「Sublime TextでPythonを書いてみたけど、どうやって実行するの?」
この疑問を持つ人は非常に多いです。実際、Pythonを学び始めた多くの人が最初につまずくポイントでもあります。
なぜSublime TextでPython?
Pythonのコードを書くエディタとして人気のSublime Text(サブライムテキスト)には、以下のような魅力があります:
- 見た目がスッキリしていて集中しやすい
- 動作が軽快でストレスなく使える
- カスタマイズ性が高いので自分好みに設定できる
- 初心者から上級者まで幅広く使われている
ただし、最初は実行方法がちょっと分かりにくいのも事実です。
この記事で分かること
この記事では、以下について段階的にわかりやすく解説します:
- Sublime TextでPythonコードを簡単に実行する方法
- よくあるつまずきポイントと確実な解決法
- 作業効率を上げる便利なプラグインの活用法
- 実際の開発で役立つコツとテクニック
最後まで読めば、Sublime Textで快適にPythonプログラミングができるようになりますので、ぜひ参考にしてください。
事前準備:Pythonが動くか確認しよう
なぜ確認が必要なの?
Sublime TextでPythonを実行するには、まずパソコン自体にPythonがインストールされている必要があります。エディタは「コードを書く場所」であり、実際にプログラムを動かすのは別のプログラム(Python)だからです。
確認方法(Windows・Mac・Linux共通)
手順
- ターミナル(コマンドプロンプト)を開く
- Windows: スタートメニューで「cmd」と検索
- Mac: Spotlight検索で「ターミナル」と検索
- Linux: Ctrl+Alt+Tまたはアプリケーションメニューから
- Pythonのバージョンを確認
python --version
- 結果を確認
- 正常な場合:
Python 3.11.4
のような表示 - エラーの場合:
python is not recognized
やcommand not found
- 正常な場合:
うまくいかない場合
以下のコマンドも試してみましょう:
python3 --version
または
py --version
Pythonがインストールされていない場合
Windows
- Python公式サイト(https://www.python.org/)にアクセス
- **「Downloads」**から最新版をダウンロード
- インストール時の注意点:「Add Python to PATH」に必ずチェック
Mac
- Homebrewを使用(推奨)
brew install python
- または公式サイトからダウンロード
Linux(Ubuntu/Debian)
sudo apt update
sudo apt install python3 python3-pip
確認完了の目安
以下のような表示が出れば準備完了です:
Python 3.11.4
この数字(バージョン番号)は環境によって異なりますが、「Python」という文字と数字が表示されればOKです。
Sublime TextでPythonを実行する基本方法
ビルドシステムとは?
Sublime Textには「ビルドシステム」という機能があります。これは、ショートカット一発でコードを実行できるとても便利な仕組みです。
基本的な実行手順
ステップ1:ビルドシステムを設定
- Sublime Textを起動
- メニューから選択
Tools → Build System → Python
- 設定完了の確認
- メニューに「Python」と表示される
- 他の項目(「Automatic」など)ではなく「Python」を選ぶ
ステップ2:Pythonファイルを作成
- 新しいファイルを作成
Ctrl + N
(Mac:Cmd + N
)で新規ファイル
- 簡単なコードを書いてみる
print("Hello, Python!") print("Sublime Textから実行しています") # 計算の例 result = 10 + 20 print(f"10 + 20 = {result}")
- ファイルを保存
Ctrl + S
(Mac:Cmd + S
)で保存- ファイル名は「test.py」などにする
- 拡張子「.py」を必ず付ける
ステップ3:実行してみる
- 実行コマンド
Ctrl + B
(Mac:Cmd + B
)を押す
- 結果の確認
- 下部にパネルが開いて実行結果が表示される
- 以下のような表示が出れば成功
Hello, Python!
