Slackでのチャットは盛り上がるけど、そこで話し合ったアイデアを整理したり、タスクとして管理したりするのって面倒ですよね?
そんな悩みを解決するのが「Slack Quip連携」です。この連携を使えば、Slackの会話をそのまま構造化されたドキュメントに変換できるようになります。
今回は、Slack Quip連携の基本から実践的な活用方法まで、徹底的に解説していきます。
Quipとは?まずは基本を押さえよう

Quip(クイップ)とは、Salesforceが2016年に約860億円で買収したコラボレーションツールのこと。
簡単に言えば、「リアルタイムで共同編集できるWordやExcelにチャット機能が付いたツール」というイメージです。
Quipの3つの主要機能
Quipには以下の機能が統合されています:
- ドキュメント作成:議事録、企画書、レポートなど
- スプレッドシート:データ管理、予算表、タスク管理など
- チャット機能:ドキュメント内で直接コメントや議論が可能
GoogleドキュメントやMicrosoft Officeとの違いは、ドキュメント内でチャットができる点です。
文書を見ながらその場で会話できるので、わざわざSlackに戻って質問する必要がありません。
Slack Quip連携でできること
SlackとQuipを連携すると、以下のような便利な使い方が可能になります。
1. スラッシュコマンドでドキュメントを瞬時に作成
Slackのチャンネル内で /quip コマンドを使うだけで、新しいドキュメントを作成できます。
わざわざQuipアプリを開く必要がないので、思いついたアイデアをすぐに形にできるのが魅力です。
2. Slackメッセージを自動的にQuipドキュメントに保存
チャンネルでの議論が盛り上がったとき、重要なメッセージだけをピックアップしてQuipに保存可能です。
後から「あの議論、どこに書いてあったっけ?」と探す手間が省けますよ。
3. QuipドキュメントのリンクをSlackで共有
Quipドキュメントへのリンクを貼ると、Slack上でプレビューが自動表示されます。
チームメンバーは内容をざっと確認してから、必要に応じて詳細を開けるので効率的ですね。
4. Quipの更新通知をSlackで受け取る
ドキュメントに変更があったとき、自動的にSlackに通知が届きます。
重要な編集を見逃すことがなくなり、チーム全体の情報共有がスムーズになります。
Slack Quip連携の設定方法
実際の設定手順を見ていきましょう。
Slackワークスペースへの追加
- Slack Marketplaceにアクセス
- 「Quip」を検索
- 「Slackに追加」ボタンをクリック
- 権限を確認して「許可する」を選択
- Slackアカウントでサインイン
これだけで基本的な連携は完了です。
チャンネルへのQuipボット追加
連携を有効にしたら、使いたいチャンネルにQuipボットを招待します。
チャンネル内で以下のコマンドを入力:
/invite @quip
これで、そのチャンネルでQuip機能が使えるようになります。
便利なスラッシュコマンド一覧
Slack Quip連携では、8種類の強力なスラッシュコマンドが用意されています。
ドキュメント作成系コマンド
新規ドキュメントを作成
/quip document プロジェクト企画書
新規スプレッドシートを作成
/quip spreadsheet 売上予測
新規チェックリストを作成
/quip checklist タスクリスト
チャンネルノートパッド機能
チャンネル専用ノートパッドを作成
/quip notepad
チャンネルノートパッドは、そのチャンネルに紐づいた共有ドキュメントのこと。
以降の /quip note、/quip task、/quip grab コマンドは、すべてこのノートパッドに追加されます。
メッセージ保存系コマンド
直前のメッセージを保存
/quip grab
複数メッセージをまとめて保存
/quip grab 10
最大100件までのメッセージを一括で取得できるので、ブレインストーミングの内容をそのまま保存できますよ。
メモ・タスク追加系コマンド
ノートを追加
/quip note 次回の打ち合わせで議論する内容
タスクを追加
/quip task iOSアプリのリリース準備
担当者付きタスクを追加
/quip task [] サーバー移行作業 @田中
Slackのユーザー名は自動的にQuipのユーザー名に変換されるので便利です。
実践的な活用シーン
具体的にどんな場面で役立つのか、事例を見てみましょう。
プロジェクト管理での活用
シーン:新規プロジェクトのキックオフ
- Slackでブレインストーミング
/quip grab 20で重要な意見を保存/quip taskで具体的なアクションアイテムを作成- チームメンバーが各自Quipで詳細を追記
このフローなら、会議中の発言が無駄にならず、すぐにプロジェクト計画として形になります。
カスタマーサポートでの活用
シーン:顧客からの問い合わせ対応
- Salesforceからの通知をQuipチャットルームに転送
- 対応履歴をQuipドキュメントに自動記録
- Slackで関係者に通知
- 次回の対応時に過去の履歴を即座に参照
実際に韓国のパルナスホテルなど、複数の企業がこのような運用で顧客対応の質を向上させています。
会議の効率化での活用
シーン:定例会議の準備と実施
- 事前にSlackで議題を募集
/quip notepadで議事録用ドキュメントを準備- 会議中の重要な決定事項を
/quip noteで記録 - アクションアイテムを
/quip taskで管理
会議後にわざわざ議事録を作成する手間が省け、参加者全員がリアルタイムで内容を確認できますね。
Slack CanvasとQuipの関係

