Slackを運用していると、メンバーの追加や削除、権限の管理など、さまざまな場面でメンバー管理が必要になります。
新しいメンバーを招待したい、退職者のアカウントを削除したい、管理者権限を付与したい。こうした操作を適切に行うことで、ワークスペースを安全かつ効率的に運営できます。
この記事では、Slackのメンバー管理について、招待から削除、権限設定まで、すべての手順を詳しく解説します。オーナーや管理者はもちろん、メンバー管理を任された方にも役立つ実践的なガイドです。
メンバー種別の基本

主な4つの種別
Slackには、大きく分けて4つのメンバー種別があります。
1. ワークスペースオーナー(Primary Owner)
- ワークスペースの最高責任者
- すべての設定と管理が可能
- 請求情報の管理
- ワークスペースの削除権限
2. ワークスペース管理者(Admin)
- メンバー管理が可能
- 設定の大部分を変更できる
- ただし、請求情報やオーナー権限の移譲はできない
3. メンバー(Member)
- 通常のユーザー
- チャンネルへの参加・投稿が可能
- デフォルトでは他のメンバーを招待できる
4. ゲスト(Guest)
- 外部の人用のアカウント
- 特定のチャンネルのみアクセス可能
- 有料プランのみ利用可能
メンバーとゲストの違い
大きな違いは、アクセス範囲です。
| 項目 | メンバー | ゲスト |
|---|---|---|
| アクセス範囲 | ワークスペース全体 | 招待されたチャンネルのみ |
| チャンネル作成 | 可能 | 不可 |
| 他メンバーの招待 | 可能(設定次第) | 不可 |
| 料金 | 課金対象 | シングルチャンネルゲストは無料枠あり |
ゲストは、クライアントや外部パートナーなど、一部の情報だけ共有したい相手に適しています。
ゲストの2種類
ゲストにも2タイプあります。
シングルチャンネルゲスト
- 1つのチャンネルのみアクセス可能
- 有料プランで5人×メンバー数まで無料
マルチチャンネルゲスト
- 複数のチャンネルにアクセス可能
- 通常のメンバーと同じ料金
メンバーの招待方法
前提条件:招待権限
デフォルトでは、以下のメンバーが招待できます。
- オーナー
- 管理者
- メンバー(設定で制限可能)
ゲストは、他のメンバーを招待できません。
PC版での招待手順(メールアドレス)
最も基本的な招待方法です。
ステップ1:招待画面を開く
- 画面左上のワークスペース名をクリック
- 「メンバーを招待」を選択
ステップ2:メールアドレスを入力
- 招待したい人のメールアドレスを入力
- 複数人の場合は、カンマ区切りで入力
ステップ3:アカウント種別を選択
有料プランの場合、以下から選択できます。
- メンバー(通常)
- シングルチャンネルゲスト
- マルチチャンネルゲスト
ステップ4:デフォルトチャンネルを選択(任意)
メンバーを招待する場合、最初から参加させるチャンネルを選べます。
ステップ5:送信
「送信」をクリックすると、招待メールが送られます。
スマホ版での招待手順
スマホアプリからも招待できます。
iPhone・Androidの場合
- 画面左下の「あなた」タブをタップ
- 「メンバーを招待」を選択
- メールアドレスを入力
- 「送信」をタップ
招待リンクで招待
メールアドレスを入力せず、リンクで招待することもできます。
手順
- ワークスペース名をクリック
- 「メンバーを招待」を選択
- 「招待リンクをコピー」をクリック
- リンクをSlackやメールで共有
注意点
- リンクは30日間有効
- 最大400人まで使用可能
- リンクを知っていれば誰でも参加できる
セキュリティ上、信頼できる相手にのみ共有しましょう。
ドメイン自動承認機能
有料プランでは、特定のメールドメインを承認設定できます。
例@example.comを承認設定すると、このドメインのメールアドレスを持つ人なら、招待なしで自動参加できます。
設定方法(オーナーのみ)
- ワークスペースの設定を開く
- 「認証」タブを選択
- 「承認済みドメイン」を設定
社内メンバーが多数いる場合に便利です。
保留中の招待の管理
招待状況の確認
送った招待が受理されているか確認できます。
手順
- 画面左の「管理者」をクリック
- 「ワークスペースの設定」→「メンバー管理」を選択
- 「保留中」タブを開く
ここで、まだ参加していないメンバーの一覧が表示されます。
招待の再送信
30日経つと招待が期限切れになります。再送信して有効化できます。
- 保留中タブで該当メンバーを探す
- 右側の「…」をクリック
- 「招待を再送信」を選択
招待のキャンセル
誤って送った招待や、不要になった招待を削除できます。
- 保留中タブで該当メンバーを探す
- 右側の「…」をクリック
- 「招待を削除」を選択
