「パソコンが重くて動かない」「ファイルが削除できない」「怪しいプログラムが動いているかも…」
こんな経験、ありませんか?
実は、Microsoft公式が提供するProcess Explorerという無料ツールを使えば、PCで動いているプロセスのすべてが丸見えになるんです!
この記事では、Process Explorerの基本から使い方、トラブル解決方法まで、初心者にも分かりやすく完全解説します。
Process Explorerって何?まずは基本を理解しよう

Process Explorer(プロセス エクスプローラー)は、Microsoftが提供する無料のシステム監視ツールです。
タスクマネージャーの10倍詳しい版
一言で表すなら「タスクマネージャーの超強化版」。Windows標準のタスクマネージャーでは見えない情報まで、すべて詳細に表示してくれます。
例えば、タスクマネージャーでは「chrome.exe」というプロセス名しか分からなくても、Process Explorerなら以下の情報が分かります:
- どのプログラムから起動されたか(親子関係)
- どのファイルを開いているか
- どのDLLを読み込んでいるか
- 正確なメモリ使用量
- CPUの使用率の推移
- プログラムの起動時刻
つまり、PCの中で何が起きているのか、すべて把握できるということ。
Windows Sysinternalsツールの一つ
Process Explorerは「Windows Sysinternals」という、Microsoft公式のトラブルシューティングツール群の一部です。
もともとはSysinternals社が開発していたツールですが、2006年にMicrosoftが買収。現在では正式なMicrosoft製品として、無料で提供されています。
開発者は、Windowsのセキュリティ専門家として有名なMark Russinovich氏。非常に信頼性の高いツールなんですね。
Process Explorerで何ができる?主な機能5つ
1. 詳細なプロセス監視
どのプログラムがCPUやメモリを使っているのか、リアルタイムで監視できます。
できること:
- CPU使用率の高いプロセスを特定
- メモリリークの発見
- GPU使用状況の監視
- ディスクI/Oのボトルネック特定
「PCが重い」という症状の原因を、数秒で突き止められるのが魅力です。
2. プロセスの親子関係を可視化
Process Explorerの最大の特徴が、プロセスをツリー構造で表示できること。
例えば、Explorer.exe(エクスプローラー)から起動したメモ帳は、Explorer.exeの子プロセスとして表示されます。この親子関係が分かると、「どのプログラムが何を起動したか」が一目瞭然。
不正なプログラムが別のプログラムを勝手に起動していないか、チェックするのにも便利ですね。
3. ファイルロック問題の解決
「別のプログラムがこのファイルを開いているので削除できません」
このエラー、見たことありませんか?Process Explorerなら、どのプログラムがファイルを開いているのか瞬時に特定できます。
検索手順:
- Ctrl + F キーで検索ウィンドウを開く
- ファイル名を入力して検索
- そのファイルを使っているプロセスが表示される
- プロセスを終了すればファイルが解放される
この機能だけでも、Process Explorerを使う価値があります。
4. セキュリティチェック
Process Explorerには、VirusTotalとの統合機能が搭載されています。
VirusTotalは、複数のウイルス対策ソフトで一度にスキャンできるオンラインサービス。Process Explorer上で右クリック一つで、怪しいプロセスをチェックできるんです。
確認できること:
- デジタル署名の有無
- ウイルス感染の可能性
- 不正なDLLの注入
- 信頼できないプログラムの実行
知らないプロセスが動いていたら、すぐにチェックできる安心感がありますね。
5. DLLとハンドルの調査
少し専門的になりますが、Process Explorerではプロセスが使用しているDLL(動的リンクライブラリ)やハンドル(リソース)も確認できます。
DLLとは:
複数のプログラムで共有される機能の部品のようなもの。プログラムを効率的に動かすために使われます。
ハンドルとは:
ファイル、レジストリ、ネットワーク接続など、プロセスが使用中のリソースを指す識別子です。
これらを確認することで、プログラムの動作をより深く理解できます。
Process Explorerのダウンロードと起動方法
ダウンロード手順
- Microsoft公式サイトにアクセス
https://learn.microsoft.com/ja-jp/sysinternals/downloads/process-explorer - 「Process Explorer のダウンロード」をクリック
- ProcessExplorer.zipファイルがダウンロードされる
起動方法
Process Explorerはインストール不要で使えます。
- ダウンロードしたZIPファイルを解凍
- 中にある「procexp.exe」(64bit版)をダブルクリック
- 初回起動時に利用規約が表示されるので「Agree」をクリック
これだけで使い始められます。非常に簡単ですね!
バージョンの選び方:
- procexp64.exe – 64bitのWindows用(ほとんどの人はこちら)
- procexp.exe – 32bitのWindows用
- procexp64a.exe – ARM版Windows用
通常のWindowsなら、procexp64.exeを使えばOKです。
Process Explorerの画面構成と見方
Process Explorerを起動すると、2つのウィンドウに分かれた画面が表示されます。
上部ウィンドウ:プロセス一覧
現在動作しているすべてのプロセスがツリー形式で表示されます。
表示される情報:
- プロセス名(実行ファイル名)
- PID(プロセスID)
- CPU使用率
- メモリ使用量
- プロセスの説明
- 会社名
色分けの意味:
- 薄紫色 – 通常のアプリケーション
- 薄ピンク色 – Windowsサービス
- 青色 – 自分のプロセス
- グレー – 停止中のプロセス
この色分けのおかげで、視覚的にプロセスの種類が分かりやすくなっています。
下部ウィンドウ:詳細情報
上部で選択したプロセスの詳細情報が表示されます。
表示モードの切り替え:
- DLLモード – 読み込まれているDLLの一覧
- ハンドルモード – 開いているファイルやレジストリの一覧
View → Lower Pane View から切り替えられます。
実践!Process Explorerの使い方
PCが重い原因を特定する
- Process Explorerを起動
- 「CPU」列をクリックしてソート
- CPU使用率の高いプロセスを確認
- 右クリック → Propertiesで詳細を確認
これで、何がCPUを占有しているのかすぐに分かります。
削除できないファイルを解放する
- Ctrl + F で検索ウィンドウを開く
- 削除したいファイル名を入力
- Search をクリック
- 該当するハンドルを右クリック → Close Handle
ファイルを開いているプログラムを終了させずに、ハンドルだけ閉じることもできるんです。
怪しいプロセスをチェックする
- 確認したいプロセスを右クリック
- Check VirusTotal を選択
- 初回はVirusTotalの利用規約に同意
- スキャン結果が表示される
複数のウイルス対策ソフトの結果が一度に確認できるので、非常に便利です。
タスクマネージャーの代わりにする
Process Explorerをタスクマネージャーの代わりに設定できます。
- メニューから Options → Replace Task Manager を選択
- チェックを入れる
- 次回から Ctrl + Shift + Esc でProcess Explorerが起動
標準のタスクマネージャーよりはるかに詳しい情報が見られるので、おすすめの設定です。
よくあるトラブルと解決方法

