「ディスク管理を見たら、『回復パーティション』って何?」
パソコンのストレージを確認した時、「回復パーティション」という見慣れない領域を見つけたことはありませんか?
回復パーティションは、Windowsが自動的に作る特別な領域で、パソコンを初期状態に戻すための重要なデータが保存されています。普段は意識することがないものの、トラブル時には非常に役立つ存在なんです。
この記事では、回復パーティションの役割と、削除していいのか、どう管理すればいいのかを分かりやすく解説します。
知っておくと安心できる情報をお届けします!
回復パーティションとは?

Windowsの緊急用領域
回復パーティション(Recovery Partition)は、パソコンに何か問題が起きた時に、システムを復旧するためのデータが保存されている領域です。
パーティションとは:
- ハードディスクやSSDを区切った領域のこと
- 一つのディスクを複数の独立した領域として使える
- それぞれに別々のデータを保存できる
回復パーティションは、Cドライブなどとは別の、専用の区画なんです。
何が保存されているの?
回復パーティションには、主に以下のデータが入っています。
主な内容:
- Windows回復環境(Windows RE)
- システム復元に必要なファイル
- 初期化ツール
- トラブルシューティング用のプログラム
- 起動修復ツール
パソコンが正常に起動しなくなった時でも、この領域からツールを起動して修復できます。
サイズはどれくらい?
回復パーティションのサイズは、Windowsのバージョンや機種によって異なります。
一般的なサイズ:
- Windows 10:450MB~1GB程度
- Windows 11:500MB~1GB程度
- メーカー製PCの場合:数GB~20GB以上のこともある
メーカー製のパソコンでは、より大きな回復パーティションが作られることがあります。
回復パーティションの役割
具体的にどんな時に使われるのか見ていきましょう。
1. パソコンの初期化
「このPCを初期状態に戻す」機能を使う時に必要です。
できること:
- Windowsを購入時の状態に戻す
- 個人ファイルを保持しながら初期化
- すべてを削除して完全初期化
動作が重くなった時や、売却・譲渡の前に使います。
2. システムの修復
Windowsが正常に起動しない時の修復に使われます。
修復機能:
- スタートアップ修復
- システムの復元
- コマンドプロンプトでの修復
- イメージでの回復
ブルースクリーンや起動失敗の時に役立ちます。
3. 高度なオプション
詳細なトラブルシューティングツールへのアクセスです。
利用できる機能:
- セーフモードでの起動
- UEFIファームウェア設定
- スタートアップ設定の変更
- システムイメージからの復元
専門的な修復作業に必要です。
4. BitLocker回復
ドライブ暗号化機能に関連した回復作業です。
BitLockerで暗号化されたドライブに問題が起きた時、回復キーを使って解除する機能も回復パーティションから利用できます。
回復パーティションの確認方法
自分のパソコンに回復パーティションがあるか確認する方法です。
ディスクの管理で確認
Windowsの標準ツールで確認できます。
手順:
- Windowsキー + X を押す
- 「ディスクの管理」をクリック
- ディスク一覧が表示される
- 「回復パーティション」と表示されている領域を探す
通常、「正常(回復パーティション)」と表示されます。
特徴
回復パーティションには、いくつかの特徴があります。
見分け方:
- ドライブレター(C:、D:などの文字)が割り当てられていない
- 容量が小さい(数百MB~数GB)
- 複数存在することもある
- 「正常(回復パーティション)」と表示
エクスプローラーには表示されない隠し領域です。
複数ある場合
回復パーティションが複数ある場合があります。
理由:
- Windows更新で新しい回復パーティションが作成された
- メーカーの回復領域とWindowsの回復領域が別々にある
- 以前の回復パーティションが残っている
基本的には、最も新しいものが使われます。
回復パーティションは削除していい?