削除すると、そのメールアドレスでは参加できなくなります。
メンバーの削除(無効化)
削除と無効化の違い
Slackでは、メンバーを完全に「削除」するのではなく、「無効化(アカウント解除)」します。
- メッセージやファイルは残る
- ただし、ログインできなくなる
- 後で再度招待することも可能
削除できる権限
| あなたの権限 | 削除できる対象 |
|---|---|
| プライマリーオーナー | 全員(自分以外) |
| オーナー | オーナー以下のメンバー |
| 管理者 | メンバーとゲスト |
| メンバー | 削除不可 |
重要
プライマリーオーナーは削除できません。削除したい場合は、先に別の人にオーナー権限を移譲してください。
PC版での削除手順
ステップ1:メンバー管理ページを開く
- 画面左の「管理者」をクリック
- 「ワークスペースの設定」を選択
- 「メンバー管理」をクリック
ステップ2:対象メンバーを選択
- 削除したいメンバーを探す
- メンバー名の右側にある「…」をクリック
ステップ3:アカウント解除
- 「アカウントを解除する」を選択
- 確認ダイアログで「解除する」をクリック
これで完了です。
スマホ版での削除手順
スマホからは直接削除できません。
ブラウザでSlackのWebサイトにアクセスして、PC版と同じ手順で行ってください。
削除後の影響
削除されたメンバー側
- すぐにログインできなくなる
- Slackbotから通知は届かない
- 過去のメッセージは残る
ワークスペース側
- そのメンバーのメッセージは残る
- 「無効化されたユーザー」として表示される
- アップロードしたファイルも残る
再度参加させる場合
一度削除したメンバーを再度参加させることもできます。
通常の招待手順で、同じメールアドレスに招待を送れば参加可能です。
ただし、以前のアカウント設定(通知設定など)は引き継がれません。
チャンネルからメンバーを外す

ワークスペース削除との違い
「チャンネルから外す」は、ワークスペース自体からは削除しません。
特定のチャンネルから外すだけで、他のチャンネルには引き続き参加できます。
チャンネルから外す手順
デスクトップの場合
- 対象チャンネルを開く
- 画面右上のメンバー数(例:「5人」)をクリック
- メンバー一覧が表示される
- 外したいメンバーの右側の「…」をクリック
- 「このチャンネルから外す」を選択
- 確認画面で「外す」をクリック
スマホの場合
- チャンネルを開く
- 画面上部のチャンネル名をタップ
- 「メンバー」をタップ
- 外したいメンバーを長押し
- 「チャンネルから外す」を選択
注意点
以下のチャンネルからはメンバーを外せません。
- #general チャンネル
- #all-会社名 チャンネル(Enterprise Gridの場合)
これらのチャンネルは、全メンバーが自動的に参加します。
外されたメンバーへの通知
チャンネルから外されると、Slackbotから通知が届きます。
「〇〇があなたを#〇〇チャンネルから外しました」という内容です。
誰が外したかも分かるので、必要に応じて事前に説明しておきましょう。
権限の変更
メンバー種別の変更手順
メンバーを管理者に昇格させたり、管理者をメンバーに変更したりできます。
PC版の手順
- 「管理者」→「ワークスペースの設定」→「メンバー管理」を開く
- 対象メンバーの右側「…」をクリック
- 「アカウント種別を変更」を選択
- 新しい種別を選択:
- ワークスペースオーナー
- ワークスペース管理者
- メンバー
- ゲスト(シングル・マルチ)
- 「保存」をクリック
オーナー権限の移譲
プライマリーオーナーは、他のメンバーにオーナー権限を移譲できます。
手順
- メンバー管理ページを開く
- 新しいオーナーにしたい人の種別を「ワークスペースオーナー」に変更
- これで、その人も「オーナー」になります
プライマリーオーナーの移譲
プライマリーオーナー(最高権限)を譲渡する場合:
- ワークスペースの設定を開く
- 「その他の管理項目」→「メンバー種別と権限」を選択
- 「アカウント種別」タブを開く
- 「プライマリーオーナーを変更」をクリック
- 新しいプライマリーオーナーを選択
移譲すると、あなたは通常のオーナーになります。
ゲストからメンバーへの変更
外部パートナーを正式メンバーにする場合などに使います。
- メンバー管理ページを開く
- 該当ゲストの「…」をクリック
- 「アカウント種別を変更」→「メンバー」を選択
ただし、料金が変わる可能性があるので注意してください。
メンバーからゲストへの変更
逆に、メンバーをゲストに降格することもできます。
- メンバー管理ページを開く
- 該当メンバーの「…」をクリック
- 「アカウント種別を変更」→「シングルチャンネルゲスト」または「マルチチャンネルゲスト」を選択
- アクセスを許可するチャンネルを選択
