S.M.A.R.T.情報とは?ハードディスク・SSDの健康状態を確認する方法を徹底解説

プログラミング・IT

「パソコンの動作が最近遅くなってきた…」
「大切なデータが突然消えたらどうしよう」

こんな不安を感じたことはありませんか?

ハードディスク(HDD)やSSDといったストレージは消耗品です。長く使っていると劣化し、いずれ故障します。しかし、多くの場合、故障の前兆を知ることができる仕組みがあります。

それがS.M.A.R.T.(スマート)情報です。

この記事では、S.M.A.R.T.情報とは何か、どうやって確認するのか、どの項目に注目すべきかを、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。大切なデータを守るために、ぜひ最後まで読んでみてください。


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  1. S.M.A.R.T.とは?基本を理解しよう
    1. S.M.A.R.T.の正式名称と意味
    2. S.M.A.R.T.の目的
    3. S.M.A.R.T.の歴史
  2. S.M.A.R.T.で何がわかるのか?
    1. 主な測定項目
    2. 故障の前兆を察知
  3. S.M.A.R.T.情報の確認方法
    1. 【方法1】CrystalDiskInfo(最もおすすめ)
    2. 【方法2】Windowsのコマンドプロンプト
    3. 【方法3】その他の便利なツール
  4. S.M.A.R.T.情報の見方【重要項目を解説】
    1. 数値の見方(共通事項)
    2. 【最重要】代替処理済みのセクタ数
    3. 【重要】代替処理保留中のセクタ数
    4. 【重要】回復不可能セクタ数
    5. リードエラーレート
    6. 温度
    7. SSD専用:総書き込み量
  5. 健康状態の判定基準
    1. 正常(青色のアイコン)
    2. 注意(黄色のアイコン)
    3. 異常(赤色のアイコン)
  6. S.M.A.R.T.の限界と注意点
    1. 突然の故障には対応できない
    2. 定期的なバックアップが最重要
    3. すべてのストレージが対応しているわけではない
  7. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. どのくらいの頻度でS.M.A.R.T.情報を確認すべきですか?
    2. Q2. 「注意」と表示されたら、すぐに交換すべきですか?
    3. Q3. SSDとHDDで見るべき項目は違いますか?
    4. Q4. 外付けハードディスクのS.M.A.R.T.情報も確認できますか?
    5. Q5. S.M.A.R.T.情報が表示されません
    6. Q6. 「正常」と表示されていても故障することはありますか?
  8. S.M.A.R.T.情報を活用したストレージ管理のコツ
    1. 1. 定期的な確認習慣をつける
    2. 2. 温度管理を徹底する
    3. 3. こまめにバックアップを取る
    4. 4. 使用年数も考慮する
    5. 5. 異常を感じたらすぐに対処
  9. まとめ:S.M.A.R.T.情報でデータを守ろう

S.M.A.R.T.とは?基本を理解しよう

S.M.A.R.T.の正式名称と意味

S.M.A.R.T.は、「Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology」の略称です。

日本語に訳すと「自己監視・分析・報告技術」となります。

この技術は、ハードディスクやSSDに内蔵されており、ストレージデバイス自身が自分の健康状態を常時監視する仕組みです。

S.M.A.R.T.の目的

S.M.A.R.T.の主な目的は、以下の2つです:

  1. 故障の予測:ストレージの異常を早期に検知する
  2. データ損失の防止:故障する前にユーザーに警告を出す

ハードディスクやSSDには、温度センサー、エラーカウンターなど、様々なセンサーが組み込まれています。これらのセンサーが収集したデータをもとに、ストレージは自分の状態を継続的に監視しています。

S.M.A.R.T.の歴史

S.M.A.R.T.技術は、1990年代初頭に開発されました。

当時、ハードディスクの容量が急速に増大していましたが、突然の故障によるデータ損失が深刻な問題となっていました。IBM、コンパック、ウエスタンデジタルなどの主要メーカーが共同で開発したこの技術は、1995年頃から本格的に普及し始めました。

現在では、ほとんどすべてのHDDとSSDに標準搭載されています。


S.M.A.R.T.で何がわかるのか?

