマホや他のアプリと互換性が高い
- CSV形式 – Excelで編集できる
おすすめの形式
Thunderbirdで復元する場合:
LDIF形式がおすすめ
他のアプリで使う場合:
vCard形式が汎用的
Excelで管理したい場合:
CSV形式が便利
方法4:プロファイル全体をバックアップ
最も確実で、すべてのデータを保存できる方法です。
プロファイルフォルダの場所を確認
Windows 10/11の場合:
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\
Macの場合:
~/Library/Thunderbird/Profiles/
簡単な開き方:
- メニューから「ヘルプ」を選択
- 「トラブルシューティング情報」をクリック
- 「プロファイルフォルダー」の横にある「フォルダーを開く」ボタンをクリック
プロファイルをコピーする手順
- Thunderbirdを完全に終了(重要!)
- プロファイルフォルダを開く
- フォルダ全体を別の場所にコピー
コピー先の例:
- 外付けハードディスク
- USBメモリ
- クラウドストレージ(Dropbox、Google Driveなど)
- 別のパソコン
プロファイルに含まれる内容
プロファイルには、以下のすべてが含まれます:
- すべてのメール
- アドレス帳
- アカウント設定
- パスワード
- フィルター設定
- カスタマイズ内容
- アドオン
つまり、Thunderbirdの環境を丸ごと保存できます。
新しいパソコンでメールを復元する方法
エクスポートしたデータを、新しい環境で使う手順を解説します。
EMLファイルの復元
方法1:ドラッグ&ドロップ
- 新しいThunderbirdを起動
- EMLファイルをThunderbirdのフォルダにドラッグ
- 自動的にインポートされる
方法2:ダブルクリック
- EMLファイルをダブルクリック
- Thunderbirdが起動してメールが開く
- 必要に応じて保存
mboxファイルの復元
- ImportExportTools NGをインストール
- フォルダを右クリック
- 「ImportExportTools NG」→「mboxファイルをインポート」
- 保存したmboxファイルを選択
プロファイル全体の復元
方法1:プロファイルフォルダを置き換える
- 新しいパソコンにThunderbirdをインストール
- 一度起動して、すぐに終了
- プロファイルフォルダの場所を確認
- 既存のプロファイルフォルダを削除
- バックアップしたプロファイルフォルダをコピー
- Thunderbirdを起動
方法2:プロファイルマネージャーを使う
- Thunderbirdを終了
- プロファイルマネージャーを起動
- Windows:
thunderbird.exe -p
- Mac: ターミナルから専用コマンド
- 「フォルダーを選択」でバックアップしたフォルダを指定
他のメールソフトへの移行
Thunderbirdから別のメールソフトに乗り換える場合の方法です。
Outlook(Windows)への移行
ステップ1:Thunderbirdでエクスポート
- ImportExportTools NGをインストール
- フォルダを右クリック
- 「PST形式でエクスポート」を選択(可能な場合)
または、EML形式でエクスポート
ステップ2:Outlookでインポート
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「インポート/エクスポート」
- ウィザードに従って進む
Apple Mail(Mac)への移行
方法:
- Thunderbirdでmbox形式でエクスポート
- Apple Mailを起動
- 「ファイル」→「メールボックスを読み込む」
- 「Apple Mail形式のメールボックス」を選択
- エクスポートしたmboxファイルを指定
Gmail(Webメール)への移行
方法1:IMAPで同期
- ThunderbirdでGmailをIMAP設定
- ローカルフォルダからGmailのフォルダにドラッグ
- 自動的にGmailサーバーにアップロード
方法2:Googleテイクアウトを使う
より高度な方法として、Googleの公式ツールも利用できます。
エクスポート時の注意点
トラブルを避けるため、以下の点に気をつけましょう。
1. エクスポート前の準備
やっておくべきこと:
- 不要なメールを削除
- ごみ箱を空にする
- メールボックスを最適化
- 十分な保存先の容量を確認
2. 大量のメールをエクスポートする場合
注意点:
- 時間がかかる可能性がある
- 作業中はThunderbirdを操作しない
- バッテリー駆動の場合は電源に接続
3. 添付ファイル付きメールの扱い
確認事項:
