「パソコンの音声設定を変えたいけど、どっちを使えばいいの?」
「Realtek HD Audio ManagerとRealtek Audio Console、何が違うの?」
「片方しか表示されない…なんで?」
Realtekのオーディオソフトについて、こんな疑問を持っている方は多いはずです。
今回は、Realtek HD Audio ManagerとRealtek Audio Consoleの違いについて、歴史的背景から技術的な違い、どちらを使うべきか、そして共存は可能なのかまで、詳しく解説していきます。
Realtek HD Audio ManagerとRealtek Audio Consoleとは?
まず、それぞれが何なのか基本から理解しましょう。
Realtek HD Audio Manager(レガシー版)
Realtek HD Audio Managerは、Realtek High Definition Audioドライバー用の管理ソフトウェアです。
主な特徴
- Windows Vista/7/8/8.1/10(初期)の時代に主流だった
- ドライバーと一緒に自動的にインストールされる
- タスクトレイにアイコンが表示される
- コントロールパネルからも起動できる
- 実行ファイル:
RtkNGUI64.exe
通称「レガシー版」や「旧版」と呼ばれることもあります。
Realtek Audio Console(モダン版)
Realtek Audio Consoleは、Realtek(R) Audioドライバー用の管理アプリケーションです。
主な特徴
- Windows 10(RS3以降)/11向けに開発された
- Microsoft Storeから配信される(UWPアプリ)
- より現代的でクリーンなユーザーインターフェース
- Microsoft Storeでは「Realtek Audio Control」という名前で表示される
- スタートメニューから「Realtek Audio Console」として起動
こちらは「モダン版」や「新版」と呼ばれています。
2つのソフトの最大の違い:ドライバーの世代
実は、この2つのソフトの違いは単なるUIの違いではありません。
対応するドライバーの種類が根本的に異なるのです。
HDAドライバー vs UADドライバー
Realtek HD Audio Manager → HDAドライバー用
- HDA = High Definition Audio
- レガシー形式のドライバー
- 最終的な大規模アップデートは2017年頃
- 古いマザーボードやPC向け
Realtek Audio Console → UADドライバー用
- UAD = Universal Audio Driver
- 新しいWindows 10/11向けドライバー
- Windows Updateとの統合が改善されている
- 新しいマザーボードやPC向け
つまり、使用しているドライバーによって、使える管理ソフトが決まっているわけです。
見分け方:どちらのドライバーを使っているか確認する
デバイスマネージャーで簡単に確認できます。
確認手順
- Windows + X キーを押す
- 「デバイスマネージャー」を選択
- 「オーディオの入力および出力」を展開
- オーディオデバイスの名前を確認
表示名で判断
- 「Realtek High Definition Audio」 → HDAドライバー → HD Audio Manager
- 「Realtek(R) Audio」 → UADドライバー → Audio Console
この表示名が、どちらのシステムを使っているかの決定的な目印です。
機能面での違い
では、実際に使える機能にはどんな違いがあるのでしょうか?
