PowerPointでプレゼンテーション資料を作っていると、スライドがどんどん増えて「どこに何があるかわからない」という状況になることがあります。そんなときに便利なのが「セクション機能」です。
この記事では、PowerPointのセクション機能を使って、スライドをわかりやすく整理し、効率的に管理する方法を、初心者の方にもわかりやすく説明します。
セクション機能とは何か

基本的な概念
セクション機能とは、複数のスライドをグループにまとめて、整理しやすくする機能です。本の章立てのように、プレゼンテーションを意味のあるまとまりに分けることができます。
セクションがない場合の問題
スライドが多くなると起こる問題:
- どのスライドがどこにあるかわからない
- 内容の順番を変えるのが大変
- チームで作業するときに混乱する
- プレゼンテーションの全体像が把握しにくい
セクション機能を使うメリット
セクションを使うことで得られる効果:
- 見やすい整理:関連するスライドをまとめて表示
- 簡単な移動:セクションごとにスライドを移動可能
- わかりやすい構成:プレゼンテーションの流れが明確
- 効率的な作業:チームでの分担作業が楽になる
セクションの表示方法
通常表示での確認
PowerPointの左側にあるスライド一覧で、セクションは以下のように表示されます:
- セクション名:「セクション1」や「序論」などの名前
- 折りたたみ表示:クリックすることでスライドの表示・非表示を切り替え
- スライド枚数:そのセクションに含まれるスライド数の表示
スライド一覧表示での確認
「表示」タブから「スライド一覧」を選択すると、セクションごとにスライドがグループ化されて表示され、全体の構成がより分かりやすくなります。
セクションの作成方法
基本的な作成手順
手順1:セクションを作りたい位置を決める
- PowerPointを開く:セクションを作りたいプレゼンテーションファイルを開きます
- スライドを選択:新しいセクションを開始したいスライドをクリックします
- 位置の確認:選択したスライドから新しいセクションが始まることを確認します
手順2:セクションの追加
方法A:ホームタブから追加
- ホームタブをクリック:画面上部の「ホーム」タブを選択
- セクションボタンを探す:「スライド」グループにある「セクション」ボタンを見つける
- セクションの追加を選択:「セクションの追加」をクリック
方法B:右クリックメニューから追加
- スライドを右クリック:左側のスライド一覧で、セクションを作りたいスライドを右クリック
- メニューを確認:表示されるメニューから「セクションの追加」を選択
- セクションの作成:新しいセクションが作成される
手順3:セクション名の設定
セクションが作成されると、デフォルトで「セクション1」「セクション2」のような名前が付きます。これをわかりやすい名前に変更しましょう。
名前変更の手順:
- セクション名を右クリック:左側のスライド一覧でセクション名を右クリック
- 名前の変更を選択:メニューから「名前の変更」をクリック
- 新しい名前を入力:わかりやすい名前(例:「はじめに」「データ分析」「まとめ」)を入力
- Enterキーで確定:名前の変更が完了
効果的なセクション名の付け方
内容に基づいた命名
プレゼンテーションの流れに沿った名前:
- 導入部分:「はじめに」「概要」「目的」
- 本論部分:「現状分析」「解決策」「データ」
- 結論部分:「まとめ」「今後の展開」「質疑応答」
対象者に応じた命名
ビジネスプレゼンテーションの場合:
- 「エグゼクティブサマリー」
- 「市場分析」
- 「競合比較」
- 「収益予測」
学術発表の場合:
- 「研究背景」
- 「実験方法」
- 「結果と考察」
- 「今後の課題」
作業者別の命名
チーム作業の場合は、担当者の名前を含めることも有効です:
- 「田中担当:市場調査」
- 「佐藤担当:技術説明」
- 「鈴木担当:財務分析」
セクションの管理と操作
セクションの移動
セクション全体の移動
セクションは、その中に含まれるすべてのスライドと一緒に移動できます。
移動の手順:
- セクション名をクリック:移動したいセクションの名前をクリックして選択
- ドラッグで移動:セクション名をドラッグして、新しい位置まで移動
- 位置の確定:適切な場所でマウスボタンを離して移動完了
移動時の注意点
- セクション全体が移動:セクション内のすべてのスライドが一緒に移動
- 順序の変更:プレゼンテーションの流れが変わることを確認
- 参照の確認:他のスライドから参照している場合は内容の確認が必要