S.M.A.R.T.は、ストレージの状態を示す約100種類以上のパラメータを測定しています。

主な測定項目

温度
ストレージの動作温度を監視します。高温状態が続くと、部品の劣化が早まり故障のリスクが高まります。

電源投入回数
電源をON/OFFした回数を記録します。

使用時間
累計でどれだけの時間、電源が入っていたかを記録します。

エラー発生回数
データの読み書き時にエラーが発生した回数をカウントします。

不良セクタの数
ディスク上で、データの読み書きができなくなった領域(セクタ)の数を記録します。

書き込み回数(SSDの場合)
SSDは書き込み回数に寿命があるため、総書き込み量が記録されます。

故障の前兆を察知

これらのデータを継続的に記録することで、故障の前兆を察知できます。

例えば:

  • 不良セクタの数が急増している
  • 温度が異常に高い
  • エラーの発生頻度が増えている

こうした兆候が見られた場合、「そろそろ危険かもしれない」と判断できるわけです。


S.M.A.R.T.情報の確認方法

残念ながら、WindowsやmacOSの標準機能では、S.M.A.R.T.情報を詳しく表示することができません。

そのため、専用のソフトウェアを使って確認する必要があります。

【方法1】CrystalDiskInfo(最もおすすめ)

CrystalDiskInfoは、Windows用の無料ソフトです。日本語に対応しており、見やすく、わかりやすいため、初心者の方に最もおすすめです。

ダウンロード方法:

  1. CrystalDiskInfoの公式サイト(https://crystalmark.info/)にアクセス
  2. 「CrystalDiskInfo」をダウンロード
  3. ダウンロードしたファイルを実行してインストール

使い方:

インストール後、ソフトを起動するだけで、自動的にS.M.A.R.T.情報が表示されます。

表示される情報:

  • 健康状態:「正常」「注意」「異常」で判定
  • 温度:現在のストレージの温度
  • 電源投入回数:何回電源を入れたか
  • 使用時間:累計の使用時間
  • 詳細なS.M.A.R.T.項目:各種パラメータの数値

健康状態が「正常」であれば問題ありません。「注意」や「異常」と表示された場合は、バックアップを取り、ストレージの交換を検討しましょう。

【方法2】Windowsのコマンドプロンプト

Windowsには、簡易的にS.M.A.R.T.情報を確認できるコマンドがあります。

手順:

  1. スタートメニューで「cmd」と検索
  2. 「コマンドプロンプト」を右クリック→「管理者として実行」
  3. 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す
wmic diskdrive get status

結果の見方:

  • OK:ストレージは正常
  • Pred Fail:故障の予兆あり
  • Error:エラーが検出されている

ただし、この方法では詳細な情報は得られないため、より詳しく知りたい場合はCrystalDiskInfoなどのソフトを使いましょう。

【方法3】その他の便利なツール

Hard Disk Sentinel(Windows)
より詳細な分析と予測機能を提供する有料ソフトです。企業向けにも人気があります。

DiskDrill(Windows/Mac)
S.M.A.R.T.監視機能を備えたデータ復旧ソフトです。

GSmartControl(Windows/Mac/Linux)
オープンソースのS.M.A.R.T.監視ツールです。

macOSの場合
「ディスクユーティリティ」でも基本的な情報を確認できますが、詳細を知りたい場合は専用ソフトが必要です。


S.M.A.R.T.情報の見方【重要項目を解説】

S.M.A.R.T.情報には、多くの項目が表示されますが、すべてを理解する必要はありません。

ここでは、特に重要な項目に絞って解説します。

数値の見方(共通事項)

S.M.A.R.T.の各項目には、以下の数値が表示されます:

