Outlookのアイコンをダブルクリックしても何も起こらない。起動しようとすると途中で止まってしまう。エラーメッセージが表示されて開けない。
メールが確認できないと仕事になりませんよね。
Outlookが開かない問題は、原因によって対処法が異なります。しかし、適切な手順を踏めば、ほとんどの場合自力で解決できます。
この記事では、Outlookが開かない原因を特定し、段階的に解決する方法を詳しく解説していきます。
Outlookが開かない主な症状と原因

まず、どのような症状が出ているか確認しましょう。症状によって原因が異なります。
症状1:クリックしても何も反応しない
アイコンをクリックしても、画面に何も表示されず、ウィンドウが開かない状態です。
考えられる原因
- Outlookのプロセスがバックグラウンドで残っている
- ショートカットが壊れている
- Windowsの一時的な不具合
症状2:起動途中で止まる・フリーズする
起動画面(スプラッシュスクリーン)は表示されるが、そこから進まない状態です。
考えられる原因
- アドインが起動を妨げている
- プロファイルの読み込みエラー
- データファイル(PST/OST)の破損
- ネットワーク接続の問題
症状3:エラーメッセージが表示される
起動時に特定のエラーが表示される場合です。
よくあるエラーメッセージ
- 「Microsoft Outlookを起動できません」
- 「Outlookデータファイルにアクセスできません」
- 「プロファイルを読み込めません」
- 「送受信中にエラーが発生しました」
エラーメッセージの内容によって、原因を絞り込めます。
症状4:すぐに落ちる・クラッシュする
一瞬ウィンドウが開くものの、すぐに閉じてしまう状態です。
考えられる原因
- Office本体の破損
- 互換性のないアドイン
- ウイルス対策ソフトとの競合
基本的な解決方法(すべての症状に有効)
まずは簡単にできる基本的な対処法から試しましょう。
方法1:パソコンを再起動
シンプルですが、これだけで解決することが意外と多いです。
手順
- すべての作業を保存
- 開いているアプリケーションを閉じる
- スタートメニューから「再起動」を選択
- 再起動後、Outlookを起動
Windowsの一時的な不具合や、メモリの問題が解消されることがあります。
方法2:バックグラウンドのOutlookを終了
Outlookが見えないところで動いている可能性があります。
タスクマネージャーで確認
- 「Ctrl + Shift + Esc」でタスクマネージャーを起動
- 「プロセス」タブを確認
- 「Outlook」または「OUTLOOK.EXE」がないか探す
- あれば選択して「タスクの終了」をクリック
- 再度Outlookを起動
システムトレイ(画面右下の通知領域)にOutlookアイコンが残っていないかも確認してください。
方法3:Windowsを最新状態にする
古いWindowsバージョンが原因で動作不良を起こすことがあります。
手順
- Windowsの設定を開く
- 「更新とセキュリティ」をクリック
- 「Windows Update」を選択
- 「更新プログラムのチェック」をクリック
- 利用可能な更新があればインストール
- 必要に応じて再起動
Officeの更新プログラムも同時にインストールされることがあります。
セーフモードで起動する方法
Outlookをセーフモード(安全モード)で起動すると、原因を特定しやすくなります。
セーフモードとは
アドインや拡張機能を無効にして、必要最低限の機能だけで起動するモードのことです。
セーフモードで起動できれば、アドインやカスタマイズ設定が原因だと分かります。
セーフモードでの起動手順
方法1:Ctrlキーを使う
- キーボードの「Ctrl」キーを押したまま
- Outlookのアイコンをクリック
- 「Outlookをセーフモードで起動しますか?」と表示される
- 「はい」をクリック
方法2:ファイル名を指定して実行
- 「Windowsキー + R」を押す
- 「outlook.exe /safe」と入力
- 「OK」をクリック
セーフモードで起動できた場合
アドインや設定が原因です。
対処方法
- セーフモードで起動したOutlookで「ファイル」→「オプション」
- 「アドイン」を選択
- 「管理」で「COMアドイン」を選び「設定」をクリック
- すべてのアドインのチェックを外す
- 「OK」をクリックして通常モードで再起動
これで起動できれば、アドインが原因と確定できます。必要なアドインだけ1つずつ有効にして、問題のあるアドインを特定しましょう。
セーフモードでも起動できない場合
より深刻な問題があります。次の対処法に進んでください。
プロファイルの問題を解決する方法

Outlookのプロファイル(設定情報)が壊れていると起動できません。
新しいプロファイルを作成
手順
- Outlookを完全に終了
- コントロールパネルを開く
- 「Mail (Microsoft Outlook)」または「メール」を探してクリック
- 「プロファイルの表示」ボタンをクリック
- 「追加」をクリック
- 新しいプロファイル名を入力(例:Outlook2)
- 「OK」をクリック
- メールアカウント情報を入力して設定
- 「常に使用するプロファイル」で新しいプロファイルを選択
- 「OK」をクリックして閉じる
- Outlookを起動
新しいプロファイルで起動できれば、元のプロファイルが破損していたことが分かります。
既存プロファイルの修復
削除する前に、修復を試すこともできます。
手順