セクションの展開と折りたたみ
表示の切り替え
セクション名の横にある三角印をクリックすることで、セクション内のスライドの表示・非表示を切り替えできます。
展開・折りたたみの活用:
- 作業中のセクションのみ表示:現在編集している部分だけを展開
- 全体構成の確認:すべてのセクションを折りたたんで構成を確認
- 画面の整理:必要な部分だけを表示して作業効率を向上
一括操作
複数のセクションを同時に展開・折りたたみすることも可能です:
- 右クリックメニュー:セクション名を右クリック
- 一括操作の選択:「すべてのセクションを展開」または「すべてのセクションを折りたたみ」を選択
セクションの削除
削除の方法
不要になったセクションは簡単に削除できます。
削除手順:
- セクション名を右クリック:削除したいセクションの名前を右クリック
- 削除を選択:メニューから「セクションの削除」をクリック
- 確認:セクションが削除され、スライドは残る
削除時の注意点
- スライドは残る:セクションを削除してもスライド自体は削除されない
- グループ化の解除:セクションによる整理がなくなる
- 前後のセクションとの統合:削除されたセクションのスライドは隣接するセクションに統合される
セクション内でのスライド操作
スライドの移動
セクション内でのスライドの並び替えも簡単に行えます:
- スライドを選択:移動したいスライドをクリック
- ドラッグで移動:セクション内の適切な位置にドラッグ
- 順序の確定:新しい位置でマウスボタンを離す
スライドの他セクションへの移動
スライドを別のセクションに移動することも可能です:
- スライドを選択:移動したいスライドをクリック
- 切り取り:Ctrl + X で切り取り
- 移動先を選択:目的のセクション内の適切な位置をクリック
- 貼り付け:Ctrl + V で貼り付け
実際の活用場面
ビジネスプレゼンテーションでの活用
企画提案書の構成
セクション構成の例:
1. エグゼクティブサマリー
- 提案の概要
- 期待される効果
- 必要な投資額
2. 現状分析
- 市場動向
- 競合状況
- 自社の強み・弱み
3. 提案内容
- 具体的な施策
- 実施スケジュール
- 必要なリソース
4. 効果予測
- 売上・利益の予測
- リスク分析
- 投資回収期間
5. 次のステップ
- 決定事項
- 今後のスケジュール
- 質疑応答
会議資料の整理
月次報告会の構成例:
- 「前月の振り返り」
- 「今月の実績」
- 「来月の計画」
- 「課題と対策」
教育・学術分野での活用
授業資料の構成
講義用スライドの例:
1. 導入
- 学習目標
- 前回の復習
- 今回の内容
2. 理論説明
- 基本概念
- 重要なポイント
- 具体例
3. 実践演習
- 練習問題
- グループワーク
- ディスカッション
4. まとめ
- 重要ポイントの確認
- 次回予告
- 課題の説明
研究発表での活用
学会発表の構成例:
- 「研究背景」
- 「研究方法」
- 「実験結果」
- 「考察」
- 「今後の展開」
チーム作業での活用
役割分担の明確化
チームでプレゼンテーション作成を行う場合、セクションごとに担当者を決めることで効率的に作業できます。
分担例:
- Aさん担当:「市場分析」セクション
- Bさん担当:「技術説明」セクション
- Cさん担当:「財務計画」セクション
- 全員で作成:「まとめ」セクション
進捗管理の方法
セクション名での進捗表示:
- 「(作業中)市場分析」
- 「(確認待ち)技術説明」
- 「(完成)財務計画」
品質管理の実施
各セクションの責任者を明確にすることで、内容の質を保つことができます:
- 担当者による初回作成
- チーム内でのレビュー
- フィードバック反映
- 最終確認と承認
高度な活用テクニック

複数のプレゼンテーションの統合
別ファイルからのセクション取り込み
他のPowerPointファイルからセクションごとスライドを取り込むことも可能です:
- スライドの挿入:「ホーム」→「新しいスライド」→「スライドの再利用」
- ファイルの選択:取り込みたいPowerPointファイルを選択
- セクションの選択:必要なセクションのスライドを選択
- 書式の保持:元の書式を保持するかどうかを選択
マスタープレゼンテーションの作成
複数のプロジェクトで共通するセクションがある場合、マスタープレゼンテーションを作成して効率化できます:
共通セクションの例:
- 「会社概要」
- 「事業内容」
- 「実績紹介」
- 「お問い合わせ」
セクションを使ったプレゼンテーション技法
段階的な情報提示