現在値(Current Value)
現在の状態を示す数値です。この数値が高いほど良好な状態です。

最悪値(Worst Value)
過去に記録された中で、最も悪かったときの数値です。

閾値(Threshold)
メーカーが定めた限界値です。現在値や最悪値がこの数値を下回ると、故障の危険性が高いと判断されます。

生の値(Raw Value)
実際の測定データそのものです。16進数で表示されることもあります。

【最重要】代替処理済みのセクタ数

項目ID:05(Reallocated Sectors Count)

ディスク上で不良となったセクタ(データを保存する領域)が、別の予備セクタに置き換えられた回数を示します。

見方のポイント:

  • この数値が「0」であれば理想的
  • 数値が増えている場合、ディスクの物理的な劣化が進んでいる
  • 急激に増加している場合は、早急にバックアップを取るべき

この項目は、故障診断において最も重要とされています。

【重要】代替処理保留中のセクタ数

項目ID:C5(Current Pending Sector Count)

読み取りエラーが発生したセクタで、まだ代替処理されていないものの数です。

見方のポイント:

  • この数値が増えている場合、近いうちに代替処理が行われる可能性がある
  • 数値が高い場合は要注意

【重要】回復不可能セクタ数

項目ID:C6(Uncorrectable Sector Count)

エラー訂正機能でも修復できなかったセクタの数です。

見方のポイント:

  • この数値が「0」以外の場合、データが失われている可能性がある
  • 数値が増えている場合は、すぐにバックアップを取る

リードエラーレート

項目ID:01(Read Error Rate)

データ読み込み時にエラーが発生した回数です。

見方のポイント:

  • 正常な状態でもある程度のエラーは発生する
  • 閾値を下回らない限りは問題なし

温度

項目ID:C2(Temperature)

ストレージの現在の温度を示します。

見方のポイント:

  • 一般的に、HDDは50℃以下が理想
  • SSDは70℃以下が目安
  • 高温状態が続くと、寿命が縮まる

SSD専用:総書き込み量

項目ID:F1(Total LBAs Written)など

SSDに書き込まれたデータの総量を示します。

見方のポイント:

  • SSDには書き込み寿命がある(TBW:Total Bytes Writtenで表される)
  • 総書き込み量が、メーカーが保証するTBWに近づいている場合、交換を検討

健康状態の判定基準

CrystalDiskInfoなどのソフトでは、S.M.A.R.T.情報をもとに、自動的に健康状態を判定してくれます。

正常(青色のアイコン)

すべてのS.M.A.R.T.項目が正常範囲内です。問題ありません。

注意(黄色のアイコン)

一部の項目で異常値が検出されています。

対処法:

  • すぐに故障するわけではないが、注意が必要
  • こまめにバックアップを取る
  • 交換用のストレージを準備しておく

異常(赤色のアイコン)

重要な項目で異常値が検出されています。

対処法:

  • 今すぐバックアップを取る
  • できるだけ早くストレージを交換する
  • データ復旧業者への相談も検討

S.M.A.R.T.の限界と注意点

S.M.A.R.T.は非常に有用な機能ですが、万能ではありません。

突然の故障には対応できない

S.M.A.R.T.は、ゆっくりと進行する劣化を検出するのに優れていますが、電子部品の突然の故障や、物理的な衝撃による破損は予測できません。

つい数時間前まで「正常」だったストレージが、突然故障することもあります。

定期的なバックアップが最重要

S.M.A.R.T.情報だけに頼るのは危険です。

日頃からのバックアップ定期的な交換が、データ消失リスクを低減させる最も確実な方法です。

すべてのストレージが対応しているわけではない

一部の古いストレージや、特殊な接続方法(一部のRAID構成など)では、S.M.A.R.T.情報を取得できない場合があります。


よくある質問(FAQ)

Q1. どのくらいの頻度でS.M.A.R.T.情報を確認すべきですか?

