Pythonで数の計算をするときに、とても便利なのが「mathモジュール」です。
四捨五入や平方根、三角関数など、かんたんな計算から難しい数学の処理まで、いろいろなことができます。
でも、その全部を知っている人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、mathモジュールの基本から応用まで、実際の例といっしょにわかりやすく説明します。
これを読めば、むだな計算処理から卒業できるはずです!
mathモジュールってなに?

どんなものなの?
mathモジュールは、Pythonに最初から入っている数学用の道具セットです。
何かを新しくインストールする必要はありません。import math
と書くだけで、すぐに使えるようになります。
何ができるの?
mathモジュールでできることは、たくさんあります。
- 計算のお手伝い(足し算、引き算、かけ算、割り算の応用)
- 三角関数(sin、cos、tanなど)
- 指数や対数の計算
- 数学でよく使う数字(円周率πや自然対数の底eなど)
実際に使ってみよう
import math
# 円周率を表示してみる
print(math.pi) # → 3.141592653589793
# 16の平方根を計算してみる
print(math.sqrt(16)) # → 4.0
mathモジュールは「数学の道具箱」のようなものです。次では、よく使う基本的な関数を一覧で紹介します。
よく使うmath関数一覧と使い方
基本的な計算関数
関数名 | 何をするもの? | 使用例 |
---|---|---|
math.sqrt(x) | 平方根(ルート)を求める | math.sqrt(9) → 3.0 |
math.pow(x, y) | xのy乗を求める | math.pow(2, 3) → 8.0 |
math.floor(x) | 小数点以下を切り捨てる | math.floor(3.7) → 3 |
math.ceil(x) | 小数点以下を切り上げる | math.ceil(3.1) → 4 |
math.fabs(x) | 絶対値を返す(マイナスをプラスにする) | math.fabs(-5) → 5.0 |
math.log(x) | 自然対数を計算する | math.log(math.e) → 1.0 |
実際に使ってみよう
import math
# 25の平方根を計算
print(math.sqrt(25)) # → 5.0
# 2の10乗を計算
print(math.pow(2, 10)) # → 1024.0
# 小数点の処理
print(math.floor(4.9)) # → 4(切り捨て)
print(math.ceil(4.1)) # → 5(切り上げ)
# 絶対値の計算
print(math.fabs(-10)) # → 10.0
これらの関数を使えば、日常的な数の処理がかんたんにできます。次は、三角関数や定数などの応用機能を見ていきましょう。
三角関数・定数などの応用機能
三角関数を使ってみよう
mathモジュールには、数学でよく使う三角関数も入っています。
import math
# サインを計算(90度の場合)
print(math.sin(math.pi / 2)) # → 1.0
# ラジアンを度に変換
print(math.degrees(math.pi)) # → 180.0
# 度をラジアンに変換
print(math.radians(90)) # → 1.5707963267948966
便利な定数たち
mathモジュールには、よく使う数学の定数も用意されています。
math.pi
:円周率(3.14159…)math.e
:自然対数の底(2.71828…)
import math
# 円周率を使って円の面積を計算
radius = 5 # 半径
area = math.pi * math.pow(radius, 2)
print(f"半径{radius}の円の面積: {area}") # → 78.54...
# 自然対数の底を表示
print(math.e) # → 2.718281828459045
数学やコンピューターグラフィックスでも役立つ機能がたくさんあります。次では、実際の仕事での具体的な使い方を見ていきます。
実際の仕事での活用例とテクニック

どんな場面で使われるの?
mathモジュールは、いろいろな分野で使われています。
- データ分析や統計
- お金の計算(金融関係)
- 科学の実験やシミュレーション
- ゲーム開発
実際の使用例
四捨五入と桁数の調整
import math
# 値を小数第2位で切り捨て
value = 3.14159
rounded = math.floor(value * 100) / 100
print(rounded) # → 3.14
データのスケーリング(値の調整)
import math
# 大きな数値を小さくする処理
large_value = 1000
scaled_value = math.log(large_value + 1)
print(f"元の値: {large_value}")
print(f"調整後: {scaled_value}") # → より小さな値になる
距離の計算
import math
# 2点間の距離を計算(ピタゴラスの定理)
x1, y1 = 0, 0
x2, y2 = 3, 4
distance = math.sqrt(math.pow(x2 - x1, 2) + math.pow(y2 - y1, 2))
print(f"2点間の距離: {distance}") # → 5.0
仕事での数値操作をmathモジュールで効率化すれば、バグの少ない安定したプログラムが書けます。最後に、この記事のポイントを整理しましょう。
まとめ
Pythonのmathモジュールは、数値計算を正確でかんたんに行うための強力なツールです。基本的な関数から三角関数、定数まで幅広くそろっていて、いろいろな場面で活躍します。
覚えておきたいポイント
- mathモジュールは最初からPythonに入っている
import math
と書くだけで使える- 平方根、四捨五入、三角関数など便利な機能がたくさん
- 円周率や自然対数の底などの定数も使える
- 実際の仕事でもよく使われている
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