共通している基本機能
まず、両方とも以下の基本機能は持っています。
共通機能
- スピーカー構成の設定(2ch、4ch、5.1ch、7.1chなど)
- イコライザー(10バンドEQ)
- 音量調整とバランス設定
- マイク設定(ゲイン、ノイズ抑制など)
- サンプルレートとビット深度の変更
- ジャック検出の設定
基本的なオーディオ調整については、どちらでもほぼ同じことができます。
Realtek HD Audio Manager(レガシー版)の特徴
レガシー版ならではの機能
1. 環境エフェクト(Environment Effects)
- コンサートホール、リビングルーム、洞窟など、様々な音響空間をシミュレート
- Audio Console版では削除されていることが多い
2. ピッチシフト機能
- 音の高さを変更できる
- カラオケアプリなどで便利
3. フロント・リアパネルの物理的分離
- フロントパネルとリアパネルのジャックを別々のデバイスとして扱える
- スピーカーとヘッドフォンを同時に使いたい場合に便利
4. 詳細なコネクタ設定
- どのジャックに何を差し込むか、細かく設定可能
Realtek Audio Console(モダン版)の特徴
モダン版の利点
1. 洗練されたユーザーインターフェース
- より直感的で分かりやすいデザイン
- すべての設定が1つの画面にまとまっている
- タブ切り替えが不要
2. Windows 10/11との統合
- Windows Updateで自動更新される
- Microsoft Storeから簡単に再インストール可能
3. より安定した動作
- 新しいWindowsバージョンとの互換性が高い
- セキュリティ脆弱性が修正されている
4. ラウドネス等化
- 音量レベルを均一化する機能
- HD Audio Managerにもあるが、実装が改善されている
注意点:機能の制限
ただし、Audio Consoleにはいくつかの機能が削除されていることがあります。
- 環境エフェクトが使えない
- ピッチシフトが使えない
- フロント・リアの完全な分離が難しい
これは、マザーボードメーカーの方針によって異なります。MSIやASUSなどは、独自のオーディオアプリ(Nahimic、Sonic Studioなど)で補完しているケースがあります。
インターフェースの違い
見た目と操作性についても比較してみましょう。
Realtek HD Audio Manager(レガシー版)のUI
デザインの特徴
- Windows 7時代のスタイル
- タブで機能が分かれている(スピーカー、マイク、サウンドエフェクトなど)
- リアルなスピーカーやマイクのイラスト
- やや古めかしいが、慣れると使いやすい
起動方法
- タスクトレイのスピーカーアイコンを右クリック→「サウンドマネージャ」
- コントロールパネル→「Realtek HD オーディオマネージャ」
C:\Program Files\Realtek\Audio\HDA\RtkNGUI64.exeを直接実行
Realtek Audio Console(モダン版)のUI
デザインの特徴
- フラットでモダンなデザイン
- すべての設定が1画面にまとまっている
- アイコンベースのシンプルな表示
- Windows 11のデザイン言語に合致
起動方法
- スタートメニュー→「Realtek Audio Console」
- タスクバーの検索欄で「Realtek Audio Console」を検索
- Microsoft Storeアプリとして管理される
どちらを使うべき?選択のガイドライン
「結局、どっちを使えばいいの?」という疑問に答えます。
基本的な判断基準
実は、選択の余地はほとんどありません。
あなたのPCに入っているドライバーが決めるからです。
判断フローチャート
- デバイスマネージャーでオーディオデバイス名を確認
- 「Realtek High Definition Audio」なら → HD Audio Managerを使う
- 「Realtek(R) Audio」なら → Audio Consoleを使う
PC・マザーボードの世代による違い
HD Audio Manager(レガシー)が使われるケース
- 2017年以前のマザーボード
- 第6世代Intel(Skylake)以前のシステム
- AMD Ryzen 1000番台以前のシステム
- Windows 7/8.1からアップグレードしたPC
Audio Console(モダン)が使われるケース
- 2018年以降のマザーボード
- 第7世代Intel(Kaby Lake)以降のシステム
- AMD Ryzen 2000番台以降のシステム
- Windows 10/11がプリインストールされたPC
新しいPCを買ったのにHD Audio Managerがない?
これは正常な状態です。
新しいシステムは基本的にUADドライバーを使うため、HD Audio Managerは提供されません。代わりにAudio Consoleを使います。
逆に、古いPCでAudio Consoleが使えないのも正常です。
2つのソフトは共存できる?
