「PDFで今画面に表示されている部分だけを印刷したい」「大きな図面の一部分だけを紙に出したい」そんな時はありませんか?
実は、PDFでは現在表示されている範囲のみを印刷する機能があります。全ページを印刷する必要がない場合や、特定の部分にフォーカスした資料を作りたい時にとても便利な機能なんです。
この記事では、PDFの表示範囲印刷の具体的な方法を、主要なソフト別に詳しく解説します。印刷設定のコツや注意点も併せてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
表示範囲印刷とは

基本的な仕組み
表示範囲印刷とは、現在画面に表示されているPDFの範囲のみを印刷する機能です。通常のページ単位印刷とは異なり、より柔軟な印刷が可能になります。
従来の印刷との違い
- ページ全体:文書の1ページをそのまま印刷
- 表示範囲:画面で見えている部分のみを印刷
- 部分選択:指定した範囲のみを印刷
この機能により、必要な情報だけを効率的に印刷できるようになります。
どんな時に便利?
表示範囲印刷が特に役立つシーンをご紹介しましょう。
具体的な活用場面
- 大きな図面の詳細部分を確認したい時
- 長い文書の重要な箇所だけを印刷したい時
- 複数ページにまたがる表の一部を出力したい時
- 拡大表示した状態で印刷したい時
例えば、建築図面を確認する際に、特定の部屋の詳細だけを印刷して現場に持参するといった使い方ができます。
Adobe Acrobat での表示範囲印刷
基本的な印刷手順
Adobe Acrobat Reader や Pro での表示範囲印刷方法を詳しく説明します。
ステップ1:表示範囲の調整
- 印刷したい部分が画面中央に来るように調整
- ズーム機能を使って適切なサイズに拡大・縮小
- 印刷したい内容がしっかり見えることを確認
ステップ2:印刷ダイアログの設定
- Ctrl+P(Mac では Command+P)で印刷ダイアログを開く
- 「印刷するページ」で「現在のビュー」を選択
- 必要に応じて「用紙に合わせる」にチェック
ステップ3:プレビューと印刷実行
- プレビュー画面で出力内容を確認
- 問題なければ「印刷」ボタンをクリック
- 印刷完了まで待機
詳細設定のポイント
より細かい調整を行う場合の設定方法をお伝えします。
用紙サイズの調整
- 「カスタムスケール」で拡大縮小率を指定
- 「用紙に合わせる」で自動調整
- 「実際のサイズ」で等倍印刷
印刷品質の設定
- 「高品質印刷」:詳細な図面や画像向け
- 「標準品質」:一般的な文書向け
- 「ドラフト品質」:確認用の速い印刷
用途に応じて適切な設定を選びましょう。
トラブル対応
Adobe Acrobat で印刷がうまくいかない場合の対処法をご紹介します。
「現在のビュー」が選択できない場合
- Adobe Acrobat のバージョンを確認
- 印刷ダイアログを一度閉じて再度開く
- PDFファイルに印刷制限がないか確認
印刷内容が意図した範囲と異なる場合
- 表示倍率を再調整
- ページの回転設定を確認
- プリンタードライバーを更新
ブラウザでの表示範囲印刷
Chrome での印刷方法
Google Chrome でPDFを開いている場合の印刷手順を説明します。
基本手順
- PDF表示中に Ctrl+P を押す
- 送信先でプリンターを選択
- 「詳細設定」で「選択した部分のみ」を確認
- 必要に応じて拡大縮小を調整
ただし、Chrome では完全な表示範囲印刷は制限される場合があります。より確実な方法として、専用ソフトの使用をおすすめします。
Firefox での操作
Mozilla Firefox での印刷方法も併せてご紹介しましょう。
特徴
- PDF.js による内蔵表示機能
- 基本的な印刷設定が可能
- プラグイン不要で動作
制限事項
- 高度な表示範囲指定は困難
- 印刷品質に制限がある場合
- 複雑なレイアウトで問題が生じる可能性
Edge での印刷
Microsoft Edge での印刷についても触れておきます。
操作手順
- PDFを表示した状態で印刷メニューを開く
- 「印刷オプション」で設定を調整
- プレビューで内容を確認後に印刷
