Slackで日本語を入力しようとしたとき、こんな問題に遭遇したことはありませんか?
- スペースキーを押しても変換候補が出ない
- 1文字目が勝手に確定されて「kあきくけこ」のようになる
- Enterキーで変換確定したいのに送信されてしまう
- 変換途中でフリーズする
- IMEのオン/オフがうまく切り替わらない
これらは実際にSlackでよく報告されている日本語入力(IME)の問題です。
この記事では、Slackで日本語変換ができない・おかしい問題について、原因から具体的な解決方法まで、すべて解説します。Windows・Mac両方に対応した実践的なトラブルシューティングガイドです。
よくある症状

症状1:1文字目が勝手に確定される
現象
「かきくけこ」と入力したいのに、「kあきくけこ」のように最初の子音が確定されてしまう。
具体例
- 「nihon」→「にほん」にしたい
- 実際は「nいほん」になってしまう
症状2:スペースキーで変換できない
現象
ひらがなを入力後、スペースキーを押しても変換候補が表示されない。
具体例
- 「こんにちは」と入力
- スペースキーを押す
- 変換候補が出ず、そのまま確定されてしまう
症状3:Enterで送信されてしまう
現象
変換を確定したいだけなのに、Enterキーでメッセージが送信されてしまう。
結果
- 変換途中の不完全な文章が投稿される
- 誤字のまま送信される
- チャンネルに未完成のメッセージが残る
症状4:変換候補が少ない/出ない
現象
通常なら複数の変換候補が表示されるはずが、1つしか出ない、または全く出ない。
具体例
- 「かんじ」と入力
- 「漢字」「感じ」「幹事」などの候補が出ない
- 「かんじ」のまま確定されてしまう
症状5:IMEのオン/オフが切り替わらない
現象
半角/全角キーやCtrl+Spaceでも、日本語入力と英語入力が切り替わらない。
具体例
- Google日本語入力を使用時に特に発生しやすい
- Slackだけで発生し、他のアプリでは正常
問題が起きる原因
原因1:Slackのエディタ仕様
Slackは「Quill」というテキストエディタライブラリを使用しています。
このQuillが、日本語のIME(Input Method Editor)と相性が悪い場合があります。
技術的な背景
- IMEの
compositionstartとcompositionendイベントの処理 - MutationObserverでのDOM操作中の問題
- テキスト入力と編集のタイミングのずれ
原因2:Google日本語入力との相性
特にGoogle日本語入力を使っている場合、問題が発生しやすいです。
理由
- Microsoft IMEとは動作が異なる
- Slackとの相性問題が報告されている
- Ctrl+SpaceなどのショートカットがSlackと衝突
原因3:Chromeブラウザの仕様変更
Chrome 65以降のバージョンで、IME関連の仕様が変更されました。
これにより、Slackを含む多くのWebアプリで日本語入力の問題が発生しています。
影響を受けるケース
- ブラウザ版Slackを使用
- Chromeベースのアプリ(Electronアプリなど)
- 特にテーブルやリッチテキストエディタ
原因4:キャッシュの問題
Slackのキャッシュが溜まっていると、IMEの動作に影響することがあります。
原因5:アプリのバージョンが古い
Slackアプリが古いバージョンのままだと、日本語入力の不具合が修正されていない可能性があります。
過去の事例
- Slack 2.8.0で日本語入力が壊れた
- Slack 2.8.1で修正された
- このようなバージョン間の問題が繰り返し発生
解決方法1:Slackアプリを最新版に更新
最も重要な対策
まず最初に試すべきは、Slackアプリの更新です。
過去のバージョンで日本語入力が壊れても、新しいバージョンで修正されていることが多いです。
Windows版の更新手順
ステップ1:更新確認
- Slackアプリを開く
- 左上のメニュー(ワークスペース名)をクリック
- 「ヘルプ」→「アップデートをチェックする」を選択
