PowerPointで表や図形を使っていると、「線の色を変えて見やすくしたい」「デザインに合わせて色を統一したい」といった場面がよくあります。罫線や枠線の色を変えることで、資料の印象がぐっと良くなり、視認性もアップします。
この記事では、PowerPointで表や図形の罫線(線)の色を変更する方法を、初心者の方でもわかりやすく解説します。基本的な操作から応用テクニックまで、段階的に説明していきます。
罫線と枠線の基本知識

罫線・枠線とは?
まず、PowerPointでの「線」について理解しておきましょう。
表の罫線(けいせん)
- 表のセルを区切る線
- 表の内容を整理して見やすくする
- 縦線と横線で構成される
図形の枠線(わくせん)
- 図形の輪郭を示す線
- 図形を目立たせたり、境界を明確にする
- 円、四角形、矢印などすべての図形に設定可能
なぜ線の色を変えるの?
線の色を変える理由:
- 視認性の向上
- 重要な部分を目立たせる
- 情報の階層を明確にする
- 読みやすさを向上させる
- デザインの統一
- スライド全体の色合いを揃える
- 企業カラーやテーマカラーに合わせる
- プロフェッショナルな印象を与える
- 印象の調整
- 明るい色で親しみやすく
- 濃い色で重厚感を演出
- カラフルにして楽しい雰囲気を作る
方法①:表の罫線の色を変更する方法
この方法の特徴
PowerPointの表機能を使って作成した表の罫線の色を変更する方法です。表全体や特定の部分だけを調整できます。
詳細な手順
ステップ1:表を選択する
- 変更したい表をクリック
- 表全体を選択する場合:表の外枠をクリックして表全体を選択
- 特定のセルを選択する場合:該当するセルをクリックまたはドラッグで選択
- 複数のセルを選択する場合:ドラッグで範囲選択
ステップ2:表ツールのデザインタブを開く
- 表を選択すると、リボンに 「表ツール」 が表示される
- 「デザイン」タブ をクリック
- 「罫線の描画」グループが表示される
ステップ3:ペンの色を選択
- 「罫線の描画」グループ内の 「ペンの色」 をクリック
- カラーパレットが表示される
- 好みの色をクリックして選択
- マウスポインタが鉛筆の形に変わる
ステップ4:罫線を描画
- 鉛筆状のポインタで、色を変えたい線をクリック
- クリックした線が選択した色に変わる
- 複数の線を変更する場合は、続けてクリック
- 作業完了後、
Esc
キーを押すか別の場所をクリックして終了
罫線の種類別設定
すべての罫線を一度に変更
- 表全体を選択
- 「デザイン」タブ → 「罫線」 → 「すべての罫線」
- 選択した色ですべての線が変更される
外枠だけを変更
- 表全体を選択
- 「デザイン」タブ → 「罫線」 → 「外枠」
- 表の外周だけが変更される
内側の線だけを変更
- 表全体を選択
- 「デザイン」タブ → 「罫線」 → 「内側の線」
- セル間の区切り線だけが変更される
線の太さとスタイルも調整
線の太さを変更
- 「デザイン」タブ → 「ペンの太さ」
- 0.25pt〜6ptまで選択可能
- 太い線で強調、細い線で上品に
線のスタイルを変更
- 「デザイン」タブ → 「ペンのスタイル」
- 実線、点線、破線など選択可能
- 用途に応じてスタイルを使い分け
この方法のメリット・デメリット
メリット
- 細かい調整が可能
- 一本ずつ線を変更できる
- 線の太さやスタイルも同時に調整可能
デメリット
- 一本ずつの作業で時間がかかる
- 大きな表では作業が大変
- 操作に慣れが必要
この章のまとめ:表の罫線は、ペンツールを使って細かく調整できます。時間はかかりますが、思い通りの仕上がりになります。
方法②:図形の枠線の色を変更する方法
この方法の特徴

PowerPointで作成した図形(四角形、円、矢印など)の枠線の色を変更する方法です。表の罫線よりも簡単に変更できます。
詳細な手順
ステップ1:図形を選択する
- 色を変更したい図形をクリック
- 図形の周りに選択ハンドル(小さな四角)が表示される
- 複数の図形を選択する場合:
Ctrl
キーを押しながら順番にクリック
ステップ2:図形の書式タブを開く
- 図形を選択すると、リボンに 「図形の書式」タブ が表示される
- 「図形の書式」タブ をクリック
- 「図形のスタイル」グループが表示される
ステップ3:枠線の色を変更
- 「図形のスタイル」グループの 「図形の枠線」 をクリック
- カラーパレットが表示される
