「取引先の人とSlackでやり取りしたいけど、社内の情報は見せたくない…」
そんなときに便利なのが、Slackの「ゲスト機能」です。
この機能を使えば、外部の人を特定のチャンネルだけに招待できるので、セキュリティを保ちながらスムーズなコミュニケーションが可能になります。今回は、ゲストの追加方法から使い分けのコツまで、詳しく解説していきます。
Slackのゲスト機能って何?

Slackのゲスト機能とは、ワークスペース全体へのアクセス権限を与えずに、外部の人を特定のチャンネルに招待できる仕組みです。
ゲストとして招待された人ができること
- 招待されたチャンネルでのメッセージ送受信
- ファイルの共有
- 同じチャンネルに参加しているメンバーとのダイレクトメッセージ
ゲストとして招待された人ができないこと
- 他のチャンネルの閲覧
- 新しいチャンネルの作成
- ワークスペース全体のメンバーリストの閲覧
- 招待されていないチャンネルのメンバーへのダイレクトメッセージ
つまり、必要な情報だけを共有しながら、機密情報は守れるというわけです。
ゲストには2種類ある!どう違うの?
Slackのゲスト機能には、「シングルチャンネルゲスト」と「マルチチャンネルゲスト」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
シングルチャンネルゲスト:1つのチャンネル専用
シングルチャンネルゲストは、たった1つのチャンネルだけにアクセスできるゲストです。
料金
無料で利用できます。ただし、招待できる人数には制限があります。
招待可能人数
ワークスペースの有料メンバー1人につき、5人まで招待できます。例えば、有料メンバーが10人いる場合、最大50人のシングルチャンネルゲストを招待可能です。
こんな場面に最適
- 短期プロジェクトで1人の外部パートナーと連携したいとき
- アルバイトスタッフを特定の情報共有チャンネルに招待したいとき
- クライアントを専用のサポートチャンネルに案内したいとき
例えば、飲食店で社員はメンバーとして登録し、アルバイトはシングルチャンネルゲストとして「シフト調整チャンネル」だけに招待する、といった使い方ができます。
マルチチャンネルゲスト:複数チャンネルに参加可能
マルチチャンネルゲストは、管理者が指定した複数のチャンネルにアクセスできるゲストです。
料金
通常のメンバーと同じ料金が発生します。つまり、招待した側が費用を負担する必要があります。
参加可能チャンネル数
制限はありません。管理者が許可すれば、いくつでもチャンネルに参加できます。
こんな場面に最適
- 長期プロジェクトで複数のチャンネルでやり取りしたいとき
- 外部コンサルタントを複数の関連チャンネルに招待したいとき
- 派遣社員や業務委託の方にある程度の情報アクセスを許可したいとき
ただし、後で紹介する「Slackコネクト」の方がコスト面で有利なケースも多いので、マルチチャンネルゲストを使う前に検討しましょう。
ゲストとSlackコネクトはどう違う?
「外部の人とやり取りする」という点では、ゲスト機能とSlackコネクトは似ています。でも、実はかなり違うんです。
ゲスト機能の特徴
- あなたのワークスペースに外部の人を招待する
- ゲストは自分のワークスペースではなく、招待された側のワークスペースにログインする
- 管理者が1人ずつ手動で招待する必要がある
- シングルチャンネルゲストなら無料(人数制限あり)
- ゲストアカウントが無効になると、会話やファイルは招待した側だけに残る
Slackコネクトの特徴
- お互いのワークスペースを接続してチャンネルを共有する
- 各自が自分のワークスペースからアクセスできる
- 一度接続すれば、各組織が自由にメンバーを追加できる
- 共有チャンネル数は無制限で無料
- 接続を解除しても、両社に会話やファイルの履歴が残る
どっちを使えばいい?
