「プログラムのエラーログを誰かに見てもらいたい」
「設定ファイルを友達と共有したいけど、メールだと面倒」
「長いコードをチャットに貼ると読みにくい…」
こんな時に便利なのがPastebin(ペーストビン)です。テキストやコードをWebにアップロードして、URLで簡単に共有できるサービスなんです。
プログラマーの間では定番のツールですが、技術者以外でも、長い文章やログファイルを共有する時にとても役立ちます。
この記事では、Pastebinの基本から実践的な使い方、セキュリティ上の注意点まで、初心者の方でも分かるように丁寧に解説していきますね。
Pastebinって何?基本を理解しよう

Pastebinの正体
Pastebinは、テキストデータをオンラインで保存・共有できるWebサービスです。
「Paste(貼り付け)」と「Bin(箱)」を合わせた言葉で、「テキストを貼り付ける箱」という意味ですね。
簡単に言えば:
- テキストをWebサイトに貼り付ける
- 自動的に専用のURLが生成される
- そのURLを共有すれば、誰でも見られる
たったこれだけです。シンプルですよね。
なぜPastebinが便利なの?
従来の方法と比較してみましょう。
メールやチャットで長文を送る場合:
- 読みにくい(書式が崩れる)
- 検索しにくい
- コピペしにくい
- 履歴に残って邪魔
Pastebinを使う場合:
- URLを送るだけでOK
- 読みやすく整形される
- コードなら色分けされる(シンタックスハイライト)
- 自動で消える設定もできる
特に、プログラムのコードやログファイルなど、長いテキストを共有する時に威力を発揮します。
どんな時に使う?
プログラミング:
- エラーログを質問サイトに投稿
- コードレビューを依頼
- 設定ファイルの共有
トラブルシューティング:
- エラーメッセージの共有
- システムログの提供
- デバッグ情報の送付
その他:
- 長い文章の一時保存
- メモの共有
- データのバックアップ(短期)
技術的な質問をする時、「エラーログはPastebinで共有してください」と言われることも多いですね。
Pastebinの基本的な使い方
実際に使ってみましょう。
1. サイトにアクセス
ブラウザで以下のURLにアクセスします:
https://pastebin.com/
トップページにテキストボックスが表示されます。
2. テキストを貼り付ける
大きなテキストボックスに、共有したいテキストやコードを貼り付けます。
例:
def hello_world():
print("Hello, World!")
hello_world()
3. 設定を選ぶ
貼り付けの前に、いくつか設定ができます:
Syntax Highlighting(シンタックスハイライト):
コードの種類を選ぶと、色分けして見やすくなります。
- Python
- JavaScript
- HTML
- CSS
- Java
- など、100以上の言語に対応
Paste Expiration(有効期限):
いつまで保存するか選べます。
- Never(永久)
- 10 Minutes(10分)
- 1 Hour(1時間)
- 1 Day(1日)
- 1 Week(1週間)
- 2 Weeks(2週間)
- 1 Month(1ヶ月)
- 6 Months(6ヶ月)
- 1 Year(1年)
Paste Exposure(公開設定):
- Public(公開:検索結果に表示される)
- Unlisted(限定公開:URLを知っている人だけ)
- Private(非公開:ログイン中の自分だけ)※要アカウント
Paste Name / Title(タイトル):
分かりやすい名前を付けられます。
4. 「Create New Paste」をクリック
ボタンを押すと、専用のURLが生成されます。
例:
https://pastebin.com/AbCd1234
このURLを共有すれば、誰でもテキストを見られます。
5. URLを共有
生成されたURLをコピーして、相手に送るだけです。
送り方の例:
- チャットに貼る
- メールに書く
- フォーラムに投稿
- SNSでシェア
相手がそのURLにアクセスすれば、すぐにテキストが見られます。
アカウント登録のメリット
無料でアカウントを作ると、便利な機能が使えます。
アカウントなしでも使える
実は、Pastebinはアカウントなしでも基本機能が使えます。でも、登録すると以下のメリットがあります。
アカウントのメリット
1. 自分の投稿を管理できる
過去に投稿したPasteの一覧が見られます。後から編集や削除も可能です。
2. Private(非公開)が使える
自分だけが見られる設定ができます。
3. フォルダ管理
Pasteをフォルダで整理できます。
4. 検索機能
自分の過去の投稿を検索できます。
5. お気に入り
他人のPasteをブックマークできます。
6. 広告が少なくなる
PRO版(有料)なら広告が完全に消えます。
アカウント登録方法
手順:
- トップページの「Sign Up」をクリック
- ユーザー名、パスワード、メールアドレスを入力
- 「Create Account」をクリック
- 確認メールが届くので、リンクをクリック
- 登録完了!
