パソコンやウェブサイトを使っていると、突然「所有権を確認できませんでした」というメッセージが表示されて困ったことはありませんか?
このエラーは、あなたが本当にそのファイルやサイトの持ち主かどうか、システムが確認できない時に表示されるものです。「自分のものなのにアクセスできない」という、なんとも歯がゆい状況ですよね。
この記事では、この厄介なエラーが出る理由と、具体的な解決方法をわかりやすく説明します。難しい専門用語はできるだけ使わず、実際に試せる手順をお伝えしますので、安心して読み進めてください。
「所有権」って何?基本から理解しよう

所有権とは
所有権とは、簡単に言えば「これは私のものです」という証明のことです。
パソコンの世界では、ファイルやフォルダー、ウェブサイトなどに対して「誰がこれを管理する権利を持っているか」を示すものなんです。
たとえば、あなたが自分のパソコンに保存した写真には、通常あなた自身が所有者として記録されています。これによって、他の人が勝手にその写真を削除したり変更したりできないようになっているわけです。
なぜ所有権の確認が必要なのか
所有権の確認が必要な理由は、主にセキュリティのためです。
もし誰でも自由にファイルを変更できたら、大切なデータが消されたり、ウイルスを仕込まれたりする危険があります。だから、システムは「本当にこの人が操作していいのか?」を常にチェックしているんですね。
ウェブサイトの場合も同じで、サーチコンソール(検索エンジンの管理ツール)などは「本当にこのサイトの持ち主が操作しているのか」を確認してから、重要な情報を見せるようになっています。
エラーが発生する主な場面と原因
「所有権を確認できませんでした」というエラーは、いくつかの異なる場面で発生します。それぞれ原因が違うので、まずはどの状況に当てはまるか確認しましょう。
1. Googleサーチコンソールでの所有権確認
どんな時に起こる?
自分のウェブサイトをGoogleサーチコンソールに登録しようとした時、または既に登録済みのサイトの所有権を再確認しようとした時に表示されます。
よくある原因
- DNS設定の反映待ち:ドメインの設定変更は、インターネット全体に広がるまで最大48時間かかることがあります
- 確認ファイルの配置ミス:指定された場所に確認用のHTMLファイルが見つからない
- メタタグの設定ミス:ウェブサイトのコード内に貼り付けた確認用タグが間違っている、または正しい場所に入っていない
- サーバーエラー:Googleがあなたのサイトにアクセスできない状態になっている
- 別のGoogleアカウントでログイン:複数のGoogleアカウントを持っている場合、間違ったアカウントでログインしている
2. Windowsのファイル・フォルダーアクセス時
どんな時に起こる?
パソコンのファイルやフォルダーを開こうとした時、またはそのプロパティ(詳細情報)を確認しようとした時に「現在の所有者を表示できません」というメッセージが出ます。
よくある原因
- アクセス権限の不足:あなたのユーザーアカウントに、そのファイルを見る権限が与えられていない
- 管理者権限が無効:Windowsの隠れた「管理者アカウント」が有効になっていない
- 読み取り専用属性:ファイルやフォルダーに「読み取り専用」の設定がされている
- ファイルシステムの破損:ハードディスクやSSDのデータ構造に問題が発生している
- セキュリティソフトの干渉:フォルダーロックソフトなどが邪魔をしている
- 外付けドライブの問題:USBメモリや外付けHDDから移動したファイルで、元の所有者情報が残っている
3. その他のケース
- Google Workspaceのドメイン確認:会社や組織でGmailなどを使う時のドメイン設定
- SSL証明書の取得:ウェブサイトを暗号化通信(https)にする時の確認作業
- クラウドサービスのドメイン設定:AzureやAWSなどで独自ドメインを使う時
【場面別】具体的な解決方法
それでは、それぞれの場面での具体的な解決方法を見ていきましょう。
Googleサーチコンソールでの解決方法
解決策1:48時間待ってから再確認する
DNS(ドメインネームシステム)の設定を変更した場合、その情報がインターネット全体に行き渡るまで時間がかかります。
手順:
- 設定を完了してから、まずは数時間待つ
- 翌日もう一度確認してみる
- それでもダメなら、最大48時間待ってから再度試す
焦らずに待つことが大切です。多くの場合、時間が解決してくれます。
解決策2:正しいGoogleアカウントでログインしているか確認
複数のGoogleアカウントを持っている人は、意外とこれが原因だったりします。
確認方法:
- ブラウザの右上にあるアカウントアイコンをクリック
- 現在ログインしているアカウントのメールアドレスを確認
- 違うアカウントだった場合は、「アカウントを切り替える」を選択
- 正しいアカウントでログインし直す
解決策3:HTMLファイルの確認方法を試す
DNSレコード(TXTやCNAME)での確認がうまくいかない場合は、HTMLファイルをアップロードする方法に切り替えましょう。
手順:
- サーチコンソールの「所有権の確認」ページで「HTMLファイル」を選択
- 指定されたファイルをダウンロード
- FTPソフトなどを使って、ウェブサイトのルートディレクトリ(一番上の階層)にアップロード
- ブラウザで「あなたのサイトのURL/ファイル名」にアクセスして、ファイルが正しく配置されているか確認
- サーチコンソールで「確認」ボタンを押す
注意点:
- ファイル名や内容を変更してはいけません
- ルートディレクトリ以外の場所に置くと認識されません
解決策4:メタタグ確認方法を試す
