メールの宛先を入力しようとすると、勝手に古いメールアドレスや間違ったアドレスが候補に出てきて困ったことはありませんか?
Thunderbirdにはオートコンプリート機能(自動補完)があり、過去に使ったメールアドレスを記憶して、次回から自動的に候補として表示してくれます。
便利な機能ですが、間違ったアドレスが残っていたり、プライバシー上の理由で無効にしたい場合もあるでしょう。
この記事では、Thunderbirdのオートコンプリート機能を無効化する方法と、細かく管理する方法を分かりやすく解説していきます。
オートコンプリート(自動補完)って何?

まず、オートコンプリート機能について基本を理解しておきましょう。
オートコンプリート機能とは
オートコンプリートとは、メールの宛先(To、Cc、Bcc)にメールアドレスを入力し始めると、過去に使用したアドレスが自動的に候補として表示される機能です。
例:
「yama」と入力すると…
- yamada@example.com
- yamaguchi@company.jp
- yamamoto.taro@mail.com
このように、入力途中で候補が表示されるため、全部入力しなくても素早くアドレスを選べます。
どこからアドレスが候補に出てくるの?
Thunderbirdは、以下の場所からアドレスを候補として表示します:
- 送信履歴:過去に送信したメールの宛先
- 受信履歴:受信したメールの差出人
- アドレス帳:登録済みの連絡先
- 収集されたアドレス:自動的に収集されたアドレス帳
これらが混ざって候補として表示されるため、時に不要なアドレスも出てきてしまうわけです。
オートコンプリート機能を完全に無効化する方法
オートコンプリート機能そのものを停止したい場合の手順です。
方法1:設定画面から無効化
手順:
- Thunderbirdのメニューから「設定」を開く
- 左メニューの「編集」を選択
- 「アドレス入力」セクションを探す
- 「ローカルのアドレス帳」のチェックを外す
- 「過去の送信先アドレスを使用する」のチェックを外す
これで、アドレス帳や送信履歴からの自動補完がオフになります。
方法2:高度な設定から無効化
より詳細に制御したい場合は、設定エディタを使います。
手順:
- メニューから「設定」を開く
- 画面右上の検索ボックスに「設定エディター」と入力
- 「設定エディター」ボタンをクリック
- 警告が出たら「危険性を承知の上で使用する」をクリック
- 検索ボックスに「autocomplete」と入力
- 以下の設定を変更:
- mail.enable_autocomplete:
false
に変更(ダブルクリックで切り替え)
この設定で、オートコンプリート機能が完全に無効化されます。
特定のアドレスだけを削除する方法
オートコンプリート自体は便利だけど、間違ったアドレスや古いアドレスだけを消したい場合の方法です。
方法1:候補リストから直接削除
最も簡単な方法です。
手順:
- 新規メール作成画面を開く
- 宛先欄に文字を入力して、削除したいアドレスを候補として表示させる
- 削除したいアドレスを選択(クリックではなく、↑↓キーで選択)
- Deleteキーを押す
これで、その候補が履歴から削除されます。
注意点:
アドレス帳に登録されているアドレスは、この方法では削除されません。アドレス帳から直接削除する必要があります。
方法2:アドレス帳から削除
アドレス帳に登録されているアドレスを削除する方法です。
手順:
- Thunderbirdのメニューから「ツール」→「アドレス帳」を開く(または、ハンバーガーメニュー「≡」→「アドレス帳」)
- 左側のリストから「収集されたアドレス」を選択
- 削除したいアドレスを探す
- 右クリック→「削除」
「収集されたアドレス」には、過去にメールをやり取りした相手が自動的に保存されています。
方法3:収集されたアドレスをまとめて削除
不要なアドレスがたくさんある場合、一括削除が便利です。
手順:
- アドレス帳を開く
- 「収集されたアドレス」を選択
- Ctrl+A(Mac:Cmd+A)ですべてのアドレスを選択
- Deleteキーで一括削除
注意:
必要なアドレスまで消えてしまうので、事前に「個人用アドレス帳」に移動しておくと安全です。
オートコンプリート履歴をクリアする方法
