デバイスマネージャーを開いたときに「Realtek USB Audio」という表示を見て、「これって何?」「普通のRealtek Audioと何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、Realtek USB Audioは通常のオンボードオーディオとは少し違う仕組みで動いています。名前に「USB」と入っているからといって、USB接続の外付けデバイスとは限りません。
今回は、Realtek USB Audioとは何か、通常のRealtek Audioとの違い、どんな時に使われるのか、そしてインストール方法やトラブル対処法まで、詳しく解説していきます。
Realtek USB Audioとは?

Realtek USB Audioは、USB接続形式を使用するオーディオドライバーです。ただし、この「USB」という言葉には少し注意が必要です。
外付けUSB機器だけじゃない
「USB Audio」と聞くと、USBポートに挿すスピーカーやヘッドセットを想像するかもしれません。確かにそれも正解ですが、実はそれだけではありません。
Realtek USB Audioが使われる主なケース
- 外付けUSB機器
- USBスピーカー
- USBヘッドセット
- USB接続のDAC(デジタル-アナログ変換器)
- ドッキングステーション経由の音声出力
- マザーボード内蔵のUSB接続型オーディオ
- 高品質なオンボードオーディオチップ
- 特定のマザーボードで内部的にUSB接続を採用
- 外見上は普通の3.5mmジャックだが、内部ではUSB接続
つまり、パソコンの背面にある普通の緑色のイヤホンジャックでも、内部的にはUSB接続で処理されている場合があるんです。
なぜマザーボードでUSB接続を使うのか?
「わざわざUSB接続にする必要あるの?」と思うかもしれません。実は、これにはちゃんとした理由があります。
理由1:音質の向上
従来のオーディオインターフェース(HDA方式)には、技術的な上限がありました。
- 従来のHDA方式:最大32bit/192kHz
- USB接続方式:最大32bit/384kHz
より高いサンプリングレートに対応できるため、理論上はより高音質な再生が可能になります。
理由2:チップセットの制限を回避
AMD TRX40などの一部のチップセットでは、従来のオーディオインターフェースが使えない制限がありました。そこでUSB接続方式を採用することで、この問題を解決しています。
理由3:高品質DACチップの搭載
高級マザーボード(特にASUS ROGシリーズなど)では、ESS SabreなどのハイエンドDACチップを搭載しています。これらのチップの性能を最大限引き出すために、USB接続が採用されることがあります。
通常のRealtek Audioとの違い
Realtek USB Audioと通常のRealtek Audio(HDA)の違いをわかりやすく比較してみましょう。
技術的な違い
| 項目 | Realtek Audio (HDA) | Realtek USB Audio |
|---|---|---|
| 接続方式 | HDA (High Definition Audio) | USB Audio Class 2.0 |
| 最大サンプリングレート | 192kHz | 384kHz |
| ビット深度 | 最大32bit | 最大32bit |
| 遅延 | 低い | やや高い場合がある |
| 対応コーデック | ALC1220など | ALC4050、ALC4080など |
デバイスマネージャーでの表示
通常のRealtek Audio
サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー
└ Realtek High Definition Audio
または
└ Realtek(R) Audio
Realtek USB Audio
サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー
└ Realtek USB Audio
または
└ Realtek USB2.0 Audio
ドライバーファイルの違い
通常のRealtek Audio
- ドライバーファイル名:HDXRT.inf、HdAudPropShortcut.inf など
- コントロールパネル:Realtek Audio Console または Realtek HD Audio Manager
Realtek USB Audio
- ドライバーファイル名:RTDUSBAD.inf、ExtRtxUSB.inf など
- コントロールパネル:Realtek Audio Console(同じアプリだが、USB用の設定画面)
どんな製品で使われているか
Realtek USB Audioは、以下のような製品で使用されています。
1. 外付けUSBオーディオデバイス
最も一般的な用途です。
例
- USBヘッドセット
- USB接続のスピーカー
- 外付けUSB DAC
- USBマイク
これらのデバイスをパソコンに接続すると、Realtek USB Audioドライバーが自動的にインストールされることがあります。
2. ドッキングステーション
ノートパソコン用のドッキングステーションには、音声出力機能が搭載されていることが多いです。
