Thunderbirdって何?
Thunderbird(サンダーバード)は、Mozilla Foundationが開発する無料のメールソフトです。
Webブラウザで有名なFirefoxを作っている組織が提供しているので、安心して使えます。複数のメールアカウントを一つのソフトで管理できるため、仕事用とプライベート用のメールを分けて使いたい人にぴったりなんです。
この記事では、Thunderbirdに新しいメールアカウントを追加する方法を、初心者の方にもわかりやすく解説していきますね。
アカウント追加の前に準備するもの
メールアカウントを追加する前に、以下の情報を手元に用意しておきましょう。
必要な情報:
- メールアドレス(例:yamada@example.com)
- メールアカウントのパスワード
- メールサーバーの情報(自動設定されない場合のみ)
Gmail、Outlook.com、Yahoo!メールなどの主要なメールサービスは、メールアドレスとパスワードを入力するだけで自動的に設定されます。
基本的なアカウント追加手順
最も一般的な方法から見ていきましょう。
ステップ1:アカウント追加画面を開く
Thunderbirdを起動したら、アカウント追加画面を開きます。
初めて起動した場合:
自動的にアカウント設定画面が表示されます。
2つ目以降のアカウントを追加する場合:
- 画面右上のハンバーガーメニュー(三本線)をクリック
- 「新規作成」→「既存のメールアドレスのセットアップ」を選択
または、
- メニューバーから「ツール」→「アカウント設定」を選択
- 左下の「アカウント操作」→「メールアカウントを追加」をクリック
ステップ2:メールアドレスとパスワードを入力
アカウント設定ウィザードが表示されたら、以下の情報を入力します。
入力項目:
- あなたの名前:メール送信時に相手に表示される名前(例:山田太郎)
- メールアドレス:あなたのメールアドレス(例:yamada@gmail.com)
- パスワード:メールアカウントのパスワード
注意点:
- 「パスワードを記憶する」にチェックを入れると、次回から自動でログインできます
- 共有パソコンを使う場合は、チェックを外すことを検討しましょう
ステップ3:設定を確認
「続ける」ボタンをクリックすると、Thunderbirdが自動的にサーバー設定を検出します。
設定が正しければ、以下のような情報が表示されます。
表示される情報:
- 受信サーバー(IMAP または POP3)
- 送信サーバー(SMTP)
- ポート番号
- セキュリティ設定(SSL/TLS)
問題なければ「完了」をクリックしてください。
ステップ4:設定完了
これでアカウントの追加が完了しました!左側のフォルダペインに新しいアカウントが表示されるはずです。
受信トレイをクリックすると、メールの受信が始まります。
主要メールサービスの追加方法
それぞれのメールサービスで注意すべきポイントを見ていきましょう。
Gmailアカウントの追加
GmailをThunderbirdで使うには、特別な設定が必要です。
手順:
- 基本的な追加手順に従ってメールアドレスとパスワードを入力
- 「続ける」をクリック
- ブラウザが開き、Googleのログイン画面が表示される
- Googleアカウントにログイン
- 「Thunderbirdがあなたの Google アカウントへのアクセスを求めています」という画面で「許可」をクリック
- Thunderbirdに戻り、設定が完了
重要な注意点:
- Googleの2段階認証を有効にしている場合、通常のパスワードでは動作しません
- OAuth2という認証方式を使うため、ブラウザでの認証が必要です
- アプリパスワードを使う方法もありますが、OAuth2の方が安全です
Outlook.com / Hotmailアカウントの追加
Microsoft のメールサービスも自動設定に対応しています。
手順:
- メールアドレス(例:user@outlook.com または user@hotmail.com)を入力
- パスワードを入力
- 「続ける」をクリック
- Microsoftの認証画面が表示されたら、ログイン
- Thunderbirdへのアクセスを許可
- 設定完了
対応ドメイン:
- @outlook.com
- @outlook.jp
- @hotmail.com
- @live.jp
- @live.com
Yahoo!メールアカウントの追加
Yahoo!メールも基本的には自動設定されます。
手順:
- Yahoo!メールアドレス(例:user@yahoo.co.jp)を入力