気になる疑問に答えます。
基本的には削除しない方が良い
回復パーティションは、削除しない方が安全です。
削除しない方が良い理由:
- トラブル時に復旧できなくなる
- 初期化機能が使えなくなる
- システム修復ができなくなる
- 再作成が難しい
万が一の時の保険として、残しておくことを強くおすすめします。
削除しても良いケース
ただし、以下の条件を満たす場合は削除を検討できます。
削除を検討できる状況:
- システムイメージのバックアップを別途作成している
- 回復ドライブ(USBメモリ)を作成済み
- Windowsのインストールメディアを持っている
- どうしても容量が必要
注意:
削除する場合は、必ず事前にバックアップや回復手段を用意してください。
削除のデメリット
削除すると、以下の機能が使えなくなります。
使えなくなる機能:
- 「このPCを初期状態に戻す」機能
- 自動的なスタートアップ修復
- 回復環境からのツール起動
代替手段があれば問題ありませんが、無い場合は困ることになります。
回復パーティションの削除方法

どうしても削除したい場合の手順です。
削除前の準備
削除する前に、必ず以下の準備をしましょう。
必須の準備:
- 回復ドライブの作成
- USBメモリ(16GB以上推奨)を用意
- 「回復ドライブの作成」ツールを使用
- システムファイルをコピーする
- 重要なデータのバックアップ
- 個人ファイルを外付けHDDやクラウドに保存
- システムイメージを作成
- Windowsインストールメディアの準備
- Microsoft公式サイトからダウンロード
- USBメモリまたはDVDに作成
DiskPartコマンドでの削除
コマンドプロンプトを使った削除方法です。
注意:
この操作は高度で、間違えるとシステムが起動しなくなる可能性があります。自己責任で行ってください。
手順:
- Windowsキー + X を押す
- 「Windows PowerShell(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を選択
- 以下のコマンドを順番に入力:
diskpart
list disk
select disk 0(ディスク番号を確認して選択)
list partition
select partition X(回復パーティションの番号)
delete partition override
exit
重要:
- 正しいパーティション番号を選ぶこと
- システムドライブ(Cドライブ)を削除しないこと
- 不安な場合は専門家に相談
サードパーティ製ツールの使用
より安全に削除したい場合は、専用ソフトを使う方法もあります。
主なツール:
- EaseUS Partition Master
- MiniTool Partition Wizard
- AOMEI Partition Assistant
これらのツールは、グラフィカルな画面で操作できるため、コマンドより分かりやすいです。
回復パーティションの再作成
削除してしまった場合の対処法です。
回復ドライブから復元
事前に回復ドライブを作成していれば、復元できます。
手順:
- 回復ドライブのUSBメモリをパソコンに接続
- USBメモリから起動
- 回復オプションを選択
- 指示に従って進める
回復パーティションが再作成されます。
Windowsの再インストール
完全に初期化して、回復パーティションを再作成する方法です。
手順:
- Windowsインストールメディアから起動
- 「カスタム:Windowsのみをインストールする」を選択
- パーティションを削除して再作成
- Windowsをインストール
クリーンインストールになるので、すべてのデータが消えます。必ずバックアップを取ってください。
回復パーティションに関する問題と解決
よくあるトラブルと対処法です。
回復パーティションがない
確認しても回復パーティションが見つからない場合です。
原因:
- 以前の所有者が削除した
- クリーンインストールで作成されなかった
- ディスク交換後に作成していない
対処法:
- 回復ドライブをUSBメモリに作成
- Windowsインストールメディアを用意
- 問題が起きる前に準備しておく
回復パーティションが複数ある
複数の回復パーティションが存在する場合です。
原因:
- Windows更新で新しいものが作成された
- 古いものが削除されずに残っている
対処法:
- 基本的には放置して問題なし
- 容量が気になる場合、古いものを削除
- ただし、どれが最新か確認が必要
「回復環境が見つかりません」エラー
初期化や修復を試みた時に表示されるエラーです。