Dell、Lenovo、HPなどのドッキングステーション
- USB Type-Cドッキング
- ワイヤレスドッキング
- Thunderbolt 3/4ドッキング
これらのドッキングステーションに搭載されているオーディオ機能は、Realtek USB Audioドライバーで動作します。
3. 高級マザーボードのオンボードオーディオ
意外かもしれませんが、一部の高級マザーボードでは、オンボードオーディオでもUSB接続形式を採用しています。
該当するマザーボードの例
- ASUS ROG Maximusシリーズ(Z790、Z690など)
- ASUS ROG Strixシリーズ(一部モデル)
- ASUS TRX40シリーズ
- 一部のGIGABYTE Aorusシリーズ
これらのマザーボードには、以下のような特徴があります。
搭載されているコーデック
- Realtek ALC4050
- Realtek ALC4080
- Realtek ALC4082
- ESS Sabre DACとの組み合わせ
外見は普通のオーディオジャック
- 背面の3.5mmジャック(緑、ピンク、青など)
- フロントパネルのヘッドホンジャック
- 光デジタル出力(S/PDIF)
見た目は普通のオーディオジャックですが、内部的にはUSB接続で処理されています。
4. フロントパネルの高品質DAC
一部のマザーボードでは、フロントパネル専用に高品質DACチップを搭載しています。
GIGABYTEの例
- ESS ES9218P DACをフロントパネル専用に搭載
- USB接続で動作
- 従来のフロントパネルより高音質
Realtek USB Audioのメリットとデメリット
USB接続方式のオーディオには、メリットとデメリットの両方があります。
メリット
1. 高いサンプリングレートに対応
- 384kHzまでのハイレゾ音源に対応
- より高品質な音声再生が可能
2. 電気的ノイズの影響を受けにくい
- USB接続はデジタル伝送
- マザーボード内部の電気ノイズの影響を受けにくい
- グラフィックカードなどからのノイズ干渉が少ない
3. 接続が簡単
- USBポートに挿すだけで使える
- ドライバーが自動的にインストールされることが多い
4. 汎用性が高い
- どのパソコンでも使える(USB接続デバイスの場合)
- WindowsでもMacでも動作する
デメリット
1. 遅延(レイテンシー)が発生する可能性
- USB接続はわずかな遅延が発生する
- 音楽制作や動画編集では問題になることも
- ゲームでの音ズレが気になる場合もある
2. ポップノイズの問題
- 一部のRealtek USB Audioドライバーでは、パワーセービング機能によってポップノイズが発生する
- 音声が途切れる
- 最初の0.75秒が聞こえない
3. CPU負荷がやや高い
- USB接続の処理にCPUリソースを使用
- 通常は問題ないが、低スペックPCでは影響が出る可能性
4. ドライバーの問題が起きやすい
- Windows Updateで勝手にドライバーが更新されることがある
- メーカー独自のドライバーとの競合
- 設定が保存されないことがある
ドライバーのインストール方法

Realtek USB Audioドライバーのインストール方法を説明します。
自動インストール(推奨)
多くの場合、USB機器を接続するだけで自動的にドライバーがインストールされます。
手順
- USBオーディオデバイスをパソコンに接続
- Windowsが自動的にデバイスを検出
- 「デバイスをインストールしています」と表示される
- 数秒~数分待つ
- インストール完了
確認方法
- スタートボタンを右クリック
- 「デバイスマネージャー」を選択
- 「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー」を展開
- 「Realtek USB Audio」が表示されていればOK
メーカー公式サイトからダウンロード
自動インストールがうまくいかない場合や、最新版が必要な場合は、手動でインストールします。
ドッキングステーションの場合
- パソコンメーカーの公式サポートページにアクセス
- 使っているパソコンまたはドッキングステーションのモデル名を入力
- 「Realtek USB Audio Driver」を検索
- ダウンロード
- インストーラーを実行
例:Dellのドッキングステーション
- Dell公式サポートサイト(dell.com/support)
- 「Realtek USB Audio Driver」で検索
- 該当するドッキングステーションモデルを選択
マザーボードのオンボードオーディオの場合
- マザーボードメーカーの公式サイトにアクセス
- マザーボードのモデル名を入力(例:ROG Maximus Z790 Hero)
- ドライバー・ダウンロードページを開く
- 「Realtek USB Audio Driver」または「Audio」カテゴリを探す
- ダウンロード
- インストーラーを実行
主要マザーボードメーカー
- ASUS:asus.com/support
- MSI:msi.com/support
- GIGABYTE:gigabyte.com/support
インストール手順(詳細)
手順
- ダウンロードしたファイルを解凍(ZIPファイルの場合)
- 「Setup.exe」または「Install.cmd」を右クリック