- 好みの色をクリックして選択
- 図形の枠線がすぐに変更される
右クリックメニューから変更する方法
より速い方法
- 図形を右クリック
- コンテキストメニューから 「図形の書式設定」 を選択
- 右側に書式設定パネルが表示される
- 「線」 セクションで色を変更
図形の枠線の詳細設定
線の太さの調整
- 「図形の枠線」 → 「太さ」 をクリック
- 0.25pt〜6ptまで選択
- または「その他の線」で細かい指定
線のスタイルの変更
- 「図形の枠線」 → 「実線/点線」 をクリック
- 実線、丸い点線、角い点線、破線など選択
- デザインに応じてスタイルを使い分け
線の透明度の調整
- 右クリック → 「図形の書式設定」
- 「線」セクション → 「透明度」 スライダー
- 0%(不透明)〜100%(透明)まで調整可能
図形別の効果的な色使い
四角形・長方形
- 黒やグレー:フォーマルな印象
- 青:信頼感、ビジネス向け
- 赤:注意喚起、重要な内容
円・楕円
- 暖色系:親しみやすい印象
- 寒色系:クールで洗練された印象
- パステルカラー:やわらかい印象
矢印
- 濃い色:方向性を強調
- 目立つ色:フローの重要な部分
- 統一色:一連の流れを表現
この方法のメリット・デメリット
メリット
- 操作が簡単で直感的
- すぐに結果が確認できる
- 複数の図形を一度に変更可能
デメリット
- 表の罫線ほど細かい調整はできない
- 図形全体の枠線が対象(部分的変更は不可)
この章のまとめ:図形の枠線変更は操作が簡単で、PowerPoint初心者にもおすすめです。視覚的にわかりやすい資料作りに活用しましょう。
方法③:線の色を一括で変更する方法
この方法の特徴
複数の表や図形の線の色を同時に変更する効率的な方法です。統一感のあるデザインを短時間で作成できます。
複数の図形を一括変更
ステップ1:複数選択
- 最初の図形をクリック
Ctrl
キーを押しながら、他の図形を順番にクリック- すべての対象図形が選択された状態になる
ステップ2:一括で色変更
- 「図形の書式」タブ → 「図形の枠線」
- 希望の色を選択
- 選択したすべての図形の枠線が同じ色に変更される
表の複数セルを一括変更
ステップ1:範囲選択
- 表内で変更したいセルをドラッグして範囲選択
- または
Ctrl
キーを押しながら個別のセルを選択 - 表全体を選択する場合は表の外枠をクリック
ステップ2:一括で罫線変更
- 「表ツール」 → 「デザイン」タブ
- 「罫線」から 「すべての罫線」 または該当する線の種類を選択
- 選択範囲の罫線が一度に変更される
スライド全体の統一
テーマの色を活用
- 「デザイン」タブ → 「バリエーション」 → 「色」
- スライド全体の配色テーマを選択
- 表や図形の色も自動的に調整される
色の置換機能
- 「ホーム」タブ → 「編集」 → 「置換」 → 「色の置換」
- 変更前の色と変更後の色を指定
- スライド全体で該当する色が一括置換される
効率的な作業手順
推奨ワークフロー
- 色の計画を立てる
- メインカラー、サブカラーを決定
- 強調色、背景色を選定
- 一括変更から開始
- 大まかな色分けを一括で実行
- 全体の方向性を決める
- 細部の調整
- 個別の微調整を実施
- 重要な部分のみ特別な色を適用
この方法のメリット・デメリット
メリット
- 作業時間の大幅短縮
- 統一感のあるデザインが簡単に作成
- 後からの一括変更も容易
デメリット
- 細かい調整は別途必要
- 意図しない部分も変更される場合がある
この章のまとめ:一括変更は効率性を重視する場合に最適です。全体の統一感を保ちながら、短時間で美しい資料を作成できます。
方法④:カスタム色やテーマ色を使う

この方法の特徴
より詳細な色指定や、PowerPointのテーマ機能を活用した色管理の方法です。プロフェッショナルな資料作成に適しています。
カスタム色の設定
詳細な色指定方法
- 色選択時に 「その他の色」 をクリック
- 「色」ダイアログボックスが表示される
- 以下の方法で色を指定:
RGB値での指定
- R(赤)、G(緑)、B(青)の値を0〜255で指定
- 例:R=50, G=100, B=200 で特定の青色
HSL値での指定
- H(色相)、S(彩度)、L(明度)で指定
- より直感的な色の調整が可能
16進カラーコードでの指定
- Webデザインで使われる6桁の英数字コード
- 例:#3264C8 で特定の青色
テーマ色の活用
テーマ色とは?
