「パソコンを守るために、セキュリティソフトは多い方が安心だよね」
そう思って、複数のセキュリティソフトをインストールしていませんか?実は、これは大きな間違いなんです。
セキュリティソフトを複数入れると、かえってパソコンが不安定になったり、動作が重くなったりする「競合問題」が発生してしまいます。
この記事では、セキュリティソフトの競合とは何か、どんな問題が起きるのか、そして正しい対処法について分かりやすく解説していきます。
セキュリティソフトの「競合」とは何か

セキュリティソフトの競合とは、複数のセキュリティソフトが同時に動いて、お互いに邪魔し合ってしまう現象のことです。
なぜ競合が起きるのか
セキュリティソフトは、ウイルスや危険なファイルからパソコンを守るために、特別な方法でパソコンの中を常に監視しています。
この「監視」という作業は、パソコンの奥深くにアクセスする必要があるんです。普通のアプリとは違う、特殊な権限を使って動いています。
複数のセキュリティソフトが同時に動くと:
- 同じファイルを同時にチェックしようとする
- 同じ場所に同時にアクセスしようとする
- お互いの動きを「怪しい動き」だと勘違いする
こうして、ケンカのような状態になってしまうわけです。
Windows Defenderとの関係
Windows 10以降のパソコンには、最初から「Windows Defender」(Microsoft Defenderとも呼ばれます)というセキュリティソフトが入っています。
実は、Windows Defenderは賢い設計になっていて、他のセキュリティソフトをインストールすると自動的に機能を停止してくれます。
でも、ここで注意が必要です。複数の市販セキュリティソフトを入れると、この仕組みがうまく働かず、競合が発生してしまうんです。
競合が起きるとどうなる?具体的な症状
セキュリティソフトが競合すると、さまざまな問題が発生します。
1. パソコンの動作が極端に遅くなる
これは最も分かりやすい症状です。
なぜ遅くなるのか
- 複数のセキュリティソフトが同時にファイルをチェックします
- パソコンのCPU(頭脳)とメモリ(作業スペース)を奪い合います
- 通常の2倍、3倍の処理が必要になります
具体的な症状
- パソコンの起動に時間がかかる
- ファイルを開くのに時間がかかる
- インターネットが遅く感じる
- ファンが大きな音を立てる
2. システムクラッシュやフリーズ
さらに深刻な問題として、パソコンが固まったり、突然再起動したりすることがあります。
なぜクラッシュするのか
セキュリティソフトは「インターセプター」という特殊な仕組みを使って、パソコンの重要な部分にアクセスします。複数のソフトが同じ場所に同時にインターセプターを設置しようとすると、システム全体が混乱してしまうんです。
例えるなら、一つの出入り口に複数の警備員が同時に立って、お互いに邪魔し合っているような状態です。
3. 誤検知が増える
これも厄介な問題です。
何が起きるのか
- セキュリティソフトAが、セキュリティソフトBを「怪しいプログラム」だと判断する
- お互いを攻撃し合う状態になる
- 安全なファイルやプログラムまで、間違って危険だと判断される
実際の影響
- 必要なファイルが削除される
- 正常なアプリが起動できなくなる
- 重要な更新がブロックされる
4. データ破損のリスク
最悪の場合、大切なデータが壊れてしまう可能性があります。
複数のセキュリティソフトが同じファイルに同時にアクセスしようとすると、ファイルの一部が書き換えられたり、削除されたりすることがあるんです。
5. セキュリティ機能が無効化される
皮肉なことに、セキュリティを強化しようとして複数のソフトを入れたのに、かえって守りが弱くなることもあります。
なぜ守りが弱くなるのか
- どちらのソフトも正常に動作しなくなる
- ウイルスのチェックが完了しないまま次の作業に進む
- セキュリティの「隙間」が生まれる
どんな時に競合が起きやすい?
