企業アカウント運営、ブランドモニタリング、競合分析、カスタマーサポート…X(旧Twitter)は情報の宝庫ですが、常にチェックし続けるのは大変ですよね。
「自社の製品がバズったのに気づくのが遅れた」「お客様からのメンションを見逃してしまった」こんな経験はありませんか?
この記事では、X(旧Twitter)の重要な投稿をSlackに自動通知する方法を、初心者にも分かりやすく解説します。
エゴサーチの自動化から、特定アカウントの投稿監視まで、ビジネスで使える実践的なテクニックを紹介していきます。
重要なお知らせ:Slack公式Twitter連携は終了しています
まず最初に知っておくべき重要な事実があります。
Slack公式のTwitter連携は2023年3月に終了
2023年3月、Slack公式のTwitter連携機能が廃止されました。
以前は、Slack App DirectoryからTwitterアプリを追加するだけで簡単に連携できましたが、現在この方法は使えません。
なぜ廃止されたのか?
Twitter(現X)側のAPI利用ポリシーが大幅に変更され、無料でのAPI利用が制限されたためです。
現在の解決策:外部ツールを使う
しかし、諦める必要はありません!外部の自動化ツールを使えば、今でも連携可能です。
主な選択肢:
- IFTTT(イフト)
- Zapier(ザピアー)
- n8n
- Yoom
- Appy Pie Automate
この記事では、最も手軽に使えるIFTTTを中心に解説していきます。
IFTTTでSlackとXを連携する方法
IFTTTは「If This Then That(もしこうなったら、これをする)」の略で、ノーコードで自動化を設定できるサービスです。
準備するもの
- Slackアカウント(ワークスペース)
- X(旧Twitter)アカウント
- IFTTTアカウント(無料プランでOK)
IFTTTの基本概念
アプレット(Applet)= 自動化のレシピ
- Trigger(トリガー): 「もしこうなったら」(例:新しいツイートが投稿されたら)
- Action(アクション): 「これをする」(例:Slackに通知する)
手順1:IFTTTとSlackを連携
- IFTTT公式サイトにアクセス
- アカウント作成またはログイン
- 画面右上の「Create」をクリック
- 後の手順でSlackとの連携を求められたら許可
手順2:IFTTTとX(Twitter)を連携
- トリガー設定時にX(Twitter)を選択
- X(Twitter)アカウントでログイン
- IFTTTへのアクセスを許可
注意:X APIの制限について
2023年以降、XのAPI利用には制限があります:
- 無料プラン: 非常に限定的(ほぼ使えない)
- Basic プラン: 月額100ドル
- Pro プラン: 月額5,000ドル
IFTTTの有料プラン(Pro / Pro+)に加入すると、より高頻度でチェックできます:
- 無料プラン:1時間ごと
- Pro / Pro+:5分ごと
実践例1:特定アカウントの投稿をSlackに通知
最もシンプルで便利な使い方から始めましょう。
用途
- 公式アカウントの投稿を社内共有
- インフルエンサーの発信を追跡
- 競合他社の動向チェック
設定手順
1. アプレットを作成
IFTTTで「Create」ボタンをクリック
2. トリガーを設定
- 「If This」をクリック
- 検索窓に「Twitter」と入力
- 「X (Twitter)」を選択
- 「New tweet by a specific user」を選択
- チェックしたいアカウント名を入力(@なしで入力)
- 「Create trigger」をクリック
3. アクションを設定
- 「Then That」をクリック
- 検索窓に「Slack」と入力
- 「Slack」を選択
- 「Post to channel」を選択
- 通知先のチャンネルを選択
- メッセージ内容を設定(下記参照)
- 「Create action」をクリック
4. メッセージのカスタマイズ
以下の変数が使えます:
{{UserName}}: アカウント名{{Text}}: ツイート本文{{LinkToTweet}}: ツイートへのリンク{{CreatedAt}}: 投稿日時
メッセージ例:
新しいツイート from @{{UserName}}
{{Text}}
詳細: {{LinkToTweet}}
5. アプレットを有効化
「Continue」→「Finish」をクリックして完了
実践例2:エゴサーチを自動化(ブランドモニタリング)
自社名、商品名、サービス名が言及されたツイートを自動でキャッチします。
用途
- ブランドの評判監視
- 顧客の声を収集
- 炎上の早期発見
- ポジティブな反応の共有
設定手順
1. アプレットを作成
IFTTTで「Create」ボタンをクリック
2. トリガーを設定
- 「If This」をクリック
- 「X (Twitter)」を選択
