「毎週同じメッセージを送るの、正直めんどくさい…」
「新しいメンバーが入るたびに同じ説明をするのが大変」
そんな悩みを抱えていませんか?
実は、Slackにはワークフロービルダーという自動化ツールが搭載されています。プログラミングの知識がなくても、数クリックで面倒な繰り返し作業を自動化できるんです。
この記事では、Slackの自動化機能の基本から活用例まで、わかりやすく解説していきます。
ワークフロービルダーとは

ワークフロービルダーは、Slackに標準搭載されているノーコード自動化ツールです。
「ノーコード」とは、プログラムを書かずに操作できるという意味。つまり、エンジニアでなくても誰でも使えます。実際、ワークフローを作成するユーザーの80%は非技術系のバックグラウンドを持つ人々だそうです。
このツールを使えば、日常的に発生する定型作業――たとえばメッセージの送信、申請の受付、情報の収集など――を自動で処理できるようになります。
ワークフロービルダーの基本的な仕組み
ワークフローは、大きく分けて2つの要素で構成されています。
トリガー(きっかけ)
ワークフローを開始するための条件です。「いつ」「何をきっかけに」自動化を実行するかを決めます。
ステップ(実行内容)
トリガーが発動した後に、実際に行われる処理のことです。「何をするか」を設定します。
たとえば「毎週月曜日の朝9時に(トリガー)、チームチャンネルにリマインドメッセージを送る(ステップ)」といった具合に組み合わせて使います。
選べるトリガーの種類
ワークフローを開始するトリガーには、いくつかの種類があります。
スケジュール
指定した日時に自動で実行されます。毎日、毎週、毎月といった定期実行も可能です。
チャンネルへの参加
誰かがチャンネルに新しく参加したタイミングで実行されます。
ショートカットメニューからの選択
ユーザーが手動でワークフローを起動します。
絵文字リアクション
特定のメッセージに絵文字が付けられたときに実行されます。
外部アプリでのイベント
連携している外部ツール(PagerDutyなど)で何かが起きたときに、Slack側でワークフローを開始することもできます。
ステップでできること
ステップとして設定できる処理には、以下のようなものがあります。
メッセージの送信
指定したチャンネルや個人にメッセージを自動送信します。
フォームの表示
入力フォームを表示して、ユーザーから情報を収集できます。
チャンネルの作成
新しいチャンネルを自動で作成し、メンバーを招待することも可能です。
外部ツールとの連携
Google スプレッドシートへの書き込み、Asanaへのタスク追加、Jiraへのチケット登録など、外部サービスと連動した処理ができます。
現在、65以上のコネクタが提供されており、Atlassian、Asana、Googleなどの主要ツールと連携可能です。
条件分岐にも対応
ワークフロービルダーでは、条件に応じて処理を分岐させることもできます。
条件分岐機能により、コードを書くことなく、最大10個の条件を設定した分岐処理が可能になりました。
これにより、たとえば「技術的な問題」と「それ以外の問題」でサポートチームを振り分けたり、リクエストの重要度に応じて対応を変えたりできます。
条件分岐の活用例
サポートリクエストを受け付けるワークフローを考えてみましょう。
ユーザーがフォームで問題の種類を選択すると、その内容に応じて自動的に適切なチャンネルへ転送されます。技術的な問題なら#技術サポートへ、それ以外なら#一般サポートへ、といった振り分けが自動で行われるわけです。
ワークフローの作り方
実際にワークフローを作成する手順を説明します。
手順1:ワークフロービルダーを開く
デスクトップアプリの場合、サイドバーの「その他」から「自動化」を選択します。見つからない場合は「ツールと設定」から「ワークフロービルダー」を探してください。
手順2:新規作成を開始する
右上の「ワークフローを作成する」または「新しいワークフロー」をクリックします。
手順3:トリガーを設定する
ワークフローの開始条件を選びます。リストから目的に合ったトリガーを選択してください。
手順4:ステップを追加する
トリガーが発動した後に実行する処理を設定します。「ステップを追加」から、メッセージ送信やフォーム表示などを選びましょう。
手順5:公開する
設定が完了したら「完了」をクリックし、プロンプトに従って「公開」を押します。
テンプレートを活用しよう

