PowerShellでファイル操作をしようとしたとき、「今どこのフォルダーを操作しているの?」「他の場所に移動したいけどコマンドが分からない…」と迷ったことはありませんか?
そんな悩みを解決してくれるのが「カレントディレクトリ(現在の作業ディレクトリ)」という概念です。
これを理解すると、PowerShellでのファイル操作が格段に楽になるんです。
この記事では、PowerShellでカレントディレクトリを確認・移動・活用する方法をやさしく解説していきます。
Windowsのファイル操作を自在に行う第一歩として、ぜひ一緒に学んでいきましょう!
カレントディレクトリって何?なぜ重要なの?

カレントディレクトリとは
カレントディレクトリとは、簡単に言うと「今、PowerShellがどのフォルダーにいるか」を表すものです。
普段ファイルエクスプローラーを使うとき、画面上部のアドレスバーに「C:\Users\あなたの名前\Documents」などと表示されますよね。
PowerShellでも同じように、「今どこで作業しているか」を把握することがとても大切なんです。
なぜカレントディレクトリが重要なの?
PowerShellでファイル操作を行うとき、コマンドは基本的にカレントディレクトリを起点として実行されます。
例えば:
dir
コマンド:カレントディレクトリの中身を表示.\script.ps1
:カレントディレクトリにあるスクリプトを実行- ファイル作成:カレントディレクトリに新しいファイルを作成
つまり、「今どこにいるか」が分からないと、思った通りの操作ができないことがあるんです。
エクスプローラーとPowerShellの違い
エクスプローラー | PowerShell |
---|---|
マウスクリックでフォルダー移動 | コマンドでディレクトリ移動 |
アドレスバーで現在地を確認 | コマンドで現在地を確認 |
視覚的に分かりやすい | テキストベースだが高速 |
カレントディレクトリは、PowerShellでの「作業の起点」となる重要な概念です。
これを理解することで、ファイル操作がスムーズになりますよ。
次は、実際にカレントディレクトリを確認する方法を見ていきましょう。
現在のカレントディレクトリを確認する方法

基本のコマンド
現在いる場所を確認するには、次のコマンドを使います:
Get-Location
短縮形もあります
毎回Get-Location
と入力するのは面倒なので、短縮形(エイリアス)も用意されています:
pwd
pwd
は「Print Working Directory」の略で、Unix系OSでも同じ意味で使われているので、覚えやすいですね。
実際の実行例
PowerShellを開いて実行してみると、こんな感じで表示されます:
PS C:\Users\Username> Get-Location
Path
----
C:\Users\Username
または:
PS C:\Users\Username> pwd
C:\Users\Username
プロンプトからも分かる
実は、PowerShellのプロンプト(コマンド入力前に表示される部分)にも、現在のディレクトリが表示されています:
PS C:\Users\Username>
このC:\Users\Username
の部分が、現在のカレントディレクトリを表しているんです。
どんなときに使う?
- スクリプト実行前:正しい場所にいるか確認
- ファイル操作前:間違った場所で操作しないため
- 迷子になったとき:自分がどこにいるかを把握
Get-Location
またはpwd
で、今いるディレクトリの場所を確認できます。
プロンプトを見るだけでも分かるので、常に意識するようにしましょう。
次は、ディレクトリの移動方法を学んでいきます。
カレントディレクトリを移動する方法
基本の移動コマンド
ディレクトリを移動するには、次のコマンドを使います:
Set-Location パス
こちらも短縮形があります
cd
コマンド(Change Directoryの略)も使えます:
cd パス
移動方法の種類
1. 絶対パスで移動(フルパス指定)
cd C:\Users\Username\Documents
ドライブから始まる完全なパスを指定する方法です。確実ですが、少し長くなります。
2. 相対パスで移動(現在地からの相対位置)
# 一つ上のフォルダーに移動
cd ..
# 現在のフォルダー内の「Documents」フォルダーに移動
cd Documents
# 二つ上のフォルダーに移動
cd ..\..
3. ホームディレクトリに移動
cd ~
~
(チルダ)はホームディレクトリ(通常はC:\Users\あなたの名前
)を表す特別な記号です。
4. ドライブを変更
# Dドライブに移動
cd D:\
# システムドライブのルートに移動
cd C:\
実践例
以下の順序で移動してみましょう:
# 現在地を確認
pwd
# Documentsフォルダーに移動
cd Documents
# 現在地を確認
pwd
# 一つ上に戻る
cd ..
# ホームディレクトリに戻る
cd ~
よく使うパスの例
パス | 場所 |
---|---|
C:\ | Cドライブのルート |
C:\Windows | Windowsシステムフォルダー |
C:\Users\Username | ユーザーのホームフォルダー |
C:\Users\Username\Desktop | デスクトップ |
C:\Users\Username\Downloads | ダウンロードフォルダー |
タブ補完を活用しよう
PowerShellでは、パスを途中まで入力してTabキーを押すと、自動的に補完してくれます:
cd Doc[Tab] → cd Documents
これを使うと、長いパスも楽に入力できますよ。
この章のまとめ cd
やSet-Location
を使えば、自由にディレクトリを移動できます。絶対パスと相対パス、タブ補完を使い分けて効率的に移動しましょう。
次は、カレントディレクトリを活用したファイル操作を見ていきます。
カレントディレクトリを活用したファイル操作

