QWERTYとは?キーボード配列の歴史と意外な誕生秘話を解説

パソコンやスマホのキーボードを見ると、左上に「Q・W・E・R・T・Y」と並んでいますよね。

「なぜアルファベット順じゃないの?」と疑問に思ったことはありませんか?

この記事では、QWERTY配列がどのように生まれたのか、なぜ150年以上も使われ続けているのかを詳しく解説していきます。

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QWERTYとは?名前の由来を知ろう

QWERTY(クワーティ)とは、キーボードのアルファベット配列の一つです。

名前の由来は、キーボードのアルファベット最上段の左から6文字が「Q・W・E・R・T・Y」と並んでいることから来ています。

読み方は「クワーティ」「クアーティ」「クウェルティ」など複数ありますが、一般的には「クワーティ」と呼ばれることが多いです。

現在、世界中のパソコン、ノートパソコン、スマートフォン、タブレットなど、ラテン文字を使う地域のほぼすべてのキーボードがこのQWERTY配列を採用しています。

QWERTY配列の歴史

QWERTY配列は、タイプライター時代に生まれました。

タイプライターの誕生

1860年代、アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーに住んでいた新聞編集者のクリストファー・レイサム・ショールズという人物が、文字を打つ機械の開発に取り組んでいました。

1867年、ショールズは仲間とともに初期のタイプライターの特許を取得します。この最初のタイプライターは、ピアノのような見た目で、キーボードは28個のキーがアルファベット順に並んでいたんです。

当時、ショールズたちは「アルファベット順なら、誰でもすぐに目的の文字を見つけられるから効率的だ」と考えていました。確かに、直感的で分かりやすい配列ですよね。

配列の変化

しかし、1870年頃から、ショールズはキーボードの配列を何度も変更していきます。

最初は2段だったキーボードが4段になり、数字キーが最上段に追加されました。また、母音を上段にまとめるなど、さまざまな工夫が加えられていったんです。

そして1873年、ショールズがこの発明をレミントン社に売却したとき、試作品にはQWERTY型の配列が採用されていました。

QWERTY配列の完成

1874年、レミントン社は「ショールズ・アンド・グリデン・タイプライター」を発売します。このモデルには、ほぼ現在のQWERTY配列が搭載されていました。

その後、1882年に「レミントン・スタンダード・タイプライターNo.2」が発売されたとき、MとC、Xの位置が変更され、現在のQWERTY配列が完成したんです。

1893年には、レミントンを含む大手タイプライターメーカー5社が合併して「ユニオン・タイプライター・カンパニー」を設立し、QWERTY配列が業界標準として正式に採用されました。

こうして、QWERTY配列はタイプライター業界のデファクトスタンダード(事実上の標準)となったわけです。

なぜQWERTY配列になったのか?諸説を紹介

QWERTY配列がこの形になった理由については、実ははっきりと分かっていません。

いくつかの有力な説があるので、見ていきましょう。

説1:タイプバーの絡まり防止説

最もよく知られているのが、「タイプバーの絡まりを防ぐため」という説です。

初期のタイプライターは、キーを押すと機械式のアーム(タイプバー)が動いて紙に文字を印字する仕組みでした。

速く打ちすぎると、複数のタイプバーが同時に動いて絡まってしまい、故障の原因になっていたんです。

そこで、「続けて打つことが多い文字同士を遠くに離すことで、タイピング速度を落として故障を防いだ」という説が広まりました。

ただし、この説には疑問も投げかけられています。例えば、英語で最も頻繁に連続する文字の組み合わせの一つである「ER」が隣り合っているため、完全に正しいとは言えないという指摘もあるんです。

説2:モールス信号オペレーター向け説

2011年、京都大学の研究者らによる研究で、「QWERTY配列はモールス信号のオペレーターのために設計された」という説が提唱されました。

1870年代、タイプライターの主な利用者は電信局のモールス信号オペレーターでした。彼らはモールス信号を聞いて、それを文字に起こす仕事をしていたんです。

モールス信号では、「Z」と「SE」が似ていて区別しにくいという問題がありました。そのため、オペレーターが次の文字を聞くまで判断を保留できるように、ZとS、Eを近くに配置したという説です。

実際、ショールズが最初にタイプライターを販売したのは、1868年のシカゴにあったPorter’s Telegraph Collegeという電信学校でした。この事実が、モールス信号説を裏付けているとも言われています。

説3:セールス用デモンストレーション説

「typewriter」という単語を素早く美しく打てるようにしたという説もあります。

QWERTY配列では、「typewriter」のすべての文字が最上段だけで打てるんです。
また、「property」という単語も同じく最上段だけで入力できます。

これにより、タイプライターのセールスマンが顧客に対して簡単にデモンストレーションを行えたというわけです。

説4:右手と左手の交互入力説

もう一つの説は、「右手と左手を交互に使うことで入力速度を向上させるため」というものです。

一方の手が文字を打っている間に、もう一方の手が次の文字を打つ準備ができるため、スムーズなタイピングが可能になります。

ただし、実際にはQWERTY配列は左手で打つ単語のほうが多いという特徴があります。英語で最も頻繁に使われる文字であるE、T、Aのうち、2つ(EとA)が左手側に配置されているんです。

複数の説が組み合わさった可能性

これらの説は、どれか一つだけが正しいというわけではなく、複数の要因が組み合わさって現在のQWERTY配列が生まれた可能性が高いと考えられています。

QWERTY配列以外のキーボード配列

実は、QWERTY配列以外にも効率的なキーボード配列が提案されています。

Dvorak配列(ドヴォラック配列)

1932年、ワシントン大学のオーガスト・ドヴォラック教授によって考案されたのがDvorak配列です。

Dvorak配列は、英文における文字の出現頻度を統計的に分析し、最も誤りが少なく、高速入力でき、疲労が少ない配列として設計されました。

主な特徴:

  • 頻繁に使う文字をホームポジション(中段)に配置
  • 母音を左手の中段に集中させている
  • 右手と左手を交互に使うリズムが生まれやすい

実際、タイピングコンテストで優勝した多くの人がDvorak配列を使用していると言われています。

しかし、すでにQWERTY配列が広く普及していたため、Dvorak配列は一般的には広まりませんでした。対応するトレーニングソフトや書籍も少なく、学習のハードルが高かったことも普及を妨げた要因です。

Colemak配列(コールマック配列)

2006年にシャイ・コールマンによって開発されたのがColemak配列です。

Colemak配列は、QWERTY配列からの移行を容易にするため、QWERTYとの類似性を保ちながらタイピング効率を改善した配列です。

主な特徴:

  • QWERTYとの差異が少なく、学習コストが低い
  • よく使う文字をホームポジションに配置
  • 頻繁に使うキーの配置を最適化

Dvorak配列ほど大きな変更がないため、QWERTY配列からの移行がしやすいのが特徴です。

KALQ配列

スマートフォンやタブレットでの両手の親指入力に最適化された配列として、KALQ配列が開発されました。

タッチスクリーンで両手の親指を使ってタイピングする際に、最も速度が出るように設計されています。

ただし、QWERTY配列がスマートフォンの仮想キーボードでも標準となっているため、KALQ配列はあまり普及していません。

なぜQWERTY配列は今でも使われているのか?

Dvorak配列のようにより効率的な配列があるにもかかわらず、なぜQWERTY配列は150年以上も使われ続けているのでしょうか。

理由1:ネットワーク効果と学習コスト

一度広く普及した標準は、変更するのが非常に難しくなります。

ほとんどの人がQWERTY配列でタイピングを学び、慣れ親しんでいます。新しい配列に移行するには、一から学び直す必要があり、時間とコストがかかるんです。

また、学校や職場、タイピング教室など、あらゆる場所でQWERTY配列が教えられているため、他の配列を学ぶ機会がほとんどありません。

理由2:互換性の問題

世界中のキーボードがQWERTY配列を採用しているため、他の配列を使うと互換性の問題が生じます。

例えば、自宅ではDvorak配列を使っていても、職場や図書館、ネットカフェなどではQWERTY配列のキーボードを使わざるを得ない状況が多いです。

こうした環境の違いがストレスになるため、多くの人がQWERTY配列に留まることを選びます。

理由3:技術の進歩による問題の解消

QWERTY配列が生まれた最大の理由とされる「タイプバーの絡まり防止」という問題は、電動タイプライターやコンピュータの登場によってすでに解消されています。

しかし、技術が進歩しても、人々の習慣や教育システムは簡単には変わりません。QWERTY配列で育った世代が次の世代にQWERTY配列を教え、それが繰り返されているわけです。

理由4:代替案の優位性が決定的ではない

Dvorak配列やColemak配列は確かに効率的ですが、QWERTY配列と比べて「圧倒的に優れている」というほどではありません。

タイピング速度が20〜30%向上する程度では、多くの人にとって学習コストに見合わないと判断されてしまうんです。

技術の標準が変わるには、代替案が従来の方法よりも「劇的に」優れている必要があります。しかし、キーボード配列に関しては、そこまでの差がないのが現状です。

理由5:業界標準としての地位

1893年にユニオン・タイプライター・カンパニーがQWERTY配列を業界標準として採用して以降、QWERTY配列は事実上の標準となりました。

その後、コンピュータが登場したときも、タイプライターと同じQWERTY配列が採用されたため、デジタル時代でもQWERTY配列が継続して使われることになったんです。

ANSI(米国国家規格協会)やJIS(日本産業規格)といった公的な標準規格もQWERTY配列に基づいて規定されているため、今後も変わる可能性は低いでしょう。

日本におけるQWERTY配列

日本で使われているキーボードも、アルファベット部分はQWERTY配列です。

JIS配列とUS配列

日本では、主に2種類のキーボード配列が使われています。

JIS配列(日本語配列)は、日本産業規格に基づいた配列で、アルファベットキーにひらがなが印字されています。また、「変換」「無変換」「全角/半角」など、日本語入力に特化したキーが搭載されているのが特徴です。

US配列(英語配列)は、米国標準の配列で、かな文字の印字がなく、英語入力に最適化されています。エンターキーやシフトキーが大きいのが特徴です。

どちらの配列も、アルファベット部分はQWERTY配列で統一されています。

ローマ字入力とかな入力

日本語を入力する際、ローマ字入力を使う人が多いですが、この場合もQWERTY配列が基本となっています。

例えば、「た」は「TA」、「て」は「TE」、「い」は「I」、「す」は「SU」、「か」は「KA」、「ん」は「NN」と入力します。これらはすべてQWERTY配列のキーに対応しているんです。

まとめ

QWERTY配列は、1870年代にクリストファー・レイサム・ショールズによって考案され、タイプライター時代から現代まで150年以上使われ続けています。

この配列が生まれた理由については諸説ありますが、タイプバーの絡まり防止、モールス信号オペレーターへの配慮、セールス用のデモンストレーション、手の交互使用など、複数の要因が組み合わさった結果だと考えられています。

Dvorak配列やColemak配列のような、より効率的な代替案も提案されていますが、ネットワーク効果、学習コスト、互換性の問題などから、QWERTY配列は今でも圧倒的なシェアを占めているんです。

パソコン、スマートフォン、タブレットなど、あらゆるデバイスでQWERTY配列が使われており、今後も当分の間は標準配列として使われ続けるでしょう。

普段何気なく使っているキーボードの配列にも、こんなに深い歴史と背景があったんですね。

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