「メールの署名の前に、勝手にハイフン(–)が入るんだけど…」
「この区切り線、見た目が気に入らないから消したい」
「– って何?なんで自動で付くの?」
Thunderbirdでメールの署名を設定すると、署名の前に自動的に「– 」(ハイフン2つとスペース)という区切り線が入りますよね。これが邪魔だと感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、この区切り線には理由があって、メールの標準規格で決められているものなんです。でも、見た目の好みや会社の規定などで、消したいこともありますよね。
この記事では、Thunderbirdの署名前のハイフンを消す方法を、初心者の方でも分かるように丁寧に解説していきます。メリット・デメリットも含めて、しっかり理解した上で設定しましょう!
署名の前の「– 」って何?

まず、なぜこのハイフンが自動的に入るのか理解しておきましょう。
正式名称は「シグネチャデリミタ」
この「– 」は、シグネチャデリミタ(signature delimiter)または署名区切り文字と呼ばれます。
構成要素:
- ハイフン2つ:
-- - 半角スペース1つ
- 改行
つまり、実際には「ハイフン、ハイフン、スペース」の3文字なんです。
なぜ存在するの?
この区切り線は、メールの標準規格(RFC 3676)で決められているものです。
目的:
- メール本文と署名を明確に区別する
- 返信時に署名を自動で削除しやすくする
- メールクライアント間での互換性を保つ
多くのメールソフトは、返信する時にこの「– 」以降を自動的に削除してくれます。これで、返信のたびに前のメールの署名が積み重なることを防げるんですね。
どう表示される?
実際のメールでは、こんな風に表示されます:
お世話になっております。
〇〇の件、了解しました。
よろしくお願いいたします。
--
山田太郎
株式会社サンプル
TEL: 03-1234-5678
署名の前に「– 」という行が入ります。
Thunderbirdで署名のハイフンを消す方法
それでは、実際にハイフンを消す方法を見ていきましょう。
方法1:about:configで設定変更(推奨)
最も確実な方法は、Thunderbirdの詳細設定を変更することです。
手順:
1. 設定エディタを開く
- Thunderbirdのメニューから「設定」を開く
- 画面右上の検索ボックスに「config」と入力
- 検索結果の「設定エディタ」ボタンをクリック
- 警告画面が出たら「危険性を承知の上で使用する」をクリック
2. 設定項目を検索
- 検索ボックスに以下を入力:
mail.identity.default.suppress_signature_separator
3. 設定を変更
- 見つかった項目をダブルクリック
- 値が「false」から「true」に変わればOK
4. Thunderbirdを再起動
- 一度Thunderbirdを完全に終了
- 再度起動する
これで、新しく作成するメールから、署名の前のハイフンが表示されなくなります。
方法2:署名に直接ハイフンを含める
設定を変更せずに、見た目を調整する方法もあります。
手順:
1. 署名設定を開く
- 設定→アカウント設定→該当アカウントを選択
- 「署名文」のテキストボックスを確認
2. 署名の最初に改行を入れる
署名の一番上に空行を1〜2行入れます。
変更前:
山田太郎
株式会社サンプル
変更後:
(ここに空行)
(ここに空行)
山田太郎
株式会社サンプル
こうすると、「– 」の後に空行が入り、視覚的に目立たなくなります。
方法3:HTML署名を使う
テキスト形式ではなく、HTML形式のメールを使う方法です。
手順:
1. HTMLメールに設定
- アカウント設定→編集とアドレス入力
- 「HTML形式でメッセージを編集する」にチェック
2. HTML署名ファイルを作成
シンプルなHTMLファイルで署名を作ります。
signature.html
<div style="font-family: sans-serif;">
<p>山田太郎<br>
株式会社サンプル<br>
TEL: 03-1234-5678<br>
Email: yamada@example.com</p>
</div>
3. 署名ファイルを指定
- アカウント設定→署名文
- 「次のファイルの内容を使用する(HTML)」にチェック
- 作成したHTMLファイルを選択
HTML署名では、「– 」は表示されません。
方法4:アドオンを使う
