「パーティションって聞いたことはあるけど、よく分からない…」
「MBRとGPTって何が違うの?」
こんな疑問を持っていませんか?
この記事では、ストレージの重要な仕組みであるパーティションテーブルについて、基礎から実践的な知識まで分かりやすく解説していきますね。
パーティションテーブルの基本を理解しよう

パーティションテーブルって何?
パーティションテーブルは、ハードディスクやSSDの「区画割り情報」を記録した管理台帳です。
大きな土地を複数の区画に分けて管理する台帳のようなものだと考えてください。
どこからどこまでが区画Aで、どこからどこまでが区画Bなのか、といった情報が記録されているんですね。
なぜパーティションが必要なの?
ストレージを分割することで、様々なメリットが得られます。
データの整理
OSとデータを別のパーティションに分けることで、管理がしやすくなります。
マルチブート環境
1台のPCに複数のOSをインストールできますね。
WindowsとLinuxを共存させることも可能です。
バックアップの効率化
重要なデータだけを別パーティションに保存すれば、バックアップが簡単になります。
セキュリティの向上
システム領域とユーザーデータを分離することで、安全性が高まるんです。
MBRとGPTの違いを知ろう
2つの主要な方式
パーティションテーブルには、大きく分けて2つの形式があります。
MBR(Master Boot Record)
1980年代から使われている伝統的な方式です。
長い歴史があり、古いシステムでも確実に動作します。
GPT(GUID Partition Table)
2000年代に登場した新しい方式です。
現代のコンピュータに最適化されており、多くの利点がありますね。
どちらを選ぶかで、使えるディスク容量や機能が大きく変わってきます。
MBR(Master Boot Record)の特徴
MBRの基本構造
MBRは、ディスクの先頭セクタに配置される小さな領域です。
わずか512バイトという限られた空間に、重要な情報が詰め込まれています。
含まれる情報:
- ブートローダー(起動プログラム)
- パーティション情報(最大4つ)
- ディスク署名
この小さな領域が、コンピュータの起動を制御しているんですね。
MBRの制限事項
古い仕様のため、いくつかの制限があります。
容量の上限
最大2TBまでしか認識できません。
3TBや4TBの大容量ディスクでは、残りの領域が使えなくなってしまいます。
パーティション数の制限
基本パーティションは最大4つまでです。
5つ以上必要な場合は、拡張パーティションという複雑な仕組みを使う必要がありますね。
冗長性の欠如
パーティション情報が破損すると、データにアクセスできなくなります。
バックアップがないため、復旧が困難な場合があるんです。
MBRが適している場面
それでも、MBRを使うべき状況があります。
古いOSを使う場合
Windows XPや古いバージョンのLinuxでは、MBRしか使えません。
BIOSモード
UEFIではなく、従来のBIOSで起動する必要がある場合です。
小容量ディスク
2TB以下のディスクなら、MBRでも問題なく使えますよ。
GPT(GUID Partition Table)の特徴

GPTの進化した構造
GPTは、MBRの制限を克服するために設計されました。
GUID(Globally Unique Identifier)という仕組みで、各パーティションに固有の識別子を割り当てます。
この識別子は、世界中で重複しない一意の番号なんですね。
GPTの大きな利点
現代のストレージに最適化されています。
巨大な容量に対応
理論上は9.4ZB(ゼタバイト)まで扱えます。
実用的には、18EB(エクサバイト)程度まで対応可能ですね。
現在流通しているどんな大容量ディスクでも問題ありません。
豊富なパーティション数
最大128個のパーティションを作成できます。
拡張パーティションのような複雑な仕組みは不要です。
冗長性とエラー訂正
パーティション情報がディスクの先頭と末尾に2ヶ所保存されます。
CRC(巡回冗長検査)により、データの破損を検出して修復できるんです。
UEFIとの統合
セキュアブートなど、最新のセキュリティ機能を活用できますね。
GPTが必要な場面
以下のような状況では、GPTを選択すべきです。
2TBを超えるディスク
大容量のハードディスクやSSDを使う場合は必須です。
最新のWindows
Windows 8以降で、すべての機能を使いたい場合。
UEFI環境
新しいマザーボードでUEFIブートを利用する場合ですね。
サーバー用途
信頼性が重要な環境では、GPTの冗長性が役立ちます。
MBRとGPTの比較表
主要な違いを一覧で確認
最大ディスク容量
- MBR:2TB
- GPT:9.4ZB(実質無制限)
