「今使っているデータベースのバージョンはいくつ?」
「新しい機能を使いたいけど、対応しているかわからない…」
「エラーが出るのはバージョンの問題?」
そんなときに必要なのが、SQLデータベースのバージョン確認です。
「バージョン確認って難しそう」
「コマンドがわからない」
そんな不安をお持ちの方も多いでしょう。
しかし実際は、簡単なコマンドを覚えるだけで確認できます。
この記事では、MySQL/PostgreSQL/SQLiteなどの代表的なSQL環境でのバージョン確認方法を、コマンド例と一緒にわかりやすく解説します。
なぜバージョン確認が重要なのか?

データベース開発で必須の理由
主なメリット
- 新機能の対応可否を確認:使いたい機能が利用できるかチェック
- SQL構文や関数の違いを把握:バージョンによって書き方が変わることがある
- 互換性トラブルの予防:古いバージョンで新しい構文を使うとエラーになる
- セキュリティサポートの有無を確認:古すぎるバージョンは危険
よくあるトラブル例
バージョン確認不足で起こる問題
- エラーの原因が不明:「なぜこのSQLが動かないの?」
- 機能制限:「この便利な関数が使えない」
- セキュリティリスク:「古いバージョンで脆弱性がある」
- チーム開発での混乱:「他の人の環境では動くのに…」
これらの問題を避けるために、バージョン確認は開発前の必須ステップです。
MySQLのバージョン確認方法

SQL文で確認する方法
基本的なコマンド
SELECT VERSION();
実行例
mysql> SELECT VERSION();
+-----------+
| VERSION() |
+-----------+
| 8.0.36 |
+-----------+
1 row in set (0.00 sec)
結果の見方
8.0.36
の場合:メジャーバージョン8.0、マイナーバージョン36- 数字が大きいほど新しいバージョン
コマンドラインで確認する方法
Windowsの場合
mysql --version
macOS・Linuxの場合
mysql --version
実行結果例
mysql Ver 8.0.36 for Win64 on x86_64 (MySQL Community Server - GPL)
より詳しい情報を取得する方法
SHOW VARIABLES LIKE '%version%';
このコマンドで、MySQLに関連するすべてのバージョン情報を確認できます。
PostgreSQLのバージョン確認方法

SQL文での確認
基本コマンド
SELECT version();
実行例
testdb=# SELECT version();
version
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
PostgreSQL 15.3 on x86_64-pc-linux-gnu, compiled by gcc (Ubuntu 9.4.0-1ubuntu1~20.04.1) 9.4.0, 64-bit
(1 row)
結果に含まれる情報
- PostgreSQLのバージョン(15.3)
- 実行環境のOS情報
- コンパイラ情報
- アーキテクチャ情報(64-bit等)
コマンドラインでの確認
基本コマンド
psql --version
実行結果例
psql (PostgreSQL) 15.3
より簡潔なバージョン情報
数値のみで確認したい場合
SHOW server_version;
実行結果例
server_version
----------------
15.3
(1 row)
SQLiteのバージョン確認方法

SQL文での確認
基本コマンド
SELECT sqlite_version();
実行例
sqlite> SELECT sqlite_version();
3.44.1
結果の特徴
- SQLiteは軽量なので、シンプルなバージョン番号のみ表示
- 3系が現在の主流バージョン
コマンドラインでの確認
基本コマンド
sqlite3 --version
実行結果例
3.44.1 2023-12-05 12:36:06 f4ead8xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
結果に含まれる情報
- バージョン番号(3.44.1)
- リリース日(2023-12-05)
- ビルドID
SQLiteの特殊な確認方法
プラットフォーム情報も含めた確認
SELECT sqlite_source_id();
これでより詳細なビルド情報を確認できます。
SQL Server(Microsoft)の場合

