SMB/CIFSプロトコルとは?ファイル共有の仕組みを徹底解説!

会社や学校で、「共有フォルダ」を使ったことはありませんか?

自分のパソコンから、別のパソコンやサーバーにあるファイルを開いたり、プリンターを使ったり。ネットワーク越しにファイルをやり取りできるのは、とても便利ですよね。

実は、この「ネットワーク上でファイルを共有する仕組み」を支えているのが、SMB/CIFSプロトコルなんです。

「プロトコルって何?」「SMBとCIFSは違うの?」「どうやって動いているの?」

この記事では、そんな疑問に答えながら、SMB/CIFSプロトコルについて初心者の方にもわかりやすく解説します。IT業界で働く人はもちろん、普段ネットワークを使っている人にも役立つ内容です。

難しい技術用語は最小限にして、身近な例を交えながら説明していきますね!


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プロトコルって何?

まず、「プロトコル」という言葉から説明しましょう。

プロトコルは「通信のルール」

プロトコルとは、コンピュータ同士が情報をやり取りする時の約束事やルールのことです。

人間でいえば、言語のようなものですね。

身近な例で考えてみましょう

  • 日本語を話す人同士なら会話ができる
  • でも、日本語しか話せない人と英語しか話せない人では会話が成り立たない
  • 共通の言語(ルール)があって初めて、コミュニケーションができる

コンピュータも同じです。

同じプロトコル(ルール)を使っているコンピュータ同士なら、データをやり取りできます。

様々なプロトコルがある

インターネットやネットワークには、用途に応じて様々なプロトコルが存在します。

  • HTTP/HTTPS:Webページを見る時のプロトコル
  • FTP:ファイルを転送するプロトコル
  • SMTP:メールを送信するプロトコル
  • SMB/CIFS:ファイルやプリンターを共有するプロトコル ← 今回のテーマ!

それぞれ役割が違うんですね。


SMB/CIFSとは?

それでは本題に入りましょう。

SMBの正式名称と意味

SMBは「Server Message Block(サーバー・メッセージ・ブロック)」の略です。

ネットワーク上で、ファイルやフォルダ、プリンターなどを共有するためのプロトコルです。

誰が作ったの?

SMBは、1980年代にIBM(アイ・ビー・エム)という会社が開発しました。

その後、マイクロソフトが改良を重ね、Windowsに組み込んで広く普及させたんです。

CIFSとは何?

CIFSは「Common Internet File System(共通インターネット・ファイル・システム)」の略です。

実は、CIFSはSMBの古いバージョンに付けられた名前なんです。

SMBとCIFSの関係

  • 1990年代、マイクロソフトがSMBを改良した時に「CIFS」という名前で呼んだ
  • でも、その後もSMBという名前が使われ続けた
  • 現在では、SMBが正式名称として定着している
  • CIFSは、SMBの旧バージョン(SMB 1.0)を指すことが多い

簡単にいうと、SMBとCIFSはほぼ同じものだと考えてOKです。

現在は「SMB」という呼び方が一般的ですね。


SMB/CIFSは何に使われる?

では、SMB/CIFSは具体的にどんな場面で使われているのでしょうか。

使用例1:ファイルの共有

一番よく使われるのが、ネットワーク上でのファイル共有です。

職場での例

  • 部署の共有フォルダにアクセスする
  • サーバーに保存されている資料を開く
  • 他の人が作成したファイルを編集する

Windowsのエクスプローラーでネットワークドライブとして表示されるあの仕組みが、SMBを使っています。

家庭での例

  • NAS(ネットワークHDD)に写真や動画を保存する
  • リビングのテレビで、パソコンに入っている動画を再生する

使用例2:プリンターの共有

1台のプリンターを、複数のパソコンから使う時にもSMBが活躍します。

ネットワークプリンター機能ですね。

使用例3:リモートアクセス

外出先から会社のサーバーにアクセスして、ファイルを取り出すこともできます。

ただし、セキュリティ対策が必要です(後述します)。

対応しているOS

SMB/CIFSは、以下のOSで使えます。

  • Windows:標準で対応(最も一般的)
  • macOS:標準で対応
  • Linux:Sambaというソフトを使えば対応
  • スマホ:専用アプリを使えば対応