送信履歴に基づく候補をすべて削除したい場合の方法です。
オートコンプリート履歴ファイルの場所
Thunderbirdは、オートコンプリートの履歴をプロファイルフォルダ内のファイルに保存しています。
ファイル名:
abook.sqlite
(アドレス帳データベース)history.sqlite
(履歴データベース、バージョンによって異なる)
履歴をクリアする手順
方法1:設定から削除(推奨)
- 「設定」→「編集」→「アドレス入力」
- 「過去の送信先アドレスを使用する」のチェックを外す
- チェックを外したまま、Thunderbirdを再起動
- もう一度チェックを入れる
これで、履歴がリセットされ、新しく記録が始まります。
方法2:ファイルを直接削除(上級者向け)
- Thunderbirdを完全に終了
- プロファイルフォルダを開く
- 「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」→「フォルダーを開く」
- abook.mabまたはabook.sqliteを探す
- バックアップを取ってから削除(または、リネームして退避)
- Thunderbirdを再起動
次回起動時に、新しいアドレス帳ファイルが作成されます。
アドレス帳だけを使うようにする
オートコンプリートの履歴は使わず、アドレス帳に登録した連絡先だけを候補に表示する方法です。
設定方法
手順:
- 「設定」→「編集」→「アドレス入力」
- 「過去の送信先アドレスを使用する」のチェックを外す
- 「ローカルのアドレス帳」にチェックを入れる
- 使用するアドレス帳を選択(個人用アドレス帳など)
これで、登録済みの連絡先だけが候補に表示されるようになります。
メリット
- 間違ったアドレスが候補に出なくなる
- プライバシーが守られる(共有PCで使う場合など)
- 必要な連絡先だけを管理できる
デメリット
- 新しい相手にメールを送る時は、毎回アドレスを全部入力する必要がある
- アドレス帳に登録する手間が増える
自動収集機能を無効化する
メールをやり取りするたびに自動的にアドレスが保存されるのを防ぐ方法です。
自動収集とは
Thunderbirdは、デフォルトで送信したメールの宛先を「収集されたアドレス」というアドレス帳に自動的に保存します。
この機能が不要な場合は、無効化できます。
無効化の手順
手順:
- 「設定」→「編集」→「アドレス入力」
- 「送信時に自動的にアドレスを追加する」の選択肢を確認
- ドロップダウンメニューから「追加しない」を選択
これで、今後メールを送信しても、アドレスが自動的に保存されなくなります。
プライバシーを守るためのオートコンプリート管理
共有PCを使う場合や、プライバシーを重視する場合の設定です。
なぜプライバシーが問題になるの?
オートコンプリート機能は、過去のメール送信履歴を記録しています。
つまり、誰にメールを送ったかという情報が残るため、他の人がThunderbirdを使った時に見られてしまう可能性があります。
対策1:定期的に履歴をクリア
月に1回など、定期的に「収集されたアドレス」を整理しましょう。
対策2:自動収集を完全にオフ
前述の方法で、自動収集機能を無効化します。
対策3:マスターパスワードを設定
Thunderbird全体をパスワードで保護することで、他の人が使えないようにできます。
手順:
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」
- 「マスターパスワードを使用する」にチェック
- パスワードを設定
これで、Thunderbird起動時にパスワードが必要になり、アドレス帳や履歴も保護されます。
よくあるトラブルと解決方法
オートコンプリート機能で起こりやすい問題と対処法です。
トラブル1:間違ったアドレスが何度も候補に出る
原因:
誤ったアドレスがオートコンプリート履歴に記録されている
解決法:
- 候補リストから該当アドレスを選択
- Deleteキーで削除
- または、アドレス帳の「収集されたアドレス」から削除
トラブル2:削除したはずのアドレスがまた出てくる
原因:
複数のアドレス帳に同じアドレスが登録されている、またはキャッシュの問題
解決法:
- すべてのアドレス帳を確認して、該当アドレスを削除