ゲスト機能が向いているケース
- 相手がSlackを使っていない
- 1〜2人の個人と短期的にやり取りしたい
- インターンや請負業者など、社内メンバーに近い扱いをしたい
Slackコネクトが向いているケース
- 相手の会社もSlackを使っている(有料プランなら尚良し)
- 複数人が関わる長期プロジェクト
- 複数のチャンネルを共有したい
- コストを抑えたい
簡単に言うと、相手がSlackユーザーならSlackコネクト、そうでないならゲスト機能、という選び方が基本です。
ゲストを追加する前に知っておくべきこと

実際に招待する前に、確認しておくべきポイントがあります。
有料プランが必須
ゲスト機能は、無料プランでは使えません。スタンダード、プラス、Enterprise Gridといった有料プランが必要です。
招待できるのはオーナーと管理者だけ
一般メンバーは、ゲストを直接招待できません。ただし、管理者にゲスト招待をリクエストすることは可能です。
多くの企業では、「#help-guests」のような専用チャンネルを作って、そこで招待依頼を受け付ける運用をしています。
ゲストのプロフィール写真にはアイコンが表示される
ゲストかどうかは、プロフィール写真で一目で分かります。
- シングルチャンネルゲスト:三角形のアイコン
- マルチチャンネルゲスト:正方形のアイコン
これにより、メンバーは誰がゲストなのかすぐに判断できます。
モバイルアプリからは招待できない
現時点では、スマホアプリからゲストを招待することはできません。デスクトップ版のSlackまたはブラウザ版を使う必要があります。
シングルチャンネルゲストの追加方法
それでは、実際にシングルチャンネルゲストを招待する手順を見ていきましょう。
手順1:メンバー招待画面を開く
- Slackのデスクトップアプリまたはブラウザ版を開く
- 左上のワークスペース名をクリック
- 「設定と管理」にカーソルを合わせる
- 「メンバーを招待する」を選択
手順2:招待タイプを選択
メンバー招待のダイアログボックスが表示されます。
- 「招待方法」のドロップダウンメニューをクリック
- 「シングルチャンネルゲスト」を選択
ここで「メンバー」を選ぶと通常のメンバーとして招待されてしまうので、注意してください。
手順3:招待情報を入力
次に、以下の情報を入力します。
メールアドレス(必須)
招待したい人のメールアドレスを入力します。複数人を一度に招待することも可能です。
氏名(任意)
相手の名前を入力しておくと、後で管理しやすくなります。
チャンネルの選択(必須)
招待先のチャンネルを1つだけ選択します。ここで複数選ぶと、マルチチャンネルゲストになってしまい課金されるので要注意です。
有効期限(任意)
短期プロジェクトなら、有効期限を設定しておくと安心です。期限が切れる5日前に、Slackbotから通知が届きます。延長も可能なので、状況に応じて調整できます。
カスタムメッセージ(任意)
招待メールに添えるメッセージを入力できます。「このチャンネルで○○プロジェクトについてやり取りしましょう」など、簡単な説明を加えると親切です。
手順4:招待を送信
すべて入力したら、「ゲストを招待」ボタンをクリックします。
これで、相手のメールアドレスに招待メールが送信されます。
マルチチャンネルゲストの追加方法
マルチチャンネルゲストの招待方法は、シングルチャンネルゲストとほぼ同じです。
違いは2つだけ:
- 「招待方法」で「マルチチャンネルゲスト」を選択する
- チャンネルを複数選択できる
ただし、通常メンバーと同じ料金が発生することを忘れずに。予算とよく相談してから招待しましょう。
ゲストとして招待された側の手順
招待された人は、どうやってSlackに参加するのでしょうか?流れを見てみましょう。
手順1:招待メールを確認
「○○(招待者の名前)から、Slackでやり取りするために招待されました」という件名でメールが届きます。
メール内の「今すぐ参加」ボタンをクリックします。
手順2:アカウントを作成
ブラウザでSlackのページが開きます。
Googleアカウントでログイン
Googleアカウントを使って簡単にログインできます。
新規パスワードを設定
Googleアカウントを使わない場合は、新しいパスワードを設定します。
手順3:ゲストとして参加完了
ログインすると、招待されたチャンネルだけが表示されます。
サイドバーを見ても、他のチャンネルは見えないようになっているので、安心してください。
ゲストのチャンネルを変更・追加する方法
ゲストを招待した後で、アクセスできるチャンネルを変更したい場合もありますよね。
シングルチャンネルゲストのチャンネル変更
- 左上のワークスペース名をクリック
- 「ツールと設定」→「メンバー管理」を選択
- 変更したいゲストの右側にある3つの点アイコンをクリック
- 「チャンネルを編集する」をクリック
- 新しいチャンネルを選択