- 「New tweet from search」を選択
- 検索条件を入力(詳細は後述)
- 「Create trigger」をクリック
3. 検索条件の書き方
基本的な検索:
自社名
複数キーワードをOR検索:
自社名 OR 製品名 OR サービス名
特定アカウントへのメンションを除外:
自社名 -from:自社アカウント名
リツイートを除外:
自社名 -RT
ポジティブなワードだけ拾う:
自社名 (すごい OR 便利 OR おすすめ OR 良い)
ネガティブなワードを検知:
自社名 (困った OR バグ OR 使えない OR 最悪)
4. Slackアクションを設定
実践例1と同じ手順でSlack通知を設定
プロのコツ:専用チャンネルを作る
通知専用のチャンネル(例:#sns-monitoring)を作成することをおすすめします。
理由:
- 通常の会話と分けられる
- バズった時に通知で埋もれない
- 後から確認しやすい
- 担当者が集中して対応できる
実践例3:特定ハッシュタグの投稿を収集
キャンペーンやイベント関連のツイートを集めたい時に便利です。
用途
- キャンペーン参加者の投稿収集
- イベントのハッシュタグ監視
- 業界トレンドの追跡
設定手順
トリガー:
- 「New tweet from search」を選択
- 検索条件:
#ハッシュタグ名
例:
#自社キャンペーン名
複数ハッシュタグ:
#キャンペーン1 OR #キャンペーン2
実践例4:フォロワー増加をリアルタイム通知
新しくフォローされた時にSlackで通知を受け取れます。
用途
- フォロワーの増加を把握
- どのツイートがフォローに繋がったか分析
- チーム全体でフォロワー増を共有してモチベーション向上
設定手順
トリガー:
- 「New follower of you」を選択
アクション:
- Slackの「Post to channel」
メッセージ例:
🎉 新しいフォロワー!
@{{ScreenName}} さんがフォローしてくれました
プロフィール: {{LinkToProfile}}
フォロワー数: {{FollowerCount}}
実践例5:メンション(@返信)をチーム全体で共有
お客様からの問い合わせや反応を見逃しません。
用途
- カスタマーサポート
- 質問への迅速な対応
- ユーザーとのコミュニケーション強化
設定手順
トリガー:
- 「New mention of you」を選択
アクション:
- Slackの「Post to channel」
- 緊急性が高い場合は
@channelメンションを含める
メッセージ例:
📩 メンションを受信しました
From: @{{UserName}}
{{Text}}
返信: {{LinkToTweet}}
より高度な連携:Zapier・n8n・Yoomの活用
IFTTTで物足りない場合、以下のツールも検討できます。
Zapier(ザピアー)
メリット:
- より複雑な条件分岐が可能
- 多段階のアクション設定
- データの加工・フィルタリング
デメリット:
- 有料プランが必要(月額19.99ドル〜)
- X(Twitter)連携には追加のAPI費用が必要
おすすめ用途:
- 投稿数が一定以上になったら通知
- 感情分析(ポジティブ/ネガティブ)
- 複数のツール間でデータ連携
n8n
メリット:
- オープンソース
- セルフホスティング可能
- カスタマイズ性が高い
デメリット:
- 技術的な知識が必要
- セットアップが複雑
おすすめ用途:
- エンジニアがいるチーム
- カスタマイズ要件が多い場合
- コスト削減重視
Yoom
メリット:
- 日本製のツール
- 日本語サポート
- 直感的なインターフェース
デメリット:
- 有料プラン(月額3,000円〜)
おすすめ用途:
- 日本語でサポートを受けたい
- ノーコードで高度な自動化
X APIを直接使う(上級者向け)
プログラミングができる方は、X APIを直接使ってSlackに通知できます。
必要なもの
- X Developer Portal アカウント
- X API Basic プラン以上(月額100ドル〜)
- Pythonなどのプログラミング言語の知識
- Slack Incoming Webhooks
メリット
- 完全にカスタマイズ可能
- 高度なフィルタリング
- データの詳細な分析
- 外部ツールへの依存がない
基本的な流れ
- X Developer Portalでアプリを作成
- API キーとトークンを取得
- Slack Incoming Webhook URLを取得
- Pythonスクリプトを作成
- 定期実行(cron、AWS Lambda等)
サンプルコード(概要)
import tweepy
import requests
import json
# X API認証
auth = tweepy.OAuthHandler(consumer_key, consumer_secret)
