「Safariの履歴で、いつ正確にサイトを見たか知りたい」
「時間や分まで詳しく確認したい」
そんな時はありませんか?
通常のSafari画面では「今日の朝」「昨日の夜」といった大まかな時間しか表示されませんが、実は正確な時刻(時:分:秒)を確認する方法があります。
この記事では、その方法をわかりやすく解説します。
なぜSafariでは正確な時刻が表示されないの?

Safari標準画面の制限
AppleはSafariの履歴表示をシンプルにするため、意図的に詳細な時刻を表示しない設計にしています。
これは「プライバシー保護」と「使いやすさ」を両立させるための判断です。
標準画面で表示される時刻
- iPhone/iPad版Safari:「今日の朝」「昼」「夜」の3段階
- Mac版Safari:日付のみで時刻は非表示
- 両方とも秒単位の詳細時刻は確認不可
正確な時刻が必要になる場面
- 法的な証拠として履歴を使いたい時
- 仕事での作業時間を記録したい時
- 家族のネット利用時間を把握したい時
- セキュリティ上の調査が必要な時
- アクセス解析やデータ分析のため
Safariの標準表示で確認できる情報

iPhone・iPad版Safariでの履歴確認
基本的な確認手順
- Safariアプリを開く
- 右下の「ブックマーク」アイコンをタップ
- 「履歴」タブを選択
- 過去の閲覧履歴が時系列で表示される
表示される時間の区分
- 「今日の朝」:午前0時〜午前11時59分
- 「今日の昼」:午後12時〜午後5時59分
- 「今日の夜」:午後6時〜午後11時59分
- 日付別:「昨日」「12月25日」など
Mac版Safariでの履歴確認
詳細な履歴表示方法
- Safariを開く
- メニューバーの「履歴」をクリック
- 「すべての履歴を表示」を選択
- 左側に日付、右側にサイト一覧が表示
Mac版の特徴
- 日付ごとに整理されて表示
- サイトのタイトルとURLが確認可能
- 時刻は表示されない(日付のみ)
- 検索機能で特定のサイトを素早く発見
正確な時刻を確認する方法:SQLiteデータベース解析

SQLiteデータベースとは
Safariの履歴保存の仕組み
Safariは内部で「SQLite」というデータベース形式で履歴を保存しています。このデータベースには、標準画面では表示されない詳細な時刻情報(秒単位)が記録されています。
データベースファイルの場所
- Mac:
~/Library/Safari/History.db
- iPhone/iPad:端末内のシステム領域(直接アクセス不可)
Mac版での具体的な手順
必要なツール
無料のデータベース閲覧ツール「DB Browser for SQLite」を使用します。
ステップ1:DB Browser for SQLiteのインストール
- DB Browser for SQLite公式サイトにアクセス
- Mac版をダウンロードしてインストール
- アプリケーションフォルダに配置
ステップ2:履歴データベースファイルを開く
- Finderで「移動」→「フォルダへ移動」
~/Library/Safari/
と入力してEnter- 「History.db」ファイルを見つける
- DB Browser for SQLiteで「History.db」を開く
ステップ3:詳細な履歴データを確認
- 「データを閲覧」タブを選択
- テーブル選択で「history_visits」を選択
- 以下の重要な列を確認:
visit_time
:訪問時刻(特殊形式)history_item
:サイトのID番号title
:ページタイトル
ステップ4:時刻を読みやすい形式に変換
visit_time
列の数値は特殊な形式のため、変換が必要です。
簡単な変換方法
「SQLの実行」タブで以下のクエリを実行:
SELECT
datetime(visit_time + 978307200, 'unixepoch', 'localtime') as 訪問時刻,
h.url as URL,
h.domain_expansion as ドメイン
FROM history_visits v
JOIN history_items h ON v.history_item = h.id
ORDER BY visit_time DESC
LIMIT 100;
このクエリで、最新100件の履歴が「2023-12-25 14:30:45」のような読みやすい形式で表示されます。
iPhone・iPad版での手順
iPhone・iPadの場合、直接データベースにアクセスできないため、バックアップを通じてデータを取得します。
方法1:iTunesバックアップを使用
必要な準備
- Mac または Windows PC
- iTunes または Finder(macOS Catalina以降)
- 専用のバックアップ解析ツール
手順
- 暗号化バックアップを作成
- iPhoneをPCに接続
- iTunesまたはFinderで「ローカルバックアップを暗号化」を有効
- バックアップを実行
- バックアップからSafariデータを抽出
- 「iMazing」や「3uTools」などのツールを使用
- バックアップファイルからSafari履歴データを抽出
- History.dbファイルを取得
- MacでSQLite解析
- 取得したHistory.dbファイルをMacに移動
- 前述のMac版手順でデータベースを解析
方法2:ショートカットアプリを使用
iOS 14以降では、ショートカットアプリで簡易的な履歴確認が可能です。
手順
- ショートカットアプリを開く
- 「オートメーション」→「個人用オートメーションを作成」
- 「App」→「Safari」を選択
- アクションで「現在の日時を取得」を追加
- 「メモに追加」でアクセス時刻を記録
ただし、これは今後のアクセスを記録する方法で、過去の履歴は確認できません。
ターミナルを使った上級者向けの方法