ゼロから作るのが難しいと感じる方には、テンプレートの活用をおすすめします。
Slackは50以上のプラグアンドプレイのワークフローテンプレートを提供しており、よくある業務パターンがあらかじめ用意されています。
テンプレートを使えば、必要な部分だけを書き換えるだけでワークフローが完成します。
主なテンプレート例
- 新メンバーへのウェルカムメッセージ送信
- 定例ミーティングの議題収集
- 休暇申請の受付と承認フロー
- インシデント対応チャンネルの作成
AIでワークフローを作成する
最新のSlackでは、AIを使って自然言語でワークフローを作成できる機能も追加されました。
「チャンネルに参加した人にウェルカムメッセージを送る」のように、やりたいことを普通の言葉で入力すると、AIが自動的にワークフローを生成してくれます。
ただし、この機能はSlack AIアドオンを購入しているか、特定のプランに加入している場合に利用できます。
具体的な活用シーン
ワークフローをどんな場面で使えるか、具体例を紹介します。
新メンバーのオンボーディング
新しいメンバーがチャンネルに参加したときに、自動でウェルカムメッセージと必要なドキュメントへのリンクを送信します。さらに、自己紹介フォームを表示して、入力内容をチーム全体に共有することも可能です。
定期リマインダー
「毎週金曜日の17時に週報提出を促すメッセージを送る」「毎月1日に月次レポートの締め切りを通知する」など、忘れがちなタスクを自動でリマインドできます。
申請・承認フロー
休暇申請、経費精算、備品購入などの申請を、フォームで受け付けて承認者に自動転送します。承認・却下の結果も申請者へ自動通知されるので、やり取りがスムーズになります。
サポートチケットの管理
ヘルプデスクチャンネルでリクエストを受け付け、内容に応じて適切な担当チームへ自動振り分けします。Jiraなどのツールと連携すれば、チケットの自動作成も可能です。
プロジェクト開始の定型処理
新規プロジェクトを始めるとき、専用チャンネルの作成、メンバーの招待、Asanaでのタスクボード作成、Zoomでのキックオフミーティング設定を、一連の流れとして自動実行できます。
料金プランについて
ワークフロービルダーは、Slackの有料プラン(プロ、ビジネスプラス、Enterprise)で利用可能です。無料プランでは使用できません。
また、ワークフローの種類によって課金体系が異なります。
スタンダードワークフロー
Slackのステップと最大1つのコネクタステップで構成されるワークフローです。
プレミアムワークフロー
カスタムステップを含むか、2つ以上のコネクタステップを使用するワークフローです。プレミアムワークフローは、月間で決められた実行回数を超えると追加課金が発生する場合があります。
頻繁に実行されるワークフローを作成する際は、この点に注意しておきましょう。
ワークフロービルダーの注意点
便利なワークフロービルダーですが、いくつか知っておきたいポイントがあります。
一方向の処理が基本
ワークフロービルダーは「何かが起きたら、これをする」という一方向の流れで動作します。双方向でデータを同期し続けるような使い方には向いていません。
複雑すぎると管理が大変
ステップが増えすぎると、どこで何が起きているか把握しにくくなります。シンプルな構成を心がけましょう。
連携ツールごとにアプリが必要
外部ツールと連携する場合、それぞれのコネクタ(連携用アプリ)をSlackに追加する必要があります。
まとめ
Slackのワークフロービルダーは、プログラミング不要で業務を自動化できる強力なツールです。
定期的なメッセージ送信、新メンバーへの案内、申請・承認フロー、サポート対応など、日常的に発生する定型業務を効率化できます。
テンプレートも豊富に用意されているので、まずは簡単なワークフローから試してみてはいかがでしょうか。小さな自動化の積み重ねが、チーム全体の生産性向上につながっていきます。


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