Thunderbirdでメールを送受信しようとしたら、「サーバーとの接続がリセットされました」というエラーメッセージが表示された…
突然メールが使えなくなると、仕事にも大きな影響が出て困りますよね。
このエラーは、Thunderbirdとメールサーバーの通信が途中で切断された時に発生します。原因は多岐にわたりますが、ほとんどの場合、適切な対処で解決できるんです。
この記事では、「サーバーとの接続がリセットされました」エラーの原因から、具体的な解決方法まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
エラーメッセージの意味

まず、エラーの正体を理解しましょう。
表示されるメッセージ
典型的なエラー文:
サーバーとの接続がリセットされました
または
The connection to the server was reset
いつ表示される?
- メールを送信しようとした時
- メールを受信しようとした時
- Thunderbird起動時
- メールをダウンロード中
エラーの意味
簡単に言うと:
Thunderbirdとメールサーバーが通信を始めたものの、途中で接続が切れてしまった状態です。
例えるなら:
電話をかけて相手が出たのに、話している最中に突然電話が切れてしまうようなもの。
「リセット」とは?
ネットワーク用語で「強制的に接続を切断する」という意味。何らかの理由で、サーバー側またはネットワーク側が接続を拒否したんです。
まず試すべき3つの基本対処
エラーが出たら、まずはこの3つを試してみましょう。
対処法1:もう一度送受信してみる
一時的なエラーの可能性があります。
手順:
- エラーメッセージを閉じる
- 「送受信」ボタンをクリック
- または
F5
キーを押す
一時的なエラーの例:
- サーバーの一時的な高負荷
- ネットワークの瞬断
- タイミングの問題
1〜2回再試行して成功すれば、一時的な問題だったということです。
対処法2:Thunderbirdを再起動
手順:
- Thunderbirdを完全に終了
- 10秒ほど待つ
- もう一度起動
- 送受信を試す
なぜ有効?
再起動することで、接続状態がリセットされ、問題が解消することがあります。
対処法3:インターネット接続を確認
確認すべきこと:
- ブラウザでWebサイトにアクセスできるか
- Wi-Fiまたは有線LANが正常に接続されているか
- 他のアプリでインターネットが使えるか
インターネット自体が問題の場合:
- ルーターを再起動
- パソコンを再起動
- 接続を確認
原因別の詳細な解決方法
基本対処で解決しない場合、原因を特定して対処しましょう。
原因1:サーバー設定の間違い
症状:
- 突然エラーが出るようになった
- 設定を変更した後から発生
- 新しいアカウントで発生
解決方法:
ステップ1:サーバー設定を確認
- 「アカウント設定」を開く
- 左側で該当アカウントを選択
- 「サーバー設定」をクリック
確認すべき項目:
サーバー名:
- 正しいアドレスが入力されているか
- スペルミスはないか
例:
- Gmail:
imap.gmail.com
(受信)、smtp.gmail.com
(送信) - Yahoo!:
imap.mail.yahoo.co.jp
(受信)、smtp.mail.yahoo.co.jp
(送信)
ポート番号:
受信サーバー(IMAP):
993
(SSL/TLS)143
(STARTTLS)
受信サーバー(POP3):
995
(SSL/TLS)110
(STARTTLS)
送信サーバー(SMTP):
465
(SSL/TLS)587
(STARTTLS)
接続の保護:
- SSL/TLS
- STARTTLS
- なし(非推奨)
重要:
ポート番号と接続の保護方式は、必ず対応する組み合わせを選んでください。
ステップ2:送信サーバー設定を確認
- アカウント設定画面の下部
- 「送信(SMTP)サーバー」をクリック
- 使用しているSMTPサーバーを選択
- 「編集」をクリック
確認項目:
- サーバー名
- ポート番号
- 接続の保護
- 認証方式
原因2:ポート番号と接続方式の不一致
症状:
- 接続エラーが頻発
- タイムアウトも併発
よくある間違い:
❌ 間違った組み合わせ:
- ポート
993
+ 接続の保護「なし」 - ポート
143
+ 接続の保護「SSL/TLS」
✅ 正しい組み合わせ:
- ポート
993
+ 接続の保護「SSL/TLS」 - ポート
143
+ 接続の保護「STARTTLS」
解決方法:
- サーバー設定を開く
- ポート番号を確認
- 対応する接続の保護方式を選択
- 保存して再試行
推奨設定:
IMAP(受信):
- ポート:
993
- 接続の保護:
SSL/TLS
SMTP(送信):
- ポート:
587
- 接続の保護:
STARTTLS
原因3:ファイアウォール・セキュリティソフトの影響
症状:
- セキュリティソフトを更新した後から発生
- 特定のネットワークでのみ発生
- 他のメールソフトでも同じ問題
解決方法:
ステップ1:一時的にセキュリティソフトを無効化(テスト)