Sublime Textから実行しています
10 + 20 = 30
[Finished in 0.1s]
実行パネルの見方
実行すると下部に表示されるパネルには、以下の情報が含まれます:
- 実行結果:print文の出力内容
- エラーメッセージ:コードに問題がある場合
- 実行時間:プログラムの処理時間
- 終了ステータス:正常終了か異常終了か
よく使うショートカット
操作 | Windows/Linux | Mac |
---|---|---|
実行 | Ctrl + B | Cmd + B |
実行パネルを閉じる | Esc | Esc |
新しいファイル | Ctrl + N | Cmd + N |
ファイル保存 | Ctrl + S | Cmd + S |
よくあるトラブルとその解決法
「pythonコマンドが見つからない」エラー
エラーの例
'python' is not recognized as an internal or external command
または
python: command not found
原因
環境変数(PATH)にPythonのパスが通っていないことが原因です。
解決方法1:Pythonコマンドの確認
まず、以下のコマンドを順番に試してください:
python --version
python3 --version
py --version
どれか一つでも動作すれば、そのコマンドを使用できます。
解決方法2:ビルドシステムの調整
Sublime Textのビルドシステムを調整する方法:
- カスタムビルドシステムを作成
Tools → Build System → New Build System
- 設定ファイルに以下を記入
{ "cmd": ["python3", "-u", "$file"], "file_regex": "^[ ]*File \"(...*?)\", line ([0-9]*)", "selector": "source.python" }
- ファイルを保存
- 「Python3.sublime-build」などの名前で保存
- 新しいビルドシステムを選択
Tools → Build System → Python3
解決方法3:環境変数の設定
Windows の場合
- 「システムの詳細設定」を開く
- スタートメニューで「環境変数」と検索
- 「環境変数」ボタンをクリック
- 「Path」を編集
- Pythonのインストールフォルダを追加
- 通常は
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs\Python\Python311\
- コマンドプロンプトを再起動
Mac の場合
- ターミナルでPythonの場所を確認
which python3
- シェル設定ファイルを編集
echo 'alias python=python3' >> ~/.zshrc source ~/.zshrc
文字化けやエンコーディングエラー
症状
日本語が正しく表示されない、または以下のようなエラーが出る:
UnicodeDecodeError: 'cp932' codec can't decode
解決方法
- ファイルの文字コードを確認
- Sublime Textの右下にエンコーディングが表示される
- UTF-8に変更
File → Save with Encoding → UTF-8
- Pythonコードに文字コード指定を追加
# -*- coding: utf-8 -*- print("日本語テスト")
複数のPythonバージョンが混在している場合
問題
複数のPythonバージョンがインストールされていて、どれが使われているか分からない。
確認方法
python --version
python3 --version
which python
which python3
解決方法
使いたいバージョンを明確に指定する:
{
"cmd": ["/usr/bin/python3", "-u", "$file"],
"file_regex": "^[ ]*File \"(...*?)\", line ([0-9]*)",
"selector": "source.python"
}
効率を上げる便利なプラグイン
Package Controlのインストール
プラグインを使うには、まず「Package Control」が必要です。
インストール方法
- コマンドパレットを開く
Ctrl + Shift + P
(Mac:Cmd + Shift + P
)
- 「Install Package Control」と入力
- インストール完了を待つ
SublimeREPL:対話的Python実行
特徴
SublimeREPLは、Sublime Textの中でPythonシェルを使えるプラグインです。
インストール方法
- Package Controlを開く
Ctrl + Shift + P
→Package Control: Install Package
- 「SublimeREPL」を検索してインストール
使い方
- REPLを起動
Tools → SublimeREPL → Python → Python
- 新しいタブでPythonシェルが開く
- コードを直接入力して実行
>>> print("Hello from REPL!") Hello from REPL! >>> 2 + 3 5
SublimeREPLの便利な使い方
コードをREPLに送信
- 実行したいコードを選択
- **
Ctrl + , s
**でREPLに送信 - 結果がREPLタブに表示される
ファイル全体をREPLで実行
- Pythonファイルを開く
- **
Ctrl + , f
**でファイル全体を送信
Anaconda:強力なPython支援
特徴
- 自動補完が非常に強力
- 構文チェックをリアルタイムで実行
- 関数の説明をポップアップで表示
インストール方法
- Package Controlから「Anaconda」をインストール
- 再起動して設定完了
主な機能
自動補完
- 関数名や変数名を途中まで入力すると候補が表示される
構文チェック
- エラーがある行に赤い点が表示される
- マウスを合わせると詳細なエラー内容が表示される
関数の詳細表示
- 関数にカーソルを合わせると説明が表示される
GitGutter:変更箇所の可視化
特徴
コードのどこを変更したかが一目で分かります。