- Thunderbirdを再起動
- それでも出る場合は、オートコンプリート履歴をクリア
トラブル3:オートコンプリートが全く動かない
原因:
設定が無効になっている、または設定ファイルが破損
解決法:
- 「設定」→「編集」→「アドレス入力」で設定を確認
- 「ローカルのアドレス帳」と「過去の送信先アドレスを使用する」にチェックが入っているか確認
- 設定エディタで
mail.enable_autocomplete
がtrue
になっているか確認
トラブル4:候補が多すぎて選びにくい
原因:
大量のアドレスが履歴に残っている
解決法:
- 「収集されたアドレス」を整理
- 不要なアドレスを削除
- よく使う連絡先だけを「個人用アドレス帳」に登録
- 「過去の送信先アドレスを使用する」をオフにして、アドレス帳のみを使用
オートコンプリートの表示順序と優先順位
候補がどの順番で表示されるか理解しておくと便利です。
表示順序の仕組み
Thunderbirdは、以下の優先順位で候補を表示します:
- 完全一致:入力した文字列と完全に一致するアドレス
- 前方一致:入力した文字列で始まるアドレス
- 部分一致:入力した文字列を含むアドレス
- 使用頻度:よく使うアドレスが上位に表示される
優先順位を調整する
特定のアドレスを優先的に表示させたい場合:
- そのアドレスを「個人用アドレス帳」に登録
- 表示名を分かりやすくする(例:「山田太郎(会社)」)
- 頻繁に使うことで、自動的に上位に表示される
アドオンでオートコンプリートを強化
より高度なオートコンプリート管理をしたい場合、アドオンを使う方法もあります。
おすすめのアドオン
Cardbook
- より高機能なアドレス帳管理
- 詳細な連絡先情報を保存
- CardDAVサーバーとの同期
使用方法:
- 「アドオンとテーマ」を開く(Ctrl+Shift+A)
- 検索ボックスで「Cardbook」を検索
- インストールして有効化
アドオンによっては、オートコンプリートの動作が変わるため、自分に合ったものを選びましょう。
よくある質問
Q. オートコンプリートを無効にすると、アドレス帳も使えなくなる?
A. いいえ、使えます。
オートコンプリート機能を無効にしても、アドレス帳は引き続き使用できます。
アドレス帳から手動でアドレスをコピー&ペーストしたり、アドレス帳ボタンから選択したりできます。
Q. 候補に表示される件数を増やせる?
A. 設定エディタから変更できます。
- 設定エディタを開く
mail.autoComplete.maxRows
を検索- 値を変更(デフォルトは10~15件程度)
ただし、増やしすぎると選びにくくなるため、適度な数にしましょう。
Q. Gmailのように、よく使う順に並べられる?
A. 基本的には使用頻度が反映されます。
Thunderbirdは、使用頻度が高いアドレスを優先的に表示しますが、完全にGmailと同じ動作ではありません。
Q. オートコンプリートをエクスポートできる?
A. アドレス帳としてエクスポートできます。
- アドレス帳を開く
- 「ツール」→「エクスポート」
- CSV形式やvCard形式で保存
これで、別のメールソフトやデバイスに移行できます。
まとめ:オートコンプリートを自分好みに設定しよう
Thunderbirdのオートコンプリート機能は、適切に管理すれば非常に便利な機能です。
無効化したい場合:
- 「設定」→「編集」→「アドレス入力」で設定変更
- 「過去の送信先アドレスを使用する」をオフ
- 必要に応じて設定エディタで完全無効化
特定のアドレスだけ削除したい場合:
- 候補リストからDeleteキーで削除
- アドレス帳の「収集されたアドレス」を整理
プライバシー重視の場合:
- 自動収集機能をオフ
- 定期的に履歴をクリア
- マスターパスワードを設定
アドレス帳だけを使いたい場合:
- 「過去の送信先アドレスを使用する」をオフ
- 「ローカルのアドレス帳」をオン
- 必要な連絡先だけを登録
自分の使い方に合わせて、オートコンプリート機能を調整してみてください。
適切に設定すれば、メール作成がもっと快適になりますよ!
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