Windowsを使っている方なら一度は見たことがあるかもしれない「PowerShell」。
このコマンドライン ツールは、パソコンの操作や設定変更をテキストで行うことができる便利なプログラムです。
しかし、古いバージョンをそのまま使い続けていると、こんな問題が起こるかもしれません:
- 新しい便利な機能が使えない
- セキュリティの問題が発生しやすくなる
- 動作が遅い
- 他のプログラムとの連携がうまくいかない
この記事では、現在のPowerShellのバージョンを調べる方法から、安全に最新版へアップグレードする手順まで、初心者の方でもわかるように順番に説明します。
パソコン操作に不安がある方でも、画面を見ながら進めれば必ずできるので安心してください。
今使っているPowerShellのバージョンを調べよう

バージョン確認の手順
まずは、今使っているPowerShellがどのバージョンなのかを確認してみましょう。
ステップ1:PowerShellを開く
- キーボードで「Windows」キー + 「R」キーを同時に押す
- 「ファイル名を指定して実行」の画面が出てくる
- 「powershell」と入力して「OK」ボタンを押す
- 青い画面のウィンドウが開く
ステップ2:バージョンを調べる 青い画面に以下のコマンドを入力して、「Enter」キーを押してください:
$PSVersionTable.PSVersion
結果の見方 画面に表示される数字が、今使っているPowerShellのバージョンです。例えば:
- 「5.1.19041.xxxx」→ PowerShell 5.1
- 「7.3.x」→ PowerShell 7.3
なぜバージョンを調べるのか?
バージョンがわかると、以下のことがはっきりします:
- アップグレードが必要かどうか
- どの機能が使えるか
- セキュリティの状況はどうか
PowerShellのバージョンによる違い
PowerShellには大きく分けて2つの系統があります。それぞれの特徴を見てみましょう。
バージョン | 正式名称 | 主な特徴 | おすすめ度 |
---|---|---|---|
5.1以前 | Windows PowerShell | ・Windowsに最初から入っている<br>・機能が限られている<br>・動作が比較的遅い | △ |
7.0以降 | PowerShell Core | ・Windows以外でも使える<br>・新機能がたくさん<br>・動作が速い<br>・セキュリティが強化されている | ◎ |
PowerShell 7の主なメリット
処理速度の向上 同じ作業をしても、PowerShell 7の方が早く終わります。
新機能の追加
- より便利なコマンドが使える
- エラーメッセージがわかりやすい
- 他のプログラムとの連携がスムーズ
セキュリティの強化
- 悪意のあるプログラムから守る機能が充実
- データの暗号化機能が向上
クロスプラットフォーム対応 Windows以外のパソコン(MacやLinux)でも同じように使えます。
アップグレードの準備

古いバージョンはどうなる?
PowerShell 7をインストールしても、元から入っているPowerShell 5.1は消えません。
両方を同時に使うことができるので、安心してアップグレードできます。
必要な準備
管理者権限の確認 インストールには管理者権限が必要です。普段使っているアカウントが管理者かどうか確認しておきましょう。
インターネット接続 インストールファイルをダウンロードするため、インターネットにつながっている必要があります。
空き容量の確認 PowerShell 7は約100MB程度の容量を使います。パソコンに十分な空きがあるか確認してください。
アップグレードの手順
ステップ1:公式サイトからダウンロード
GitHubのPowerShellページにアクセス
- ウェブブラウザを開く
- 「PowerShell GitHub releases」で検索
- 「Releases · PowerShell/PowerShell」のページを開く
最新版を選ぶ
- ページの一番上にある最新のリリースを探す
- 「Latest」と書かれているものが最新の安定版です
- バージョン番号(例:v7.4.0)をクリック
ダウンロードファイルを選ぶ 「Assets」の部分を探して、以下のファイルをダウンロードします:
- 64ビットWindows:「PowerShell-7.x.x-win-x64.msi」
- 32ビットWindows:「PowerShell-7.x.x-win-x86.msi」
パソコンのビット数がわからない場合
- 「Windows」キー + 「I」キーでWindowsの設定を開く
- 「システム」→「詳細情報」を選ぶ
- 「システムの種類」の項目を確認
ステップ2:インストールの実行
インストーラーを起動
- ダウンロードしたファイル(.msi)をダブルクリック
- 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」→「はい」
インストール設定
- 「Next」ボタンを押して進む
- ライセンス条項に同意する(「I accept」にチェック)
- インストール先フォルダはそのままでOK
- 「Install」ボタンを押す
インストール完了の確認
- 「Finish」ボタンが表示されたらインストール完了
- 「Launch PowerShell」にチェックが入っていることを確認
- 「Finish」を押すと新しいPowerShellが起動
ステップ3:インストールの確認
新しいPowerShellを起動 スタートメニューから「PowerShell 7」を探して起動してみましょう。
バージョンの再確認 新しいPowerShellで以下のコマンドを実行:
$PSVersionTable.PSVersion
「7.x.x」のように表示されれば成功です。
ステップ4:環境設定(必要に応じて)
コマンドプロンプトから起動する設定 コマンドプロンプトで「pwsh」と入力するだけで新しいPowerShellが起動するように設定できます。
ショートカットの作成 デスクトップにPowerShell 7のショートカットを作っておくと便利です。
よくある質問と対処法
Q: インストールでエラーが出る
原因と対処法
- 管理者権限がない→管理者として実行する
- 古いインストーラーが残っている→一度再起動してから再実行
- ウイルス対策ソフトが邪魔している→一時的に無効にする
Q: 古いPowerShellも残しておくべき?
答え:はい、残しておきましょう
理由:
- Windowsの一部なので削除すると問題が起こる可能性
- 既存のスクリプトが古いバージョンでしか動かない場合がある
- 慣れるまでは両方使い分けできる
Q: どちらのPowerShellを使えばいい?
基本的には新しいPowerShell 7を使いましょう
新しい作業やスクリプト作成には PowerShell 7がおすすめです。
ただし、古いスクリプトを動かす場合は、元のPowerShell 5.1の方が安全な場合もあります。
新機能を試してみよう

PowerShell 7では、こんな新しい機能が使えるようになります:
タブ補完の改善 コマンドの途中で「Tab」キーを押すと、より正確な候補が表示されます。
エラーメッセージの改善 間違ったコマンドを入力したときの説明がわかりやすくなりました。
新しいコマンド
Get-Error
:エラーの詳細情報を表示Test-Json
:JSONファイルの形式をチェック
例:基本的なコマンドを試してみる
# 現在の日時を表示
Get-Date
# フォルダの中身を表示
Get-ChildItem
# システム情報を表示
Get-ComputerInfo
注意すべきポイント
セキュリティ設定
PowerShell 7をインストールしたら、セキュリティ設定も確認しておきましょう。
実行ポリシーの確認
Get-ExecutionPolicy
より安全な設定に変更(必要に応じて)
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser
アップデートの確認
PowerShell 7は定期的にアップデートされます。
新しいバージョンが出たときは、同じ手順でアップデートできます。
既存スクリプトの互換性
古いスクリプトが新しいPowerShellで正しく動くかどうか、事前にテストしておくことをおすすめします。
まとめ
PowerShellを最新版にアップグレードすることで、以下のメリットが得られます:
性能面の向上
- 処理速度の高速化
- メモリ使用量の効率化
- 安定性の向上
機能面の充実
- 新しいコマンドレットの追加
- エラーハンドリングの改善
- 他のツールとの連携強化
セキュリティ面の強化
- 脆弱性の修正
- 暗号化機能の向上
- 認証システムの改善
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