「スマホってiPhoneかAndroidの2択じゃないの?」と思っている方、実は他にもスマホ向けのOSが存在するんです。
確かに、街で見かけるスマホのほとんどがiPhoneかAndroidスマホですよね。でも世界を見渡すと、もっと多様なOSが開発され、使われているんです。この記事では、AndroidとiOS以外のスマホOSについて、現在も使われているものから、過去に存在したものまで詳しく解説していきます。
スマホOSの現状|AndroidとiOSが圧倒的シェア

まず、現在のスマホOS事情を見ていきましょう。
2025年11月時点での世界シェア
- Android:約72%
- iOS:約28%
この2つを合わせると、なんと世界のスマホの約99%を占めています。つまり、100台のスマホがあったら、99台はiPhoneかAndroidスマホということになります。
それでも残りの1%、つまり100台に1台は別のOSを使っているということ。さらに、特定の地域や用途では、もっと高いシェアを持つOSもあるんです。
現在も使われているAndroid・iOS以外のOS
AndroidとiOS以外で、今も実際に使われているスマホOSをご紹介します。
HarmonyOS(ハーモニーOS)|第3のOSとして急成長中
開発元:Huawei(ファーウェイ)
HarmonyOSは、中国の大手スマホメーカーHuaweiが開発したOSです。もともとはAndroidをベースにしていましたが、最新版のHarmonyOS NEXTでは完全に独自のOSとなりました。
なぜHuaweiは独自OSを作ったの?
2019年、アメリカ政府がHuaweiに制裁を課し、GoogleのAndroidサービスが使えなくなってしまいました。そこでHuaweiは自社でOSを開発することを決意したんです。
現在の状況
中国市場では約14%のシェアを持ち、iOSに次ぐ第2位のOSとなっています。スマホだけでなく、タブレット、スマートウォッチ、スマート家電など、さまざまなデバイスで動作するように設計されています。
日本ではまだあまり見かけませんが、中国や一部のアジア・ヨーロッパ地域では実際に多くの人が使用しています。
KaiOS(カイオーエス)|フィーチャーフォン向けの軽量OS
開発元:KaiOS Technologies
KaiOSは、かつて存在したFirefox OSをベースに作られたOSです。特徴は、スマホではなく「フィーチャーフォン」と呼ばれる、ボタン式の携帯電話向けに開発されている点です。
どんな特徴があるの?
- 軽量設計:わずか256MBのメモリでも動作します
- 基本的なスマホ機能:WhatsApp、YouTube、Googleマップなどが使えます
- 4G対応:インターネット接続も可能です
- 低価格:端末価格が非常に安い(1万円台から)
どこで使われているの?
インドでは2018年時点でiOSを上回るシェアを獲得し、第2位のOSとなりました。日本でもKaiOS搭載の端末が販売されており、ガラケーからの乗り換えを考えている方に注目されています。
「スマホは高機能すぎて使いこなせない」「シンプルな携帯電話で十分」という方にぴったりのOSと言えます。
Ubuntu Touch(ウブントゥ タッチ)|LinuxベースのオープンソースOS
開発元:UBportsコミュニティ
Ubuntu Touchは、パソコン用のLinux OS「Ubuntu」をスマホ向けにアレンジしたOSです。もともとはCanonical社が開発していましたが、現在はUBportsというコミュニティが開発を続けています。
どんな特徴があるの?
- 完全オープンソース:誰でもソースコードを見ることができます
- プライバシー重視:Googleなどの大手企業のサービスに依存しません
- デスクトップとの連携:外部モニターに接続すると、パソコンのように使えます
- 画面端からの操作:スマホの画面の端をスワイプする独特な操作方法
どんな人に向いているの?
主にLinuxに詳しい技術者や開発者、プライバシーを非常に重視する方向けです。一般の方が普段使いするには、アプリの少なさや設定の複雑さがネックになるかもしれません。
対応機種も限られており、現在はGoogle Pixel 3aなどの特定の端末にインストールできます。
Sailfish OS(セイルフィッシュ オーエス)|ヨーロッパ発のプライバシー重視OS
開発元:Jolla(フィンランド)
Sailfish OSは、フィンランドのJolla社が開発するOSです。プライバシーとセキュリティを重視した設計が特徴で、ヨーロッパではある程度の支持を得ています。
どんな特徴があるの?