ステップ2:更新インストール
更新がある場合、自動的にダウンロードとインストールが開始されます。
ステップ3:再起動
インストール完了後、Slackアプリを再起動します。
Mac版の更新手順
方法1:アプリ内から
- メニューバーの「Slack」→「アップデートを確認」を選択
方法2:App Storeから
- App Storeを開く
- 「アップデート」タブを確認
- Slackの更新があればインストール
最新版のダウンロード
手動でダウンロードする場合:
- https://slack.com/downloads にアクセス
- 自分のOSに合ったバージョンをダウンロード
- インストール
解決方法2:キャッシュをクリアする
なぜキャッシュクリアが効果的か
キャッシュに古いデータが残っていると、IMEの動作が不安定になります。
定期的なキャッシュクリアは、多くのSlackの問題を解決します。
デスクトップアプリのキャッシュクリア
Windows/Macの手順
- Slackアプリを開く
- プロフィール写真をクリック
- 「環境設定」を選択
- 左メニューの「詳細設定」をクリック
- 「キャッシュをクリア」をクリック
- 「アプリを再起動」を選択
ブラウザ版のキャッシュクリア
Chrome の場合
- Ctrl+Shift+Delete(Mac: Cmd+Shift+Delete)
- 「キャッシュされた画像とファイル」にチェック
- 期間を「全期間」に設定
- 「データを削除」をクリック
Firefox の場合
- Ctrl+Shift+Delete(Mac: Cmd+Shift+Delete)
- 「キャッシュ」にチェック
- 「今すぐ消去」をクリック
キャッシュクリア後の確認
- Slackを完全に閉じる
- 再度開く
- 日本語入力を試す
解決方法3:Microsoft IMEに切り替える

Google日本語入力から切り替え
Google日本語入力で問題が発生している場合、Microsoft IMEに切り替えると解決することがあります。
Windows 10/11での切り替え手順
ステップ1:設定を開く
- スタートメニュー→「設定」
- 「時刻と言語」を選択
- 「言語」をクリック
ステップ2:優先する言語を設定
- 「優先する言語」で「日本語」を選択
- 「オプション」をクリック
ステップ3:IMEを切り替え
- 「Microsoft IME」が表示されているか確認
- Google日本語入力を削除(任意)
- タスクバーの「A」または「あ」アイコンをクリック
- 「Microsoft IME」を選択
Macでの切り替え手順
ステップ1:システム環境設定
- アップルメニュー→「システム環境設定」
- 「キーボード」を選択
- 「入力ソース」タブを開く
ステップ2:IMEを追加/切り替え
- 「+」ボタンをクリック
- 「日本語」を選択
- 「日本語 – ローマ字入力」を追加
- Google日本語入力を削除(任意)
一時的な切り替え方法
完全に切り替えなくても、Slackを使うときだけMicrosoft IMEを使う方法もあります。
Windows の場合
- Windows + Space で IME を切り替え
- Slackを使う時だけMicrosoft IMEに
Mac の場合
- Control + Space で入力ソースを切り替え
- またはメニューバーの入力メニューから選択
解決方法4:送信ボタンを表示する
Enterキー誤送信を防ぐ
日本語変換の確定とメッセージ送信が同じEnterキーだと、誤送信が起きやすいです。
送信ボタンを表示することで、この問題を回避できます。
設定手順
重要:日本語設定が必要
この機能を使うには、Slackの表示言語を「日本語」にする必要があります。
ステップ1:言語設定を日本語に
- プロフィール写真をクリック
- 「環境設定」→「言語と地域」を選択
- 「Language」で「日本語」を選択
- 「Change to 日本語」をクリック
ステップ2:メッセージ設定を変更
- 環境設定の「詳細設定」を開く