Signature Switchなどのアドオンを使うと、より柔軟に署名を管理できます。
手順:
- Thunderbirdのアドオンマネージャーを開く
- 「Signature Switch」を検索
- インストールする
- 複数の署名を登録し、「– 」なしの署名を作成
ただし、アドオンはThunderbirdのバージョンアップで動かなくなる可能性があります。
各方法のメリット・デメリット
どの方法を選ぶか、比較してみましょう。
方法1:about:config(推奨)
メリット:
- 完全にハイフンが消える
- 全ての署名に適用される
- 設定は永続的
デメリット:
- 詳細設定をいじる必要がある
- 初心者には少しハードルが高い
- メール規格から外れる
方法2:署名に空行を追加
メリット:
- 設定変更が不要
- 簡単で安全
- すぐにできる
デメリット:
- ハイフン自体は残る
- 見た目の調整だけ
- 完全には消えない
方法3:HTML署名
メリット:
- ハイフンが表示されない
- デザイン性が高い署名が作れる
- 画像やリンクも入れられる
デメリット:
- HTML形式のメール限定
- 相手がテキスト形式で受信すると崩れる
- メールサイズが大きくなる
方法4:アドオン
メリット:
- 柔軟な署名管理
- 複数署名の切り替えが簡単
- 高機能
デメリット:
- アドオンの導入が必要
- バージョン互換性の問題
- 動作が不安定になることがある
ハイフンを消すことのデメリット

便利な反面、消すことで生じる問題もあります。
デメリット1:返信時に署名が残る
相手が返信する時、あなたの署名が本文に残ってしまう可能性があります。
正常な動作:
> お世話になっております。
>
> (ここで署名が自動削除される)
ハイフンがない場合:
> お世話になっております。
>
> 山田太郎
> 株式会社サンプル
> (署名が残ってしまう)
何度も返信が重なると、過去の署名が積み重なって見づらくなります。
デメリット2:メール規格から外れる
RFC 3676という標準規格では、「– 」を使うことが推奨されています。
規格に従わないことで、一部のメールクライアントで正しく処理されない可能性があります(実際にはほとんど問題になりませんが)。
デメリット3:自動処理に影響
メーリングリストや一部のメールシステムでは、署名部分を自動で処理することがあります。
「– 」がないと、署名を正しく認識できず、意図しない動作をする可能性があります。
デメリット4:ビジネスマナーの観点
一部の企業や業界では、標準的な署名形式(ハイフン付き)が「正しい」とされることがあります。
特にメールマナーに厳しい相手との取引では、注意が必要かもしれません。
ハイフンを残すべきケース
以下のような場合は、ハイフンを残しておいた方が良いでしょう。
ケース1:メーリングリストをよく使う
メーリングリストでは、署名を自動で削除・処理するシステムが多いです。
「– 」があることで、正しく処理されます。
ケース2:技術系のコミュニティ
プログラマーやエンジニアのコミュニティでは、メール規格を重視する傾向があります。
技術系のメーリングリストやフォーラムでは、「– 」付きが標準です。
ケース3:複数のメールクライアントを使う
Thunderbird以外のメールクライアントでも同じアカウントを使う場合、互換性のために残しておくと安心です。
ケース4:会社のルールがある
企業によっては、メール署名の形式が規定されていることがあります。
勝手に変更せず、上司や情報システム部門に確認しましょう。
ハイフンを消しても良いケース
逆に、消しても問題が少ないケースもあります。
ケース1:個人的なメール
友人や家族とのやりとりなら、見た目の好みで選んでOKです。
ケース2:会社の方針で消すことになっている
会社のメールマナーとして「– 」を使わないルールなら、従いましょう。
ケース3:デザイン性を重視
HTML署名で、見た目を美しくしたい場合は、消しても構いません。
ケース4:短い署名
署名が1〜2行程度の短いものなら、返信時に残っても邪魔になりにくいです。
より良い署名の作り方
ハイフンの有無に関わらず、良い署名を作るコツをご紹介します。
シンプルで読みやすく
良い例:
山田太郎
株式会社サンプル 営業部
TEL: 03-1234-5678
Email: yamada@example.com
悪い例:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★山田太郎★
株式会社サンプル
営業部 部長代理
〒100-0001 東京都千代田区...
