「プレゼン中にもっと自由にページを移動したい」「聞き手にも操作してもらえるようなプレゼンを作りたい」そんな時に便利なのが、PowerPointのボタン機能です。
ボタンを使うことで、従来の一方向的なプレゼンから、聞き手が参加できるインタラクティブなプレゼンテーションに変わります。営業資料なら「詳細を知りたい」と思った時点でボタンを押してもらったり、研修資料なら理解度に応じて進むルートを選んでもらったりできるんです。
この記事では、PowerPointでボタンを作る方法から、効果的な活用法まで詳しくお教えします。操作は思っているより簡単で、見た目もプロフェッショナルに仕上がりますよ。
基本的なボタンの作り方

図形を使ったシンプルなボタン
最も基本的で使いやすいのが、図形を使ったボタンです。
作成手順:
- 「挿入」タブをクリック
- 「図形」を選択
- 「基本図形」から四角形や角丸四角形を選択
- スライド上でドラッグしてボタンの大きさを決める
- 図形を右クリックして「図形の書式設定」を選択
- 色やエフェクトを調整
おすすめの設定:
- 色: 背景と区別できる明確な色
- 枠線: 少し濃い色で境界を明確に
- 影: 軽くドロップシャドウを付けて立体感を演出
ボタンに文字を追加する方法
ボタンの中に「次へ」「戻る」などの文字を入れると、何のボタンか一目で分かります。
文字入力手順:
- 作成した図形をダブルクリック
- 文字入力モードになる
- 「次へ」「詳細」「メニュー」など適切な文字を入力
- 文字を選択して、フォントサイズや色を調整
文字のコツ:
- 読みやすいフォント: メイリオやUD デジタル教科書体がおすすめ
- 適切なサイズ: 16pt以上で見やすく
- コントラスト: 背景色との差をしっかり確保
アクションボタンの活用
PowerPointには、専用のアクションボタンも用意されています。
アクションボタンの挿入方法:
- 「挿入」タブの「図形」をクリック
- 一番下の「アクションボタン」を選択
- 用途に合ったボタンを選択(戻る、進む、ホームなど)
- スライド上に配置
アクションボタンの種類:
- 戻る: 前のスライドに移動
- 進む: 次のスライドに移動
- 最初: プレゼンの最初に移動
- 最後: 最後のスライドに移動
- ホーム: 指定したスライドに移動
- 情報: 補足情報を表示
- 再生: 動画や音声を再生
- カスタム: 自由にアクションを設定
これらのボタンは、設置と同時にアクションの設定画面が表示されるので便利です。
ボタンにアクションを設定する方法
スライド移動のアクション
ボタンを押した時に別のスライドに移動する設定方法です。
設定手順:
- ボタンにしたい図形を右クリック
- 「アクション」を選択
- 「マウスのクリック」タブで「ハイパーリンク先」を選択
- 「スライド」を選んで移動先を指定
- 「OK」をクリック
移動先の選択肢:
- 次のスライド: 順番通りに進む
- 前のスライド: 一つ前に戻る
- 最初のスライド: プレゼンの開始ページ
- 最後のスライド: 終了ページ
- 最後に表示したスライド: 直前に見ていたページ
- スライド: 任意のスライド番号を指定
プログラムやファイルを開くアクション
ボタンを押して外部のプログラムやファイルを起動することも可能です。
設定方法:
- ボタンを右クリックして「アクション」を選択
- 「プログラムの実行」または「ハイパーリンク先」の「その他のファイル」を選択
- 開きたいファイルやプログラムを指定
活用例:
- Excelファイル: 詳細なデータを別ファイルで表示
- 動画ファイル: 外部の動画プレーヤーで再生
- Webサイト: ブラウザでホームページを表示
- PDFファイル: 参考資料を表示
サウンドを再生するアクション
ボタンを押した時に音を鳴らすことで、操作感を向上させられます。
音の設定手順:
- アクション設定画面で「サウンドの再生」にチェック
- プルダウンメニューから音を選択
- カスタムサウンドを使いたい場合は「その他のサウンド」を選択
おすすめの音:
- クリック音: 操作感のあるボタン音
- チャイム: 正解やクリア時の効果音
- 音なし: 静かな環境では無音が適切
見た目を美しくするデザインテクニック
ボタンの配色とデザイン
プロフェッショナルな見た目にするための配色のコツです。
基本的な配色ルール:
- メインカラー: プレゼン全体のテーマカラーに合わせる
- アクセントカラー: 重要なボタンは少し明るい色に
- 無効ボタン: グレーアウトで使用不可を表現
グラデーションの活用:
- ボタンを選択して「図形の書式設定」を開く
- 「塗りつぶし」で「グラデーション」を選択
- 上部を明るく、下部を暗くすると立体感が出る
影とエフェクト:
- ドロップシャドウ: 軽く影を付けて浮き上がらせる
- 光彩: ボタンの周りに薄く光る効果
- 3D効果: 押せる感のある立体的な見た目
ホバーエフェクトの設定
マウスが乗った時の効果を設定すると、ボタンの操作感が向上します。
設定方法:
- ボタンの「アクション」設定を開く
- 「マウスポインターを重ねたとき」タブを選択
- 「ハイライト」や「サウンドの再生」を設定
効果的な設定:
- 色の変化: 少し明るい色に変わる