- 保存
ゲストになると、選択したチャンネル以外は見られなくなります。
招待権限の管理
誰が招待できるか設定
デフォルトでは、メンバー全員が他のメンバーを招待できます。
これを制限して、管理者のみに限定することもできます。
設定方法(オーナー・管理者のみ)
フリー・プロ・ビジネスプラスプランの場合
- ワークスペースの設定を開く
- 「権限」タブを選択
- 「招待」セクションまでスクロール
- 「管理者の承認を必須にする」にチェックを入れる
- 保存
チェックを入れた場合
一般メンバーが招待を送ろうとすると、管理者に承認リクエストが届きます。管理者が承認して初めて招待が送られます。
チェックを外した場合
メンバーは自由に招待を送れます。
招待リクエストの承認
管理者に招待リクエストが届いた場合の対応方法です。
- Slackbotから通知が届く
- 「承認」または「却下」を選択
- 承認すると、自動的に招待メールが送信される
招待リンクの管理
発行した招待リンクは、後から無効化できます。
手順
- 「管理者」→「ワークスペースの設定」→「メンバー管理」を開く
- 「招待リンク」タブを選択
- 無効化したいリンクの「無効にする」をクリック
セキュリティ上問題がある場合は、すぐに無効化しましょう。
メンバー一覧の確認
全メンバーの表示
ワークスペースの全メンバーを確認できます。
方法1:メンバーディレクトリ
- 「ホーム」タブを開く
- 「ディレクトリ」をクリック
- 「メンバー」タブを選択
ここで、すべてのメンバーとゲストが表示されます。
方法2:管理者画面(オーナー・管理者のみ)
- 「管理者」をクリック
- 「ワークスペースの設定」→「メンバー管理」を選択
こちらでは、より詳細な情報が見られます。
メンバー情報の確認
各メンバーの詳細情報を確認できます。
- 表示名
- ユーザー名
- メールアドレス(権限がある場合)
- アカウント種別
- 参加日
- 最終アクティブ日時
メンバーの検索
メンバー数が多い場合、検索機能が便利です。
メンバー一覧画面の上部に検索ボックスがあります。名前やメールアドレスで検索できます。
アクティブ/無効化の確認
メンバー一覧では、以下の状態が確認できます。
- アクティブ:通常の状態
- 保留中:招待済みだが未参加
- 無効化済み:削除されたアカウント
フィルター機能で、状態ごとに絞り込むこともできます。
ゲストアカウントの管理
ゲストの招待方法
前述の招待手順で、アカウント種別を「ゲスト」に選択します。
シングルチャンネルゲストの場合
- 招待時に「シングルチャンネルゲスト」を選択
- アクセスを許可するチャンネルを1つ選択
- 必要に応じて有効期限を設定
- 招待を送信
マルチチャンネルゲストの場合
- 「マルチチャンネルゲスト」を選択
- アクセスを許可するチャンネルを複数選択
- 招待を送信
ゲストがアクセスできるチャンネルの変更
後から、ゲストのアクセス範囲を変更できます。
- メンバー管理ページを開く
- 該当ゲストの「…」をクリック
- 「チャンネルを管理」を選択
- 追加または削除するチャンネルを選択
- 保存
ゲストアカウントの有効期限
シングルチャンネルゲストには、有効期限を設定できます。
プロジェクトが終了したら自動的にアクセスできなくなるので便利です。
設定方法
招待時または後から編集時に、「有効期限」を設定します。
期限が来ると、そのゲストは自動的に無効化されます。
ゲストの見分け方
ゲストかどうかは、プロフィールで確認できます。
プロフィールアイコンの横に「ゲスト」というバッジが表示されます。
Enterprise Grid特有の機能
組織レベルの管理
Enterprise Gridプランでは、複数のワークスペースを一元管理できます。
OrG(組織)レベルでの操作
- 全ワークスペース共通のポリシー設定
- メンバーを複数ワークスペースに一括追加
- 組織全体のメンバー一覧確認
システムのメンバー種別
Enterprise Gridでは、追加の管理役割があります。
- OrGプライマリーオーナー
- OrGオーナー
- OrG管理者
- チャンネル管理者
- ワークスペース管理者
これらの役割は、特定の管理業務を担当するために割り当てられます。
ワークスペース間のメンバー移動
OrGオーナーは、メンバーを別のワークスペースに追加できます。
- 組織設定を開く
- 「ワークスペース」を選択
- 対象ワークスペースを開く
- 「メンバーを追加」をクリック
- 追加したいメンバーを選択
よくある問題と解決方法

メンバーを削除できない
原因と解決策
原因1:権限不足
あなたの権限が不足している可能性があります。管理者またはオーナーに依頼してください。
原因2:プライマリーオーナーを削除しようとしている
プライマリーオーナーは削除できません。先に別の人に権限を移譲してください。