注意: これはあくまでテスト目的です。問題が解決したら、必ず再度有効にしてください。
- セキュリティソフトを一時的に無効化
- Thunderbirdで送受信を試す
- 成功したら、セキュリティソフトが原因
ステップ2:Thunderbirdを除外リストに追加
Windows Defenderの場合:
- 設定 → 更新とセキュリティ → Windowsセキュリティ
- ファイアウォールとネットワーク保護
- 詳細設定
- 受信の規則・送信の規則でThunderbirdを許可
サードパーティ製ソフトの場合:
各製品のマニュアルに従って、Thunderbirdを「信頼できるアプリケーション」として登録します。
除外すべきポート:
- 993(IMAP SSL)
- 995(POP3 SSL)
- 587(SMTP STARTTLS)
- 465(SMTP SSL)
ステップ3:メールスキャン機能を無効化
一部のセキュリティソフトには、メールをスキャンする機能があります。これが干渉している可能性があります。
無効化の手順:
各製品の設定から「メールスキャン」「メール保護」などの項目を探し、無効化します。
原因4:プロキシ設定の問題
症状:
- 会社のネットワークで発生
- 特定の環境でのみ発生
解決方法:
プロキシ設定を確認
- 設定 → 「一般」
- 画面を下にスクロール
- 「ネットワークとディスク領域」セクション
- 「接続設定」ボタンをクリック
設定の選択:
- 「プロキシを使用しない」(通常の家庭環境)
- 「システムのプロキシ設定を利用する」(推奨)
- 「手動でプロキシを設定する」(企業環境で必要な場合)
企業環境の場合:
IT部門に以下を確認してください:
- プロキシサーバーのアドレス
- ポート番号
- 認証が必要か
原因5:タイムアウト時間が短すぎる
症状:
- 大きなメールを受信する時
- 添付ファイルが多い時
- 遅いネットワークで使用時
解決方法:
タイムアウト値を延長
Config Editorでの設定:
- 設定 → 「一般」 → 最下部の「設定エディター」
- 検索ボックスに
mailnews.tcptimeout
と入力 - 値をダブルクリックして編集
- デフォルトは
100
(秒) 300
(5分)程度に変更
注意:
あまり長くしすぎると、本当の接続エラー時に待ち時間が長くなります。
プロバイダー別の対処法
主要なメールサービスごとの具体的な設定です。
Gmail
推奨設定:
受信(IMAP):
- サーバー:
imap.gmail.com
- ポート:
993
- 接続の保護:
SSL/TLS
- 認証:
OAuth2
(推奨)または通常のパスワード
送信(SMTP):
- サーバー:
smtp.gmail.com
- ポート:
587
- 接続の保護:
STARTTLS
- 認証:
OAuth2
(推奨)
重要:Googleアカウントの設定
- アプリパスワードの生成が必要な場合がある
- 2段階認証を有効にする
- 「安全性の低いアプリのアクセス」は既に廃止されている
トラブル時の確認:
- アプリパスワードを使用しているか
- Googleアカウントがロックされていないか
Yahoo!メール
推奨設定:
受信(IMAP):
- サーバー:
imap.mail.yahoo.co.jp
- ポート:
993
- 接続の保護:
SSL/TLS
送信(SMTP):
- サーバー:
smtp.mail.yahoo.co.jp
- ポート:
465
または587
- 接続の保護:
SSL/TLS
(465)またはSTARTTLS
(587)
Yahoo!特有の注意点:
- 「アクセスキー」の生成が必要な場合がある
- Yahoo!メールの設定で「POPアクセスとメール転送」を有効化
Outlook.com / Hotmail
推奨設定:
受信(IMAP):
- サーバー:
outlook.office365.com
- ポート:
993
- 接続の保護:
SSL/TLS
送信(SMTP):
- サーバー:
smtp-mail.outlook.com
またはsmtp.office365.com
- ポート:
587
- 接続の保護:
STARTTLS
Microsoft特有の問題:
- 2段階認証を使用している場合、アプリパスワードが必要
- Microsoftアカウントのセキュリティ設定を確認
iCloud Mail
推奨設定:
受信(IMAP):
- サーバー:
imap.mail.me.com
- ポート:
993
- 接続の保護:
SSL/TLS
送信(SMTP):
- サーバー:
smtp.mail.me.com
- ポート:
587
- 接続の保護:
STARTTLS
iCloud特有の注意:
- App用パスワード(App-specific password)が必要
- iCloud設定から生成
その他の原因と対処法
上記で解決しない場合の追加対処です。
原因6:ISP(プロバイダー)の制限
症状:
- 特定のISPでのみ発生
- 送信時に多発
- ポート25がブロックされている
OP25Bとは?