- PowerPointが提供する調和の取れた色セット
- スライド全体で統一感を保つための仕組み
- 後からテーマを変更すると、すべての色が自動調整
テーマ色の設定手順
- 「デザイン」タブ → 「バリエーション」 → 「色」
- 既存のテーマから選択、または「色のカスタマイズ」をクリック
- 「新しいテーマの色の作成」で独自のテーマを作成
テーマ色の使用
- 色選択時に 「テーマの色」 セクションから選択
- 「明るい」「暗い」のバリエーションも自動生成
- テーマ変更時に自動的に色が調整される
企業カラーの設定
ブランドカラーの統一
- 企業の公式カラーコードを確認
- カスタム色でRGBまたは16進コードを入力
- よく使う色は「最近使用した色」に保存される
色の保存と再利用
- カスタム色を設定すると「最近使用した色」に表示
- 頻繁に使う色はテーマ色として登録
- 他のスライドでも同じ色を簡単に適用
アクセシビリティを考慮した色選択
色覚に配慮した色使い
- コントラスト比の確認
- 背景色と線の色の差を十分に確保
- 白背景なら濃い色、黒背景なら明るい色
- 色だけに依存しない設計
- 線の太さや形状でも区別できるようにする
- 重要な情報は色以外の方法でも強調
推奨される色の組み合わせ
高コントラスト:黒背景 + 白線
中コントラスト:白背景 + 紺色線
低コントラスト:グレー背景 + 黒線
この方法のメリット・デメリット
メリット
- 正確な色指定が可能
- ブランド統一が簡単
- アクセシビリティに配慮できる
- プロフェッショナルな仕上がり
デメリット
- 色の知識が必要
- 設定に時間がかかる
- 色選択に迷いやすい
この章のまとめ:カスタム色とテーマ色を活用することで、統一感があり、アクセシビリティにも配慮したプロフェッショナルな資料を作成できます。
実用的な色使いのコツ
目的別の色選択
ビジネスプレゼンテーション
- メイン:ネイビー、グレー
- アクセント:ブルー、グリーン
- 注意:レッド、オレンジ
教育・研修資料
- メイン:ダークブルー、ブラウン
- アクセント:ライトブルー、イエロー
- 注意:レッド、ピンク
クリエイティブ資料
- メイン:自由度高い
- アクセント:ビビッドカラー
- 注意:コントラストを重視
色の心理効果を活用
信頼感を演出
- 青系:安定感、信頼性
- 緑系:安心感、成長
- グレー系:落ち着き、中立
注意を引く
- 赤系:緊急性、重要性
- オレンジ系:活気、エネルギー
- 黄系:注意喚起、明るさ
高級感を演出
- 黒系:重厚感、格式
- 金系:豪華さ、特別感
- 紫系:高級感、神秘性
配色バランスの基本
3色ルール
- メインカラー:60%
- サブカラー:30%
- アクセントカラー:10%
トーンの統一
- 明度(明るさ)を揃える
- 彩度(鮮やかさ)を揃える
- 色相(色合い)のバランスを取る
トラブルシューティング

よくある問題と解決方法
色が変更されない場合
- 選択状態の確認
- 対象が正しく選択されているか確認
- 表全体の場合は外枠をクリック
- 操作手順の確認
- 正しいタブ(デザイン、図形の書式)を選択
- 適切なボタン(ペンの色、図形の枠線)をクリック
色が意図と違う場合
- モニター設定の確認
- 色温度、輝度の調整
- キャリブレーションの実施
- 印刷時の色の違い
- プリンターの色設定確認
- 印刷プレビューでの事前確認
テーマ色が適用されない場合
- カスタム色の確認
- カスタム色設定が優先される
- テーマ色を使用しているか確認
- テーマの再適用
- 「デザイン」タブからテーマを再選択
- 「リセット」機能の活用
色の保存と管理
よく使う色の保存
- カスタム色は自動的に「最近使用した色」に保存
- 重要な色はテーマ色として登録
- 色のメモを別途作成(RGB値など)
ファイル間での色の統一
- テンプレートファイルの作成
- マスタースライドでの色設定
- 企業テンプレートの活用
まとめ
PowerPointで表や図形の罫線(線)の色を変更する方法を整理すると、以下のようになります:
方法別比較表
対象 | 操作場所 | 主な操作内容 | 適用場面 | おすすめ度 |
---|---|---|---|---|
表の罫線 | 表ツール → デザイン | ペンの色選択 → 罫線を描く | 細かい調整が必要 | ○ |
図形の枠線 | 図形の書式 | 図形の枠線 → 色選択 | 簡単な変更 | ◎ |
複数対象 | 複数選択後同上 | 一括で色や太さを変更可能 | 効率重視 | ◎ |
カスタム色 | 色選択ダイアログ | RGB指定やテーマ色の活用 | プロ仕様 | ○ |
使い分けのポイント
簡単さ重視
- 図形の枠線変更を活用
- 基本的な色パレットから選択
効率性重視
- 複数選択での一括変更
- テーマ色の活用
品質重視
- カスタム色での正確な指定
- アクセシビリティへの配慮
重要なポイント
- 目的に応じた色選択:ビジネス、教育、クリエイティブで使い分け
- 統一感の維持:テーマ色やカスタム色での一貫性
- アクセシビリティ:色覚に配慮したコントラスト
- 効率的な作業:一括変更と個別調整の使い分け
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