「両方使いたい!」と思う人もいるかもしれません。
基本的には共存できない
残念ながら、通常は共存できません。
理由は、ドライバーが異なるからです。
- HDAドライバーをインストール → HD Audio Managerが使える
- UADドライバーをインストール → Audio Consoleが使える
両方のドライバーを同時にインストールすることは基本的にできません。
無理に共存させようとすると起こる問題
一部のユーザーが無理に両方をインストールしようとして、以下の問題に直面しています。
よくある問題
- 「RPCサービスに接続できません」エラー
- Audio Consoleが起動しない
- 音が出なくなる
- ドライバーの競合
特に、Audio Consoleを使いながらHD Audio Managerをインストールしようとすると、ドライバーを入れ替える必要があり、システムが不安定になることがあります。
例外:一部の環境では共存可能
技術的には、以下の条件を満たせば共存できる「こともあります」。
共存の条件
- 特殊なドライバー構成
- レジストリの手動編集
- 互換モードでの動作
ただし、非常に面倒で、安定性も保証されません。
一般ユーザーには推奨できません。
ドライバーとソフトの関係
もう少し深く、技術的な側面を見てみましょう。
ドライバーとGUIの分離
重要なポイント
実際に音声を処理しているのはドライバーです。HD Audio ManagerやAudio Consoleは、そのドライバーを操作するためのGUIツールに過ぎません。
つまり:
- ドライバー = 音声処理の本体
- Manager/Console = 設定用のコントロールパネル
Microsoft Storeでの配信
2017年頃から、Realtekは管理ツールをドライバーパッケージから分離しました。
新しい配信方式
- ドライバー:PCメーカーのサポートサイトから配布
- GUIアプリ:Microsoft Storeから配布(UAD版のみ)
これにより、ドライバーとアプリを個別に更新できるようになりました。
OEMカスタマイズの影響
多くのマザーボードメーカーは、Realtekドライバーに独自のカスタマイズを加えています。
例
- MSI → Nahimicを追加
- ASUS → Sonic Studioを追加
- Gigabyte → 独自のオーディオアプリ
これらのメーカーでは、Realtekの標準機能が一部削除されていることがあります。
例えば、イコライザー機能がRealtek側からNahimic側に移動している、といった具合です。
よくある問題とトラブルシューティング
それぞれのソフトでよく起こる問題と解決方法を紹介します。
HD Audio Managerが起動しない
症状
- タスクトレイにアイコンが表示されない
- コントロールパネルに項目がない
原因と対処法
1. ドライバーがUAD版になっている
- 新しいシステムではHD Audio Managerは使えません
- Audio Consoleを使いましょう
2. ドライバーが正しくインストールされていない
- マザーボードメーカーのサイトから最新ドライバーをダウンロード
- 完全にアンインストールしてから再インストール
3. 実行ファイルが存在しない
C:\Program Files\Realtek\Audio\HDA\フォルダを確認RtkNGUI64.exeがあれば、直接実行してみる
Audio Consoleが見つからない
症状
- スタートメニューに表示されない
- Microsoft Storeで見つからない
原因と対処法
1. ドライバーがHDA版のまま
- UADドライバーに更新する必要があります
- ただし、古いシステムでは対応していない可能性も
2. Microsoft Storeから自動インストールされていない
- 手動でインストールする必要があります
- Microsoft Storeで「Realtek Audio Control」を検索
- または直接リンクからダウンロード
3. インターネット接続の問題
- UADドライバーインストール後、Windows Updateを実行
- オンライン状態で数分待つと自動的にダウンロードされる
「RPCサービスに接続できません」エラー
症状
- Audio Consoleを起動すると「RPCサービスに接続できません」と表示される
原因と対処法
このエラーは、ドライバーとアプリのバージョンが合っていないか、サービスが停止していることが原因です。
対処法1:サービスの確認
- Windows + R で「services.msc」を起動
- 「Realtek Audio Universal Service」を探す
- 右クリック→「開始」または「再起動」
対処法2:ドライバーの再インストール
- Realtekドライバーを完全にアンインストール
- PCを再起動
- 最新のUADドライバーをインストール
- PCを再起動
- Microsoft StoreからAudio Consoleをインストール
イコライザーが使えない・グレーアウトしている
原因
- メーカーが独自のオーディオアプリを提供している
- イコライザー機能がそちらに移動している
対処法
- Nahimic、Sonic Studio、DTS:Xなどのアプリを確認
- そちらでイコライザーを使用する
環境エフェクトがない
原因
- Audio Console版では環境エフェクトが削除されていることが多い
- または、OEMアプリに移動している
対処法
- HD Audio Managerに戻す(古いドライバーに変更)
- ただし、セキュリティリスクがあるため推奨されません
- または、別のオーディオエフェクトソフト(Equalizer APOなど)を使う
移行:HD Audio ManagerからAudio Consoleへ
古いPCを使っていて、新しいシステムに移行する場合の注意点です。
移行は可能?