カレントディレクトリが分かったところで、実際にファイル操作で活用してみましょう。
フォルダーの中身を確認する
Get-ChildItem
短縮形なら:
dir
# または
ls
これで、現在のディレクトリに含まれるファイルやフォルダーの一覧が表示されます。
新しいファイルを作成する
# テキストファイルを作成
New-Item -Name "memo.txt" -ItemType File
# 内容も一緒に作成
"Hello PowerShell!" | Out-File "greeting.txt"
作成されたファイルは、カレントディレクトリに保存されます。
新しいフォルダーを作成する
# 新しいフォルダーを作成
New-Item -Name "MyProject" -ItemType Directory
# 短縮形
mkdir NewFolder
ファイルの内容を確認する
# ファイルの内容を表示
Get-Content "memo.txt"
# 短縮形
cat memo.txt
# または
type memo.txt
PowerShellスクリプトを実行する
# 現在のディレクトリにあるスクリプトを実行
.\myscript.ps1
.\
は「現在のディレクトリ」を表します。セキュリティ上、PowerShellではパスを明示的に指定する必要があるんです。
ファイルやフォルダーを削除する
# ファイルを削除
Remove-Item "不要なファイル.txt"
# フォルダーを削除(中身も含めて)
Remove-Item "古いフォルダー" -Recurse
# 短縮形
del "ファイル名"
ファイルをコピー・移動する
# ファイルをコピー
Copy-Item "original.txt" "copy.txt"
# ファイルを移動
Move-Item "old_location.txt" "new_location.txt"
特定の種類のファイルだけを表示
# .txtファイルだけを表示
Get-ChildItem *.txt
# .ps1ファイル(PowerShellスクリプト)だけを表示
Get-ChildItem *.ps1
実践例:プロジェクトフォルダーの作成
一連の流れを組み合わせて、新しいプロジェクトフォルダーを作ってみましょう:
# ホームディレクトリに移動
cd ~
# 新しいプロジェクトフォルダーを作成
mkdir MyNewProject
# 作成したフォルダーに移動
cd MyNewProject
# README ファイルを作成
"# My New Project" | Out-File "README.md"
# 中身を確認
dir
# READMEの内容を確認
cat README.md
カレントディレクトリを意識することで、ファイル操作やスクリプト実行がスムーズに行えます。
どこで作業しているかを常に把握しておくのがコツですよ。
次は、よくあるミスとその対処法を確認していきましょう。
よくあるミスと対処法

PowerShellを使い始めたころによくあるミスと、その解決方法を紹介します。
よくあるトラブル一覧
問題 | 原因 | 解決方法 |
---|---|---|
ファイルが見つからない | 違うディレクトリにいる | pwd で現在地確認、dir でファイル一覧確認 |
スクリプトが実行できない | 実行ポリシーの制限 | Get-ExecutionPolicy で確認、必要に応じて変更 |
パスが長すぎて面倒 | 絶対パスを毎回入力 | タブ補完や相対パスを活用 |
間違った場所でファイル作成 | カレントディレクトリを確認せずに実行 | 操作前に必ずpwd で確認 |
具体的な対処法
「ファイルが見つからない」エラー
# エラーが出たときの確認手順
pwd # 現在地を確認
dir # ファイル一覧を確認
dir -Recurse *.txt # サブフォルダーも含めてtxtファイルを検索
スクリプト実行エラー
# 実行ポリシーを確認
Get-ExecutionPolicy
# もし "Restricted" だった場合(現在のユーザーのみ変更)
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser
パスが分からなくなった場合
# エクスプローラーで現在のディレクトリを開く
explorer .
# 親ディレクトリを開く
explorer ..
大文字小文字の混同
Windowsでは大文字小文字は区別されませんが、他のシステムとの互換性を考えて正確に入力する習慣をつけましょう:
# どちらでも動きますが、正確な名前を使う方が良い
cd documents # → Documents
cd DESKTOP # → Desktop
トラブル予防のコツ
操作前の確認習慣
# ファイル操作前は必ず確認
pwd # どこにいるか確認
dir # 何があるか確認
相対パスの活用
# 長い絶対パスよりも相対パスを使う
cd ..\..\..\somewhere # 上位ディレクトリから移動
cd ~\Documents # ホームディレクトリから移動
タブ補完の活用
パスやファイル名は手入力せず、Tabキーで補完を使いましょう。これにより、入力ミスを防げます。
エクスプローラーとの連携
# PowerShellからエクスプローラーを開く
explorer .
# エクスプローラーのアドレスバーに「powershell」と入力すると、
# そのフォルダーでPowerShellが開く
実行ポリシーについて
PowerShellスクリプトを実行する際によく出てくる「実行ポリシー」について:
# 現在の設定を確認
Get-ExecutionPolicy
# 現在のユーザーのみ設定を変更(推奨)
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser
# 元に戻したい場合
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy Restricted -Scope CurrentUser
トラブルの多くは「今どこにいるか分からない」ことが原因です。
pwd
とdir
でこまめに確認する習慣をつけると、PowerShellを正確に使えるようになりますよ。
まとめ
PowerShellでのファイル操作では、「今どこにいるのか」を常に意識することが何よりも大切です。
この記事で学んだポイント
基本操作
- 確認:
Get-Location
またはpwd
で現在地をチェック - 移動:
cd
やSet-Location
で自由にディレクトリ移動 - 活用:カレントディレクトリを基準としたファイル操作
効率的な使い方
- タブ補完:長いパスも楽々入力
- 相対パス:現在地からの移動で効率アップ
- エイリアス:短縮形で素早く操作
トラブル対策
- 事前確認:操作前に
pwd
とdir
で状況把握 - 実行ポリシー:スクリプト実行時の設定確認
- エクスプローラー連携:視覚的確認も活用
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