- コントロールパネルの「Mail (Microsoft Outlook)」を開く
- 「電子メールアカウント」をクリック
- 問題のあるアカウントを選択
- 「修復」をクリック
- 画面の指示に従って修復を実行
データファイル(PST/OST)の修復
データファイルが破損していると、Outlookが開けません。
受信トレイ修復ツールを使用(PSTファイル)
Outlookには、PSTファイルを修復する専用ツールが付属しています。
手順1:ツールの場所を探す
- エクスプローラーを開く
- 検索ボックスで「scanpst.exe」を検索
通常の保存場所
C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16\
(バージョンにより「Office16」が「Office15」などの場合あり)
手順2:修復を実行
- scanpst.exeをダブルクリック
- 「参照」をクリックしてPSTファイルを選択
- PSTファイルの場所が分からない場合:
C:\Users\[ユーザー名]\Documents\Outlook ファイル
- 「開始」をクリックしてスキャン
- エラーが見つかったら「修復」をクリック
- 修復完了後、Outlookを起動
スキャンには時間がかかる場合があります。ファイルサイズが大きいと30分以上かかることもあるでしょう。
OSTファイルの再作成(Exchange/Microsoft 365)
OSTファイルが原因の場合、削除して再作成する方法が確実です。
重要な注意
OSTファイルはサーバーのコピーなので、削除してもメールは失われません。ただし、再ダウンロードに時間がかかります。
手順
- Outlookを完全に終了
- エクスプローラーで以下の場所を開く:
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Microsoft\Outlook
- 「.ost」という拡張子のファイルを探す
- ファイルを別の場所(デスクトップなど)に移動
- Outlookを起動
- 自動的に新しいOSTファイルが作成される
- 同期完了を待つ
同期中はインターネット接続を維持してください。
Officeの修復を実行する方法
Outlook本体やOfficeに問題がある場合の対処法です。
クイック修復
手順
- すべてのOfficeアプリを終了
- Windowsの設定を開く
- 「アプリ」→「アプリと機能」
- 「Microsoft Office」または「Microsoft 365」を探す
- クリックして「変更」を選択
- 「クイック修復」を選択
- 「修復」をクリック
- 完了後、パソコンを再起動
クイック修復は5~10分程度で完了します。
オンライン修復
クイック修復で解決しない場合、より徹底的な修復を実行します。
手順
- 同じ手順で「変更」まで進む
- 「オンライン修復」を選択
- 「修復」をクリック
- インターネット接続が必要
- 完了まで20~40分程度待つ
- 完了後、パソコンを再起動
オンライン修復では、破損したファイルが再ダウンロードされるため時間がかかります。
ウイルス対策ソフトとの競合を解決
ウイルス対策ソフトがOutlookの起動を妨げている可能性があります。
一時的に無効化して確認
手順
- ウイルス対策ソフトを開く
- リアルタイム保護を一時的に無効にする
- Outlookを起動してみる
- 起動できたら、ウイルス対策ソフトが原因
重要な注意
テストが終わったら、必ずウイルス対策ソフトを再度有効にしてください。
除外設定を追加
ウイルス対策ソフトの除外リストにOutlookを追加します。
一般的な手順
- ウイルス対策ソフトの設定を開く
- 「除外」「例外」「ホワイトリスト」などの項目を探す
- 以下のパスを追加:
C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16\OUTLOOK.EXE
- 設定を保存
ソフトによって手順が異なるため、詳しくは各ソフトのマニュアルを確認してください。
アカウント設定の問題を解決

メールアカウントの設定エラーで起動できない場合があります。
アカウントの再設定
手順
- セーフモードでOutlookを起動
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」
- 問題のあるアカウントを選択
- 「削除」をクリック
- 再度「新規」からアカウントを追加
- メールアドレスとパスワードを入力
- 自動設定を完了
- 通常モードで起動
オフライン作業モードの確認
誤ってオフラインモードになっていると、起動に問題が出ることがあります。
確認方法
- セーフモードで起動
- 「送受信」タブを確認
- 「オフライン作業」が押された状態なら、クリックして解除
- 通常モードで再起動
レジストリの問題を解決(上級者向け)
レジストリに問題がある場合の対処法です。
重要な警告
レジストリ編集を誤ると、Windowsが起動しなくなる可能性があります。自信がない場合は、この方法は避けてください。
Outlookのレジストリをリセット
手順
- Outlookを完全に終了
- 「Windowsキー + R」で「regedit」と入力
- レジストリエディタが起動
- 以下のパスに移動:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\16.0\Outlook
(「16.0」の部分はバージョンにより異なる)
- 「Outlook」フォルダーを右クリック
- 「エクスポート」でバックアップを保存