結論:システムによって異なります
移行できるケース
- 第7世代Intel以降のCPU
- AMD Ryzen 2000番台以降
- Windows 10(1809以降)またはWindows 11
移行できないケース
- 古すぎるハードウェア
- メーカーがUADドライバーを提供していない
移行手順
移行できる場合の手順です。
ステップ1:バックアップ
- 現在の設定をスクリーンショットで保存
ステップ2:アンインストール
- コントロールパネル→「プログラムのアンインストール」
- Realtek関連のプログラムをすべてアンインストール
- PCを再起動
ステップ3:UADドライバーのインストール
- メーカーサポートサイトから最新のRealtekドライバーをダウンロード
- 「UAD」「Universal」と記載されているものを選ぶ
- インストール後、PCを再起動
ステップ4:Audio Consoleのインストール
- Microsoft Storeを開く
- 「Realtek Audio Control」を検索
- インストール
- PCを再起動
ステップ5:設定の復元
- スクリーンショットを見ながら設定を再構成
移行時の注意点
設定は引き継がれません
HD Audio Managerの設定は、Audio Consoleに自動的に移行されません。手動で再設定する必要があります。
一部の機能が使えなくなる可能性
環境エフェクトやピッチシフトなど、一部の機能が削除されている可能性があります。
セキュリティの観点
重要な情報をお伝えします。
HD Audio Managerの脆弱性
2021年に、古いRealtek HD Audioドライバーに重大なセキュリティ脆弱性が発見されました。
問題のあるドライバー
- バージョン8857以前のすべてのHDAドライバー
- DLLハイジャッキングの脆弱性
- 管理者権限の不正取得が可能
対処法
- 最新のドライバーにアップデート
- または、UADドライバーに移行
Audio Consoleの利点
Audio Console(UADドライバー)は、これらの脆弱性が修正されており、セキュリティ面でより安全です。
まとめ:自分のシステムに合った選択を
Realtek HD Audio ManagerとRealtek Audio Consoleの違いについて、詳しく見てきました。
この記事の重要ポイント
- 2つは異なるドライバー用のツール:HDA用とUAD用
- ドライバーの種類で使えるツールが決まる:選択の余地はほぼない
- 新しいシステムはAudio Console:2018年以降はこちらが主流
- 古いシステムはHD Audio Manager:2017年以前のPCはこちら
- 基本機能はほぼ同じ:イコライザー、マイク設定などは両方にある
- 一部の機能が異なる:環境エフェクトなど、削除された機能もある
- 共存は基本的に不可能:ドライバーが異なるため
- セキュリティ面ではAudio Consoleが有利:最新の脆弱性対策済み
どちらを使うべきか
シンプルに、自分のシステムが対応している方を使うのが正解です。
- デバイスマネージャーで確認
- 「Realtek High Definition Audio」→ HD Audio Manager
- 「Realtek(R) Audio」→ Audio Console
無理に変更しようとせず、システムに合ったものを使いましょう。
困ったときは
どちらのツールも、基本的な音声設定は可能です。もし特定の機能が必要なら、以下の選択肢があります。
- メーカー独自のオーディオアプリを使う(Nahimic、Sonic Studioなど)
- サードパーティのオーディオソフトを使う(Equalizer APO、Voicemeeterなど)
- Windowsの標準音声設定を活用する
どちらのツールも、あなたのPCの音声体験を向上させるためのものです。自分のシステムに合った方を使って、快適なオーディオ環境を楽しんでくださいね!

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