Raspberry Piの電源を入れたのに緑のランプ(ACTランプ)がまったくつかない、または点滅を繰り返したまま起動しない——そんな症状で困っていませんか?
緑ランプの挙動はラズパイが送る「エラーサイン」で、点滅のパターンを読み解くことで原因を特定できます。
この記事では、緑ランプがつかない・点滅する症状ごとに原因と対処法を解説します。Raspberry Pi 4・Raspberry Pi 5の両機種に対応しています。
まず確認:赤ランプ(PWR)と緑ランプ(ACT)の役割
Raspberry Piには2つのLEDランプが搭載されています。
| ランプ | 名称 | 正常な状態 |
|---|---|---|
| 赤ランプ | PWR(電源)ランプ | 電源投入中は常時点灯 |
| 緑ランプ | ACT(アクティビティ)ランプ | OSが動作中はランダムに点滅 |
赤ランプが点灯していれば電源は届いています。
緑ランプの挙動が問題の手がかりになります。
症状1:緑ランプがまったくつかない(消灯のまま)
原因と確認事項
赤ランプが点灯しているのに緑ランプが完全に消灯している場合、以下が原因として考えられます。
1. microSDカードが正しく挿入されていない
もっとも多い原因です。
SDカードをいったん抜き、カードスロットにカチッと音がするまでしっかり差し込んでから、再度電源を入れてください。
2. SDカードへのOS書き込みが失敗している
OS(Raspberry Pi OS)が正しく書き込まれていないと、読み込む対象がなく緑ランプは光りません。
Raspberry Pi Imagerを使ってSDカードにOSを書き直してください。
推奨手順:
- Raspberry Pi Imagerをダウンロード・インストールする
- 「デバイスを選択」で使用機種(Pi 4 / Pi 5など)を選ぶ
- 「OSを選択」で「Raspberry Pi OS(64-bit)」を選ぶ
- 「ストレージを選択」でSDカードを選ぶ
- 「書き込む」をクリックして完了まで待つ
3. 電源アダプターの出力が不足している
| 機種 | 推奨電源 |
|---|---|
| Raspberry Pi 4 | 5V / 3A(USB-C)以上 |
| Raspberry Pi 5 | 5V / 5A(USB-C)以上、または公式27W電源アダプター |
電源が不足すると赤ランプは点灯しても緑ランプが一切反応しないことがあります。
スマートフォン用の充電器などは電力不足になりやすく、ラズパイには適しません。
4. Raspberry Pi 4固有:EEPROM(ブートローダー)の不具合
Raspberry Pi 4以降は基板上のEEPROMにブートローダーが格納されています。
EEPROMが壊れている場合、SDカードを抜いた状態で電源を入れても緑ランプが点滅しません(点滅しない=EEPROMに問題あり、と判断できます)。
対処法は後述の「EEPROMを修復する」をご参照ください。
症状2:緑ランプが規則的に点滅して止まる(エラーコード点滅)
エラーコード点滅の読み方
起動に失敗すると、緑ランプが一定のパターンで点滅を繰り返すことで原因を知らせます。
点滅は「長い点滅(ロング)」と「短い点滅(ショート)」の組み合わせで、2秒のポーズを挟んで繰り返されます。
この点滅パターンの定義はRaspberry Pi公式ドキュメント「LED warning flash codes」で確認できます。
Raspberry Pi 4・Pi 5のエラーコード一覧
Pi 4・Pi 5はEEPROMベースの起動のため、点滅パターンが複雑です。
| ロング点滅 | ショート点滅 | 意味 | 主な原因 |
|---|---|---|---|
| 0 | 3 | 汎用的な起動失敗 | SDカードの問題 |
| 0 | 4 | start*.elf が見つからない | SDカードのOS破損・未フォーマット |
| 0 | 7 | カーネルイメージが見つからない | OS書き込み失敗 |
| 0 | 8 | SDRAMの認識失敗 | メモリ不良またはファームウェアが古い |
| 0 | 9 | SDRAMが不足している | ハードウェア障害の可能性 |
| 2 | 1 | パーティションがFATではない | SDカードのフォーマット不正 |
| 2 | 2 | パーティションの読み込み失敗 | SDカードの破損 |
| 2 | 4 | ファイルの署名・ハッシュ不一致(Pi 4) | OS書き込み不完全 |
| 4 | 4 | 非対応のボードタイプ | ファームウェアのバージョン問題 |
| 4 | 5 | 致命的なファームウェアエラー | EEPROMの損傷(要修復・交換検討) |
| 4 | 6 | 電源障害(タイプA) | 電源不足 |
| 4 | 7 | 電源障害(タイプB) | 電源不足 |
点滅の数え方のコツ: 速くて数えにくい場合は、スマートフォンで動画撮影してスロー再生すると正確に数えられます。
Raspberry Pi 3以前のエラーコード一覧
Pi 3以前は短い点滅のみでエラーを表します。
| 点滅回数 | 意味 |
|---|---|
| 3回 | start.elf が見つからない |
| 4回 | start.elf が起動できない(破損) |
| 7回 | kernel.img が見つからない |
| 8回 | SDRAMが認識されない |
対処法1:SDカードにOSを書き直す【最初に試すべき対処法】
エラーコードが「0短3」「0短4」「0短7」「2長1」「2長2」の場合、またはエラーコードが読み取れない場合も、まずこの方法を試してください。
- パソコンにSDカードを接続する
- Raspberry Pi ImagerでOSを書き直す
- 書き込み完了後、SDカードをラズパイに挿して電源を入れる
書き込みには数分かかります。完了のメッセージが出るまで絶対に途中で止めないでください。
書き込み失敗の場合は、SDカードをフォーマットしてからやり直すと改善することがあります。