ISPが迷惑メール対策として、ポート25を制限していること。
解決方法:
- 送信ポートを
587
に変更 - 接続の保護を
STARTTLS
に設定 - ISPの推奨設定を確認
ISPに確認すべきこと:
- ポート制限の有無
- 推奨する送信ポート
- サブミッションポート(587)の利用可否
原因7:VPN使用時の問題
症状:
- VPN接続時のみ発生
- VPNを切ると正常
解決方法:
方法1:VPN設定の変更
- スプリットトンネリングを有効化
- メールサーバーへの通信をVPNから除外
方法2:別の接続方式を試す
- VPNのプロトコルを変更(OpenVPN、IKEv2など)
- 別のVPNサーバーに接続
方法3:VPNを切ってメール送受信
セキュリティ上問題ない場合、一時的にVPNを切断してメールを処理します。
原因8:DNS設定の問題
症状:
- サーバー名は正しいのに接続できない
- 他のサービスも不安定
解決方法:
DNSサーバーを変更
GoogleのパブリックDNS:
- プライマリ:
8.8.8.8
- セカンダリ:
8.8.4.4
CloudflareのDNS:
- プライマリ:
1.1.1.1
- セカンダリ:
1.0.0.1
設定方法(Windows):
- コントロールパネル → ネットワークと共有センター
- アダプターの設定の変更
- 接続を右クリック → プロパティ
- インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)
- DNSサーバーのアドレスを手動設定
原因9:メールサーバーの一時的な問題
症状:
- 特定の時間帯に発生
- 他のユーザーも同じ問題を報告
確認方法:
- メールプロバイダーの公式サイトをチェック
- SNSで障害情報を検索
- Down Detectorなどの障害情報サイトを確認
対処法:
サーバー側の問題の場合、復旧を待つしかありません。通常、数時間以内に解決します。
原因10:SSL/TLS証明書の問題
症状:
- 「セキュリティ例外」のメッセージも表示される
- 証明書エラーが出る
解決方法:
方法1:証明書を確認
- エラーメッセージの詳細を確認
- 証明書の有効期限をチェック
- 信頼できるものなら「例外を追加」
注意:
安易に例外を追加せず、まずプロバイダーに問い合わせることをおすすめします。
方法2:日時設定を確認
パソコンの日時がずれていると、証明書エラーが出ます。
- 設定 → 時刻と言語
- 日付と時刻が正確か確認
- 「自動的に時刻を合わせる」を有効化
体系的なトラブルシューティング
問題が解決しない場合の手順です。
ステップ1:エラーログを確認
手順:
- メニューから「ツール」→「開発ツール」
- 「エラーコンソール」を開く
- エラーメッセージを確認
ここに表示される詳細なエラー情報が、原因特定のヒントになります。
ステップ2:別のネットワークで試す
方法:
- スマホのテザリングを使用
- 別のWi-Fiに接続
- 有線LANと無線LANを切り替え
これで分かること:
- 特定のネットワークの問題か
- ISPの制限か
- ルーターの設定問題か
ステップ3:他のメールソフトで試す
確認項目:
- Webメールで送受信できるか
- スマホのメールアプリでは正常か
- 別のパソコンのThunderbirdでは正常か
これで分かること:
- Thunderbird固有の問題か
- アカウント設定の問題か
- ネットワーク環境の問題か
ステップ4:新しいプロファイルで試す
手順:
- Thunderbirdを終了
- プロファイルマネージャーを起動
- Windows:
thunderbird.exe -p
- 新しいプロファイルを作成
- アカウントを再設定
- 問題が再現するか確認
これで分かること:
プロファイルの破損が原因かどうか
よくある質問
Q1. 受信はできるのに送信だけエラーになります
A. 送信サーバー(SMTP)の設定に問題があります。
確認すべきこと:
- SMTPサーバー設定
- 送信ポート(587推奨)