表示内容
- 緑色:追加した行
- 黄色:変更した行
- 赤色:削除した行
インストールと設定
- Package Controlから「GitGutter」をインストール
- Gitリポジトリ内でファイルを編集すると自動的に表示される
BracketHighlighter:括弧の対応確認
特徴
- 対応する括弧をハイライト表示
- ネストの深い複雑なコードでも括弧の対応が分かりやすい
活用場面
def complex_function(data):
result = []
for item in data:
if isinstance(item, dict):
for key, value in item.items():
if value > 10:
result.append({"key": key, "value": value * 2})
return result
このような複雑なコードでも、括弧の対応関係が明確に表示されます。
実際の開発で役立つコツ
プロジェクト管理
フォルダを開く
File → Open Folder
Pythonプロジェクト全体のフォルダを開くことで:
- ファイル間の移動が簡単
- サイドバーでファイル構造を把握
- 検索機能でプロジェクト全体から文字列検索
プロジェクト設定の保存
Project → Save Project As
これにより、次回からプロジェクトファイルを開くだけで同じ環境を復元できます。
デバッグ時の工夫
print文を活用したデバッグ
def calculate_average(numbers):
print(f"受け取った数値: {numbers}") # デバッグ用
total = sum(numbers)
print(f"合計: {total}") # デバッグ用
count = len(numbers)
print(f"個数: {count}") # デバッグ用
average = total / count
print(f"平均: {average}") # デバッグ用
return average
# テスト実行
result = calculate_average([10, 20, 30])
ログファイルの活用
import logging
# ログ設定
logging.basicConfig(filename='debug.log', level=logging.DEBUG)
def my_function(x, y):
logging.debug(f"関数呼び出し: x={x}, y={y}")
result = x + y
logging.debug(f"計算結果: {result}")
return result
効率的なコーディング環境
分割表示の活用
- **
View → Layout → Columns: 2
**で画面を2分割 - 左側:メインのPythonファイル
- 右側:テスト用ファイルやドキュメント
スニペットの活用
よく使うコードパターンを登録:
Tools → Developer → New Snippet
- スニペットを作成
<snippet> <content><![CDATA[def ${1:function_name}(${2:parameters}): """${3:説明}""" ${4:pass}]]></content> <tabTrigger>def</tabTrigger> <scope>source.python</scope></snippet>
- 「def」と入力してTabキーで関数テンプレートが展開される
高度な活用方法
仮想環境との連携
なぜ仮想環境が必要?
- プロジェクトごとに異なるライブラリバージョンを使用
- 本体のPython環境を汚さない
- 他の人との環境共有が簡単
仮想環境を使ったビルドシステム
{
"cmd": ["/path/to/venv/bin/python", "-u", "$file"],
"file_regex": "^[ ]*File \"(...*?)\", line ([0-9]*)",
"selector": "source.python",
"env": {"PYTHONPATH": "/path/to/your/project"}
}
外部ライブラリの活用
よく使うライブラリの例
# データ分析
import pandas as pd
import numpy as np
# Web開発
import requests
from flask import Flask
# GUI開発
import tkinter as tk
ライブラリのインストール
pip install pandas numpy requests flask
テスト駆動開発
unittestを使ったテスト
import unittest
class TestCalculator(unittest.TestCase):
def test_addition(self):
result = 2 + 3
self.assertEqual(result, 5)
def test_division(self):
result = 10 / 2
self.assertEqual(result, 5.0)
if __name__ == '__main__':
unittest.main()
テスト実行用ビルドシステム
{
"cmd": ["python", "-m", "unittest", "$file"],
"file_regex": "^[ ]*File \"(...*?)\", line ([0-9]*)",
"selector": "source.python"
}
まとめ
Sublime TextでPythonを実行する方法について、重要なポイントをまとめます:
基本的な実行方法
- 事前準備:Pythonのインストール確認
- ビルドシステム設定:
Tools → Build System → Python
- 実行:
Ctrl + B
(Mac:Cmd + B
)
トラブル解決のポイント
- 環境変数の設定確認
- Pythonコマンドの正しい指定
- 文字エンコーディングの統一
効率化のためのツール
- SublimeREPL:対話的な実行環境
- Anaconda:強力なコード支援
- GitGutter:変更箇所の可視化
実践的な活用方法
- プロジェクト管理機能の活用
- 分割表示での効率的な開発
- スニペットによるコード入力の高速化
コメント