- パスワードを入力
- 「続ける」をクリック
- 自動的にサーバー設定が検出される
- 「完了」をクリック
Yahoo!メール特有の注意:
Yahoo!メールでPOP/IMAPアクセスを使う場合、Yahoo!メールの設定で「POPアクセスとメール転送」を有効にする必要があります。
Yahoo!メールでの設定方法:
- Yahoo!メールにブラウザでログイン
- 設定(歯車アイコン)→「すべての設定を表示」
- 「POPアクセスとメール転送」を選択
- 「POPを有効にする」または「IMAPアクセスを有効にする」にチェック
- 保存
iCloudメールアカウントの追加
AppleのiCloudメールも追加できます。
手順:
- iCloudメールアドレス(例:user@icloud.com)を入力
- App用パスワードを入力(通常のApple IDパスワードではありません)
- 「続ける」をクリック
- 設定完了
App用パスワードの生成方法:
- Apple ID のアカウントページ(appleid.apple.com)にアクセス
- サインイン
- セキュリティセクションで「App用パスワード」を選択
- パスワードを生成
- 生成されたパスワードをThunderbirdで使用
手動でアカウントを設定する方法
自動設定がうまくいかない場合や、会社のメールサーバーなど独自のサーバーを使う場合は、手動で設定します。
手動設定の手順
ステップ1:手動設定モードに切り替え
メールアドレスとパスワードを入力した後、「続ける」をクリックせずに「手動設定」ボタンをクリックします。
ステップ2:サーバー情報を入力
以下の情報を入力します。これらの情報は、メールサービスのヘルプページや、会社のIT部門から提供されるはずです。
受信サーバー(IMAP または POP3):
- プロトコル:IMAP または POP3
- サーバー名:例 imap.example.com
- ポート番号:通常は IMAP=993、POP3=995
- SSL:SSL/TLS
- 認証方式:通常のパスワード認証
送信サーバー(SMTP):
- サーバー名:例 smtp.example.com
- ポート番号:通常は 465 または 587
- SSL:SSL/TLS
- 認証方式:通常のパスワード認証
- ユーザー名:メールアドレスまたはアカウント名
ステップ3:設定をテスト
「再テスト」ボタンをクリックして、設定が正しいか確認します。
緑色のチェックマークが表示されたら成功です。「完了」をクリックしましょう。
一般的なサーバー設定例
参考として、主要サービスのサーバー設定を紹介します。
Gmailの手動設定:
- 受信(IMAP):imap.gmail.com、ポート 993、SSL/TLS
- 送信(SMTP):smtp.gmail.com、ポート 465、SSL/TLS
Outlook.comの手動設定:
- 受信(IMAP):outlook.office365.com、ポート 993、SSL/TLS
- 送信(SMTP):smtp.office365.com、ポート 587、STARTTLS
Yahoo!メールの手動設定:
- 受信(IMAP):imap.mail.yahoo.co.jp、ポート 993、SSL/TLS
- 送信(SMTP):smtp.mail.yahoo.co.jp、ポート 465、SSL/TLS
IMAPとPOP3の違いと選び方
メールを受信する方式には、IMAPとPOP3の2種類があります。
IMAPとは
IMAP(Internet Message Access Protocol)は、サーバー上でメールを管理する方式です。
IMAPの特徴:
- メールはサーバーに保存される
- 複数のデバイスで同じメールボックスを共有できる
- どのデバイスからでも同じ状態が見られる
- フォルダ構成もサーバーで管理される
こんな人におすすめ:
- パソコンとスマホの両方でメールを確認する
- 複数のパソコンで同じメールを見たい
- メールをクラウドに保存しておきたい
POP3とは
POP3(Post Office Protocol version 3)は、サーバーからメールをダウンロードする方式です。
POP3の特徴:
- メールをパソコンにダウンロードする
- ダウンロード後、サーバーから削除できる(設定による)
- 基本的に1台のパソコンでのみ管理
- ローカルに保存されるので、オフラインで読める
こんな人におすすめ:
- 1台のパソコンでしかメールを見ない
- サーバーの容量を節約したい
- メールをローカルに保管したい
どちらを選ぶべき?