- 独自のUI:スワイプ操作を中心とした直感的な操作性
- Androidアプリも動く:一部のAndroidアプリが使えます
- オープンソース要素:コアの部分はオープンソース
- 企業向けライセンス:特定の地域や企業向けに提供
一般ユーザー向けというより、セキュリティを重視する企業や組織での利用を想定して作られています。
Tizen(タイゼン)|Samsungが開発したOS
開発元:Samsung、Intel など
Tizenは、韓国のSamsungが中心となって開発したOSです。以前はスマホにも搭載されていましたが、現在ではスマートウォッチやスマートTV向けが主流となっています。
どこで使われているの?
- Samsung Galaxy Watchシリーズ:スマートウォッチのOS
- Samsung Smart TV:テレビのOS
- 一部のスマホ:特定の地域で販売
Samsungはスマホ事業ではAndroidを採用しているため、Tizenスマホは現在ほとんど見かけません。しかし、スマートウォッチやテレビでは今も広く使われています。
かつて存在した「第3のOS」たち

過去には、AndroidとiOSに対抗しようとしたOSがいくつも登場しました。しかし、ほとんどが開発を終了しています。
Windows Phone / Windows 10 Mobile
開発元:Microsoft
Microsoftが開発したスマホ向けOSです。パソコンのWindowsとの親和性が高く、Microsoft Officeが無料で使えるなど、ビジネスマン向けの機能が充実していました。
なぜ消えてしまったの?
一時期は「第3のOS」として期待されましたが、アプリの少なさが致命的でした。AndroidやiOSに比べて使えるアプリが圧倒的に少なく、ユーザーが増えなかったんです。Microsoftは2017年に開発終了を発表しました。
Firefox OS
開発元:Mozilla
Firefox OSは、Webブラウザで有名なMozillaが開発したOSです。HTML5という技術を使って、Webアプリをスマホで動かすというコンセプトでした。
日本でもauから「Fx0」という端末が2014年に発売されましたが、2015年に開発終了が発表されました。しかし、その技術はKaiOSに受け継がれています。
Symbian OS(シンビアン)
開発元:Nokia など
2010年まで、なんと世界シェア1位だったOSがSymbian OSです。ガラケー時代から使われていたOSで、多くの携帯電話に搭載されていました。
しかし、iPhoneとAndroidの登場で急速にシェアを失い、2012年には開発が終了しました。Nokiaの最後のSymbianスマホ「Nokia 808 PureView」が2012年に発売されたのを最後に、歴史の幕を閉じています。
BlackBerry OS
開発元:BlackBerry(旧RIM)
BlackBerry OSは、ビジネスマン向けのスマホ「BlackBerry」に搭載されていたOSです。物理キーボードとセキュリティの高さが売りでした。
一時期はビジネス界で絶大な人気を誇りましたが、iPhoneとAndroidに押されて衰退。2022年には完全にサービスが終了しました。
プライバシー重視のAndroidカスタム版
厳密にはAndroidの仲間ですが、Googleのサービスを排除したプライバシー重視のOSもあります。
GrapheneOS(グラフィーンOS)
Google Pixel向けに開発された、セキュリティとプライバシーを最重視したOSです。Googleのアプリやサービスを一切含まず、高度なセキュリティ機能を備えています。
CalyxOS(カリクスOS)
プライバシー重視のAndroidベースOSで、SignalやTorブラウザなど、プライバシーを守るアプリがプリインストールされています。
/e/OS(イーオーエス)
「脱Google」を掲げたOSで、Googleのアプリを独自のオープンソースアプリに置き換えています。普通のAndroidと似た使い心地を保ちながら、プライバシーを守れる設計です。
なぜAndroidとiOSの2強なのか?