- 添付ファイルも含めてエクスポートされるか
- ファイルサイズの制限はないか
- 大容量ファイルは別途保存を検討
4. データの保管場所
推奨する保管方法:
- 最低2箇所にバックアップ(二重化)
- 外部メディアとクラウドの併用
- 定期的に動作確認
エクスポートがうまくいかない時の対処法
問題1:ファイルが保存できない
原因:
- 保存先の容量不足
- 書き込み権限がない
- ファイル名に使えない文字が含まれている
解決方法:
- 保存先のドライブを変更
- 管理者権限で実行
- ファイル名をシンプルにする
問題2:エクスポートが途中で止まる
原因:
- 大量のメールで処理に時間がかかっている
- メモリ不足
- 破損したメールが含まれている
解決方法:
- フォルダを分割してエクスポート
- 他のアプリケーションを終了
- 問題のメールを特定して除外
問題3:アドオンがインストールできない
原因:
- Thunderbirdのバージョンが古い
- インターネット接続の問題
解決方法:
- Thunderbirdを最新版に更新
- 手動でアドオンをダウンロード
- 公式サイトから直接インストール
エクスポートファイルの管理方法
保存したファイルを効果的に管理するコツをご紹介します。
ファイル名の付け方
分かりやすいファイル名をつけましょう。
良い例:
2025-01-受信トレイ-バックアップ.mbox
プロジェクトA-メール-2024年度.mbox
重要メール-2025年1月.zip
避けるべき例:
メール.mbox
backup.mbox
新しいフォルダー.mbox
フォルダ構造の例
メールバックアップ/
├── 2025年/
│ ├── 01月/
│ ├── 02月/
│ └── 03月/
├── プロジェクト別/
│ ├── プロジェクトA/
│ └── プロジェクトB/
└── 重要メール/
└── 契約関連/
定期的なバックアップスケジュール
推奨頻度:
- 毎日: 重要な業務メール
- 毎週: 一般的なメール
- 毎月: アーカイブ用
- 年1回: 完全バックアップ
よくある質問
Q1. エクスポートしたメールは何年くらい保管できますか?
A. デジタルデータとしては、ほぼ永久に保管可能です。
ただし、以下の点に注意:
- 保存メディアの寿命(HDDは5〜10年程度)
- ファイル形式の互換性
- 定期的なメディアの更新を推奨
Q2. エクスポートすると、元のメールは消えますか?
A. いいえ、消えません。
エクスポートは「コピーして保存」する機能です。Thunderbird内のメールはそのまま残ります。
Q3. エクスポートしたファイルをスマホで見られますか?
A. 可能ですが、専用アプリが必要な場合があります。
- EML形式:メールアプリで開ける
- mbox形式:専用アプリが必要
- HTML形式:ブラウザで閲覧可能
Q4. 何GB分のメールもエクスポートできますか?
A. 容量に制限はありませんが、現実的な問題があります。
大容量データの場合:
- 処理に時間がかかる
- 一度に処理せず、分割推奨
- 十分な保存先容量が必要
一般的には、1回のエクスポートは10GB程度までが安全です。
企業での利用時の注意点
会社のメールをエクスポートする場合、特別な注意が必要です。
情報セキュリティの観点
確認すべき事項:
- 会社の情報管理規定に違反しないか
- 個人情報が含まれていないか
- 機密情報の取り扱いルール
推奨する対策:
- エクスポートファイルを暗号化
- パスワード付きZIPで圧縮
- 社外への持ち出し前に上司に確認
退職時のメール処理
一般的なルール:
- 会社のメールは会社の資産
- 個人的なバックアップは原則禁止
- 必要な場合は上司の許可を得る
まとめ:目的に合った方法を選ぼう
Thunderbirdのメールエクスポートには、様々な方法があります。
用途別おすすめ方法:
✅ 特定のメールだけ保存したい
→ EML形式でドラッグ&ドロップ
✅ フォルダ単位でまとめて保存
→ ImportExportTools NGでmbox形式
✅ パソコンの買い替え
→ プロファイル全体をバックアップ
✅ 他のメールソフトに移行
→ 移行先に応じた形式でエクスポート
✅ アドレス帳も保存
→ LDIF形式またはvCard形式
エクスポートの基本原則:
- 定期的に実行 – 後悔する前にバックアップ
- 複数の場所に保存 – 二重化でリスク軽減
- 復元テストを実施 – 本当に使えるか確認
- 整理してから実行 – 不要なメールは削除
- セキュリティに配慮 – 機密情報の取り扱いに注意
大切なメールは、いつ失われるか分かりません。この記事を参考に、今すぐバックアップを取ることをおすすめします!
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