現代では IMAPが推奨されます
理由は以下の通りです。
- スマホやタブレットでもメールを見る人が増えた
- クラウドストレージの容量が増えた
- バックアップが簡単
- デバイスが壊れてもメールが消えない
特別な理由がない限り、IMAPを選びましょう。
よくあるトラブルと解決方法
トラブル1:パスワードが正しいのにログインできない
原因:
2段階認証や2要素認証が有効になっている可能性があります。
解決方法:
- Gmailの場合:ブラウザでの認証(OAuth2)を使用
- 他のサービス:App用パスワードを生成して使用
- 2段階認証の設定を確認
トラブル2:「証明書のセキュリティ例外」が表示される
原因:
サーバーのSSL証明書に問題があるか、サーバー名が正しくありません。
解決方法:
- サーバー名を正確に入力(例:mail.example.com ではなく imap.example.com)
- SSL/TLSが有効になっているか確認
- 証明書を一時的に承認する(信頼できるサーバーの場合のみ)
トラブル3:メールが受信できるが送信できない
原因:
送信サーバー(SMTP)の設定が間違っているか、認証が必要なのに設定されていません。
解決方法:
- メニュー → 「アカウント設定」を開く
- 左側で該当アカウントを選択
- 「送信(SMTP)サーバー」を確認
- 「認証方式」が設定されているか確認
- ユーザー名とパスワードが正しいか確認
トラブル4:既読状態が同期されない
原因:
POP3を使っているか、IMAP同期の設定に問題があります。
解決方法:
- IMAPを使用しているか確認
- アカウント設定 → 「同期とディスク領域」で同期設定を確認
- 「購読するフォルダ」の設定を確認
トラブル5:古いメールが表示されない
原因:
同期設定で、ダウンロードする期間が制限されています。
解決方法:
- アカウント設定 → 「同期とディスク領域」を開く
- 「このアカウントのメッセージを同期する」にチェック
- 「次の期間より古いメッセージは同期しない」のチェックを外す
- またはより長い期間を選択
セキュリティとプライバシーの設定
パスワードマネージャーの活用
Thunderbirdには、パスワードマネージャーが組み込まれています。
パスワードを確認・編集する方法:
- メニュー → 「設定」(または「オプション」)
- 「プライバシーとセキュリティ」を選択
- 「保存されているパスワード」ボタンをクリック
ここで、保存されているすべてのパスワードを確認・削除できます。
マスターパスワードの設定
複数のアカウントを追加している場合、マスターパスワードを設定すると安全性が高まります。
設定方法:
- 設定 → 「プライバシーとセキュリティ」
- 「マスターパスワードを使用する」にチェック
- マスターパスワードを入力
- 確認のため再度入力
これで、Thunderbird起動時にマスターパスワードの入力が求められるようになります。
フィッシングメール対策
Thunderbirdには、フィッシングメール(詐欺メール)を検出する機能があります。
設定確認:
- 設定 → 「プライバシーとセキュリティ」
- 「迷惑メール」セクション
- 「このメッセージが詐欺メールかもしれないと判断したときに通知する」にチェック
複数アカウントの管理
Thunderbirdの大きな利点は、複数のメールアカウントを一括管理できることです。
アカウントの表示順序を変更
方法:
- メニュー → 「アカウント設定」
- 左側のアカウント一覧で、移動したいアカウントを選択
- 下の「アカウント操作」→「上へ移動」または「下へ移動」
デフォルトのアカウントを設定
新しいメールを作成する時に、どのアカウントから送信するかを設定できます。
方法:
- アカウント設定を開く
- デフォルトにしたいアカウントを選択
- 「アカウント操作」→「既定に設定」
統合受信トレイの使用
複数のアカウントの受信トレイを1つにまとめることができます。
設定方法:
- メニュー → 「フォルダー」→「統合フォルダー」を選択
- すべてのアカウントの受信トレイが1つに統合される
アカウントの削除方法
不要になったアカウントは削除できます。
手順:
- メニュー → 「アカウント設定」
- 削除したいアカウントを選択
- 「アカウント操作」→「アカウントを削除」
- 確認メッセージで「削除」をクリック
注意:
アカウントを削除すると、そのアカウントのローカルに保存されたメールも削除されます。必要なメールは事前にバックアップしておきましょう。
バックアップとエクスポート
プロファイルのバックアップ
Thunderbirdのすべてのデータ(メール、アカウント設定、アドレス帳など)は、プロファイルフォルダに保存されています。
プロファイルフォルダの場所:
- Windows:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\ - Mac:
~/Library/Thunderbird/Profiles/ - Linux:
~/.thunderbird/
このフォルダをコピーすることで、すべての設定をバックアップできます。
メールのエクスポート
特定のメールだけをバックアップしたい場合は、エクスポート機能を使います。
方法:
- エクスポートしたいフォルダを右クリック
- 「エクスポート」→「mbox形式でエクスポート」
- 保存場所を選択
まとめ
Thunderbirdでメールアカウントを追加する方法を解説しました。
基本的な追加手順:
- アカウント追加画面を開く
- メールアドレスとパスワードを入力
- 自動設定を確認
- 完了
主要サービスの注意点:
- Gmail:ブラウザでのOAuth2認証が必要
- Outlook.com:Microsoftアカウントでの認証
- Yahoo!メール:IMAP/POPアクセスを有効化
- iCloud:App用パスワードを使用
IMAPとPOP3:
- IMAP:複数デバイスで使う場合に推奨
- POP3:1台のパソコンでのみ使う場合
トラブル対策:
- 2段階認証の確認
- サーバー設定の再確認
- SSL/TLS設定の確認
- 同期設定の確認
セキュリティ:
- マスターパスワードの設定
- フィッシングメール対策の有効化
- 定期的なバックアップ
Thunderbirdは、一度設定してしまえば複数のメールアカウントを効率的に管理できる優れたツールです。最初の設定で困った時は、この記事を参考に一つずつ確認していってくださいね。

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