幅広く使われているプロトコルなんですね。


SMBの仕組みを簡単に理解しよう

SMBがどうやって動いているのか、簡単に説明します。

クライアントとサーバーの関係

SMBは、クライアント・サーバー方式で動きます。

サーバー側

  • ファイルやプリンターを提供する側
  • 「共有フォルダ」を作って公開する
  • アクセス権限を管理する

クライアント側

  • ファイルやプリンターを使う側
  • サーバーにアクセスしてファイルを開いたり保存したりする
  • あなたが普段使っているパソコンがこちら

レストランで例えると、サーバーが「厨房」、クライアントが「お客さん」のようなイメージです。

通信の流れ

SMBでファイルにアクセスする時、こんな流れで通信が行われます。

ステップ1:接続要求

クライアントが「共有フォルダにアクセスしたいです!」とサーバーに伝えます。

ステップ2:認証

サーバーが「あなたは誰ですか?アクセス権限はありますか?」と確認します。

ユーザー名とパスワードでログインするアレですね。

ステップ3:ファイル操作

認証が通れば、ファイルを開いたり、保存したり、削除したりできます。

ステップ4:切断

作業が終わったら、接続を切断します。

この一連のやり取りを、SMBプロトコルがルールに従って行っているんです。

ポート番号

SMBは、通信に特定のポート番号を使います。

  • SMB:ポート445
  • NetBIOS over TCP/IP:ポート137、138、139(古い方式)

ポート番号は、「建物の部屋番号」のようなものです。

正しいポートを開けておかないと、通信できません。


SMBのバージョンと進化

SMBには、いくつかのバージョンがあります。

SMB 1.0(CIFS)

  • 最も古いバージョン
  • 1990年代に広く使われた
  • セキュリティに問題があり、現在は非推奨
  • Windows 10/11では初期状態で無効化されている

SMB 2.0

  • 2006年、Windows Vista / Server 2008で登場
  • 通信速度が大幅に向上
  • セキュリティが強化された
  • パフォーマンスが改善

SMB 2.1

  • 2009年、Windows 7 / Server 2008 R2で登場
  • さらに効率が良くなった
  • 省電力機能を追加

SMB 3.0

  • 2012年、Windows 8 / Server 2012で登場
  • 暗号化機能を追加(重要!)
  • マルチチャネル対応で高速化
  • 可用性(壊れにくさ)が向上

SMB 3.1.1(最新)

  • 2015年、Windows 10 / Server 2016で登場
  • さらに強力な暗号化
  • セキュリティの脆弱性を修正
  • 現在、最も推奨されるバージョン

新しいバージョンほど、速くて安全です。

古いSMB 1.0は、セキュリティリスクがあるので使わないようにしましょう。


SMB/CIFSのセキュリティ問題

SMBには、注意すべきセキュリティの問題があります。

SMB 1.0の危険性

2017年、WannaCry(ワナクライ)というランサムウェア(身代金要求型ウイルス)が世界中で大流行しました。

このウイルスは、SMB 1.0の脆弱性を突いて広がったんです。

被害の規模

  • 世界150カ国以上で感染
  • 病院、企業、政府機関などが被害に
  • 日本でも多くの企業が影響を受けた

この事件をきっかけに、SMB 1.0の危険性が広く認識されるようになりました。

対策1:SMB 1.0を無効化する

Windows 10/11では、初期状態でSMB 1.0が無効になっています。

もし古いパソコンを使っている場合は、手動で無効化しましょう。

無効化の手順(Windows)

  1. 「コントロールパネル」を開く
  2. 「プログラムと機能」をクリック
  3. 左側の「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリック
  4. 「SMB 1.0/CIFSファイル共有のサポート」のチェックを外す
  5. 「OK」をクリックして再起動

これで、古くて危険なSMB 1.0が使えなくなります。

対策2:暗号化を使う

SMB 3.0以降には、通信を暗号化する機能があります。

暗号化すると、第三者に通信内容を盗み見られるリスクが減ります。

サーバー側で暗号化を有効にする設定が必要です。

対策3:ファイアウォールで保護する

SMBのポート(445番)をインターネットに公開すると、攻撃のリスクが高まります。

守り方

  • 社内ネットワークだけで使う
  • VPN(仮想プライベートネットワーク)経由でアクセスする
  • 必要のない時はポートを閉じる

セキュリティは常に意識しましょう。


SMB/CIFSの設定方法(概要)

実際にSMBを使ってファイル共有を設定する方法を、簡単に紹介します。

Windowsで共有フォルダを作る

ステップ1:共有したいフォルダを右クリック

共有したいフォルダを選んで、右クリックします。

ステップ2:「プロパティ」を開く

メニューから「プロパティ」を選択します。

ステップ3:「共有」タブを選ぶ

プロパティウィンドウの「共有」タブをクリック。

ステップ4:「詳細な共有」をクリック

「詳細な共有」ボタンを押します。

ステップ5:「このフォルダーを共有する」にチェック

チェックボックスをオンにして、共有名を設定します。

ステップ6:アクセス許可を設定

「アクセス許可」ボタンから、誰がアクセスできるか設定します。

  • 読み取り専用:ファイルを見るだけ
  • 変更:ファイルの編集や削除もできる
  • フルコントロール:すべての操作ができる

セキュリティのため、必要最小限の権限だけ与えましょう。

他のパソコンからアクセスする方法

ステップ1:エクスプローラーを開く

Windowsのエクスプローラー(フォルダのアイコン)を開きます。

ステップ2:アドレスバーにパスを入力

上部のアドレスバーに、こんな形式で入力します:

\\コンピューター名\共有フォルダ名

例:\\SERVER01\Documents

ステップ3:認証情報を入力

求められたら、ユーザー名とパスワードを入力します。

ステップ4:アクセス完了

共有フォルダが開いて、ファイルにアクセスできます!

macOSからWindowsの共有フォルダにアクセス

Macからも、Windowsの共有フォルダにアクセスできます。

  1. Finderを開く
  2. メニューバーの「移動」→「サーバへ接続」を選択
  3. smb://コンピューター名/共有フォルダ名 と入力
  4. 認証情報を入力してアクセス

macOSも標準でSMBに対応しているので、簡単に接続できますよ。


トラブルシューティング

SMBがうまく動かない時の対処法を紹介します。

問題1:共有フォルダが見えない

原因

  • ネットワーク設定が「パブリック」になっている
  • ネットワーク探索が無効になっている
  • ファイアウォールでブロックされている

対処法

  1. ネットワークの設定を「プライベート」に変更
  2. 「ネットワーク探索」を有効にする
  3. ファイアウォールの設定を確認

問題2:「アクセスが拒否されました」と表示される

原因

  • ユーザー名またはパスワードが間違っている
  • アクセス許可が設定されていない
  • アカウントに権限がない

対処法

  1. 正しい認証情報でログインし直す
  2. サーバー側のアクセス許可を確認
  3. 管理者に権限を付与してもらう

問題3:接続が遅い

原因

  • 古いSMBバージョンを使っている
  • ネットワークの混雑
  • サーバーの性能不足

対処法

  1. SMB 3.0以降を使っているか確認
  2. ネットワークの帯域を確認
  3. サーバーのスペックを見直す

問題4:SMB 1.0を使わないと接続できない古い機器がある

原因

古いNASや複合機が、SMB 1.0しか対応していない場合があります。

対処法

  1. 機器のファームウェアを最新版にアップデート
  2. どうしても必要なら、一時的にSMB 1.0を有効化(セキュリティリスクあり)
  3. 新しい機器への買い替えを検討

セキュリティを優先することをおすすめします。


よくある質問

Q1:SMBとFTPの違いは?

SMB

  • ファイルをネットワークドライブのように扱える
  • Windowsで標準的に使われる
  • ローカルファイルと同じ感覚で操作できる

FTP

  • ファイル転送に特化したプロトコル
  • インターネット経由での転送に向いている
  • 専用のFTPクライアントソフトが必要

用途が違うので、目的に応じて使い分けます。

Q2:SMBは無料で使える?

無料です。

WindowsやmacOSに標準で組み込まれているので、追加料金は一切かかりません。

Q3:SMBはインターネット経由でも使える?

技術的には可能ですが、非推奨です。

理由:

  • セキュリティリスクが高い
  • 攻撃の標的になりやすい
  • 速度が遅い

インターネット経由でファイルにアクセスしたい場合は:

  • VPNを使う
  • クラウドストレージ(OneDrive、Google Driveなど)を使う
  • より安全なプロトコル(HTTPS、SFTPなど)を検討する

Q4:LinuxでSMBを使うには?

Sambaをインストールします。

Sambaは、LinuxでSMBサーバーやクライアント機能を提供するオープンソースソフトです。

多くのLinuxディストリビューションで利用できます。

Q5:スマホからSMB共有フォルダにアクセスできる?

できます。

専用アプリを使えば、スマホからもアクセス可能です。

  • Android:「Solid Explorer」「FX File Explorer」など
  • iPhone:「FE File Explorer」「Documents by Readdle」など

外出先からアクセスする場合は、VPN経由で安全に接続しましょう。


まとめ

SMB/CIFSプロトコルは、ネットワーク上でファイルやプリンターを共有するための重要な技術です。

私たちが何気なく使っている「共有フォルダ」の裏側で、SMBが活躍しているんですね。

この記事のポイント

✓ SMBはファイル・プリンター共有のためのプロトコル
✓ CIFSはSMBの古い呼び方(ほぼ同じもの)
✓ クライアント・サーバー方式で動作する
✓ バージョンが複数あり、新しいほど安全で高速
✓ SMB 1.0は危険なので無効化すべき
✓ SMB 3.0以降は暗号化機能があり推奨される
✓ Windows、macOS、Linuxで広く使われている
✓ セキュリティ対策が重要(暗号化、ファイアウォール、VPN)

便利な機能ですが、セキュリティには十分注意してください。

特に、古いSMB 1.0を使い続けるのは危険です。最新バージョンを使い、適切な設定をすることで、安全にファイル共有を楽しめますよ。

会社や学校、自宅のネットワークで共有フォルダを使う時は、ぜひこの知識を思い出してくださいね!

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