無料で簡単に作れます。
プライバシーと公開設定を理解しよう

Pastebinでは、3つの公開レベルが選べます。
Public(公開)
特徴:
- 誰でも見られる
- Pastebinの検索結果に表示される
- Google検索にも表示される可能性がある
使う場面:
- オープンソースのコード
- 誰でも見てOKな情報
- 質問サイトでの共有
注意:
個人情報や機密情報は絶対に載せないでください。
Unlisted(限定公開)
特徴:
- URLを知っている人だけが見られる
- 検索結果には表示されない
- でも、URLさえ分かれば誰でもアクセス可能
使う場面:
- 特定の人との共有
- チーム内での情報共有
- 多少プライベートな内容
注意:
URLが漏れれば誰でも見られます。完全な秘密には使わないでください。
Private(非公開)
特徴:
- ログイン中の自分だけが見られる
- 他人は絶対に見られない
- アカウント登録が必要
使う場面:
- 個人的なメモ
- 一時的な保存
- 作業中のコード
注意:
他人と共有する目的では使えません。
有効期限の設定で自動削除
一時的な共有には、有効期限を設定すると便利です。
有効期限の選択肢
10分〜1時間:
- チャットでの質問
- リアルタイムのサポート
- すぐに削除したいデータ
1日〜1週間:
- 短期的なプロジェクト
- イベント期間中の共有
- 一時的な資料
1ヶ月〜1年:
- 長期的な参照資料
- ドキュメントのアーカイブ
- 定期的に見直すコード
Never(永久):
- 長期保存が必要なもの
- 公開し続けるコード
- リファレンス資料
なぜ有効期限が重要?
セキュリティ:
不要になったデータが残り続けると、情報漏洩のリスクになります。
整理:
自動で消えてくれるので、管理が楽です。
サーバー負荷:
不要なデータを削除することで、サービスの維持に貢献できます。
おすすめの使い分け
- 質問の回答待ち → 1日
- イベント用の資料 → 1週間
- プロジェクトの途中経過 → 1ヶ月
- 永久保存が必要 → GitHub Gistを検討
シンタックスハイライトで読みやすく
コードを共有する時、シンタックスハイライト(構文の色分け)がとても便利です。
対応言語
Pastebinは、100以上のプログラミング言語に対応しています:
メジャー言語:
- Python
- JavaScript
- Java
- C/C++
- C#
- PHP
- Ruby
- Go
- Rust
- Swift
Web系:
- HTML
- CSS
- TypeScript
- JSON
- XML
その他:
- Bash/Shell
- SQL
- Markdown
- YAML
- Dockerfile
さらにマイナーな言語も多数対応しています。
設定方法
テキストを貼り付ける時、「Syntax Highlighting」のドロップダウンから言語を選ぶだけです。
例:Pythonコード
言語を「Python」に設定すると:
def calculate(a, b):
result = a + b
return result
このように、キーワード、関数、文字列などが色分けされて表示されます。
色分けのメリット
読みやすい:
コードの構造が一目で分かります。
エラーを発見しやすい:
文法ミスがあると、色が変わらないので気付きやすいです。
プロっぽい:
見た目がきれいで、プロフェッショナルな印象を与えます。
RAWモードとダウンロード
Pastebinには、便利な表示オプションがあります。
RAWモード
RAWモードは、Webページの装飾なしで、純粋なテキストだけを表示します。
アクセス方法:
Pasteのページで「raw」ボタンをクリック、またはURLの末尾に/rawを付けます。
例:
元のURL: https://pastebin.com/AbCd1234
RAW URL: https://pastebin.com/raw/AbCd1234
使い道:
- コマンドラインでダウンロード
- スクリプトで自動取得
- 純粋なテキストとしてコピー
curlで取得:
curl https://pastebin.com/raw/AbCd1234 > script.py
ダウンロード機能
「download」ボタンをクリックすると、テキストファイルとしてダウンロードできます。