HTMLの知識がある人向けの方法です。
手順:
- サーチコンソールで「HTMLタグ」を選択
- 表示されたメタタグをコピー
- ウェブサイトのトップページのHTML内、
<head>と</head>の間に貼り付け - 変更を保存してサーバーにアップロード
- ブラウザでページのソースコードを表示して、タグが正しく入っているか確認
- サーチコンソールで「確認」ボタンを押す
解決策5:サーバーの状態を確認
Googleがあなたのサイトにアクセスできない可能性があります。
確認ポイント:
- ウェブサイトが正常に表示されるか、別のブラウザやスマホでチェック
- サーバー管理会社からメンテナンスのお知らせが来ていないか確認
- robots.txtファイルでGoogleのアクセスをブロックしていないか確認
Windowsでの解決方法(ファイル・フォルダーアクセス)
解決策1:読み取り専用属性を解除する
これは最も簡単で、よく効く方法です。
手順:
- 問題のファイルまたはフォルダーを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「全般」タブの下の方にある「読み取り専用」のチェックを外す
- 「適用」→「OK」をクリック
- フォルダーの場合、サブフォルダーにも適用するか聞かれるので「OK」
これでアクセスできるようになることが多いです。
解決策2:管理者アカウントを有効にする
Windowsには普段は見えない「隠し管理者アカウント」があります。これを有効にすると解決することがあります。
手順:
- スタートメニューを右クリック
- 「Windows PowerShell(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を選択
- ユーザーアカウント制御の画面が出たら「はい」をクリック
- 以下のコマンドを入力してEnterキーを押す
net user administrator /active:yes
- 「コマンドは正常に終了しました」と表示されればOK
- パソコンを再起動
- ログイン画面に「Administrator」というアカウントが表示されるので、それでログイン
- 問題のファイルやフォルダーにアクセスしてみる
重要な注意:
- 作業が終わったら、セキュリティのために必ず管理者アカウントを無効に戻してください
- 無効にするには、同じコマンドの最後を
/active:noに変更して実行します
解決策3:コマンドプロンプトで所有権を取得する
グラフィカルな操作ではうまくいかない時は、コマンドを使う方法が確実です。
手順:
- 問題のファイルまたはフォルダーの完全なパス(場所)をコピー
- ファイルを右クリック→「プロパティ」→「セキュリティ」タブで確認できます
- 例:
C:\Users\YourName\Documents\問題のフォルダー
- コマンドプロンプトを管理者として開く
- 以下のコマンドを入力(
"完全なパス"の部分を実際のパスに置き換える)
takeown /F "完全なパス" /a /r /d y
- Enterキーを押して実行
- 次に、以下のコマンドを入力
icacls "完全なパス" /grant administrators:F /t
- Enterキーを押して実行
- 「正常に処理されました」というメッセージが表示されれば成功
コマンドの意味:
takeown:所有権を取得するコマンド/F:ファイルまたはフォルダーを指定/a:管理者グループに所有権を与える/r:サブフォルダーにも適用/d y:確認をスキップicacls:アクセス権限を変更するコマンド/grant:権限を付与administrators:F:管理者にフルコントロール権限を与える/t:サブフォルダーとファイルにも適用
解決策4:ファイルシステムをチェック・修復する
ハードディスクやSSDに問題がある可能性もあります。
手順:
- コマンドプロンプトを管理者として開く
- 以下のコマンドを入力(
C:の部分は問題のあるドライブに置き換える)
chkdsk C: /f /r
- Enterキーを押す
- 「ドライブが使用中」というメッセージが出たら、Yキーを押す
- パソコンを再起動すると、自動的にチェックが始まります
注意:
- この作業には時間がかかります(30分~数時間)
- 重要なファイルのバックアップを取ってから実行することをおすすめします
解決策5:フォルダーロックソフトを確認する
ファイルを保護するためのソフトウェアが原因の場合があります。
確認・対処方法:
- 「設定」→「アプリ」→「アプリと機能」を開く
- 「フォルダーロック」「ファイルロック」などの名前のソフトがインストールされていないか確認
- もしあれば、そのソフトで該当のフォルダーのロックを解除
- または一時的にソフトをアンインストールして試してみる
その他の場面での解決方法
Google Workspaceのドメイン確認
基本的にはサーチコンソールと同じ手順ですが、以下の点に注意:
- TXTレコードまたはCNAMEレコードをドメイン管理サービス(お名前.comやムームードメインなど)で設定
- 設定後、48時間待つ
- Google Workspace管理コンソールで「確認」ボタンを押す
SSL証明書取得時(Let’s Encryptなど)
- ドメインのDNS設定が正しいか確認
- サーバーのファイアウォールがHTTPSアクセスを許可しているか確認
- 確認用ファイルが
.well-known/acme-challenge/ディレクトリに正しく配置されているか確認
よくある質問と回答

Q1: 何度試してもエラーが出ます。どうすればいいですか?