- 「Outlook」フォルダーを削除
- レジストリエディタを閉じる
- Outlookを起動
Outlookが起動すると、レジストリが自動的に再作成されます。
ナビゲーションウィンドウのリセット
ナビゲーションウィンドウ(フォルダー一覧)の設定が壊れている場合の対処法です。
リセットコマンドの実行
手順
- Outlookを完全に終了
- 「Windowsキー + R」を押す
- 「outlook.exe /resetnavpane」と入力
- 「OK」をクリック
ナビゲーションウィンドウの設定がリセットされ、起動できるようになることがあります。
その他の起動スイッチ
問題に応じて、以下のスイッチも試せます。
よく使うスイッチ
/cleanviews:ビューの設定をリセット/cleanreminders:リマインダーをクリア/resetfolders:フォルダー名をリセット/cleanfromaddresses:送信元アドレスリストをクリア
使い方
outlook.exe /cleanviews
このように、「ファイル名を指定して実行」で入力します。
互換モードで起動
古いバージョンのWindows向けの互換モードで起動を試します。
互換設定の変更
手順
- Outlookのショートカットを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「互換性」タブをクリック
- 「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェック
- ドロップダウンから「Windows 8」または「Windows 7」を選択
- 「管理者としてこのプログラムを実行する」にもチェック
- 「適用」→「OK」
- Outlookを起動
起動できたら、問題解決後にこの設定は元に戻しましょう。
Outlookの再インストール
すべての方法を試しても解決しない場合、最終手段として再インストールします。
アンインストールの手順
手順
- Outlookのデータファイル(PSTファイル)をバックアップ
- Windowsの設定を開く
- 「アプリ」→「アプリと機能」
- 「Microsoft Office」または「Microsoft 365」を選択
- 「アンインストール」をクリック
- 画面の指示に従って完全にアンインストール
- パソコンを再起動
再インストールの手順
Microsoft 365の場合
- office.comにサインイン
- 「Officeのインストール」をクリック
- ダウンロードしたファイルを実行
- インストール完了を待つ
- Outlookを起動してアカウントを設定
パッケージ版の場合
- インストールメディアまたはダウンロードしたファイルを実行
- プロダクトキーを入力
- インストールを完了
- Outlookでアカウントを再設定
よくあるエラーメッセージと対処法
「Microsoft Outlookを起動できません。Outlookウィンドウを開けません」
原因
データファイルまたはプロファイルの問題です。
対処法
- 新しいプロファイルを作成
- それでもダメならscanpst.exeでPSTファイルを修復
「データファイルが見つかりません」
原因
PSTまたはOSTファイルが移動・削除されています。
対処法
- エクスプローラーでファイルを検索
- 見つかったらOutlookで正しいパスを指定
- 見つからない場合はバックアップから復元
「送受信中にエラーが発生しました」
原因
ネットワーク接続またはサーバー設定の問題です。
対処法
- インターネット接続を確認
- セーフモードで起動
- アカウント設定を修復
予防策:今後Outlookが開かなくならないために
問題解決後、再発を防ぐための予防策を実施しましょう。
定期的なバックアップ
推奨する方法
- 週に1回、PSTファイルをバックアップ
- バックアップ先は外付けHDDまたはクラウドストレージ
- 複数世代のバックアップを保持
定期的なメンテナンス
実施すべき項目
- 月に1回、不要なメールを削除
- 大きなPSTファイルは分割(2GB以上の場合)
- 削除済みアイテムを定期的に空にする
- 送信済みアイテムの古いものをアーカイブ
アップデートの習慣化
定期確認
- Windows Updateを月に1回実行
- Office更新プログラムの確認
- ウイルス対策ソフトを最新状態に保つ
まとめ:焦らず段階的に対処しよう
Outlookが開かない問題は、適切な手順で必ず解決できます。
この記事のポイント
- 基本対処:再起動、バックグラウンドプロセスの確認
- セーフモード:アドインが原因か特定できる
- プロファイル:新しいプロファイル作成で解決することが多い
- データ修復:scanpst.exeでPST修復、OSTは再作成
- Office修復:クイック修復で多くのケースが解決
- ウイルス対策:除外設定で競合を回避
- 最終手段:再インストールで確実に解決
まずは再起動とセーフモードを試してください。それでもダメなら、新しいプロファイルの作成とデータファイルの修復へ進みましょう。
ほとんどの場合、Office修復までの段階で解決します。焦らず、順番に試していけば大丈夫です。
メールが確認できない状態は非常に困りますが、この記事の方法を実践すれば、必ずOutlookを使えるようになります。万が一自力で解決できない場合は、IT管理者やMicrosoftサポートに相談することも検討してください。

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