スライドを印刷したりPDFにする際、「今どのページなのか」だけでなく「全体で何ページあるのか」も知りたい――そんなとき便利なのが「1/10」などのページ番号と総ページ数の表示です。
実はPowerPointにはこの機能が標準では用意されていませんが、少しの工夫で簡単に実現できます。この記事では、総ページ数の入れ方から注意点まで、中学生にもわかりやすく解説します。
PowerPointの標準機能でできることとできないこと

できること:スライド番号の表示
PowerPointでは「スライド番号」という機能を使って、各スライドに「1」「2」「3」といった番号を自動で表示できます。これは「挿入」メニューから簡単に設定できる便利な機能です。
できないこと:総ページ数の自動表示
一方で、「全体で何枚あるか」を自動で表示する機能はありません。つまり「1/10」の「/10」の部分は、自分で入力する必要があります。
これはWordとは違うPowerPointの特徴の一つです。でも安心してください。手動での設定は思っているより簡単です。
方法1:スライドマスターを使った設定(おすすめ)
この方法が最も効率的で、すべてのスライドに一度に設定できます。
準備:スライド番号を有効にする
まず、基本のスライド番号を表示する設定をします。
- 「挿入」タブをクリック
- 「ヘッダーとフッター」を選択
- 「スライド番号」にチェックを入れる
- 「すべてに適用」をクリック
これで各スライドに「1」「2」「3」という番号が表示されます。
手順:総ページ数を追加する
次に、「/10」の部分を追加します。
ステップ1:スライドマスターを開く
- 「表示」タブをクリック
- 「スライドマスター」を選択
すると、スライドのひな型を編集する画面に変わります。
ステップ2:テキストボックスを追加する
- スライド番号が表示されている場所を確認
- その横に「挿入」→「テキストボックス」で新しいテキストボックスを作成
- テキストボックスに「/10」と入力(10は総スライド数)
ステップ3:位置とデザインを調整する
- テキストボックスとスライド番号の位置を揃える
- フォントサイズや色をスライド番号と同じにする
- 見た目を整える
ステップ4:設定を完了する
「マスター表示を閉じる」をクリックして、通常の編集画面に戻ります。
結果の確認
これで、すべてのスライドに「1/10」「2/10」「3/10」といった表示が現れます。
方法2:各スライドに個別設定する方法
急いでいるときや、特定のスライドだけに設定したい場合の方法です。
手順
- 設定したいスライドを開く
- 「挿入」→「テキストボックス」を選択
- スライドの下部(フッター部分)にテキストボックスを作成
- 「1/10」のように、現在のページ番号と総ページ数を手入力
- 必要に応じて他のスライドでも同じ作業を繰り返す
注意点
この方法は設定が簡単ですが、以下のような問題があります:
- すべてのスライドで手作業が必要
- スライドの順番を変えたとき、番号を手動で修正する必要がある
- スライドを追加・削除したとき、総ページ数を全て修正する必要がある
そのため、スライドの内容が確定してから設定することをおすすめします。
方法3:VBAを使った自動化(上級者向け)
プログラミングの知識がある方は、VBA(Visual Basic for Applications)というマクロ機能を使って、ページ番号を完全に自動化できます。
VBAのメリット
- スライドを追加・削除しても自動で番号が更新される
- 順番を変えても自動で調整される
- 一度設定すれば手間がかからない
VBAのデメリット
- プログラミングの知識が必要
- 設定が複雑
- 会社のパソコンではマクロが使えない場合がある
初心者の方は、まずは方法1のスライドマスターを使った設定から始めることをおすすめします。
実際の活用場面

会議資料として配布する場合
「今5ページ目の話をしています」と言ったとき、聞き手が「全体で何ページあるんだろう?」と気になることがあります。「5/15」と表示されていれば、全体の3分の1程度の進捗だとすぐにわかります。
印刷して使う場合
印刷した資料がバラバラになったとき、「3/10」という表記があれば順番を正しく並べ直せます。
PDF で配布する場合
メールでPDFを送るとき、受け取った人が「この資料は全部で何ページあるんだろう?」と疑問に思うことを防げます。
よくある質問
Q:総ページ数を自動で取得できるようにならないの?
A:現在のPowerPoint(Microsoft 365版を含む)では、この機能は提供されていません。WordやExcelにはある機能ですが、PowerPointでは手動設定が基本です。将来のアップデートで改善される可能性はありますが、現時点では今回紹介した方法を使う必要があります。
Q:スライドの順番を後から変えたらどうなる?
A:スライドマスターで「/10」のように固定の数字を入れている場合、手動で修正が必要です。資料の内容が確定してから、最終段階でページ番号を設定することをおすすめします。
Q:タイトルスライドにもページ番号を表示したくない場合は?
A:「ヘッダーとフッター」の設定で「タイトルスライドに表示しない」のチェックボックスを有効にすれば、最初のスライドだけページ番号を非表示にできます。
Q:ページ番号の位置や見た目を変えたい場合は?
A:スライドマスターでテキストボックスの位置、フォント、色、サイズなどを自由に調整できます。会社のテンプレートに合わせてカスタマイズしましょう。
おすすめの設定タイミング
資料作成の最終段階で設定する
スライドの内容や順番が確定してから設定すると、後で修正する手間が省けます。
テンプレートとして保存する
よく使うデザインの場合は、ページ番号設定済みのテンプレートとして保存しておくと便利です。
各方法の比較
方法 | 難易度 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
スライドマスター + 手入力 | ★★☆☆☆ | 全スライドに一度で反映、見た目が統一される | 総ページ数は自動更新されない |
各スライドに手入力 | ★☆☆☆☆ | 設定が簡単、特定のページだけ設定可能 | 修正の手間が多い、ミスが起きやすい |
VBA活用 | ★★★★☆ | 完全自動化、メンテナンス不要 | プログラミング知識が必要、環境によっては使えない |
まとめ
PowerPointで「1/10」形式のページ番号を表示したい場合は、スライドマスターに総ページ数を手入力する方法が最もバランスが良くおすすめです。
特に以下のような方に適しています:
- 会議資料や研修資料を作ることが多い方
- 印刷やPDF配布を前提とした資料を作る方
- 聞き手に親切な資料を作りたい方
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