TEL: 03-1234-5678 / FAX: 03-1234-5679
Mobile: 090-1234-5678
Email: yamada@example.com / yamada.taro@example.com
Web: https://www.example.com
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装飾が多すぎると、逆に読みにくくなります。
必要な情報だけ
最低限の情報に絞りましょう:
- 名前
- 会社名・部署名
- 電話番号
- メールアドレス
住所やFAXは、必要な場合のみ追加します。
絵文字や記号は控えめに
ビジネスメールでは、絵文字や過度な記号は避けるのが無難です。
モバイル対応
長すぎる署名は、スマホで見ると読みにくくなります。
5行以内に収めるのが理想的です。
テキスト形式でも見やすく
HTML署名を使う場合でも、テキスト形式で受信した場合を考慮しましょう。
よくある質問と回答
署名のハイフンについて、よくある質問をまとめました。
Q1:ハイフンを消したら、相手に失礼?
A:
一般的には問題ありませんが、状況によります。
技術系のコミュニティやメール規格を重視する相手には、付けておいた方が無難です。一般的なビジネスメールなら、どちらでも大きな問題にはなりません。
Q2:スマホアプリでも設定できる?
A:
Thunderbirdのモバイル版は機能が限られており、詳細設定は難しいです。
PC版で設定した内容が同期されるので、PC版で設定を変更しましょう。
Q3:既存のメールの署名も変わる?
A:
いいえ、すでに送信したメールは変わりません。
設定変更後に作成する新しいメールから、ハイフンなしになります。
Q4:一部のメールだけハイフンを消したい
A:
複数の署名を作成するか、アドオン(Signature Switchなど)を使いましょう。
用途に応じて署名を切り替えられます。
Q5:設定を元に戻す方法は?
A:
about:configで設定した場合:
- 再度「mail.identity.default.suppress_signature_separator」を検索
- ダブルクリックして「false」に戻す
- Thunderbirdを再起動
これで元の状態(ハイフン付き)に戻ります。
Q6:「– 」の前後の空行を調整したい
A:
署名設定のテキストボックスで、改行を追加・削除して調整できます。
好みに合わせて、空行の数を変えてみてください。
トラブルシューティング
設定変更後に問題が起きた場合の対処法です。
問題1:設定を変えたのにハイフンが消えない
原因:
Thunderbirdを再起動していない、または設定が反映されていない。
解決法:
- Thunderbirdを完全に終了(タスクトレイも確認)
- 再起動する
- 新規メールを作成して確認
- それでも消えない場合、設定を再確認
問題2:署名が全く表示されなくなった
原因:
署名設定が間違っている、または削除されてしまった。
解決法:
- アカウント設定→署名文を確認
- 署名が空白になっていたら、再入力
- 「署名を挿入する」にチェックが入っているか確認
問題3:HTML署名が崩れる
原因:
HTMLコードに誤りがある、またはCSSが効いていない。
解決法:
- HTMLファイルをブラウザで開いて確認
- シンプルな構造に修正
- インラインCSSを使う(style属性)
問題4:相手先で文字化けする
原因:
文字エンコーディングの問題。
解決法:
- 署名に特殊文字を使わない
- UTF-8で保存されているか確認
- 機種依存文字を避ける
まとめ:自分に合った設定を見つけよう
Thunderbirdの署名前のハイフンは、消すことも残すことも可能です。
この記事のポイントをおさらい:
- 署名の前の「– 」はメール規格で決められた区切り文字
- 返信時に署名を自動削除するために使われる
- about:configで設定変更が最も確実な消し方
- HTML署名を使えばハイフンは表示されない
- 消すメリット:見た目がスッキリ
- 消すデメリット:返信時に署名が残る、規格から外れる
- 技術系コミュニティでは付けたままが無難
- 個人メールやデザイン重視なら消してもOK
- 会社の規定がある場合は従う
最も重要なのは、自分の使い方や相手に合わせて判断することです。
技術者同士のやりとりなら規格に従い、デザイン性を重視するなら消す、というように、状況に応じて使い分けましょう。
設定は簡単に戻せるので、まずは試してみて、自分に合った方法を見つけてくださいね。この記事が、あなたのメール環境をより快適にする助けになれば嬉しいです!


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