A: 月に1回程度の確認が目安です。重要なデータを扱っている場合は、週に1回確認してもよいでしょう。CrystalDiskInfoなどのソフトには、常駐して自動監視する機能もあります。

Q2. 「注意」と表示されたら、すぐに交換すべきですか?

A: 「注意」の段階では、すぐに故障するわけではありません。ただし、バックアップを取り、交換の準備をしておくことをおすすめします。

Q3. SSDとHDDで見るべき項目は違いますか?

A: はい、違います。HDDは機械的な動作をするため、代替処理済みセクタ数やリードエラーレートが重要です。SSDは書き込み寿命があるため、総書き込み量や摩耗指標が重要になります。

Q4. 外付けハードディスクのS.M.A.R.T.情報も確認できますか?

A: はい、多くの場合確認できます。ただし、外付けケースの種類によっては、S.M.A.R.T.情報を取得できない場合もあります。

Q5. S.M.A.R.T.情報が表示されません

A: 以下の原因が考えられます:

  • BIOS/UEFI設定でS.M.A.R.T.が無効になっている
  • 古いストレージで、S.M.A.R.T.に対応していない
  • 接続方法の問題(一部のRAIDやSCSI接続)

Q6. 「正常」と表示されていても故障することはありますか?

A: はい、あります。S.M.A.R.T.は故障の予測精度を高めるものですが、100%ではありません。突然の故障もあり得るため、定期的なバックアップが不可欠です。


S.M.A.R.T.情報を活用したストレージ管理のコツ

最後に、S.M.A.R.T.情報を活用して、ストレージを長持ちさせるコツを紹介します。

1. 定期的な確認習慣をつける

月に1回、S.M.A.R.T.情報をチェックする習慣をつけましょう。

カレンダーにリマインダーを設定しておくと忘れません。

2. 温度管理を徹底する

ストレージは熱に弱いため、パソコン内部の温度管理が重要です。

  • パソコンを風通しの良い場所に設置する
  • 定期的に内部の埃を掃除する
  • 冷却ファンが正常に動作しているか確認する

3. こまめにバックアップを取る

S.M.A.R.T.情報が「正常」であっても、定期的にバックアップを取りましょう。

3-2-1ルールが推奨されています:

  • データのコピーを3つ作る
  • 2種類の異なるメディアに保存する(HDDとクラウドなど)
  • 1つは別の場所に保管する(オフサイトバックアップ)

4. 使用年数も考慮する

S.M.A.R.T.情報だけでなく、使用年数も考慮しましょう。

一般的に:

  • HDD:3〜5年で交換を検討
  • SSD:5〜7年で交換を検討

ただし、使用頻度や環境によって大きく異なります。

5. 異常を感じたらすぐに対処

S.M.A.R.T.情報に異常がなくても、以下のような症状があれば注意:

  • パソコンの動作が極端に遅い
  • ファイルが突然消える
  • 異音がする(HDDの場合)
  • 頻繁にフリーズする

こうした症状がある場合は、すぐにバックアップを取り、専門家に相談しましょう。


まとめ:S.M.A.R.T.情報でデータを守ろう

S.M.A.R.T.情報について解説してきました。

この記事の要点:

  • S.M.A.R.T.とは:ストレージが自分の健康状態を監視する技術
  • 確認方法:CrystalDiskInfoなどのソフトで簡単に確認できる
  • 重要項目:代替処理済みセクタ数、温度、総書き込み量(SSD)など
  • 健康状態:「正常」「注意」「異常」で判定される
  • 限界:突然の故障は予測できないため、定期的なバックアップが必須

ハードディスクやSSDは、いつか必ず故障します。しかし、S.M.A.R.T.情報を定期的に確認することで、故障の前兆を察知し、大切なデータを守ることができます。

今日からでも、CrystalDiskInfoをダウンロードして、あなたのパソコンのストレージ状態をチェックしてみてください。そして、定期的なバックアップを忘れずに!

データは一度失われると、取り戻せないこともあります。事前の対策が、何よりも重要です。

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