- 「管理者として実行」を選択
- セットアップウィザードが起動
- 「次へ」をクリック
- 使用許諾契約に同意
- インストール先を確認(通常はデフォルトのままでOK)
- 「インストール」をクリック
- インストール完了まで待つ(2~5分程度)
- 「今すぐ再起動」を選択
- パソコンが再起動
- 再起動後、ドライバーが有効になる
Realtek Audio Consoleのインストール
ドライバーだけではなく、設定アプリも必要です。
Microsoft Storeからインストール
- Microsoft Storeを開く
- 検索バーに「Realtek Audio Control」と入力
- 検索結果から選択
- 「入手」をクリック
- インストール完了まで待つ
または、以下のURLから直接アクセス:
https://apps.microsoft.com/detail/9p2b8mcsvpln
よくあるトラブルと解決方法
Realtek USB Audioで発生しやすいトラブルと、その対処法を紹介します。
トラブル1:ポップノイズが発生する
症状
- スピーカーから「プツッ」「ポンッ」というノイズが鳴る
- 音声の最初の0.75秒が聞こえない
- 音が途切れる
原因
Realtek USB Audioドライバーには、パワーセービング機能があります。10秒間音声がないと、ドライバーがD2パワーステート(省電力モード)に入ります。次に音声が必要になったときに、D0(フルパワー)に戻るまで約750ミリ秒かかり、その間の音声が失われます。
これは特にALC4050、ALC4080、ALC4082などの新しいコーデックで報告されています。
解決方法1:Windowsの汎用ドライバーを使う
- スタートボタンを右クリック
- 「デバイスマネージャー」を選択
- 「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー」を展開
- 「Realtek USB Audio」を右クリック
- 「ドライバーの更新」を選択
- 「コンピューターを参照してドライバーを検索」を選択
- 「コンピューター上の利用可能なドライバーの一覧から選択します」をクリック
- 「USB Audio 2.0」または「USB Audio」を選択
- 「次へ」をクリック
- インストール完了後、再起動
注意点
Windowsの汎用ドライバーを使うと、Realtek Audio Consoleは使えなくなります。基本的な音声再生はできますが、イコライザーなどの高度な機能は利用できません。
解決方法2:パワーマネジメント設定を変更
- デバイスマネージャーを開く
- 「Realtek USB Audio」を右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「電源の管理」タブをクリック
- 「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
- パソコンを再起動
解決方法3:最新ドライバーをインストール
メーカーが修正版のドライバーをリリースしている場合があります。
- マザーボードメーカーまたはパソコンメーカーの公式サイトにアクセス
- 最新のRealtek USB Audio Driverを確認
- 現在のバージョンより新しければダウンロード
- インストール
トラブル2:音が出ない
症状
- スピーカーやヘッドホンから全く音が出ない
- デバイスマネージャーには表示されている
原因と解決方法
原因1:既定のデバイスが間違っている
- タスクバーのスピーカーアイコンを右クリック
- 「サウンドの設定を開く」を選択
- 「出力デバイスを選択してください」で「Realtek USB Audio」が選択されているか確認
- 違う場合は「Realtek USB Audio」を選択
原因2:音量がミュートになっている
- タスクバーのスピーカーアイコンをクリック
- 音量スライダーを確認
- ミュート(スピーカーに×マーク)になっていないか確認
- なっている場合は、アイコンをクリックして解除
原因3:ドライバーが正しくインストールされていない
- デバイスマネージャーを開く
- 「Realtek USB Audio」に黄色い「!」マークが付いていないか確認
- 付いている場合は、ドライバーを再インストール
トラブル3:Windows Updateで勝手にドライバーが更新される
症状
- Windows Updateの後、音が出なくなった
- 設定が全てリセットされた
- Realtek Audio Consoleが使えなくなった
解決方法
Windows Updateの自動ドライバー更新を無効化
- 「Win + R」キーを押す
- 「SystemPropertiesHardware.exe」と入力してEnterキーを押す
- 「デバイスのインストール設定」をクリック
- 「いいえ(デバイスが正常に機能しない可能性があります)」を選択
- 「変更の保存」をクリック
メーカー公式ドライバーを再インストール
- マザーボードメーカーまたはパソコンメーカーの公式サイトから正式なドライバーをダウンロード
- 現在のドライバーをアンインストール
- 再起動
- ダウンロードしたドライバーをインストール
- 再起動
トラブル4:USB接続デバイスが認識されない
症状