ブラウザ印刷は手軽ですが、専用ソフトと比べると機能に制限があることを理解しておきましょう。
他のPDFソフトでの操作

Foxit Reader での印刷
Foxit Reader を使った表示範囲印刷の方法をご紹介します。
手順
- 「ファイル」→「印刷」を選択
- 印刷ダイアログで「現在のページ」を選択
- 「印刷範囲」で「現在のビュー」を指定
- 設定確認後に印刷実行
Foxit Reader は軽快な動作が特徴で、表示範囲印刷も比較的スムーズに行えます。
PDF-XChange Viewer での設定
PDF-XChange Viewer での操作方法も説明しましょう。
特徴的な機能
- 詳細な印刷設定が可能
- 表示範囲の微調整機能
- 印刷プレビューが充実
設定のコツ
- 「印刷範囲」で「選択範囲」を選択
- 「スケーリング」で用紙に合わせる設定
- 「回転」で向きを調整
無料ソフトの制限
多くの無料PDFソフトでは、表示範囲印刷の機能が制限されています。
一般的な制限
- 現在のビュー印刷がない
- 部分選択機能が未対応
- 印刷設定の選択肢が少ない
高度な印刷機能が必要な場合は、有料ソフトの導入を検討することをおすすめします。
印刷設定の最適化
用紙サイズに合わせた調整
表示範囲印刷では、用紙サイズとの関係を考慮することが重要です。
A4用紙での印刷
- 横向き表示の場合は用紙も横向きに設定
- 余白設定で印刷可能領域を最大化
- フォントサイズが読める大きさか確認
大判用紙での印刷
- A3やA2サイズでより詳細な印刷が可能
- 解像度設定を高品質に調整
- 印刷時間が長くなることを考慮
拡大縮小の考え方
表示内容を用紙に最適化するための拡大縮小設定をお伝えします。
自動調整の活用
- 「用紙に合わせる」:用紙サイズに自動調整
- 「印刷可能領域に合わせる」:余白を考慮した調整
- 「実際のサイズ」:等倍での印刷
手動調整のメリット
- 読みやすさを重視した拡大率設定
- 特定の要素を強調した印刷
- 複数枚に分割しての詳細印刷
目的に応じて最適な設定を選択しましょう。
よくある問題と解決法
印刷結果が思った通りにならない
表示範囲印刷でよく発生する問題と対処法をまとめました。
画面と印刷結果が異なる
- モニターとプリンターの色設定差
- 解像度の違いによる表示差
- フォント置き換えの影響
対処法
- 印刷プレビューで事前確認
- カラーマネジメント設定の調整
- 印刷テストの実行
文字が小さくて読めない
拡大表示した状態で印刷したにも関わらず、文字が小さい場合の対処法です。
原因の特定
- 表示倍率と印刷倍率の不一致
- プリンター設定の問題
- PDF内の解像度設定
解決手順
- 表示倍率を上げてから印刷
- プリンター設定で拡大印刷を指定
- 必要に応じて複数回に分けて印刷
プリンターで印刷できない
印刷ボタンを押しても反応がない場合の確認ポイントです。
基本的なチェック項目
- プリンターの接続状況
- 用紙とインクの残量
- プリンタードライバーの状態
- PDFファイルの印刷制限設定
高度なトラブルシューティング
- 別のプリンターでのテスト
- PDF を画像として出力してから印刷
- プリンタースプールの確認とリセット
まとめ
PDFの表示範囲印刷は、必要な部分だけを効率的に印刷できる便利な機能です。
重要なポイント
- Adobe Acrobat が最も確実で高機能
- 表示調整してから印刷設定を行う
- プレビューでの事前確認が重要
- 用紙サイズと内容のバランスを考慮
活用のメリット
- 紙とインクの節約
- 必要な情報への集中
- 作業効率の向上
- 持ち運びしやすい資料作成
注意点
- ソフトによって機能に差がある
- 無料ソフトでは制限される場合がある
- 印刷設定の理解が必要
この機能を使いこなせば、PDFをより効果的に活用できるようになります。まずは簡単な文書から試してみて、操作に慣れていくことをおすすめします。
日常的にPDFを扱う方にとって、表示範囲印刷は作業効率を大幅に向上させる機能です。ぜひ実践してみてくださいね。
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