- 「メッセージを送信する際、Enterキーで改行する」にチェックを入れる
これにより:
- Enterキー → 改行
- Ctrl+Enter(Mac: Cmd+Enter)→ 送信
- 送信ボタンも表示される
メリット
- 変換確定とメッセージ送信が分離される
- 誤送信が激減
- 落ち着いて文章を作成できる
解決方法5:別のブラウザを使う
Chrome以外を試す
Chromeブラウザで問題が発生している場合、Firefoxを使うと解決することがあります。
Firefoxのメリット
- IME関連の問題が少ない
- 日本語入力が安定している
- Chromeの仕様変更の影響を受けない
試す手順
- Firefoxをインストール(https://www.mozilla.org/firefox/)
- Firefoxで slack.com にアクセス
- ログイン
- 日本語入力を試す
デスクトップアプリ vs ブラウザ版
デスクトップアプリで問題がある場合
→ ブラウザ版(Firefox)を試す
ブラウザ版で問題がある場合
→ デスクトップアプリを試す
一方で動作することも多いです。
解決方法6:IME設定をリセットする
IMEの設定が壊れている場合
IMEの設定ファイルが破損していると、正常に動作しません。
Microsoft IMEのリセット(Windows)
ステップ1:設定を開く
- スタートメニュー→「設定」
- 「時刻と言語」→「言語」
- 「日本語」→「オプション」
ステップ2:IMEをリセット
- 「Microsoft IME」→「オプション」
- 下部の「IME設定のリセット」をクリック
- 確認画面で「リセット」をクリック
Google日本語入力のリセット
ステップ1:設定画面を開く
- タスクバーの「あ」または「A」を右クリック
- 「プロパティ」または「設定」を選択
ステップ2:辞書をリセット
- 「辞書」タブを開く
- 「学習履歴のクリア」をクリック
- 必要に応じて「辞書のリセット」も実行
Mac の日本語IMのリセット
ステップ1:入力ソースを削除
- システム環境設定→「キーボード」→「入力ソース」
- 日本語入力ソースを選択
- 「-」ボタンで削除
ステップ2:再追加
- 「+」ボタンをクリック
- 日本語を選択して追加
解決方法7:OS・システムの確認
Windows 10/11の場合
IMEの言語設定を確認
- 設定→「時刻と言語」→「言語」
- 「優先する言語」に日本語があるか確認
- なければ追加する
Macの場合
入力ソースの確認
- システム環境設定→「キーボード」
- 「入力ソース」タブ
- 日本語入力が追加されているか確認
キーボードレイアウトの確認
Slackの環境設定で、正しいキーボードレイアウトが選択されているか確認します。
手順
- Slackの環境設定を開く
- 「詳細設定」を確認
- 「キーボードの種類」が正しいか確認
解決方法8:ブラウザ拡張機能を無効化
拡張機能が干渉している可能性
一部のChrome拡張機能が、IMEの動作を妨げることがあります。
確認方法
ステップ1:シークレットモード
- Ctrl+Shift+N(Mac: Cmd+Shift+N)
- シークレットウィンドウでSlackを開く
- 日本語入力を試す
シークレットモードで正常なら、拡張機能が原因です。
原因となりやすい拡張機能
- キーボードショートカット変更系
- テキストエディタ系
- 自動翻訳系
- 「Slack Key Modifier」など、Slack専用の拡張機能
無効化手順
- chrome://extensions にアクセス
- 各拡張機能を一つずつ無効化
- Slackで日本語入力を試す
- 原因の拡張機能を特定
よくある質問と回答

Q. どの解決方法から試すべき?
A. 以下の順番で試してください。
- Slackアプリの更新(最も効果的)
- キャッシュのクリア(簡単で効果が高い)
- Microsoft IMEへの切り替え(Google日本語入力を使っている場合)
- 送信ボタンの表示(誤送信防止)
- 別のブラウザを試す(Chrome問題の回避)