- USBヘッドセットやスピーカーを接続しても反応しない
- デバイスマネージャーに表示されない
解決方法
1. 別のUSBポートに接続
- USB 3.0ポート(青色)ではなく、USB 2.0ポート(黒色)に接続してみる
- フロントパネルではなく、背面のUSBポートに接続してみる
2. USBポートの電力供給を確認
- デバイスマネージャーを開く
- 「ユニバーサル シリアル バス コントローラー」を展開
- 使用しているUSBポートに該当する「USB Root Hub」を右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「電源の管理」タブをクリック
- 「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」のチェックを外す
- すべてのUSB Root Hubで同じ操作を行う
- 再起動
3. ドライバーの再インストール
- USBデバイスを接続した状態でデバイスマネージャーを開く
- 「ユニバーサル シリアル バス コントローラー」を展開
- 認識されていないデバイス(!マーク付き)を右クリック
- 「デバイスのアンインストール」を選択
- USBデバイスを抜く
- パソコンを再起動
- 再起動後、USBデバイスを接続
- 自動的にドライバーがインストールされる
トラブル5:遅延(レイテンシー)が気になる
症状
- ゲームで音がワンテンポ遅れる
- 動画を見ていると口の動きと音声がズレる
- 音楽制作で打鍵音が遅れる
原因
USB Audio接続は、わずかな遅延が発生します。これは仕様上避けられません。
解決方法
1. バッファサイズを小さくする
一部のRealtek Audio Consoleでは、バッファサイズを調整できます。
- Realtek Audio Consoleを開く
- 「詳細設定」を探す
- 「バッファサイズ」または「レイテンシー」の項目を探す
- より小さい値に設定
- 適用
注意: バッファを小さくしすぎると、音が途切れることがあります。
2. ASIOドライバーを使用(音楽制作の場合)
音楽制作ソフト(DAW)では、ASIOドライバーを使用することで遅延を減らせます。
3. 専用サウンドカードを検討
ゲーミングや音楽制作など、低遅延が重要な用途では、専用のサウンドカードやオーディオインターフェースの使用を検討してください。
オンボードの通常オーディオとUSB Audioの使い分け
同じマザーボードに通常のオーディオとUSB Audioの両方がある場合、どちらを使うべきでしょうか?
それぞれの向き不向き
通常のRealtek Audio(HDA)が向いている用途
- 低遅延が必要な用途(ゲーミング、動画編集)
- 安定性重視
- シンプルな使い方
Realtek USB Audioが向いている用途
- ハイレゾ音源の再生(192kHz以上)
- 電気ノイズが気になる環境
- 外部機器との接続(ドッキングステーション経由)
切り替え方法
Windowsで既定のデバイスを変更
- タスクバーのスピーカーアイコンを右クリック
- 「サウンドの設定を開く」を選択
- 「出力デバイスを選択してください」で使いたいデバイスを選択
この設定は、いつでも簡単に切り替えられます。
まとめ
Realtek USB Audioについて、重要なポイントをまとめます。
重要なポイント
1. Realtek USB Audioとは
- USB接続形式で動作するオーディオドライバー
- 外付けUSBデバイスだけでなく、マザーボード内蔵でも使われる
- 最大384kHzのハイレゾ音源に対応
2. 使われる場面
- USBヘッドセット、スピーカー
- ドッキングステーション
- 高級マザーボードのオンボードオーディオ(ALC4050、ALC4080など)
- フロントパネル専用の高品質DAC
3. 通常のRealtek Audioとの違い
- HDA方式:最大192kHz、低遅延、安定性が高い
- USB方式:最大384kHz、やや遅延あり、ノイズに強い
4. メリット
- 高音質(ハイレゾ対応)
- 電気ノイズの影響を受けにくい
- 接続が簡単
5. デメリット
- わずかな遅延が発生
- ポップノイズの問題がある場合も
- ドライバーの問題が起きやすい
トラブル時の基本的な対処法
問題が起きた時は、以下の順序で試してみてください。
- パソコンを再起動する
- 別のUSBポートに接続してみる(USB機器の場合)
- 最新のドライバーをインストールする
- Windowsの汎用USB Audioドライバーを試す
- パワーマネジメント設定を変更する
最後に
Realtek USB Audioは、高音質を実現するための技術ですが、同時に遅延やポップノイズなどの問題も抱えています。
自分の用途に合わせて、通常のオーディオとUSB Audioを使い分けることが大切です。
- ゲームや動画編集:通常のRealtek Audio(HDA)
- 音楽鑑賞(ハイレゾ):Realtek USB Audio
- 安定性重視:通常のRealtek Audio(HDA)
どちらを使うべきか迷ったら、まずは両方試してみて、自分の耳で判断するのが一番です。設定はいつでも簡単に切り替えられるので、気軽に試してみてください。


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