注意点として、シングルチャンネルゲストは常に1つのチャンネルしか選べません。チャンネルを変更すると、以前のチャンネルからは自動的に外されます。
マルチチャンネルゲストのチャンネル追加・削除
- 同じく「メンバー管理」からゲストを選択
- 「チャンネルを編集する」をクリック
- 「追加」をクリックして新しいチャンネルを選択、またはチェックを外して削除
- 変更を保存
マルチチャンネルゲストの場合、複数のチャンネルを自由に追加・削除できます。
ゲスト機能を使うときの注意点
便利なゲスト機能ですが、いくつか注意すべき点があります。
セキュリティリスクの管理
ゲストが増えすぎると、誰がどのチャンネルにアクセスできるのか分からなくなりがちです。
定期的な棚卸しが重要
少なくとも3ヶ月に1回は、ゲストアカウントの一覧をチェックしましょう。すでにプロジェクトが終了しているのに、まだアクセス権が残っている人がいるかもしれません。
有効期限を必ず設定
短期プロジェクトなら、最初から有効期限を設定しておくと管理が楽です。
誤ってマルチチャンネルゲストにしてしまう
シングルチャンネルゲストのつもりで招待したのに、チャンネルを複数選択してしまうと、マルチチャンネルゲストになってしまいます。
これは、意図せず課金が発生する原因になります。招待時には、チャンネルの選択数をしっかり確認しましょう。
ゲスト専用チャンネルの命名ルール
ゲストが参加しているチャンネルは、一目で分かるようにしておくと便利です。
例えば、チャンネル名に「#ext-」という接頭辞を付けるルールを作っておけば、「このチャンネルには外部の人がいる」とすぐに判断できます。
ゲストはグループメンションに反応しない
「@channel」や「@here」といったグループメンションは、ゲストには通知されません。
ゲストに確実に通知したい場合は、個別に「@名前」でメンションしましょう。
ゲストアカウントを無効化・削除する方法
プロジェクトが終わったら、ゲストアカウントを無効化することをお勧めします。
- 「メンバー管理」を開く
- 無効化したいゲストを選択
- 3つの点アイコンをクリック
- 「アカウントを無効化」を選択
無効化すると、ゲストはワークスペースにアクセスできなくなります。ただし、過去の会話やファイルは招待した側に残ります。
完全に削除したい場合は、「アカウントを削除」を選びます。この場合、ゲストに関連するデータも削除されるので、慎重に判断してください。
よくある質問と答え
Q: 無料プランでもゲストを招待できますか?
A: いいえ、できません。ゲスト機能は有料プランでのみ利用可能です。スタンダードプラン以上にアップグレードする必要があります。
Q: シングルチャンネルゲストは本当に無料ですか?
A: はい、無料です。ただし、招待できる人数には制限があります。有料メンバー1人につき5人までです。
Q: ゲストは他のメンバーにダイレクトメッセージを送れますか?
A: 送れます。ただし、同じチャンネルに参加しているメンバーにのみ送信できます。招待されていないチャンネルのメンバーには送れません。
Q: ゲストを一般メンバーに変更できますか?
A: はい、可能です。管理者が「メンバー管理」からゲストのアカウントタイプを「メンバー」に変更できます。ただし、メンバーになると通常の料金が発生します。
Q: ゲストは過去のメッセージを見られますか?
A: はい、招待されたチャンネルの過去の会話はすべて閲覧できます。招待前のメッセージも含まれるので、機密情報がある場合は注意が必要です。
Q: ゲスト招待のリクエストを一般メンバーから受け付けたい場合は?
A: 専用のチャンネル(例:#help-guests)を作成し、そこで招待リクエストを受け付ける運用がお勧めです。管理者はそのチャンネルを監視して、適切なゲストだけを招待します。
Q: ゲストにファイルのアップロード権限を与えたくない場合は?
A: 残念ながら、ゲストのファイルアップロード権限を個別に制限することはできません。権限を細かく管理したい場合は、ワークスペース全体の設定を見直すか、別のツールとの併用を検討しましょう。
まとめ:状況に応じて使い分けよう
Slackのゲスト機能を使えば、外部の人と安全にやり取りできます。
ゲスト機能を選ぶべきケース
- 相手がSlackを使っていない
- 1〜2人の個人と短期的に連携したい
- コストを抑えたい(シングルチャンネルゲストなら無料)
Slackコネクトを選ぶべきケース
- 相手の会社もSlackを使っている
- 複数人が関わる長期プロジェクト
- 複数チャンネルを共有したい
最も重要なのは、定期的なゲストアカウントの管理です。プロジェクト終了後は必ず無効化し、セキュリティリスクを最小限に抑えましょう。
招待する前に「本当にゲスト機能が最適か?」と一度立ち止まって考えることで、より効率的で安全なコミュニケーション環境が作れますよ。


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