基本的なバージョン確認
SQL文
SELECT @@VERSION;
実行例
Microsoft SQL Server 2022 (RTM) - 16.0.1000.6 (X64)
Oct 8 2022 05:58:25
Copyright (C) 2022 Microsoft Corporation
Developer Edition (64-bit) on Windows 10 Pro...
結果に含まれる詳細情報
- 製品名(SQL Server 2022)
- バージョン番号(16.0.1000.6)
- ビルド日時
- エディション情報
- OS情報
より具体的な情報の取得
製品バージョンのみ
SELECT SERVERPROPERTY('ProductVersion');
エディション情報
SELECT SERVERPROPERTY('Edition');
製品レベル(RTM、SP1等)
SELECT SERVERPROPERTY('ProductLevel');
Oracle Databaseのバージョン確認

基本的な確認方法
SQL文
SELECT * FROM v$version;
実行例
BANNER
--------------------------------------------------------------------------------
Oracle Database 19c Enterprise Edition Release 19.0.0.0.0 - Production
Version 19.8.0.0.0
より簡潔な確認
バージョン番号のみ
SELECT version FROM v$instance;
バージョン番号の見方と互換性

現在の主要バージョン(2025年時点)
データベース | 現行メジャーバージョン | 特徴 |
---|---|---|
MySQL | 8.0 | JSON機能、ウィンドウ関数などが充実 |
PostgreSQL | 15〜16系 | 高機能、拡張性に優れる |
SQLite | 3系(継続中) | 軽量、ファイルベース |
SQL Server | 2019/2022 | Windows統合、企業向け機能が豊富 |
バージョン番号の読み方
一般的なバージョン表記
- メジャー.マイナー.パッチ(例:8.0.36)
- メジャー:大きな機能変更
- マイナー:中程度の機能追加
- パッチ:バグ修正、セキュリティ更新
サポート状況の確認ポイント
- LTS(長期サポート)版かどうか
- EOL(サポート終了)日はいつか
- セキュリティ更新は提供されているか
バージョンによる機能差の例
MySQL 8.0での新機能例
- ウィンドウ関数(ROW_NUMBER、RANKなど)
- 共通テーブル式(WITH句)
- JSON関数の拡充
PostgreSQL 15での新機能例
- MERGE文のサポート
- パフォーマンス改善
- JSON関数の拡張
トラブルシューティング

バージョン確認でエラーが出る場合
よくあるエラーと対処法
エラー内容 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
「mysql: command not found」 | MySQLがインストールされていない | MySQLをインストール |
「Access denied」 | 接続権限がない | 正しいユーザー・パスワードで接続 |
「Connection refused」 | データベースが起動していない | データベースサービスを起動 |
確認したバージョンが古い場合
アップデート前の注意点
- データのバックアップを必ず取る
- 互換性を事前に調査
- テスト環境で動作確認
- ダウンタイムを計画に含める
開発環境での活用方法
チーム開発でのバージョン管理
ベストプラクティス
- Dockerを使用して環境を統一
- requirements.txt等でバージョンを明記
- CI/CDでバージョンチェックを自動化
バージョン情報をコードで取得
アプリケーションからの取得例(Python)
import mysql.connector
connection = mysql.connector.connect(
host='localhost',
user='username',
password='password'
)
cursor = connection.cursor()
cursor.execute("SELECT VERSION()")
version = cursor.fetchone()
print(f"MySQL Version: {version[0]}")
まとめ
SQLでのバージョン確認は、環境に合った正確な開発とトラブル回避の第一歩です。
一度覚えれば、どのプロジェクトでも活用できる基本スキルです。
今回のポイントをおさらい
データベース | SQL文 | コマンドライン |
---|---|---|
MySQL | SELECT VERSION(); | mysql --version |
PostgreSQL | SELECT version(); | psql --version |
SQLite | SELECT sqlite_version(); | sqlite3 --version |
SQL Server | SELECT @@VERSION; | PowerShellで実行可能 |
Oracle | SELECT * FROM v$version; | sqlplus -V |
今日からできること
- 使用中のデータベースのバージョンをチェック
- 開発予定の機能が対応しているか確認
- 古いバージョンの場合はアップデート計画を立てる
- チーム内でバージョン情報を共有
継続的に意識すべきこと
- 定期的なバージョンチェックの習慣化
- セキュリティアップデートへの対応
- 新機能の学習と活用
- 互換性を考慮した開発
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