セクションを使って、プレゼンテーション中に情報を段階的に開示する技法:
- 概要の提示:全セクションの概要を最初に説明
- 詳細の展開:各セクションごとに詳しく説明
- まとめの確認:最後に全体を振り返り
対話型プレゼンテーション
聴衆の反応や質問に応じて、セクションの順序を変更したり、特定のセクションにフォーカスしたりする方法:
- 質問に応じた順序変更:聴衆の関心に合わせてセクション順を調整
- 時間調整:予定時間に応じてセクションの省略や詳細化
- 専門性の調整:聴衆のレベルに応じたセクション選択
セクション情報の文書化
セクション構成の記録
プレゼンテーションの構成を別途文書化しておくことで、後での修正や他者への説明が楽になります:
構成表の例:
セクション名 | スライド数 | 担当者 | 想定時間 | 備考
------------|----------|--------|----------|------
はじめに | 3枚 | 田中 | 5分 | 自己紹介含む
現状分析 | 8枚 | 佐藤 | 15分 | グラフ中心
提案内容 | 12枚 | 鈴木 | 20分 | デモあり
まとめ | 2枚 | 田中 | 5分 | 質疑応答
よくある問題と解決方法
セクションが作成できない場合
権限の確認
ファイルが読み取り専用になっている場合、セクションの作成ができません:
- ファイルの状態確認:タイトルバーに「読み取り専用」と表示されていないか確認
- 編集権限の取得:ファイルを別名で保存するか、編集権限を取得
- 共有設定の確認:共有ファイルの場合は編集権限があるか確認
ソフトウェアのバージョン
古いバージョンのPowerPointでは、セクション機能が使用できない場合があります:
- PowerPoint 2010以降:セクション機能が利用可能
- それ以前のバージョン:アップデートまたは代替手段の検討
セクション名が変更できない場合
ファイルの保護状況
プレゼンテーションファイルが保護されている場合の対処法:
- パスワード保護の確認:「ファイル」→「情報」→「プレゼンテーションの保護」を確認
- 保護の解除:必要に応じてパスワードを入力して保護を解除
- 編集権限の確認:共有ファイルの場合は編集権限があるか確認
セクションの移動ができない場合
選択状態の確認
セクション全体が正しく選択されているかを確認:
- セクション名の選択:セクション名自体をクリックして選択
- 選択状態の表示:セクション全体がハイライトされることを確認
- ドラッグ操作:選択状態でドラッグ操作を実行
効率的な運用方法
セクション設計の原則
論理的な構成
プレゼンテーションの目的に応じた論理的なセクション構成:
問題解決型プレゼンテーション:
- 問題の提起
- 原因の分析
- 解決策の提案
- 実行計画
- 期待される効果
商品紹介型プレゼンテーション:
- 市場の現状
- 顧客のニーズ
- 商品の特徴
- 競合との比較
- 導入提案
適切な粒度
セクションの大きさ(含まれるスライド数)は、内容と目的に応じて調整:
- 短時間プレゼン:セクションあたり3-5枚
- 詳細説明:セクションあたり8-12枚
- ワークショップ:セクションあたり15-20枚
メンテナンスとアップデート
定期的な見直し
プレゼンテーションの成長に応じたセクション構成の見直し:
月次レビューの実施:
- セクション構成の適切性確認
- 不要なセクションの削除
- 新しい内容に応じたセクション追加
バージョン管理
セクション構成の変更履歴を記録:
- 変更日時:いつ変更したか
- 変更内容:何を変更したか
- 変更理由:なぜ変更したか
- 承認者:誰が承認したか
まとめ
セクション機能活用のメリット
PowerPointのセクション機能を効果的に使うことで、以下のような効果が得られます:
- 整理された構成:プレゼンテーションの流れが明確になる
- 効率的な作業:チームでの分担作業が容易になる
- 簡単な修正:後からの構成変更や内容追加が楽になる
- プロフェッショナルな印象:well-structuredなプレゼンテーションの作成
成功のポイント
事前の設計
- 目的の明確化:プレゼンテーションの目的と対象者の確認
- 構成の計画:論理的なセクション構成の設計
- 命名規則:一貫性のあるセクション名の決定
継続的な改善
- フィードバックの活用:聴衆からの反応を次回に活かす
- 定期的な見直し:内容の鮮度と構成の適切性の確認
- 技術の向上:新しい機能や手法の積極的な採用
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