ここで重要な情報をお伝えします。
2022年9月、SlackはQuipの技術を基盤としたSlack Canvasという新機能を発表しました。
Slack Canvasとは
Slack Canvasは、Quipのコラボレーション機能をSlackにネイティブ統合したもの。
チャンネル内に「永続的な情報レイヤー」を追加し、以下の情報を整理できます:
- テキスト、画像、動画
- Salesforceのデータやチャート
- Jira、Figmaなどの外部ツールのデータ
- ワークフローボタン
つまり、QuipチームはSlackチームと統合され、Quipで培った技術がSlack Canvasとして進化したわけです。
既存のQuip連携はどうなる?
現在もQuip単体としてのサービスは継続されており、Slack連携も利用可能です。
ただし、今後はSlack Canvasが主流になっていく可能性が高いでしょう。
他の自動化ツールとの併用
Zapierなどの自動化ツールを使えば、さらに高度な連携が実現できます。
Zapierでの自動化例
Quipドキュメント更新時にSlack通知
- トリガー:Quipドキュメントが更新された
- アクション:指定したSlackチャンネルに通知を送信
保存したSlackメッセージをQuipスプレッドシートに記録
- トリガー:Slackでメッセージを保存
- アクション:Quipスプレッドシートに自動追加
高優先度のQuip更新のみSlack通知
- フィルター:特定のタグやキーワードで絞り込み
- 条件付きワークフローで重要な更新だけ通知
コードを書かずにドラッグ&ドロップで設定できるので、プログラミング知識がなくても大丈夫ですよ。
Slack Quip連携の注意点
便利な機能ですが、いくつか気をつけたいポイントもあります。
チャンネルごとにQuipボットを招待する必要がある
全チャンネルで自動的に使えるわけではなく、使いたいチャンネルごとに /invite @quip を実行する必要があります。
新しいプロジェクトチャンネルを作ったときは、忘れずにQuipを追加しましょう。
データ保持ポリシーの確認
Quipではカスタムのデータ保持ポリシーを設定できますが、デフォルトでは以下のルールです:
- サービス終了後120日間は非アクティブ状態で保持
- その後30日以内に完全削除
重要なデータは定期的にバックアップを取ることをおすすめします。
権限管理の設定
Slackアカウントでサインインすると、QuipとSlackのメンバー権限が同期されます。
これは便利ですが、意図しない人に編集権限が付与される可能性もあるので、定期的に確認しましょう。
まとめ:Slack Quip連携で会話を資産に変える
Slack Quip連携を使えば、日々のチャットでの会話がそのまま構造化されたドキュメントやタスクに変換できます。
この連携のメリットをおさらい:
- スラッシュコマンドで瞬時にドキュメント作成
- Slackメッセージを最大100件まとめて保存可能
- リアルタイム通知で情報共有がスムーズ
- Salesforce傘下の技術でSlack Canvasとして進化中
- Zapierなどと組み合わせて高度な自動化も可能
「Slackでの議論は盛り上がるけど、結局何も残らない」という悩みを抱えているなら、ぜひQuip連携を試してみてください。
チームの生産性が大きく向上すること間違いなしです!


コメント