AndroidとiOS以外のOSがあるのに、なぜこの2つが圧倒的なシェアを持っているのでしょうか。
アプリの豊富さ
スマホの便利さは、使えるアプリの数で決まると言っても過言ではありません。AndroidのGoogle PlayストアとiOSのApp Storeには、それぞれ数百万のアプリが用意されています。
新しいOSでは、アプリ開発者に「このOSでもアプリを作ってください」とお願いしても、ユーザー数が少ないため協力してもらいにくいんです。結果として、アプリが少ない→ユーザーが増えない→開発者が集まらない、という悪循環に陥ってしまいます。
エコシステムの完成度
AndroidにはGoogleのサービス(Gmail、Googleマップ、YouTubeなど)が、iOSにはAppleのサービス(iCloud、Apple Music、Apple Payなど)が深く組み込まれています。
こうした完成されたエコシステムを一から作るのは、非常に時間とコストがかかります。
メーカーの対応
世界中のスマホメーカーの多くがAndroidを採用しています。新しいOSを開発するよりも、すでに完成されているAndroidを使った方が、コストも時間も節約できるからです。
第3のOSに未来はあるのか?
現状では、AndroidとiOSの2強体制は当分続くと考えられます。しかし、特定の分野では第3のOSが活躍する余地があります。
特定の地域での成功
HarmonyOSは中国市場で、KaiOSはインド市場で一定のシェアを獲得しています。これは、それぞれの地域の事情やニーズに合ったOSだからです。
プライバシー意識の高まり
個人情報の保護に対する意識が世界的に高まっています。GrapheneOSやCalyxOSのような、プライバシーを重視したOSへの需要は今後増える可能性があります。
IoT時代の到来
スマホだけでなく、スマート家電、ウェアラブルデバイス、車など、さまざまなデバイスがインターネットにつながる時代が来ています。こうした分野では、新しいOSが活躍するチャンスがあるかもしれません。
よくある質問

AndroidとiOS以外のOSを使うメリットは?
プライバシーの保護、独自の機能、低価格な端末、オープンソースによる透明性などがメリットです。特定のニーズがある方には魅力的な選択肢となります。
普通の人でも使えますか?
KaiOSのようなシンプルなOSなら、初心者でも使いやすいです。ただし、Ubuntu TouchやGrapheneOSなど技術的な知識が必要なOSもあります。
日本で買えるAndroid・iOS以外のスマホはありますか?
KaiOS搭載の端末が一部販売されています。また、SIMフリー端末を輸入することも可能ですが、技適(日本の電波法の認証)の問題があるため注意が必要です。
iPhoneにAndroidを入れたり、AndroidスマホにiOSを入れたりできますか?
基本的にできません。iOSはAppleのハードウェア専用で、他のメーカーの端末では動作しません。Androidも端末に合わせた調整が必要です。
将来、第3のOSがAndroidやiOSを超えることはありますか?
現時点では難しいと考えられます。アプリのエコシステムや開発者コミュニティの規模を考えると、既存の2強を超えるのは非常にハードルが高いです。ただし、特定の分野や地域では十分に競争力を持てる可能性があります。
まとめ|スマホOSは多様性が存在する
スマホのOSは、確かにAndroidとiOSが圧倒的なシェアを占めています。でも、世界を見渡せば他にも選択肢があるんです。
現在も使われているOS
- HarmonyOS:中国で急成長中
- KaiOS:フィーチャーフォン向けで低価格
- Ubuntu Touch:Linuxベースでプライバシー重視
- Sailfish OS:ヨーロッパ発のセキュアOS
- Tizen:スマートウォッチやTVで活躍
過去に存在したOS
- Windows Phone:Microsoft開発、開発終了
- Firefox OS:Mozilla開発、KaiOSに継承
- Symbian:かつての世界シェア1位
- BlackBerry OS:ビジネス向け、サービス終了
それぞれのOSには、独自の特徴や強みがあります。AndroidやiOSで満足できない方、プライバシーを重視したい方、シンプルな端末を求める方など、ニーズに合わせて選べる時代になっているんです。
普段使っているスマホのOSとは違う世界を知ると、改めて自分のスマホの良さが分かるかもしれませんね。

コメント