ファイル名は自動的に付けられますが、保存時に変更できます。
類似サービスとの比較

Pastebin以外にも、似たようなサービスがあります。
GitHub Gist
URL: https://gist.github.com/
特徴:
- GitHubアカウントで使える
- バージョン管理機能がある
- コメント機能がある
- Markdown対応
- 埋め込み機能が優秀
おすすめの使い道:
- 長期保存
- コードスニペットのライブラリ
- 技術ブログへの埋め込み
hastebin
URL: https://hastebin.com/
特徴:
- シンプルでミニマル
- アカウント不要
- 動作が軽い
- 広告が少ない
おすすめの使い道:
- 素早い共有
- 一時的なメモ
- シンプルさ重視
PrivateBin
URL: https://privatebin.net/
特徴:
- 暗号化に特化
- サーバーでも内容が読めない
- セキュリティ重視
- オープンソース
おすすめの使い道:
- 機密性の高い情報
- パスワードの一時共有
- セキュアな環境が必須
pastebin.com(本家)
特徴:
- 最も有名で歴史がある
- ユーザー数が多い
- 機能が豊富
- 無料版は広告あり
おすすめの使い道:
- 一般的な共有
- コミュニティでの質問
- 広く使われているので信頼性が高い
セキュリティ上の注意点
便利なPastebinですが、使い方を間違えると危険です。
絶対にやってはいけないこと
1. パスワードを貼らない
絶対にダメです。たとえUnlisted(限定公開)でも、URLが漏れれば終わりです。
2. APIキーやトークンを貼らない
AWSのアクセスキー、GitHubのトークン、APIキーなどは、悪用される危険があります。
3. 個人情報を貼らない
名前、住所、電話番号、メールアドレスなど、個人を特定できる情報は避けてください。
4. 企業の機密情報を貼らない
会社のコード、顧客情報、内部資料などは絶対にダメです。情報漏洩になります。
安全な使い方
1. 機密情報を削除してから貼る
コードを共有する前に、パスワードやAPIキーを***やXXXXXXに置き換えましょう。
悪い例:
api_key = "sk_live_1234567890abcdef"
良い例:
api_key = "YOUR_API_KEY_HERE"
2. Unlistedを使う
特別な理由がない限り、Public(公開)は避けてUnlisted(限定公開)を使いましょう。
3. 有効期限を設定する
永久保存が必要でなければ、1日〜1週間程度の有効期限を設定しましょう。
4. 共有後は確認する
貼り付けた後、実際にURLにアクセスして、機密情報が入っていないか確認しましょう。
5. 使用後は削除する
不要になったPasteは、手動で削除しておくと安全です。
過去の事故例
実際に、Pastebinに機密情報を誤って投稿してしまい、大きな問題になった事例があります:
- AWSのアクセスキーが漏れて、不正アクセスされた
- 企業の内部資料が公開され、情報漏洩になった
- 個人情報が晒されて、トラブルになった
教訓:
「一度ネットに上げたら、完全に消すことは不可能」と考えて、慎重に使いましょう。
実践的な使用例
実際の使い方を、シーン別に見ていきましょう。
例1:プログラミングの質問
シナリオ:
Pythonのコードでエラーが出て、質問サイトで助けを求めたい。
手順:
- エラーが出るコードをPastebinに貼る
- エラーメッセージも一緒に貼る
- 言語を「Python」に設定
- Unlisted、有効期限1週間に設定
- URLを質問に添える
投稿例:
以下のコードでエラーが出ます。助けてください。
コード: https://pastebin.com/AbCd1234
エラー: https://pastebin.com/EfGh5678
例2:設定ファイルの共有
シナリオ:
チームメンバーと設定ファイルを共有したい。
手順:
- 設定ファイルの内容をコピー
- Pastebinに貼り付け
- 言語を「JSON」や「YAML」に設定
- タイトルに「プロジェクト名 設定ファイル」と記入
- Unlisted、有効期限1ヶ月
- チャットでURLを共有
例3:ログファイルの送信