Q. Google日本語入力は使えない?
A. 使えますが、問題が起きやすいです。
Slackを使う時だけMicrosoft IMEに切り替えるのが現実的な対策です。
Windows + Space(Windows)またはControl + Space(Mac)で切り替えられます。
Q. ブラウザ版とアプリ版、どちらが良い?
A. どちらも一長一短です。
デスクトップアプリの利点
- 通知が確実
- 動作が軽快
- オフラインでも一部使用可能
ブラウザ版(Firefox)の利点
- IME問題が少ない
- 最新機能がすぐ使える
- 複数ワークスペースの管理が楽
問題が起きたら、もう一方を試してみましょう。
Q. スマホでも同じ問題が起きる?
A. スマホでは起きにくいです。
この問題は主にPC版(Windows/Mac)で発生します。
スマホのOSネイティブのIMEは、比較的安定しています。
Q. 1文字目が確定される問題だけ直したい
A. 以下を試してください。
- Slackアプリを最新版に更新
- キャッシュをクリア
- Chrome拡張機能を無効化
- Firefoxブラウザを使用
Chrome 65以降の仕様変更が主な原因なので、Firefoxが最も確実です。
Q. Enterで改行できるようにしたい
A. 送信ボタンを表示する設定にしてください。
- Slackの言語設定を「日本語」に変更
- 環境設定→詳細設定
- 「メッセージを送信する際、Enterキーで改行する」にチェック
これで、Enter = 改行、Ctrl+Enter = 送信になります。
Q. 変換候補が少ない・出ない
A. IMEの学習機能をリセットしてください。
Microsoft IME
- 設定→時刻と言語→言語→日本語→オプション→Microsoft IME→オプション→IME設定のリセット
Google日本語入力
- プロパティ→辞書→学習履歴のクリア
Q. 急に問題が発生した
A. 以下の可能性があります。
- Slackアプリが自動更新された
- 前のバージョンに戻す、または次の更新を待つ
- Chromeが更新された
- Firefoxに切り替える
- IMEが更新された
- IMEをリセットする
まずはキャッシュクリアとアプリ再起動を試してください。
Q. 他のアプリでは正常だがSlackだけおかしい
A. Slackの仕様が原因です。
Slack特有の問題なので、以下を試してください:
- Slackアプリの更新
- 別のブラウザ(Firefox)を使用
- Microsoft IMEに切り替え
完全に解決しない場合もありますが、上記で改善することが多いです。
まとめ
Slackで日本語変換ができない問題について、重要なポイントをまとめます。
主な原因
- SlackのテキストエディタとIMEの相性問題
- Google日本語入力との相性が特に悪い
- Chrome 65以降の仕様変更
- キャッシュや古いバージョンの影響
最も効果的な解決方法
- Slackアプリを最新版に更新
- キャッシュをクリア
- Microsoft IMEを使用(Google日本語入力から切り替え)
- Firefoxブラウザを使用(Chromeの問題を回避)
- 送信ボタンを表示(誤送信防止)
推奨設定
- 表示言語:日本語
- IME:Microsoft IME
- 送信方法:送信ボタンまたはCtrl+Enter
- ブラウザ:Firefoxまたは最新版Chrome
トラブル時の対応順序
- アプリ・ブラウザの再起動
- キャッシュクリア
- アプリの更新確認
- IMEの切り替え
- 別のブラウザを試す
長期的な対策
- 定期的にSlackアプリを更新
- 月1回程度キャッシュをクリア
- 問題が起きたらすぐにFirefoxに切り替える準備
- IMEは複数用意しておく(切り替えられるように)
Slackの日本語入力問題は、完全に解決するのは難しい場合もあります。しかし、この記事で紹介した方法を組み合わせることで、ほとんどのケースで改善できます。
特に「Microsoft IMEの使用」と「Firefoxブラウザの使用」は、即効性が高い対策です。Google日本語入力にこだわりがなければ、Slackを使う時だけMicrosoft IMEに切り替えることをおすすめします。
問題が再発した場合も、慌てずにキャッシュクリアとアプリ再起動から試してみてください。多くの場合、これだけで解決します。

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