A: まず、以下を確認してください:
- 十分な時間(48時間)待ちましたか?
- 設定内容に誤字や余計なスペースはありませんか?
- キャッシュのクリアを試しましたか?
それでもダメな場合は、別の確認方法に切り替えることをおすすめします。例えば、DNSレコードでうまくいかなければHTMLファイルの方法を試す、といった具合です。
Q2: 所有権を取得したら、元の所有者はアクセスできなくなりますか?
A: Windowsのファイルの場合、所有権を変更しても、適切なアクセス権限を設定すれば元の所有者もアクセスできます。
ただし、ウェブサイトの所有権確認の場合は、新しい所有者が以前の所有者を削除することも可能です。共同で管理したい場合は、「ユーザーを追加」機能を使いましょう。
Q3: 会社のパソコンでこのエラーが出ました。自分で解決していいですか?
A: いいえ、待ってください!
会社や学校のパソコンの場合、システム管理者が意図的にアクセス制限をかけている可能性があります。勝手に変更すると、セキュリティポリシー違反になることも。
まずはIT部門や管理者に相談しましょう。
Q4: エラーが出たファイルは壊れているのでしょうか?
A: ファイル自体が壊れているわけではありません。
「所有権を確認できません」というエラーは、ファイルのメタデータ(ファイルの情報を記録したデータ)に問題があるだけです。適切な手順で所有権を取得すれば、ファイルの中身は無事に使えます。
ただし、ファイルシステムの破損が原因の場合は、念のためバックアップを取ってから修復作業を行うことをおすすめします。
Q5: 外付けHDDのファイルでエラーが出ます
A: 外付けドライブの場合は、以下を試してください:
- ドライブレター(DドライブやEドライブなど)が他のデバイスと重複していないか確認
- USBケーブルを別のポートに挿し直す
- 「デバイスマネージャー」でドライブが正しく認識されているか確認
- 上記の「コマンドプロンプトで所有権を取得する」方法を試す
エラーを予防するための対策
一度解決したら、今後同じエラーが出ないように対策しておきましょう。
定期的なバックアップ
なぜ重要?
所有権の問題は、ファイルシステムの破損やハードディスクの故障と同時に起こることがあります。バックアップがあれば、最悪の場合でもデータは守れます。
おすすめの方法:
- Windows標準の「ファイル履歴」機能を有効にする
- 外付けHDDやクラウドストレージに重要なファイルをコピー
- 週に1回程度、定期的にバックアップを取る
アクセス権限の適切な設定
ポイント:
- ファイルを作成したら、必要な人にだけアクセス権を与える
- 「Everyone」(すべてのユーザー)に権限を与えるのは避ける
- 定期的に不要なユーザーのアクセス権を見直す
サーチコンソールの確認設定を維持
注意点:
- 所有権確認後も、確認用のHTMLファイルやメタタグを削除しない
- DNSレコードも削除しないこと
- これらを削除すると、所有権が失効して再度確認が必要になります
システムの定期メンテナンス
やっておくべきこと:
- 月に1回程度、
chkdskでディスクをチェック - Windowsアップデートを必ず適用
- セキュリティソフトを最新の状態に保つ
まとめ
「所有権を確認できませんでした」というエラーは、最初は戸惑うかもしれませんが、落ち着いて適切な手順を踏めば必ず解決できます。
重要なポイントをおさらい:
- エラーの原因を特定する
- Googleサーチコンソールでの確認作業なのか
- Windowsのファイルアクセスなのか
- その他のサービスなのか
- 場面に応じた解決方法を試す
- サーチコンソール:48時間待つ、別の確認方法を試す
- Windows:読み取り専用を解除、コマンドで所有権取得
- 複数の方法を順番に試してみる
- 焦らず、段階的に対処する
- まずは簡単な方法から
- うまくいかなければ次の方法へ
- 重要なデータはバックアップを取ってから作業
- 今後のために予防策を取る
- 定期的なバックアップ
- 適切なアクセス権限の設定
- システムのメンテナンス
このエラーは決して珍しいものではなく、多くの人が経験します。この記事で紹介した方法を試せば、ほとんどの場合は解決できるはずです。
もしどうしても解決できない場合は、専門家に相談することも選択肢の一つです。無理をせず、できる範囲で対処しましょう。
最後に:
パソコンやウェブの世界では、こういったトラブルは避けられないものです。でも、一つ一つ経験することで、確実に知識とスキルが身につきます。
この記事があなたの問題解決の助けになれば幸いです。頑張ってください!

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