最大パーティション数
- MBR:4つ(基本パーティション)
- GPT:128個
データ保護
- MBR:バックアップなし
- GPT:冗長バックアップあり
起動方式
- MBR:BIOS
- GPT:UEFI(BIOSも可能)
互換性
- MBR:すべてのOSで対応
- GPT:64ビットWindows以降、最新Linux
セキュリティ
- MBR:基本的な保護のみ
- GPT:セキュアブート対応
現代では、特別な理由がない限りGPTを選ぶのが一般的ですね。
パーティションの種類と役割
プライマリパーティション
OSをインストールできる基本的なパーティションです。
MBRでは最大4つまで作成できます。
起動可能なパーティションとして使用されることが多いですね。
拡張パーティション
MBR特有の仕組みで、プライマリパーティションの1つを拡張パーティションとして使います。
この中に、論理ドライブを複数作成できるんです。
4つ以上のパーティションが必要な場合に利用します。
論理ドライブ
拡張パーティションの中に作成される仮想的なパーティションです。
数に制限はなく、いくつでも作成できますね。
ただし、OSをインストールできない場合があります。
EFIシステムパーティション
GPTディスクに必須の特別なパーティションです。
UEFIファームウェアが使用するブートローダーが格納されています。
通常は100MB〜500MB程度の小さな領域ですね。
回復パーティション
Windowsの回復環境が保存されている領域です。
システムが起動しない時の修復に使用されます。
削除しないように注意しましょう。
パーティションテーブルの確認方法
Windowsでの確認
いくつかの方法で確認できます。
ディスクの管理ツール
Windowsキー + Xを押して、「ディスクの管理」を選択してください。
各ディスクのパーティション構成が視覚的に表示されます。
GPTかMBRかも一目で分かりますね。
diskpartコマンド
コマンドプロンプトを管理者権限で開きます。
以下のコマンドを順番に実行してください:
diskpart
list disk
「Gpt」列にアスタリスク(*)があればGPT、なければMBRです。
Macでの確認
ディスクユーティリティを使います。
アプリケーション→ユーティリティ→ディスクユーティリティを開いてください。
左側でディスクを選択し、「情報」ボタンをクリックします。
パーティション方式が表示されますね。
Linuxでの確認
ターミナルでコマンドを使用します。
sudo fdisk -l
または
sudo parted -l
各ディスクのパーティションテーブルタイプが表示されます。
MBRからGPTへの変換方法
Windowsでの変換(データ保持)
Windows 10バージョン1703以降では、データを保持したまま変換できます。
MBR2GPTツールの使用
コマンドプロンプトを管理者権限で開いてください。
以下のコマンドを実行します:
mbr2gpt /validate /disk:0
検証が成功したら、実際に変換します:
mbr2gpt /convert /disk:0
ディスク番号は、環境に合わせて変更してくださいね。
変換の注意点
いくつかの前提条件があります。
バックアップの作成
万が一に備えて、必ず完全バックアップを取りましょう。
空き領域の確認
EFIシステムパーティション用の空き領域が必要です。
システムディスクの変換
変換後は、UEFIモードで起動する必要があります。
BIOSの設定変更が必要な場合がありますね。
サードパーティツールの活用
EaseUS Partition MasterやMiniTool Partition Wizardなど、専用ツールもあります。
グラフィカルなインターフェースで、より簡単に変換できますよ。
無料版でも基本的な変換機能は使えます。
パーティション操作の基本

パーティションの作成
未割り当て領域から新しいパーティションを作成できます。
Windowsの場合:
ディスクの管理で、未割り当て領域を右クリックします。
「新しいシンプル ボリューム」を選択してください。
ウィザードに従って、サイズやドライブ文字を設定しましょう。
パーティションのサイズ変更
既存のパーティションを拡大または縮小できます。
縮小の手順:
変更したいパーティションを右クリックします。
「ボリュームの縮小」を選択して、縮小するサイズを入力してください。
ただし、データが詰まっている部分は縮小できませんね。
拡大の手順:
隣に未割り当て領域がある場合のみ可能です。
「ボリュームの拡張」を選択して、拡大するサイズを指定しましょう。
パーティションの削除
不要なパーティションを削除できます。
警告:
削除すると、その中のデータはすべて失われます。