セキュリティソフトの競合が発生しやすいパターンを知っておきましょう。
パターン1:古いソフトが残っている
新しいセキュリティソフトをインストールする前に、古いソフトをアンインストールしなかった場合です。
よくあるケース
- 前に使っていたセキュリティソフトの期限が切れた
- 新しいソフトを入れたけど、古いソフトは消していない
- アンインストールしたつもりが、完全に削除されていない
パターン2:無料版と有料版を併用
「無料版も使いながら、有料版も入れておこう」というケースです。
問題のある組み合わせ例
- Windows Defender + 市販のセキュリティソフト + 無料のマルウェア対策ソフト
- ウイルスバスター + カスペルスキー
- ノートン + マカフィー
パターン3:複数の機能が重複している
セキュリティソフト以外でも、同じような機能を持つソフトを入れている場合です。
重複しやすい機能
- リアルタイム保護(ファイルを常に監視する機能)
- ファイアウォール(外部からの攻撃を防ぐ機能)
- メール保護機能
パターン4:会社のソフトと個人のソフト
会社のパソコンに、勝手に個人用のセキュリティソフトをインストールするケースです。
なぜ問題なのか
- 会社が管理しているセキュリティソフトとぶつかる
- 会社のセキュリティポリシーに違反する
- 管理者の知らないところでトラブルが発生する
競合を解決する方法

競合が起きてしまった場合、または予防したい場合の対処法を紹介します。
解決方法1:古いセキュリティソフトを完全にアンインストールする
まずは、不要なセキュリティソフトを削除しましょう。
正しいアンインストール手順
- 新しいセキュリティソフトを一時的に停止する
- Windowsの「設定」を開く
- 「アプリ」→「インストールされているアプリ」を選ぶ
- 削除したいセキュリティソフトを探す
- 「アンインストール」をクリックする
- 画面の指示に従って削除を完了する
- パソコンを再起動する
重要なポイント
通常のアンインストールだけでは、ファイルの一部が残ってしまうことがあります。
解決方法2:専用の削除ツールを使う
セキュリティソフトメーカーは、完全に削除するための「専用ツール」を提供していることが多いです。
主要なセキュリティソフトの削除ツール
- ノートン: Norton Remove and Reinstall Tool
- マカフィー: MCPR(McAfee Consumer Product Removal Tool)
- カスペルスキー: Kaspersky Removal Tool
- トレンドマイクロ(ウイルスバスター): サポートツール
- ESET: ESET Uninstaller
これらのツールは、各メーカーの公式サイトから無料でダウンロードできます。
使い方
- メーカーの公式サイトにアクセスする
- 削除ツールをダウンロードする
- ダウンロードしたファイルを実行する
- 画面の指示に従う
- 完了したらパソコンを再起動する
解決方法3:1台のパソコンには1つだけ入れる
これが最も重要な原則です。
正しいセキュリティ対策
- メインのセキュリティソフトは1つだけにする
- Windows Defenderと市販ソフトのどちらか一方を選ぶ
- 追加の保護は、オンデマンドスキャン型のツールを使う
オンデマンドスキャン型とは
常に動いているのではなく、自分で「今チェックして」と指示した時だけ動くタイプのツールです。これなら競合しにくいです。
例:
- Malwarebytes(有料版でない場合)
- AdwCleaner
- HitmanPro
解決方法4:リアルタイム保護は1つだけ有効にする
どうしても複数のツールを使いたい場合は、「リアルタイム保護」機能を1つだけオンにしましょう。
リアルタイム保護とは
ファイルをダウンロードしたり、プログラムを起動したりする時に、自動的にチェックする機能のことです。
設定方法(一般的な手順)
- セキュリティソフトの設定画面を開く
- 「リアルタイム保護」または「常時保護」の項目を探す
- 使わないソフトの方は「オフ」にする
- 使うソフトの方だけ「オン」のままにする
解決方法5:パソコンをセーフモードで起動する
競合がひどくて、パソコンが正常に動かない場合の対処法です。
セーフモードとは
最小限のプログラムだけで起動する、安全な起動方法のことです。
Windows 10/11でのセーフモード起動方法
- スタートボタンをクリック
- 「設定」を開く
- 「更新とセキュリティ」→「回復」を選ぶ
- 「今すぐ再起動」をクリック
- 青い画面が表示されたら「トラブルシューティング」を選ぶ
- 「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」を選ぶ
- 「4」または「F4」キーを押してセーフモードで起動する
セーフモードで起動できたら、不要なセキュリティソフトをアンインストールしましょう。
解決方法6:システムの復元を使う
最近セキュリティソフトをインストールしたばかりで問題が起きた場合、以前の状態に戻すこともできます。
システムの復元とは
パソコンの設定を、過去の特定の日時の状態に戻す機能です。
注意点
- 復元ポイントが作成されている必要があります
- 復元後、一部のデータが失われる可能性があります
- 実行前にバックアップを取ることをおすすめします
「これは大丈夫?」よくある質問
セキュリティソフトの併用について、よくある疑問に答えます。
Q1. Windows Defenderと市販ソフトは併用できる?
基本的には併用しないでください。
ただし、最近のWindowsは賢く設計されていて、市販のセキュリティソフトをインストールすると、Windows Defenderが自動的に機能を停止してくれます。
そのため、実質的には「併用」にはならず、市販ソフトだけが動く状態になります。
Q2. 無料のマルウェア対策ソフトは追加しても良い?