原因3:自分自身を削除しようとしている
自分で自分を削除することはできません。別の管理者に依頼してください。
招待したメンバーが参加しない
確認すべきポイント
- 招待メールが届いているか確認
- 迷惑メールフォルダに入っていないか確認
- 30日の有効期限が切れていないか確認
- 正しいメールアドレスで送ったか確認
対処法
- 招待を再送信
- 別のメールアドレスで試す
- 招待リンクを直接送る
権限変更が反映されない
解決方法
- ブラウザをリフレッシュ(F5キーまたはCmd+R)
- Slackアプリを再起動
- 少し時間をおいて確認(反映に数分かかる場合あり)
メンバー数が上限に達した
有料プランでは、契約しているメンバー数に上限があります。
対処法
- 不要なメンバーを削除
- プランをアップグレード
- 請求担当者に相談
セキュリティ上のベストプラクティス
定期的なメンバー確認
少なくとも月に1回は、メンバー一覧を確認しましょう。
- 退職者が残っていないか
- 不要なゲストアカウントがないか
- 不審なアカウントがないか
最小権限の原則
必要最小限の権限だけを付与しましょう。
全員を管理者にする必要はありません。業務に必要な人だけに管理者権限を与えてください。
ゲストアカウントの期限設定
外部パートナーやクライアントには、必ず有効期限を設定しましょう。
プロジェクト終了後も不要にアクセスできる状態は避けるべきです。
招待承認制の導入
メンバー数が多い組織では、招待に承認制を導入することを推奨します。
無秩序なメンバー増加を防げます。
二要素認証の推奨
メンバー全員に二要素認証(2FA)の設定を推奨しましょう。
Enterprise Gridプランでは、2FAを必須にすることもできます。
よくある質問と回答
Q. メンバー数に上限はある?
A. プランによって異なります。
- フリープラン:上限なし
- 有料プラン:契約したシート数まで
有料プランで上限を超える場合は、追加購入が必要です。
Q. 削除したメンバーの料金は?
A. すぐに課金停止されます。
Slackの「公正な請求ポリシー」により、使用した期間分だけ課金されます。月の途中で削除すれば、日割り計算されます。
Q. メンバーが自分で退出することはできる?
A. できます。
メンバー自身が「ワークスペースから退出」を選択できます。ただし、#generalチャンネルからは退出できません。
Q. ゲストは何人まで追加できる?
A. プランによって異なります。
- シングルチャンネルゲスト:メンバー数×5人まで無料
- マルチチャンネルゲスト:通常のメンバーと同じ扱い(課金対象)
Q. 削除したメンバーのメッセージは消える?
A. 消えません。
過去のメッセージとファイルはすべて残ります。ただし、送信者名は「無効化されたユーザー」として表示されます。
Q. 管理者を複数人設定できる?
A. できます。
複数の管理者を設定することで、管理業務を分担できます。プライマリーオーナーは1人だけですが、通常のオーナーや管理者は何人でも設定可能です。
Q. メンバーの招待を取り消せる?
A. できます。
保留中の招待であれば、管理者画面から削除できます。すでに参加している場合は、アカウントを無効化する必要があります。
Q. 外部ドメインのメンバーを制限できる?
A. Enterprise Gridプランで可能です。
OrGオーナーが設定することで、特定のドメイン以外のメンバーが外部ワークスペースに参加するのを防げます。
まとめ
Slackのメンバー管理について、重要なポイントをおさらいします。
メンバー種別の理解
- オーナー:最高権限、すべての設定が可能
- 管理者:メンバー管理や設定変更が可能
- メンバー:通常のユーザー
- ゲスト:特定チャンネルのみアクセス可能
基本操作
- 招待:メールアドレスまたは招待リンクで
- 削除:「アカウント解除」で無効化
- 権限変更:メンバー管理画面から種別を変更
- チャンネルから外す:ワークスペースからは削除されない
セキュリティ対策
- 定期的なメンバー確認
- 最小権限の原則
- ゲストの有効期限設定
- 招待承認制の検討
- 二要素認証の推奨
管理者向けのベストプラクティス
- メンバー追加は計画的に
- 退職者は速やかに削除
- ゲストアカウントは厳格に管理
- 権限は必要最小限に
- 定期的な監査を実施
適切なメンバー管理は、Slackワークスペースの安全性と効率性を大きく左右します。この記事で解説した手順とベストプラクティスを参考に、健全なワークスペース運営を実現してください。
メンバー管理は一度設定すれば終わりではなく、継続的な見直しが必要です。組織の変化に合わせて、柔軟に対応していきましょう。


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