- 認証設定
- ISPによるポート25ブロック
Q2. 特定の相手にだけ送信できません
A. 相手のメールサーバーの問題かもしれません。
対処法:
- メールサイズを小さくする
- 添付ファイルを圧縮または分割
- 別の方法(クラウドストレージなど)で送る
Q3. 家では正常なのに、会社だとエラーが出ます
A. 企業ネットワークの制限が原因です。
確認事項:
- プロキシ設定
- ファイアウォールルール
- IT部門の許可が必要
Q4. エラーが出たり出なかったりします
A. 不安定な接続やサーバーの負荷が原因です。
対処法:
- タイムアウト時間を延長
- 接続が安定している時間帯に送受信
- 一度に大量のメールを処理しない
Q5. 急に使えなくなりました。何も設定を変えていません
A. 以下の可能性があります:
- プロバイダー側の設定変更
→ 公式サイトで確認 - セキュリティソフトの自動更新
→ 設定を確認 - パスワードの期限切れ
→ 再入力を試す - アカウントのロック
→ プロバイダーに問い合わせ
サポートに問い合わせる前に
どうしても解決しない場合、問い合わせ前に以下を準備しましょう。
収集すべき情報
基本情報:
- Thunderbirdのバージョン
- OS(WindowsまたはMac)とバージョン
- メールプロバイダー名
エラー詳細:
- 正確なエラーメッセージ(スクリーンショット推奨)
- いつから発生しているか
- 送信・受信どちらで発生するか
設定情報:
- サーバー名
- ポート番号
- 接続の保護方式
試した対処:
- 何を試したか
- 結果はどうだったか
問い合わせ先
プロバイダーのサポート:
- Gmail:Googleサポート
- Yahoo!:Yahoo!ヘルプセンター
- その他:各プロバイダーのサポート窓口
Thunderbirdのサポート:
- 公式サポートフォーラム
- コミュニティによる質問サイト
予防策とメンテナンス
今後エラーを防ぐための対策です。
定期的なメンテナンス
月に1回実施:
- Thunderbirdの更新確認
- 最新版に保つ
- メールボックスの最適化
- ファイル → 最適化
- 不要なメールの削除
- 古いメール、大きなメールを整理
- 設定のバックアップ
- プロファイルをコピー
安定した環境を保つ
推奨事項:
- 有線LAN接続
- Wi-Fiより安定
- ルーターの定期再起動
- 週1回程度
- セキュリティソフトの適切な設定
- Thunderbirdを除外リストに
- DNSの最適化
- 高速で安定したDNSサーバーを使用
まとめ:段階的に原因を特定しよう
「サーバーとの接続がリセットされました」エラーは、適切な手順で必ず解決できます。
解決の基本ステップ:
✅ ステップ1:基本対処
再試行、再起動、ネットワーク確認
✅ ステップ2:設定確認
サーバー名、ポート番号、接続の保護
✅ ステップ3:外部要因の確認
ファイアウォール、セキュリティソフト
✅ ステップ4:ネットワーク環境
プロキシ、VPN、ISP制限
✅ ステップ5:詳細なトラブルシューティング
エラーログ、別環境でのテスト
原因特定のコツ:
- いつから発生したか思い出す
変更したことがヒントになる - エラーメッセージを記録
正確な情報が解決の鍵 - 1つずつ確認
複数の変更を同時にしない - 設定を記録
変更前の状態を控える - 焦らず段階的に
基本から順番に確認
重要なポイント:
- 多くの場合、設定の小さなミスが原因
- サーバー名やポート番号を再確認
- プロバイダーの公式設定を参照
- セキュリティソフトの干渉を疑う
- 最新の情報をプロバイダーから入手
このエラーに悩まされている方は、この記事の手順を上から順番に試してみてください。ほとんどの場合、どこかの段階で解決できるはずです。
それでも解決しない場合は、プロバイダーやIT部門のサポートに、この記事で準備した情報を持って相談してください。きっと力になってくれますよ!
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