Macのターミナルアプリを使って、コマンドラインで履歴を確認することもできます。
基本的なコマンド
# 履歴データベースの場所を確認
ls -la ~/Library/Safari/History.db
# SQLiteコマンドで履歴を表示
sqlite3 ~/Library/Safari/History.db "
SELECT
datetime(visit_time + 978307200, 'unixepoch', 'localtime') as 時刻,
url
FROM history_visits
JOIN history_items ON history_visits.history_item = history_items.id
ORDER BY visit_time DESC
LIMIT 20;"
より詳細な情報を取得するコマンド
# 特定の日付の履歴のみ表示
sqlite3 ~/Library/Safari/History.db "
SELECT
datetime(visit_time + 978307200, 'unixepoch', 'localtime') as 時刻,
url,
title
FROM history_visits v
JOIN history_items h ON v.history_item = h.id
WHERE date(visit_time + 978307200, 'unixepoch', 'localtime') = '2023-12-25'
ORDER BY visit_time DESC;"
時刻変換の仕組み
Safariの時刻保存形式 Safariは「Core Data timestamp」という特殊な形式で時刻を保存しています。これは「2001年1月1日 00:00:00 UTC」からの経過秒数です。
変換計算の説明
- Safari時刻:Core Data timestamp
- UNIX時刻への変換:Safari時刻 + 978307200
- 978307200 = 2001年1月1日までのUNIX秒数
- 最終的に人間が読める形式に変換
Excel等での変換方法 取得した数値をExcelで変換したい場合:
=(A1+978307200)/86400+DATE(1970,1,1)
(A1にSafariの時刻数値が入っている場合)
履歴データの活用方法
データ分析での活用
アクセスパターンの分析
-- 時間帯別のアクセス数
SELECT
strftime('%H', datetime(visit_time + 978307200, 'unixepoch', 'localtime')) as 時間,
COUNT(*) as アクセス数
FROM history_visits
GROUP BY strftime('%H', datetime(visit_time + 978307200, 'unixepoch', 'localtime'))
ORDER BY 時間;
よく訪問するサイトの分析
-- ドメイン別のアクセス数
SELECT
h.domain_expansion as ドメイン,
COUNT(*) as 訪問回数
FROM history_visits v
JOIN history_items h ON v.history_item = h.id
GROUP BY h.domain_expansion
ORDER BY 訪問回数 DESC
LIMIT 20;
CSVファイルへのエクスポート
データをCSVで保存する方法
sqlite3 -header -csv ~/Library/Safari/History.db "
SELECT
datetime(visit_time + 978307200, 'unixepoch', 'localtime') as 訪問時刻,
h.url as URL,
h.title as タイトル
FROM history_visits v
JOIN history_items h ON v.history_item = h.id
ORDER BY visit_time DESC;" > safari_history.csv
プライバシーとセキュリティの注意点

法的・倫理的な考慮事項
自分のデバイスでの使用
- 自分のMacやiPhoneの履歴確認は問題なし
- 業務用端末は会社のポリシーを確認
他人のデバイスでの使用
- 家族の同意なく履歴を確認するのは避ける
- 業務上必要な場合は適切な許可を得る
- 法的証拠として使用する場合は専門家に相談
データの取り扱い
バックアップデータの管理
- 取得したデータベースファイルは適切に管理
- 不要になったら確実に削除
- 暗号化して保存することを推奨
情報の共有
- 履歴データには個人情報が含まれる
- 第三者との共有は慎重に判断
- 必要最小限の情報のみ提供
トラブルシューティング

よくある問題と解決方法
データベースファイルが見つからない
- Libraryフォルダが非表示になっている可能性
- Finderで「Option + 移動」メニューからLibraryにアクセス
- ターミナルで
open ~/Library/Safari
を実行
DB Browser for SQLiteでファイルが開けない
- Safariを完全に終了してから試す
- ファイルのアクセス権限を確認
- 管理者権限で実行してみる
時刻の変換がうまくいかない
- タイムゾーンの設定を確認
- 計算式の+978307200が正しく入力されているか確認
- サマータイムの影響も考慮
バックアップからデータが取得できない
- 暗号化バックアップが作成されているか確認
- 最新のバックアップツールを使用
- バックアップファイルが破損していないか確認
パフォーマンスの最適化
大量データの処理 長期間の履歴がある場合、処理に時間がかかることがあります。
効率的なクエリの例
-- インデックスを活用した高速検索
SELECT
datetime(visit_time + 978307200, 'unixepoch', 'localtime') as 時刻,
url
FROM history_visits v
JOIN history_items h ON v.history_item = h.id
WHERE visit_time > (strftime('%s', 'now') - 978307200 - 86400) -- 過去24時間
ORDER BY visit_time DESC;
代替手段と補完ツール
今後の履歴管理
リアルタイム記録ツール
- RescueTime:自動的にウェブサイト利用時間を記録
- Time Doctor:業務時間管理も可能
- ManicTime:詳細な活動ログを記録
ブラウザ拡張機能
- Web Timer:サイト別の滞在時間を記録
- StayFocusd:サイト利用時間の制限と記録
- History Trends:履歴の可視化
サードパーティ製ツール
専門的な履歴解析ツール
- Browser History Examiner:法科学的な履歴解析
- Digital Forensics Framework:包括的なデータ解析
- AXIOM Process:プロフェッショナル向け
まとめ
Safariで正確な時刻を確認する方法は、用途に応じて選択できます:
手軽さ重視の場合
- 標準のSafari履歴表示で「朝・昼・夜」の確認
- 大まかな時間で十分な日常用途に最適
詳細な時刻が必要な場合
- Mac:DB Browser for SQLiteでHistory.dbを解析
- iPhone/iPad:バックアップ経由でデータベース取得
- ターミナルコマンドでの直接確認も可能
重要なポイント
- 標準表示では秒単位の時刻は確認不可
- SQLiteデータベース解析で詳細時刻を取得可能
- プライバシーと法的配慮を忘れずに
- 今後の履歴管理には専用ツールも検討
推奨する使い分け
- 一般利用:標準のSafari履歴で十分
- 詳細分析:DB Browser for SQLiteを活用
- 継続記録:RescueTimeなどの専用ツール導入
コメント