シナリオ:
アプリがクラッシュして、サポートにログを送りたい。
手順:
- ログファイルの内容をコピー
- Pastebinに貼り付け
- 言語を「Text」のまま
- タイトルに日時を記入
- Unlisted、有効期限1日
- サポートにメールでURLを送る
例4:コードレビュー
シナリオ:
同僚にコードをレビューしてもらいたい。
手順:
- レビューしてほしいコードを貼る
- 言語を適切に設定
- タイトルに「レビュー依頼:〇〇機能」
- Unlisted、有効期限1週間
- SlackやTeamsでURLを共有
- コメント機能があるGitHub Gistの方が便利かも
API経由での利用
プログラムから自動でPastebinを使うこともできます。
Pastebin API
Pastebinは公式APIを提供しています。
主な機能:
- 自動でPasteを作成
- 過去のPasteを取得
- Pasteを削除
- ユーザー情報を取得
簡単な使用例(Python)
パッケージのインストール:
pip install pastebin-python
基本的な使い方:
from pastebin import PasteBin
# APIキーを取得(Pastebinのサイトで作成)
pb = PasteBin(api_dev_key='YOUR_API_KEY')
# Pasteを作成
url = pb.paste(
api_paste_code='print("Hello, World!")',
api_paste_name='サンプルコード',
api_paste_expire_date='1D', # 1日
api_paste_private=1, # Unlisted
api_paste_format='python'
)
print(f'作成されたURL: {url}')
curlで投稿
コマンドラインから直接投稿することもできます:
curl -X POST https://pastebin.com/api/api_post.php \
-d "api_dev_key=YOUR_API_KEY" \
-d "api_option=paste" \
-d "api_paste_code=Hello World" \
-d "api_paste_expire_date=1D"
自動化の例
サーバーログを定期的にアップロード:
#!/bin/bash
# cron で1日1回実行
LOG_FILE="/var/log/myapp.log"
API_KEY="YOUR_API_KEY"
curl -X POST https://pastebin.com/api/api_post.php \
-d "api_dev_key=$API_KEY" \
-d "api_option=paste" \
-d "api_paste_code=$(cat $LOG_FILE)" \
-d "api_paste_expire_date=7D" \
-d "api_paste_name=Server Log $(date +%Y-%m-%d)"
まとめ:Pastebinを賢く使おう
Pastebinは、テキストやコードを共有するための便利なツールです。
この記事のポイントをおさらい:
- PastebinはテキストをURLで簡単に共有できるサービス
- アカウントなしでも使えるが、登録すると便利
- 3つの公開レベル:Public、Unlisted、Private
- 有効期限を設定して自動削除できる
- シンタックスハイライトでコードが読みやすくなる
- 機密情報は絶対に貼らない(パスワード、APIキーなど)
- Unlisted + 有効期限1日〜1週間が安全
- RAWモードでコマンドライン取得が可能
- GitHub Gist、hastebin、PrivateBinなど類似サービスもある
- APIで自動化もできる
プログラミングの質問、コードレビュー、ログファイルの共有など、様々な場面で活躍してくれます。
ただし、セキュリティには十分注意してください。「一度ネットに上げたら消せない」という意識で、慎重に使いましょう。
この記事が、あなたのPastebin活用の助けになれば嬉しいです!


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