auth.set_access_token(access_token, access_token_secret)
api = tweepy.API(auth)
# Slack Webhook URL
slack_url = "https://hooks.slack.com/services/YOUR/WEBHOOK/URL"
# 特定キーワードを検索
tweets = api.search_tweets(q="検索ワード", count=10)
for tweet in tweets:
# Slackに投稿
message = {
"text": f"新しいツイート: {tweet.text}\n{tweet.url}"
}
requests.post(slack_url, data=json.dumps(message))
注意:
- 実際のコードはもっと複雑になります
- エラーハンドリングが必要
- レート制限への対応が必要
通知の最適化:ノイズを減らすコツ
通知が多すぎると、かえって重要な情報を見逃します。
コツ1:フィルタリングを活用
良い例:
自社名 (バグ OR 不具合 OR 問題 OR エラー) -RT
悪い例:
自社名
→すべての言及を拾ってしまい、ノイズが多い
コツ2:時間帯を考慮
業務時間外の通知は、翌朝まとめて確認する設定にする
コツ3:優先度別にチャンネルを分ける
#sns-urgent: ネガティブな投稿(即対応)#sns-positive: ポジティブな投稿(シェア用)#sns-general: 一般的な言及(参考情報)
コツ4:投稿数の閾値を設定
Zapierなどの高度なツールを使えば、「1時間に10件以上投稿されたら通知」のような条件設定が可能
よくある質問
Q1:Slack公式のTwitter連携はもう使えないのですか?
はい、2023年3月に終了しました。現在は、IFTTTやZapierなどの外部ツールを使う必要があります。
Q2:無料で完全に自動化できますか?
IFTTTの無料プランでも基本的な連携は可能ですが、チェック頻度が1時間ごとになります。また、X側のAPI利用が有料化されたため、完全無料での運用は難しくなりました。
Q3:どのツールが一番おすすめですか?
- 手軽さ重視: IFTTT
- 高度な自動化: Zapier
- コスト重視(技術者向け): n8n
- 日本語サポート: Yoom
Q4:リアルタイムで通知を受け取れますか?
ツールとプランによります:
- IFTTT無料:1時間ごと
- IFTTT Pro/Pro+:5分ごと
- Zapier有料:1〜15分ごと
- API直接:ほぼリアルタイム
Q5:プライベートアカウントのツイートも通知できますか?
いいえ、できません。公開アカウントのツイートのみが対象です。
Q6:過去のツイートも遡って通知されますか?
いいえ、設定後に投稿されたツイートのみが通知されます。
Q7:1つのアプレットで複数のアカウントを監視できますか?
IFTTTでは1つのアプレットにつき1アカウントです。複数監視したい場合は、アカウント数分のアプレットを作成してください。
Q8:通知が来なくなりました。どうすればいいですか?
以下を確認してください:
- IFTTTのアプレットが有効になっているか
- X(Twitter)とSlackの連携が切れていないか
- 監視対象のアカウントが投稿しているか
- X APIの利用制限に達していないか
Q9:他のSNS(Instagram、Facebook等)も同様に連携できますか?
はい、IFTTTやZapierは多くのSNSに対応しています。Instagram、Facebook、LinkedIn、YouTubeなども連携可能です。
Q10:会社のセキュリティポリシーで外部ツールが使えません。どうすればいいですか?
社内でAPI連携のスクリプトを開発するか、IT部門に相談して承認を得る必要があります。または、手動でチェックする運用を続けるしかありません。
まとめ:X(旧Twitter)×Slackで効率的な情報収集を
Slack公式の連携は終了しましたが、外部ツールを使えば今でも便利に連携できます。
連携のメリット:
- SNSの重要な投稿を見逃さない
- エゴサーチを自動化
- カスタマーサポートの迅速化
- ブランドモニタリングの効率化
- チーム全体での情報共有
おすすめツール:
- 初心者:IFTTT
- 中級者:Zapier
- 上級者:n8n、API直接連携
- 日本語サポート:Yoom
成功のコツ:
- 専用チャンネルを作る
- フィルタリングを工夫してノイズを減らす
- 優先度別に通知を分ける
- 定期的に設定を見直す
X(旧Twitter)は情報が流れるスピードが速いSNSです。SlackとX連携させることで、重要な情報をリアルタイムでキャッチし、ビジネスチャンスを逃さない体制を作りましょう!


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