原因:
- 回復パーティションが破損
- 回復パーティションへのパスが無効
対処法:
- コマンドプロンプト(管理者)で以下を実行:
reagentc /info
reagentc /enable
- それでも直らなければ回復ドライブを使用
- 最終的にはWindowsの再インストール
回復ドライブとの違い

似ている用語を整理しておきましょう。
回復パーティション
ハードディスク/SSD内の領域です。
特徴:
- パソコン内部にある
- 購入時から存在(通常)
- 容量が小さい
- ディスク故障時は使えない
回復ドライブ
USBメモリに作成する回復用のメディアです。
特徴:
- 外部メディア(USBメモリ)
- 自分で作成する必要がある
- 16GB以上推奨
- ディスク故障時も使える
おすすめ:
回復パーティションに加えて、回復ドライブも作成しておくと安心です。
システムイメージ
パソコン全体のバックアップです。
特徴:
- すべてのデータを含む
- 完全に同じ状態に戻せる
- 容量が大きい(数十GB~)
- 外付けHDDなどに保存
重要なデータがある場合は、システムイメージも定期的に作成しましょう。
回復パーティションを守るために
トラブルを防ぐための予防策です。
定期的なバックアップ
万が一に備えて、バックアップを取りましょう。
バックアップするもの:
- 個人ファイル(ドキュメント、写真など)
- システムイメージ
- 回復ドライブの作成
複数の場所に保存すると、より安全です。
パーティション操作は慎重に
不用意なパーティション操作は避けましょう。
注意すること:
- 意味が分からない操作はしない
- 回復パーティションは基本的に触らない
- 重要な作業の前はバックアップ
専門知識がない場合は、詳しい人に相談してください。
Windowsの更新を怠らない
Windowsを最新の状態に保つことも重要です。
理由:
- 回復環境も更新される
- セキュリティが向上する
- 不具合が修正される
定期的にWindows Updateを実行しましょう。
よくある質問
Q1:回復パーティションの容量は変更できる?
基本的には変更できません。
Windowsが自動的に必要なサイズを確保しています。無理に変更すると、システムに影響が出る可能性があります。
Q2:メーカー製PCの回復パーティションは特別?
はい、追加の機能が含まれていることがあります。
メーカー製の特徴:
- プリインストールアプリの再インストール機能
- ドライバーの復元
- メーカー独自のユーティリティ
- 出荷時の状態に完全に戻せる
メーカー製の回復パーティションは特に重要です。
Q3:SSDに交換したら回復パーティションは?
クローン作成ソフトを使えば、回復パーティションも含めてコピーできます。
手順:
- クローンソフト(EaseUS Todo Backupなど)を使用
- ディスク全体をコピー
- 回復パーティションも含めて複製される
手動で作り直す必要はありません。
Q4:回復パーティションがEドライブとして見える
通常は見えないはずですが、何らかの理由でドライブレターが割り当てられた可能性があります。
対処法:
- ディスクの管理を開く
- 該当パーティションを右クリック
- 「ドライブ文字とパスの変更」を選択
- 削除する
これで、エクスプローラーから見えなくなります。
Q5:Linuxとのデュアルブート環境では?
LinuxとWindowsを両方インストールしている場合でも、Windowsの回復パーティションは機能します。
ただし、パーティション操作には十分注意が必要です。間違えるとどちらのOSも起動しなくなる可能性があります。
まとめ
回復パーティションは、パソコンのトラブル時に役立つ重要な領域です。
この記事のポイント:
- 回復パーティションはシステム復旧に必要なデータを保存
- 初期化や修復機能を使う時に必要
- 基本的には削除しない方が安全
- 削除する場合は回復ドライブを事前に作成
- 複数存在しても通常は問題なし
おすすめの対策:
- 回復パーティションはそのまま残す
- 回復ドライブをUSBメモリに作成
- 定期的にバックアップを取る
- パーティション操作は慎重に
回復パーティションは、普段は意識することのない存在ですが、トラブル時には頼りになる「保険」のようなものです。
容量が気になっても、安易に削除せず、まずは回復ドライブの作成やバックアップなど、代替手段を用意することを優先しましょう。
「転ばぬ先の杖」として、回復パーティションを大切にしてくださいね!

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