- サイズ変更: 微細に大きくなる(アニメーション使用)
- 音の再生: 軽いクリック音
統一感のあるボタンデザイン
プレゼン全体で統一感を保つためのポイントです。
デザインの統一要素:
- サイズ: 同じ機能のボタンは同じ大きさに
- 配置: 毎ページ同じ位置に配置
- 色: 機能別に色分けして統一
- フォント: 文字の種類とサイズを統一
ボタン配置の基本ルール:
- ナビゲーションボタン: 画面下部に配置
- 詳細ボタン: コンテンツの近くに配置
- 戻るボタン: 右下角など決まった場所に
実用的なボタン活用例
目次ナビゲーション
プレゼンの最初に目次ページを作り、各章へのボタンを設置する方法です。
目次ボタンの作り方:
- 各章のタイトル文字を四角形で囲む
- それぞれの四角形にリンクアクションを設定
- 統一された色とデザインを適用
目次レイアウトの例:
今日のご提案内容
[1. 現状分析] [2. 課題の整理]
[3. 解決策] [4. 導入計画]
[5. 費用] [6. まとめ]
選択式のプレゼンテーション
聞き手の関心に応じてルートを選択できるインタラクティブなプレゼンです。
分岐ボタンの設置:
- 「どちらに興味がありますか?」のページを作成
- 選択肢ごとにボタンを設置
- それぞれ異なるスライドにリンク設定
例:製品紹介プレゼン
詳しく知りたい項目を選択してください
[技術仕様] [価格・プラン] [導入事例]
クイズ形式のプレゼンテーション
研修や教育用プレゼンで、理解度を確認するクイズを作れます。
クイズボタンの作成:
- 質問スライドに選択肢ボタンを設置
- 正解ボタンは正解ページにリンク
- 不正解ボタンは解説ページにリンク
- 各ページに「次の問題へ」ボタンを設置
詳細情報の展開
メインの説明に加えて、詳しく知りたい人向けの情報を用意する方法です。
詳細ボタンの活用:
- メインスライドに「詳細はこちら」ボタンを配置
- 補足説明のスライドを後ろに追加
- 補足スライドに「戻る」ボタンを設置
ボタンを使った高度なプレゼンテクニック

段階的な情報開示
一度に全ての情報を見せず、段階的にボタンで情報を表示する方法です。
実装方法:
- 最初は概要だけを表示
- 「詳細を表示」ボタンで追加情報を表示
- さらに「事例を見る」ボタンで具体例を表示
この方法により、聞き手の理解度や関心に合わせて情報量を調整できます。
個別相談モード
営業プレゼンで、相手の状況に応じて説明内容を変える方法です。
設定例:
お客様の状況をお聞かせください
[新規導入を検討] [他社からの乗り換え] [機能追加を検討]
それぞれのボタンから、状況に適した説明ページに誘導します。
プロトタイプのシミュレーション
アプリやシステムの画面遷移をボタンで再現する方法です。
作成手順:
- 各画面をスライドで再現
- ボタンやメニューを実際にクリックできるように設定
- 実際の操作感を体験してもらう
これにより、完成品のイメージを具体的に伝えられます。
ボタン機能のトラブルシューティング
ボタンが反応しない場合
よくある原因と解決法:
アクションが設定されていない
- 解決法: ボタンを右クリックして「アクション」を確認・設定
リンク先のスライドが削除された
- 解決法: 正しいスライド番号に再設定
スライドショーモードになっていない
- 解決法: F5キーでスライドショーを開始
ボタンの見た目が崩れる場合
フォントの問題
- 他のパソコンで表示する際、フォントが変わる場合がある
- 解決法: 一般的なフォント(MS ゴシック、メイリオなど)を使用
画面解像度の違い
- ボタンの位置やサイズが変わる場合がある
- 解決法: 相対的な配置を心がけ、事前に確認
パフォーマンスの最適化
重いファイルの対処
- 画像や音声ファイルが多いと動作が重くなる
- 解決法: 画像を圧縮、不要なエフェクトを削除
メモリ不足対策
- 複雑なアニメーションは避ける
- 外部ファイルリンクを活用してファイルサイズを抑える
アクセシビリティへの配慮
色覚に配慮したデザイン
カラーユニバーサルデザイン:
- 色だけでなく、形や文字でも区別できるように
- 赤と緑の組み合わせは避ける
- 十分なコントラストを確保
キーボード操作への対応
Tab操作の最適化:
- ボタンの並び順を論理的に設定
- TabキーとEnterキーで操作できるように確認
- ボタンにフォーカスが当たった時の表示を明確に
読み上げソフトへの対応
代替テキストの設定:
- ボタンを右クリックして「代替テキスト」を設定
- ボタンの機能を明確に説明する文章を入力
まとめ:ボタンでプレゼンテーションを次のレベルへ
PowerPointのボタン機能について、基本的な作成方法から高度な活用テクニックまで詳しくご紹介しました。「挿入」→「図形」から四角形を選んで、右クリックで「アクション」を設定するだけで、簡単にインタラクティブなボタンが作れます。
ボタン機能の主なメリット:
- 双方向性: 聞き手が参加できるプレゼンテーション
- 柔軟性: 相手のニーズに応じた情報提供
- 効率性: 必要な情報に素早くアクセス
- プロ感: 洗練された印象を与える
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