対処法2:EEPROMを修復する(Raspberry Pi 4・Pi 5)
Raspberry Pi 4以降でSDカードなしで電源を入れたときに緑ランプがまったく点滅しない場合、またはエラーコード「4長5」(致命的なファームウェアエラー)が出る場合に試してください。
手順:
- パソコンでRaspberry Pi Imagerを開く
- 「OSを選択」→「Misc utility images(その他のユーティリティ)」→「Bootloader(ブートローダー)」→「SD Card Boot」を選択する
- SDカードに書き込む
- そのSDカードをラズパイに挿して電源を入れる
- 画面が緑色に表示されれば修復成功
- 電源を切り、元のOSを書いたSDカードに差し替えて起動する
Pi 5のBootloaderを選ぶ場合:「Bootloader(Pi 5 family)」を選択してください。
対処法3:電源アダプターを変える
エラーコード「4長6」「4長7」(電源障害)が出る場合、または緑ランプが一瞬ついて消える場合は、電源の出力不足が原因の可能性があります。
- Raspberry Pi 4には 5V / 3A以上 の電源を使用する
- Raspberry Pi 5には 5V / 5A(27W)以上 の電源を使用する(公式電源アダプターの使用を強く推奨)
- モバイルバッテリーや電力不足なUSB充電器は避ける
- USB延長ケーブルや品質の低いケーブルは電圧降下の原因になることがある
対処法4:別のSDカードで試す
SDカードとの相性問題や、SDカード自体の故障が原因のケースがあります。
手持ちの別のSDカードがある場合は、そちらにOSを書き込んで試してください。
ラズパイで安定して動作しやすいSDカードの条件は以下のとおりです。
- A1クラスのアプリ性能評価を持つカード(例:SanDisk Ultra A1シリーズ)
- A2クラスはラズパイでは推奨されない(A1より遅くなる場合がある)
- 最低でも16GB以上を使用する
Raspberry Pi 5固有の注意点
Raspberry Pi 5はRaspberry Pi 4と同様にEEPROMを使用した起動ですが、いくつか異なる点があります。
電源要件が高い: Raspberry Pi 5は通常動作でも最大5A(25W)を消費することがあります。公式の27W USB-C電源アダプターの使用が強く推奨されています。非公式の電源では4A制限がかかり、高負荷時に不安定になる場合があります。
HDMIにエラーメッセージが表示される: Raspberry Pi 5ではブート失敗時に、緑ランプの点滅コードに加えてHDMIディスプレイにエラー内容が英語でテキスト表示されます。ディスプレイを接続している場合はそちらも確認してください。
エラーコード「4長5」は要注意: このコードはファームウェアの致命的なエラーを意味します。EEPROMの修復を試みても解決しない場合は、ハードウェアの初期不良の可能性があり、購入店やRaspberry Pi財団への問い合わせを検討してください。
Raspberry Pi 4固有の注意点
USB-Cケーブルとの相性: 初期版のRaspberry Pi 4は「eMaker」チップを搭載したUSB-Cケーブルで起動できない不具合がありました。日本向けに販売されているRaspberry Pi 4ではファームウェア修正済みとされていますが、古い個体では稀に発生することがあります。
EEPROM(SPI EEPROM)の故障確認方法: SDカードを抜いた状態で電源を入れて、緑ランプが規則的に点滅すればEEPROMは正常です。まったく点滅しなければEEPROMの再プログラムが必要です(対処法2を参照)。
それでも解決しない場合
上記の対処法をすべて試しても改善しない場合は、ハードウェアの故障の可能性があります。
- 購入店・販売代理店に問い合わせる: 購入から間もない場合は初期不良として交換対応してもらえることがあります
- Raspberry Pi公式フォーラムに相談する: エラーコードの点滅回数と使用機種・電源・SDカードの情報を添えて投稿すると、コミュニティメンバーからアドバイスをもらいやすくなります
まとめ
ラズパイが起動しない・緑ランプが正常に点灯しない場合の対処法を整理します。
緑ランプがつかない場合: SDカードの挿し直し→OSの書き直し→電源アダプターの交換→EEPROMの修復の順で試してください。
緑ランプが規則的に点滅する場合: 点滅のパターン(ロング×回・ショート×回)を数えて上記の対応表で原因を特定し、対処法を選んでください。ほとんどのケースはSDカードへのOSの書き直しで解決します。
EEPROMの修復はRaspberry Pi 4・Pi 5で有効な手段ですが、それでも解決しない「4長5(致命的なファームウェアエラー)」はハードウェアの損傷を示している場合があり、交換を検討する必要があります。
参考情報源:
- Raspberry Pi公式ドキュメント「LED warning flash codes」
- Raspberry Pi公式ドキュメント「Bootloader」
- Raspberry Pi Forums「Green LED flashing codes」(2023年9月)
- Raspberry Pi Forums「help pi5 don’t boot. Flashing LED 4 long, 5 short」(2024年2月)
- Raspberry Pi Forums「PI5 LED error codes」(2023〜2024年)
- Classmethod DevelopersIO「ラズパイ初心者がRaspberry Pi 4 Model BのOSを不注意で起動不良としてしまったので復旧させた話」
- Qiita「Raspberry pi インジケーターランプ(ACTライト)の意味」(2023年10月)

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