種類によります。
追加しても良いタイプ
- オンデマンドスキャン専用のツール(常に動いていないもの)
- 特定の脅威に特化したツール(例:ランサムウェア専用)
追加してはいけないタイプ
- リアルタイム保護機能があるもの
- 常駐型のもの
ツールをインストールする前に、「リアルタイムスキャン」や「常駐保護」の機能があるかどうかを確認しましょう。
Q3. ファイアウォールは複数使える?
これも基本的には1つだけにしてください。
ファイアウォールとは
外部からの不正なアクセスを防ぐ、いわば「門番」のような機能です。
複数のファイアウォールを動かすと:
- 通信が極端に遅くなる
- 正常な通信までブロックされる
- 設定が複雑になって管理できなくなる
Q4. スマホやタブレットでも競合は起きる?
はい、起きます。
スマートフォンやタブレットでも、複数のセキュリティアプリを入れると同じような問題が発生します。
特にAndroidは、iPhoneよりも自由度が高い分、競合が起きやすいです。
Q5. セキュリティソフトなしでも大丈夫?
Windows 10以降なら、Windows Defenderだけでも基本的な保護は可能です。
Windows Defenderで十分な人
- 怪しいサイトにアクセスしない
- 知らないメールの添付ファイルを開かない
- 定期的にWindowsを更新している
市販ソフトがおすすめな人
- インターネットをよく使う
- ファイルのダウンロードが多い
- より高度な保護機能が欲しい
- サポートを受けたい
Q6. 会社のパソコンに個人用セキュリティソフトを入れても良い?
絶対にやめてください。
理由
- 会社のセキュリティソフトと競合する
- 会社の規則違反になる可能性がある
- 会社のシステム管理者が対応できなくなる
- 最悪の場合、会社のネットワーク全体に影響する
会社のパソコンには、会社が指定したセキュリティソフトだけを使いましょう。
セキュリティソフトの正しい選び方

競合を避けるためには、自分に合ったセキュリティソフトを1つだけ選ぶことが大切です。
選ぶ時のポイント
1. 第三者機関の評価を確認する
信頼できる評価機関の結果を参考にしましょう。
主な評価機関:
- AV-TEST(ドイツ)
- AV-Comparatives(オーストリア)
これらの機関は、定期的にセキュリティソフトの性能をテストして結果を公開しています。
2. パソコンのスペックに合わせる
古いパソコンや性能が低いパソコンの場合、軽いセキュリティソフトを選びましょう。
動作が軽いと評判のソフト:
- ESET
- Windows Defender
- PC Matic
3. 使う台数を考える
複数のデバイスで使う場合、「○台まで使える」というライセンスを選ぶとお得です。
4. サポート体制を確認する
何か問題が起きた時に、日本語でサポートを受けられるかどうかも重要です。
人気のセキュリティソフト(2025年版)
参考までに、よく使われているセキュリティソフトを紹介します。
ESET HOME セキュリティ
- 動作が軽い
- ウイルス検出率が高い
- 8年連続で満足度1位(NPSベンチマーク調査)
ウイルスバスター
- 日本国内シェアNo.1
- 日本語サポートが充実
- 初心者でも使いやすい
ノートン 360
- 世界シェアNo.1
- 機能が充実
- 60日間返金保証あり
ZEROスーパーセキュリティ
- 買い切り型で更新料0円
- コストを抑えたい人向け
- Bitdefenderのエンジンを使用
まとめ:セキュリティソフトは1つだけが鉄則
ここまで、セキュリティソフトの競合問題について解説してきました。大切なポイントをおさらいしましょう。
覚えておきたいこと
✓ セキュリティソフトは1台のパソコンに1つだけ
✓ 複数入れると動作が遅くなったりクラッシュしたりする
✓ お互いを攻撃し合って、かえって守りが弱くなることもある
✓ 新しいソフトを入れる前に、古いソフトを完全に削除する
✓ 専用の削除ツールを使うと確実に消せる
✓ リアルタイム保護機能は1つだけ有効にする
正しいセキュリティ対策
「たくさん入れれば安心」ではなく、「信頼できるソフトを1つ、正しく使う」ことが大切です。
- 評判の良いセキュリティソフトを1つ選ぶ
- 定期的にアップデートする
- 怪しいサイトや添付ファイルに気をつける
- Windowsのセキュリティ更新も忘れずに行う
これらを守ることで、安全で快適にパソコンを使えるようになります。
もしすでに複数のセキュリティソフトをインストールしていて、パソコンの動作がおかしいと感じたら、この記事の手順に従って1つだけ残すようにしてくださいね。
パソコンのセキュリティは、「量」ではなく「質」で守りましょう!

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