必ず重要なファイルをバックアップしてから実行してください。
削除したパーティションは、未割り当て領域になります。
トラブルシューティング
パーティションテーブルの破損
ディスクが認識されない場合、パーティションテーブルが破損している可能性があります。
症状:
- ディスクが表示されない
- パーティションにアクセスできない
- 起動時にエラーが表示される
対処方法:
TestDiskなどの復旧ツールを使用します。
破損したパーティションテーブルを修復または再構築できますね。
ブートエラーの解決
「Boot Device Not Found」などのエラーが出る場合があります。
GPTディスクの場合:
UEFIモードで起動しているか確認してください。
BIOSの設定で、レガシーモードになっていないかチェックしましょう。
MBRディスクの場合:
ブートセクタが破損している可能性があります。
Windowsの回復環境から、ブート修復を実行してくださいね。
パーティションが見えない
作成したはずのパーティションが表示されない場合があります。
ドライブ文字の割り当て
ディスクの管理でパーティションを右クリックします。
「ドライブ文字とパスの変更」を選択して、文字を割り当てましょう。
これでエクスプローラーに表示されるようになります。
セキュリティとパーティション
暗号化とパーティション
BitLocker(Windows)やFileVault(Mac)は、パーティション単位で暗号化できます。
システムドライブだけを暗号化して、データドライブは暗号化しないという選択も可能ですね。
セキュアブート
GPTとUEFIの組み合わせで、セキュアブートが利用できます。
起動時に署名されていないソフトウェアの実行を防ぐ仕組みです。
マルウェアからシステムを守る重要な機能ですよ。
データの完全消去
パーティションを削除しただけでは、データは完全には消えません。
専用ツールでゼロ埋めやランダムデータ書き込みを行う必要があります。
ディスクを処分する前には、必ず完全消去を実行しましょう。
ベストプラクティス
パーティション設計の基本
効率的なパーティション構成を考えましょう。
システムとデータの分離
CドライブにOS、Dドライブにユーザーデータというのが一般的です。
OSの再インストール時に、データを残せますね。
適切なサイズ配分
システムドライブには、最低でも100GB以上を割り当てましょう。
アプリケーションやアップデートで容量が増えていきます。
定期的なバックアップ
パーティションテーブルが破損すると、データにアクセスできなくなります。
重要なファイルは、必ず別のストレージにバックアップしてください。
クラウドストレージの併用も効果的ですよ。
SSDでの注意点
SSDでは、パーティションアライメントが重要です。
不適切なアライメントは、性能低下の原因になります。
最新のOSは自動的に最適なアライメントを設定してくれますね。
仮想化環境でのパーティション
仮想ディスクの特性
仮想マシンでも、パーティションテーブルが使われます。
物理ディスクと同じように、MBRまたはGPTを選択できますね。
仮想ディスクの拡張
容量が不足した場合、仮想ディスクを拡張できます。
ハイパーバイザー側で容量を増やした後、ゲストOS内でパーティションを拡張しましょう。
動的ディスクを使えば、自動的に拡張される場合もあります。
将来の展望
より大容量への対応
ストレージの大容量化は今後も続きます。
GPTは、当面の間、十分な拡張性を持っているんです。
新しい規格が登場する可能性もありますが、互換性は維持されるでしょう。
セキュリティ機能の強化
パーティションレベルでのセキュリティは、さらに重要になっていきます。
ハードウェア支援による暗号化など、新技術の統合が進むと予想されますね。
まとめ:パーティションテーブルを理解しよう
パーティションテーブルは、ストレージ管理の基礎となる重要な仕組みです。
MBRとGPTの違いを理解して、適切に選択することが大切ですね。
この記事の重要ポイント:
- パーティションテーブルはディスクの区画情報を管理する台帳
- MBRは古い方式で2TB制限がある
- GPTは新しい方式で大容量・多数のパーティションに対応
- 現代では特別な理由がない限りGPTを選ぶべき
- Windows 10以降ではデータを保持したまま変換可能
- EFIシステムパーティションはGPTに必須
- パーティション操作は慎重に、必ずバックアップを取る
- トラブル時は専用の復旧ツールが有効
新しいディスクを使い始める時は、まずGPTを検討しましょう。
適切なパーティション構成で、快適で安全なストレージ環境を実現できますよ。


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