「管理者権限が必要です」と表示される
一部のシステムプロセスは、管理者権限がないと詳細が見られません。
対処法:
procexp.exeを右クリック → 「管理者として実行」を選択
これで、すべてのプロセス情報にアクセスできます。
起動時にエラーが出る
ウイルス対策ソフトが誤検出することがあります。
対処法:
- Process Explorerを除外設定に追加
- 公式サイトから最新版をダウンロード
- 64bit版と32bit版を確認
Microsoftの公式ツールなので、安全性は保証されています。
情報が多すぎて分からない
最初は表示される情報の多さに圧倒されるかもしれません。
対処法:
- まずはCPU使用率とメモリ使用量だけ見る
- 徐々に他の情報も確認していく
- 必要な列だけ表示するようカスタマイズ
View → Select Columns から、表示する列を選択できます。
Process Explorerを使う上での注意点
重要なプロセスを終了しない
システムの重要なプロセスを終了すると、Windowsが不安定になる可能性があります。
終了してはいけないプロセス:
- System
- csrss.exe
- winlogon.exe
- services.exe
- svchost.exe
よく分からないプロセスは、調べてから終了するようにしましょう。
頻繁に更新すると負荷がかかる
Process Explorerは、デフォルトで1秒ごとに更新されます。更新間隔が短すぎると、逆にCPU負荷が高くなることも。
調整方法:
View → Update Speed から更新間隔を変更できます。
プライバシーに配慮する
VirusTotalでチェックすると、ファイルのハッシュ値がインターネットに送信されます。
機密性の高いファイルを扱う場合は、この機能をオフにしておくと良いでしょう。
タスクマネージャーとの違い
Process Explorerが優れている点
詳細な情報表示
プロセスの親子関係、DLL、ハンドルなど、タスクマネージャーでは見られない情報が豊富。
検索機能
ファイル名やDLL名で検索できるので、トラブルシューティングが効率的です。
VirusTotal統合
セキュリティチェックが簡単に行えます。
タスクマネージャーが優れている点
標準搭載
インストールや設定なしで、すぐに使えます。
シンプルな操作
初心者には、タスクマネージャーの方が分かりやすいかもしれません。
スタートアップ管理
スタートアップアプリの管理は、タスクマネージャーの方が便利です。
用途に応じて使い分けるのがベストでしょう。
こんな人におすすめ
Process Explorerは、以下のような方に特におすすめです:
PCトラブルを自分で解決したい人
重い、フリーズする、ファイルが削除できない…様々な問題を自力で診断できます。
システム管理者やエンジニア
プロの現場でも使われる、本格的なツールです。
セキュリティを気にする人
怪しいプロセスがないか、定期的にチェックできます。
PCの仕組みを理解したい人
Windowsの内部動作を学ぶのに最適な教材になります。
まとめ:Process Explorerでトラブル解決の達人に
Process Explorerは、Microsoft公式が提供する無料のプロセス管理ツールです。
タスクマネージャーの10倍詳しい情報を表示でき、PCで動作しているすべてのプロセスを詳細に監視できます。特に、プロセスの親子関係の可視化、ファイルロック問題の解決、VirusTotalでのセキュリティチェックは非常に便利な機能。
インストール不要で、ZIPファイルを解凍してすぐ使えるのも魅力的ですね。最新バージョンは17.08(2024年11月リリース)で、Windows 10以降に対応しています。
最初は情報量に圧倒されるかもしれませんが、使っているうちに慣れてきます。まずは「PCが重い時に起動して、CPU使用率でソート」から始めてみてください。
Process Explorerを使いこなせば、PCトラブルの8割は自力で解決できるようになります。
ぜひダウンロードして、PCの中身を探検してみてください!

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